【ゴーイング マイ ホーム】第9話　感想

人間はいつか死ぬんだよ。
順番なんだ。

まあ…ちょっと早いか遅いかあるけれど。
だから、そんなに悲しいことじゃないんだよ。

…でも、早いとやっぱり、ちょっと悲しいかな。

 

ゴーイング マイ ホーム　第9話　

　　　　　　

今回は坪井一家、本気の味噌蔵見学から…。
ロケ地は長野県伊那市の「天竜みそ平島醸造所」らしい。
3人とも楽しそうだったね。

どうして、味噌選びに来ているのかというと、もちろんクーナ探しイベントの
昼食のためです。

 

クーナ探しイベントの前日、長いお散歩からクーナの置物を返しに行く萌江ちゃん。
その物音に治さんが気付く。

 

おじいちゃん、もうすぐ死んじゃうの？

萌江ちゃんの質問に驚く治さん。

えっ？誰がそんなこと言った？

おじいちゃん。

あっ…そう。…あいつが自分でそんなこと言ったの。

…人間は、いつか死ぬんだよ。
順番なんだ。

まあ…ちょっと早いか遅いかあるけれど。

だからそんなに悲しいことじゃないんだよ。

萌江ちゃんはうつむいて、何も返事をしない。
めぐみちゃんの事を思い出しているのかな。

 

…でも、早いとやっぱり、ちょっと悲しいかな。

うん。

 

良多は、自分が拾ったクーナの帽子と研究家が作って撒いた罠の帽子の
臭いが違う事に気づく。

違う。これとこれ。違う！

早速研究家・錦織さんの所に持っていくと、彼も臭いを嗅いで言う。

これ、僕が作ったやつじゃないですよ。

やっぱりそうですか。

たぬきか…。いたちか…。

やっぱり。

まっ、明日捕まえますよ。僕が。

どうやって？

えっ？ふふふっ。いや、それは言えませんよ。ははははっ！

 

何で隠すのかって…ああ、1億かかってるからね、一応。　
秘策なんだ。

帰りにクーナ事務局に何となく立ち寄って、菜穂の手伝いをする良多。

ふと棚を見ると、あのクーナ人形が帰ってきている。

あれ？
これ帰ってきたんですか。

そうなんです。私の留守に、こっそり。

へぇ～。

意味深に笑いながら、菜穂はクーナ人形の右手を示す。

この右手に何握ってたと思いますか？

えっ？

こないだ萌江ちゃんに聞かれて調べたんですけど、色んな説があって。
クーナが亡くなったときに手向けるっていわれているりんどうとか、
後、四つ葉のクローバーとか…。

もともと何も持ってなかったとか。

何も？

いや…。
目に見えないものを持っていたとか…。

驚いたように良多を見る菜穂。

 

いや、こないだ親父がね、「世界は目に見えるものだけで出来てるんじゃない」
なんて言ってたから。

その言葉…お母さんもよく言ってました。

だから見えることだけで考えるなって。

見えないものか…。
見えないものか…。

ちょっと、いいかもしれませんね。

ははっ…そうですね。

 

元々、何も持っていなかった…。
そういう発想はクーナに興味を持たなければ、バリバリ現実社会で生きている
良多には持てなかったかも知れない。

何も持っていなくても、「何か」を持っているクーナ。

しかし、良多は一応クーナに確認する。
もちろん、クーナ劇場で。　

 

あなたたちは、あの…右手に何持ってたんですか？

忘れた。

何か、ほら、目に見えないものを持っていたとか。
そういうことじゃないんですか？

例えば？

例えば…夢とか希望とか…。

ぷっ！ははっ…。

悪意とか失望とかな。
目に見えないものにはもっと怖いものもたくさんあると思うよ。

うん。…知ってますよ。

ちゃんと怖がらないとな。

うん…。

いいか？よく聞け。世界はな、目ん…。

目ん…目の中に入れても痛くないんだ。

はぁ～。

うん？違う違うばか！違う。
目の中に入れたりは痛い。

それは痛いからだめです。

えっと…目の中…何だっけ？

あの。世界は、目に見える…。

目に見える？

ものだけで…。

ものだけで？…

 

