日曜劇場【 おやじの背中 】第2話 『ウエディング・マッチ』 感想 坂元裕二×役所広司×満島ひかり の回

やっぱり、あなたはまともじゃありません。

あなたは病名はないけど病気です!
私にも 移ってます。

このままじゃ嫁に行けません!

おやじの背中 第2話 『ウエディング・マッチ』

    おやじの背中2

先日『渇き。』を観に行った時に「役所さんもずいぶんたくさん父親役をやって来られたけれども、
こんなに妖艶な娘と戦う父役は大変だっただろうな…」と思い、「大変」であると共に父親役冥利に
尽きるかもね…と、ほぼ映画界の新人である小松菜奈を恐ろしく思ったものだったが…。

「映画界の新人」ではない満島ひかりはもっと恐ろしい。
正真正銘恐ろしい。

蹴る殴る叫ぶパワー。
野生の目力、懐いた時の柔らかさ。
この人の中にある「女の種類」の数がハンパない。

セーラー服に鋭い目、過激なパンチ…。

『愛のむきだし』再び、な満島ひかりを楽しんだ。

娘のデートに乱入する父。
そして父親のデートを覗く娘。

ボクサーの娘とボクシングトレーナーの父。

「ボクシング」が2人を繋ぐ共通点。
目指すはオリンピックへの出場。

だから一緒にいる。

それが、実は依存のための理由づけのようにも見える。

父の女遊びが許せなくて、脱減量「かにぱん」で脅す娘。
試合のためにそれを必死に止める父。

そこにマシンガンのように会話がばら撒かれる。

「今、立ち止まったら悲しみに溺れてしまう」
「進まなきゃ」

「風の谷のナウシカ」がそう言ってたんです。
私、つらいときはいつもナウシカのこと考えてた。合コンのときとか。

合コン誘われて。そんなの初めてだったから、将棋クラブのじいさん達んとこ行って
予行演習しました。

よし、絶対いける!
と思って挑みました。

男の人達、私の顔見て「何か怒ってる?」って何べんも聞きました。
目つき悪いんですよ。
ノーマルモードで相手のことにらんじゃうんですよ。

それでも お酒飲んだら仲よくなれたし。
「わ~結構楽しいかも」って思い始めた頃、あなた、部屋に入ってきました。
一人一人つかまえてお説教始めました。

ボクシングなんかしなきゃよかったと思いました。

でも、次の日朝5時に起きて河原の道を走ってました。
生まれて初めて買ったブラジャーをあなたに捨てられた川です。

つけたい…
すごく、つけたい。

でも、こんなのつけたら、私もう二度とリングに立てなくなる。
ブラつけたらボクサー人生終わる。
きっとナウシカもブラつけてなかったはず。
ナウシカも合コン行けてなかったはず。

「今、立ち止まったら悲しみに溺れてしまう」
「進まなきゃ」

そう思って…
今日までやってきたんです…。

坂元裕二色だ。
『それでも、生きてゆく』『Woman』で、何度この人の口から坂元節の大量のセリフが
溢れて来るのを見たことだろう。

今回の満島ひかりは過去作のひかりちゃんと違って「赦しの心」を持つ懐深い女を
押し付けられていない。

父親から「女と結婚しない」約束を取り付けたらすぐ笑う。

どうしよう。
ちょっとかにぱん食べちゃった。

照れた仕草がキュート。

そうやって二人三脚でボクシングに向かってきた日々はある日突然終わる。

予選の試合には勝てなかった。
誠は母と住むことになり、夢は急速に遠ざけられた。

1年後。

娘は父に結婚式前日の挨拶にやって来る。

嫁入りの挨拶をしようとする娘を照れるように避ける父。

縄跳びさせて…1年で鈍るもんだとか笑って…
それがいつの間にかミット打ちになって…

脇がこんなに空いてた。ここ、牛が通りますよ。

はい。

猫ちゃんだ、猫ちゃんパンチだ~。
腰が、もう全然…走り込みが足りないからそうなる。
そんなソフトタッチじゃタンポポの種も飛びません。

はい。
はい… はい。
右足。もっと前、踏み込んで!
甘い、ブレてるブレてる、下半身!もっと腰ひねって。
左 しめて……。

やがて、

またボクサーとトレーナーに戻ってオリンピックを目指しましょう!

と言い出す父と。

バカか?
バカなのか?

