ただ、抽選見合い結婚法を立ち上げた馬鹿野郎政府にも僕は感謝しています。
なぜなら、この世の中に埋もれていた多くの悲しみを浮き彫りにしてくれたからです。
国はそのことに気付かせてくれた。
僕たちに人生について考える機会を与えてくれた。
そういう意味では馬鹿野郎政府も少しは役に立つってことです。
【結婚相手は抽選で】第8話 最終回
言葉を選び、一言ずつゆっくりきちんと演説した、龍っちゃん。
きちんと顔を上げて、人の顔を見て話ができるようになった。
きちんと主張できるようになった。
トラウマから逃げ出せた。
確かに、それはこの「法案」という切っ掛けのおかげ。
「この世の中に埋もれていた多くの悲しみを浮き彫りに してくれた」と龍っちゃんは言ったけれども、それは恐らく龍っちゃん自身のことだった。
多くの悲しみを見ていなかった。自分の悲しみでいっぱいいっぱいで、他を見ていなかった。
気づかせてくれたのはお見合いでの出会い。
そして、口にする勇気をくれたのは奈々さんとの出会い。
抽選見合い結婚法
そもそも「少子化対策」から始まったはずなのにアラだらけのこの法律。
バツイチで子どもがいる人は対象から外されているのに、子どもが出来ない女性は対象になっていたり。
バツイチは外されているのに婚外子がいる男が対象に入っていたり。
結婚を義務化しているのに同性パートナーシップ宣言は認められている世界らしいし……。
そして、施行から1年。
嵐望に婚外子がいることを知った好美は、嵐望を「断った」せいで罰則の対象になり、へき地の無医村に飛ばされていた。
しかも、妊娠しているし……。結婚していなくても妊娠したなら罰則の対象にしなくてもいいのでは(笑)
離婚夫婦
「全国でおよそ3千組の夫婦が誕生したもようです。
しかし、およそ1割、300組の夫婦がすでに離婚したとみられ、法の施行が成功か失敗かは微妙なラインと なっています。」
と伝えるニュース。
そりゃそうだよね。と思う。
だって、私だったら、「そんなに結婚したくなかったら偽装結婚をした後に離婚するわ」とずっと思っていた。
書類上だけの結婚。別に「子どもが出来ない罰則」が科せられるわけではないらしいし、偽装しておけばテロ撲滅プログラムへの派遣に行かずに済むもんね……。
結局、このドラマの中の人たちは不器用で生真面目な人たちである。
ASBE
抽選見合い法に反対する「ASBE」の活動はマスコミでも取り上げられて有名になってきていたが、ブログを書いてきた龍っちゃんは代表者にはならずにいた。
LGBTをカミングアウトしている広瀬は、龍っちゃんにも自分を曝け出してほしいと言うが、龍ちゃんは勇気を出せず。
久々に会った奈々さんに言われる。
何か中途半端。
活動家みたいな真似してるけど、偽善っぽい。
リーダーに なれないの、本気で納得。
活動家っていうのはもっと勇気のある人のことだよね。
あなた、ヒーロー気取りのえせヒーローじゃん。
いつまで怖がってんの?
奈々さん、相変わらず素直になれず、しかもキツい(笑)
しかし、龍っちゃんはこれに言い返すのだった。
おっしゃるとおり、僕はニセモノかもしれません。
でも、病気にまでなった僕の心の傷は奈々さんに分かるわけないですよ!
以前なら、顔も上げられず「そうですね……」ってヘラヘラするだけだった。
言いたい事、ちゃんと声に出るようになった。
龍彦の演説
「逃げないでほしい」
奈々さんに背中を押され、
「これは君の人生にとってのレジスタンスでも あるね。」
と、広瀬に言われ、やっと前を向く龍っちゃん。
ここに入る高橋優の「aquarium」。
ね、主題歌の入り方、いつも最高だったね。
鳥肌立つ。
抽選見合い結婚法を立ち上げた馬鹿野郎政府にも僕は感謝しています。
なぜなら、この世の中に埋もれていた多くの悲しみを浮き彫りに してくれたからです。
国はそのことに気付かせてくれた。
僕たちに人生について考える機会を与えてくれた。
そういう意味では馬鹿野郎政府も少しは役に立つってことです。
でも、もう終わりにしませんか?
僕たち馬鹿野郎もちゃんと学びました。
自分たちの 頭と心で考えるように なりました。
自分を しっかり さらけ出して人と向き合うことが大事なんだ。
それができたとき、僕たちの人生は前に進むんだと。
そのことを実感できたんです。
だからこんな荒療治、もう おしまいでいいんです。
最後に、もう一度言います。
結婚は人間の義務じゃない!