夢とか希望とか…。という発想の人間よりも、クーナの方がシビア。
確かに、目に見えない物は良い物ばかりじゃない。

 

翌朝も、にやにやしながらクーナの夢の話を妻子にする良多。

頭の後ろが思いきり寝グセですけど。　
こういう所が、遠慮のない家族の朝食っぽい。

 

で？どうなの？

いや何か…けっこう楽しい。
何かさ、あいつらバカなんだよな。
ぐうたらで全然やる気なくて、それがね、けっこう可愛くていいんだよ。

嬉しそうな萌江ちゃんと良多に沙江さんがツッコむ。

ねえ、大丈夫？2人共。えっ？

沙江さんも楽しそうだけどね。

 

いよいよクーナ探しイベント。

みんな集まって一応の開会式。

これだけな、あの人が作ったこの帽子とはさ、においが違うんだ。
かいでみろ。

臭っ。

臭いだろ？

トイレにでも落としたんですか？

違うよ。俺が思うになこっちは動物の毛だと思うんだよな。

真田くんは、ちょっと冷めた感じで良多を見る。

先輩…。

何？

まあいいや。
今日1日楽しみましょうね。

うん。

東京戻ったら、またくだらない仕事がたくさん待ってますから。

 

何だかね、真田くん。
責任者になってから、仕事がとっても辛いのかな、と思っちゃった。

このシーン、良多の方がずっと子供みたいだものね。
真田くん、ちょっと大人になっちゃったんだねぇ。

 

みんなが出かけてから、沙江さんとじゅんじゅんと菜穂さんは
料理に取り掛かる。

思うところって何だったんですか？

と、聞くじゅんじゅん。

あぁ～お味噌よ。お味噌。
受け継ぐ人いなくなっちゃったんだって。このお味噌。

沙江さんの味を私が受け継ぐとか。

はははっ！ううん。そうじゃないな。

お味噌はね。
その場所にあるいろんな菌を自然に取り込んで、それでオリジナルの味になるんだって。

へぇ。

私はさぁ、自分1人で料理作ってるような気になってたけど、きっとお母さんとか、
じゅんじゅんとか、萌江とかから、もう～色んなもの貰ってるんだろうな～って。

じゃあ、私は菌ですか？

そうなのよ～！
いい味にしてちょうだい。

ふふっ。

菌も見えないもの…。
大事なんだものね。受け継いでいくのに必要な菌。

自分1人で頑張って生きてきたように感じていた沙江さん。
「おふくろの味がない」と言っていたものね。

でも、自分の料理にはたくさんの人の思いが影響している事に気付いた。
「おふくろの味」もそこにある。

「見えない物」に気付ける事は幸せな事だね。
クーナに会えるのと同じくらいに。

見回り行ってくるよ。

と言って森に入っていく良多を見送って言う。

この人「何菌」だろ。

ふふ…すっごく良い菌だと思うわ。

 

クーナ探しは人それぞれ。

良多も前日にザルと棒でクラッシックな罠を作っていたけれども、
錦織さんはクーナが掛かったら死んじゃいそうな協力な罠を持ってきた。

えっ。生け捕りじゃないともらえないの？1億。

あんた研究家でしょ。　
食べるとか殺すとか、物騒すぎ。

お巡りさんの梶さんは、キノコのふりをして捕まえると、キノコ帽子を作ってきた。
酒の匂いに寄って来るからと、早くも酔っぱらってる畠山さん。

一生懸命探索する人、ボーっと座って待っている人、自由行動は個性が出る。

 