と、叫ぶ娘。

俺はトレーナーとして…

もう トレーナーじゃない。もう選手じゃない。

俺はそっちの方がよかった。
トレーナーと選手のときの方がよかったです。
そう思いませんか?

父は、誠にそこまで才能がない事を解っていた。
けれども選手にしておきたかった。

ボクサーだった自分自身の夢を子どもに託したかったからとか、そういう有り触れた
話ではないんだよ、これは。

父と娘は同じ夢を追っている限りはずっと2人だけで一緒にいられたんだよ。

娘の食事の管理から体調の管理まで。
一番知っているのは母親よりも父親。

やがて父親は母親を完全に家から追い出すことにまで成功する。

そこには「オリンピックを目指す」という一見崇高な夢がある。

娘の食事さえ作らせてもらえなくなり、1人でクロスワードパズルするしかなくなった母は、
夫と娘を置いて家を出る。

けれども、2人は何も困る事も何も変わる事もなく生活を続けたのだった。

夢を見るのって…
刑務所に入るようなもんだったよ。

今になって誠はようやくそんな事を言う。

外の様子も世間で流行っていることも知らされない、父と2人だけの刑務所。

それでも、彼女自身もそこから抜け出すのは恐かっただろうし。
母を追い出してまで父を独占している自分、への優越感もたぶんあっただろう。

オリンピックへの夢が断たれ、刑務所から抜け出し、たぶん恋もして。
やっと前へ進み出した娘を過去へ引き戻す父。
だって、老いて行く父にとっては、その方が心地いいからだよ。

そして、娘の選択は……。

やっぱり、あなたはまともじゃありません!

あなたは、病名はないけど病気です!
私にも 移ってます。
このままじゃ嫁に行けません!

お父さん!パンタロン!ドラゴン青木!
リングに上がって!

嫁に行かせたくないなら、私に勝ってからにして!

この時のひかりちゃんの目が…

ファイティングな眼差しにして、慈悲深く、優しさに溢れつつも、鋭い…。

満島ひかりって、ホントにすげーーーーー…と、思った。

心から嬉しそうな父はすでに狂気。
役所さんは最近、クズが定位置になりつつある…けれども、哀れで愛おしいのよ。

明日が結婚式だっていうのに顔を殴りあう父子を呆れた顔して止めに来た常識人の夫には、
誠ちゃんは手に負えないと思う。

この娘は、ダンナも殴り合えるほどの男じゃないとダメだ。

「式場はキャンセルして、式はリングでやりましょう。」

そう言える男が…
いつか現れるといいよね。

この父と娘の選択が納得行かないという方は、きちんと子離れできているとてもまともな
大人の人なんだろうな、と思う。

この父親がキモいという人は、過去に戻りたいとかそういう感情に支配される事がないほど
今に満足しているんだろうな、と思う。

たぶん、この父子の気持ちが理解できないという視聴者が多い方が、日本は
満たされていて幸福なんだろうなと思う。

私は…戻りたいもん。
小さなあの子たちと、もう一度手を繋いで歩きたいんだよ。

だから、この人たちを羨ましいと思った。

2人がとり戻したかったのは「夢」よりも「一緒に夢を追っていた時間」。

まぁ…そういうテーマを、勢いとテンポで走りまくって上手く痛快に飛ばした
名作だったなぁと。


元ボクサーの父・草輔(役所広司)と娘の誠(満島ひかり)は、トレーナーと選手として
ボクシングの五輪出場を目指し、トレーニングを重ねてきた。
誠は彼氏が出来ても草輔に別れさせられ、生まれて初めて買ったブラジャーも川に
投げ捨てられた。
厳しい減量やロードワークをこなし、恋愛も青春も全て父との夢に捧げ、遂に五輪選考会に
挑戦するが…。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

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※キャスト

青木草輔…役所広司
青木誠…満島ひかり

高城亜利沙…山本美月
青木佐知子…浅田美代子
雄介…小関裕太
小口…蕨野友也
村越…井上肇
溝口…岩田丸
商店街のおばさん…藤本洋子
パチンコ屋の店員…鬼頭真也
三歳の誠…矢崎由紗

※スタッフ

脚本 … 坂元裕二
演出 … 鶴橋康夫
プロデューサー … 八木康夫
  
公式サイト(終了) http://www.tbs.co.jp/

 【 おやじの背中 】第1話 第2話