法は廃止された
まぁ、大臣的には、自分の娘も同性愛だからね……。
皆さまには結婚して子供を持ち、幸せな家庭を築いていただきたいという、その一心で作った 法律です。
実際に大勢の男女がこれに沿って結婚し、出生率も上昇しました。
大いに 成果はあったと考えています。
一方で この法律の おかげで私も多くのことを学びました。
中でもLGBTなどセクシャリティに関する理解は地球上の全ての人間の新たなる課題であると確信できました。
もしこの法律がなければ、この課題に気付くこともなく人ごととして感じていたでしょう。
そのことに 気付かせてくれた、勇気を持ってカミングアウトをしてくれた若者たちに心から感謝しています。
全部、それ、娘に対するメッセージに聞こえるのだった。
「娘を結婚させたくて、それは決して押し付けではなく、幸せな結婚と子育てを娘に体験させてあげたくて……でも、娘がレズビアンだと知って、今は、そういう生き方もあるのだと実感しています」
そういう風に聞こえる。
結局、何だか人騒がせな法律だったなぁ。
少子化対策は結局どうするんだろう
「結婚は無理矢理しなくてもいい。義務ではない。愛の多様性を認めよう。」
という結論は素晴らしいけれども、この政府はこれから少子化対策はどうするのだろう。
個人的には「結婚=子作り」ではないのだから、そこまで深刻ならば精子と卵子の提供を義務化して科学的に子作りして、同性同士だろうが異性同士だろうが、とにかく子どもがほしいカップルに縁組させる……それしかない気がする。
宗教的にも人道的にも問題点が多そうだけれども(笑)
そんな世界が来ないといいな。
大団円
好美と嵐望カップルは正直「止めといたほうが……」という気分になってしまった(「母性のある人ってなんだよ」と今もそこが引っかかってる(笑))けれども、お母ちゃんもやっと子離れしてくれたし、その点では良かったよね。
(でも、正直、これからだけどね……お母ちゃんの協力が欲しいの……)
奈々さんの方も、おばあさまが独立させてくれた。
でも、それは奈々さん自身が、この体験を経てしっかりしたからで。愛情はいっぱいある人だったよ。
「私が寂しいから時々顔を出しなさい。」そう言ってもらえて良かった。
龍っちゃんと奈々さんは2人で居酒屋で乾杯。
もう、人のグラスと自分のグラスをくっつけられない龍ちゃんは居ない。
結婚する ご予定があるんですか?
ないけど。 悪い?
「結婚は人間の義務なんかじゃない」なんでしょ?
でも、結婚する権利もありますよ。
笑いながらこういう話が出来る。
けれども、プロポーズはしない。
奈々さんの「個人的で感覚的な尺度」のお見合い相手希望条件は「言いたい事を言える人」。
そして、龍っちゃんもそうだった……。
今は友達でも、この先に何かが見える気がするラスト。
フンワリ光さす希望を感じる優しさ。
こういうドラマがとてもとても好きだ。
この人たちみんなに幸せになってほしい。
いいドラマだったな……。
気の強い役からクールなイケメンから、気弱な青年まで。周平くんの幅広さは本当に凄い。
高梨臨さんもワガママで高飛車で、でも可愛くて傷つきやすいお嬢様。綺麗な容姿と相まって最高に魅力的だった。
ストーリー展開の見事さ、劇伴、主題歌の入り方、役者さんの見せ方、全て、素晴らしかった。
法律施行から1年余り。龍彦(野村周平)たちの活動団体「ASBE」はマスコミからも注目され、若者を中心に人気が沸騰。ホールでの反対集会を計画していた。龍彦は裏方だが中心メンバーとして、目安箱に届いた被害者の言葉を集約し、小野寺大臣(若村麻由美)に提出していた。そんな龍彦にリーダー・広瀬(内田健司)が集会でのスピーチを薦めるが、自己表現をしてもらいたいという広瀬の言葉も空しく、苦しい表情で断る龍彦だった。
そんな折広瀬が番組に出演することを知った奈々(高梨臨)は久々にラジオ局へ赴き、付添で来ていた龍彦と再会する。
龍彦はお見合いでの様々な出会いによって自分も変わることが出来、この法律も悪いことばかりではなかったと告げた。潔癖症からも脱しつつあるという。しかし奈々は、龍彦が人間不信の根本とまだ向き合っていないことを察知。集会で自己主張しない龍彦を「いつまで逃げてるのよ!」と突き放した。
それは“変わりたい”と願う自分自身への思いを龍彦に託すかのようでもあったが、2人は決別してしまう。
一方、見合いを3回断った罰則で東京を離れ、山村の小さな診療所で働いている好美(佐津川愛美)は、好美への思いを断ち切れずにいる嵐望(大谷亮平)からのメールに、未だ返信出来ない。好美はある重大な決断をしていた。
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
※キャスト
宮坂龍彦…野村周平
冬村奈々…高梨臨
銀林嵐望…大谷亮平
鈴掛好美…佐津川愛美
小野寺ひかり…大西礼芳
北風佑輔…松本享恭
広瀬…内田健司
鯨井浩樹…加藤雅人
鈴掛あき恵…山口美也子
冬村紅子…富田恵子
冬村洋平…久ヶ沢徹
塚田 晃…生島勇輝
波多野マコ…山谷花純
田口光子…伊藤修子
永岡 創…松本大志
リサ…鈴木美羽
向井原…大河内浩
山下美佐子…横田美紀
不動怜子…富山えり子
花村早苗…平岩紙
春川 将…山中崇
山口一朗太…平山祐介
小野寺友紀子…若村麻由美
※スタッフ
脚本 … 関えり香、川嶋澄乃
演出 … 石川淳一、紙谷楓
プロデュース … 栗原美和子、河角直樹、山崎淳子
主題歌 … 高橋優「aquarium」
音楽 … ワンミュージック
原作 … 垣谷美雨「結婚相手は抽選で」
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