そんな中、治さんは座りこんでカップ焼きそばを作っていた。

それ、あれですか？
その湯切りの穴からクーナが入って、その焼きそばたくさん食べて
出られなくなるっていうやつ？

おぉ。これ俺が自分で食べるんだよ。ふふっ。大好物だから。

この後、おいしいご飯待ってんのに。

あぁ～そうなんだけど、あの、昔クーナに会ったときに、あの～、俺たち
3人で焼きそば食べたのよ。
だからまあ…何ちゅうか、ジンクスというか。

えっ？

ははっ。

あれ。会ったんですか？

えっ？

クーナ。

しまった……！という顔でうろたえる治さん。

あぁ…いや…。いや…クーナっちゅうか…まあ…クーナ風？っちゅうかな。
何ちゅう…へへっ。

……だから…子供の頃、あんたのお父さんとそれと俺の死んだ女房と、あの…
3人で、その、クーナを捕りにいこうっていうんで、あの罠を仕掛けに山に入ったのよ。

えっ。どんな？

ねずみ捕りみたいな…ちゅうか、中に石炭くずいっぱい敷いて。

その時、栄輔は石炭くずの中に落ちてしまって足に大きな傷ができたのだと言う。
その栄輔を治さんは負ぶって帰ったらしい。

親父の傷は知っていても、その経緯も、3人がクーナに会った事も
全く知らなかった良多。

良多は、自分のザル罠のエサに石炭を置いてみるのだった。

 

クーナはちっとも見つからない物の、昼はみんなで沙江さんのお料理を楽しむ。

メニューは菜穂も言っていた地元の味噌お握りとキノコ汁のすいとん。
美味しそう。

お昼を食べながら菜穂はクーナの話をする。

花の種を手向けてたんですって。
死んだクーナの胸の上にこうやって。

種？

はい。りんどうの。これくらいのとうもろこしみたいな形した。
だから、母と山を歩くときは、りんどうの花を見つけると「クーナのお墓だから
踏んだり摘んだりしちゃだめよ」って。

こびとの葬式ねぇ。

 

午後も誰もクーナを探す事は出来ず。
子どもたちはスポンサーからのお菓子を貰って、クーナ探しの会は終了する。

見つかりませんでしたねぇ。

と、菜穂に言う真田くん。

う～ん…でも、それで良かったのかもしれませんね。
ずっと探せるから。

ですよね。

はい。

この時の真田くん、可愛かった。
そう、見つからないっていうことは希望が続くって事でもあるもんね。

真田くんは、それを口実にまた菜穂に会えるし。

 

帰りの見回りをする良多は、その時、不思議な音を聞く。

チルチルチルチル……

良多の仕掛けたクラッシックな罠がガサゴソ動いている！

恐る恐るザルを持ち上げようとする良多に菜穂が

逃がしてあげてください！

と言う。

ガサガサ…

　ガサガサ ガサ…

うん？あぁ…。

そっと持ち上げると、「何か」が手に触れて…

ザルの下には何も居なくなっていた。

 

茫然と見つめるみんな…。

 

良多と菜穂たちは、そのまま道に迷い、定かではない方角に歩いていると、
治さんが急にちょっとした細い道に気付いて登りはじめる。

登り切って辿り着いたのは、りんどうの大群が咲きほこる野原だった。

 

ここが…かつて、自分たちが3人でクーナと出会った場所。
治さんが何度1人で来ても、辿り着けなかった場所。

 

ここだ…。

ここで俺たちは昔…。

 

昔来た時は、たぶん、りんどうはこんなにたくさん咲いてはいなかった。

随分死んだんだなぁ。

すまない。

 

涙が溢れる。

町のためにダムを作らなければならないと思っていた。
ダム建設の推進派に自分はいた。

理想だけじゃ町は潰れてしまうと思っていたのに、結果、自然は壊され、
町も衰退し、そしてクーナも居なくなってしまった。

それは、決して治さんのせいじゃないんだけど…。

いたたまれない思い。

辛いね。

 

さあ。帰ろう。

ここは長いこと人間が居ていい場所じゃない。

 

クーナは確かにいた。

居なくさせたのは人間であり、それを推進したのは自分自身だという
治さんの苦しさが伝わった。

西田さんの演技が、とにかく素晴らしい……。

 

久実さんも栄輔も反対していたのに。
クーナの森を壊すこと。

 

こうやって考えると、人間とクーナの共存はとても難しいのかな。

ラストまで来て、サダヲクーナの言葉がちょっと突き刺さる。

「悪意とか失望とかな。
　目に見えないものにはもっと怖いものもたくさんあると思うよ。」

 

でも、人間には自然も必要なんだよ。

クーナは良多の罠にかかってくれた。
クーナはクーナのお墓を治さんに見せてくれた。

それは、クーナが許してくれたって事じゃないかと…
思いたいのは傲慢なのかしら。

 

是枝監督の「奇跡」と同じ世界がここにある気がする。

「奇跡」は形になって見えなくても、そこにあるものなんだよね。

 

栄輔が亡くなる。

来週は最終回。
さびしいなぁ…。・泣

 

※今週のレシピは、もちろんきのこ汁と焼きおにぎり。素朴さの魅力
公式HP「今週のお料理レシピ」のページ
　　
　　　

【関連記事】
【奇跡】家族よりも大切なもの「但馬のかみ」「音楽」「そら豆」「世界」by 映画@見取り八段
【かもめ食堂】幻のコーヒーとシナモンロールとおにぎりと　by 映画@見取り八段
(↑フードスタイリスト・飯島奈美さん関連映画)

 

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クーナ探しイベントの前日。
良多(阿部寛)は、沙江(山口智子)と一緒に参加者にふるまうおにぎり用のミソを調達した後、
本番に備えてクーナを捕まえるワナを作っていた。
すると、以前、クーナの目撃取材の時にもらった小さな赤い帽子から、ケモノくさい臭いが
することに気付く。
自分が森で見つけた赤い帽子にはそんな臭いはなく、不思議に思いクーナ研究家のもとへ
帽子を持っていくと、研究家は「これは私がまいた帽子じゃない」と断言。
もしかしたら本物のクーナの帽子ではないか、と期待が膨らむ良多。

興奮冷めやらぬままクーナ事務局に立ち寄ると、ずっと行方不明だったクーナの人形が
事務局に戻ってきていた。
「クーナの右手は何を握っていたと思いますか?」と聞く菜穂(宮崎あおい)。
以前、萌江(蒔田彩珠)から質問されたが、いろんな説があるのだという。
遺体に手向けるリンドウか、幸せの四つ葉のクローバーか…。
良多は栄輔(夏八木勲)の言葉を思い出し、「目に見えないものを握ってたってことないですか」
と話して菜穂を驚かせる。

いよいよイベント当日。
良多、沙江、菜穂、治(西田敏行)、萌江…、皆さまざまな思いを胸に、クーナがすむといわれる
森へ出発する。

そしてついに、良多が仕掛けたワナに驚くべき事件が起こり…?

(上記あらすじはYahoo!TVより引用)

よろしければ→【2012年10月秋期ドラマ一覧】ラインナップとキャスト表

 

　　
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【キャスト】

坪井良多 – 阿部寛
坪井沙江 – 山口智子
下島菜穂 – 宮﨑あおい

伊藤多希子 – YOU
伊藤健次 – 安田顕
真田隼 – 新井浩文
徳永太郎 – 阿部サダヲ
辻時子 – りりィ
小林悟 – バカリズム
坪井萌江 – 蒔田彩珠
じゅんじゅん – 菅野莉央

坪井敏子 – 吉行和子
坪井栄輔 – 夏八木勲
鳥居治 – 西田敏行

小林悟の娘 – 川口春奈
瀬戸社長 – 笹野高史

脚本・監督 – 是枝裕和
プロデューサー – 豊福陽子、熊谷喜一

 

 
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