【小暮写眞館】NHKBSプレミアムドラマ 第2話 感想

翔君はさ、その映画を見て何を思ったんだと思う？

翔君がどう思ったかは分かんないけどさ、主人公は悪くないんだろ？
ただ独裁者の言いなりに生きてる。
だとすると、リ・ウォンがホントに探さなきゃいけないのは、カモメじゃなくて違う生き方。
そういう事だろ？この映画が言いたいのはさ。

 

小暮写眞館　第2話「飛べないカモメ」

 

　　

ピカとお母さんが2人で留守番している家に強盗が入ったという知らせを受けて、
飛んで家に帰る英一。

父・秀夫と家の前で鉢合わせ、慌てて中に入ると2人は無事…どころかニコニコしてる。

お父さん。僕たち怖い思いなんて1ミリもしてないよ。

そうよ。全然平気。私たち寝てたからね。

 

刑事さんの話によると、強盗は仏壇の引き出しに金が入っていると思って近づいた。

幽霊が出たんだよ。ホントだって！
体が全く動かなくなって…何か、もう、骨のしんから震えるくらい寒いんだよ。
何なんだよ？あの家は！

そう証言していると言う。

顔を見合わせて笑う花菱家の4人。

まあ、本人の錯覚か薬物の影響じゃないかとは思うんですがねぇ。はははは！
あの～…こういった現象にお心当たりは？

あります！
それ、小暮泰治郎さんです！

ワケが解らないといった顔の刑事さん。

そりゃ泥棒だって恐いよね。
そして、刑事さんも信じられないよね。
しかし、これで花菱家に小暮さんがいる事が確実になった。

須藤社長から小暮さんの娘・石川信子さんの住所を聞いた英一はピカを連れて会いに行く。

私ね、うれしくてしょうがないの。
須藤社長から聞いた時はびっくりしちゃったけどでも、皆さんご無事でホッとして。
そしたら、だんだん愉快になってきて楽しくなっちゃって。
だって、父が泥棒を撃退しちゃった訳でしょ？

石川さんはニコニコしてそう言ってくれた。
強盗撃退のお礼にとピカが描いた小暮さんの似顔絵も笑顔で受け取ってくれた。

そして、小暮さんの話を聞かせてくれた。

小暮さんは尋常小学校を卒業してすぐに写真館に住み込みで就職したらしい。
その時の名前は「濱田寫眞舘」。
親方の名前は浜田辰吾朗さん。「浜辰さん」だった。

16歳の時に小暮さんは浜辰さんの命令で写真技師として上海へ渡った。
そのおかげで兵隊にとられてる事は無かったが、現地で交通事故に遭い、大けがをしてしまった。

小暮さんが帰って来た時、浜辰さんは謝ったのだと言う。

ヤス、つらい思いさせちまったな。すまなかった。
俺はただ、おめえを…。

おやじさん。
分かってます。
何でおやじさんが僕を写真技師として上海にやってくれたのか。

本当にありがとうございました。
僕は、おやじさんのおかげで救われたんです。

 

小暮さんは、子どもが居なかった浜辰さんの後を継いだ。
「小暮写真館」には、小暮さんの人生が詰まっている。

 

今度お墓参りに行く時父に、あなたたちの事ちゃんと報告してくるわね。

でも、とっくに知ってるわね。
まだいるんだからね。写真館に。

石川さんは、そう言うと声を詰まらせた。

あの店を残してもらえて、ホントに感謝してるの。
小暮写真館は父そのものだったから。

何でもない写真館だったけど、お宮参りだ入学式だ七五三だ成人式だってね、町の人は
みんなうちに写真を撮りに来てくれてた。

無愛想な人だったけどね、子どもには優しかったから光君の事怖がらせたり
しないと思うのよ。

父は花菱さんたちが来てくれて、にぎやかになったって喜んでると思うの。
だから…もうしばらく小暮写真館にいさせてやって下さい。
お願いします。

 

英一とピカは笑顔で石川さんと別れた。

英一には、どうしても解らない事がある。

浜辰さんが上海に行かせたおかげで小暮さんは兵隊にとられずに済んだ。
しかし、結局、上海で大けがをして片足が不自由になってしまった。

なのに、なぜ小暮さんは浜辰さんに感謝したのだろう。

戦闘になれば命が危ないのは兵隊だけじゃないし、もちろん非戦闘員だって
死ぬかもしんないし…。

すると、順子は軽蔑したように「ばっかみたい！」と言った。

兵隊と非戦闘員じゃ決定的に違うじゃん！
非戦闘員なら誰も殺さなくて済む。

殺される恐怖は同じでも殺さなきゃいけないって恐怖はない。
日本中が「戦え、殺せ」一色だった時に、浜辰っていう人は
「弟子の心を守る方法」を考えたんじゃん。

 

ぐっと声を詰まらせて父の小暮写真館への想いを語る娘を演じた萬田さんが良かった。
貰い泣きしてしまった。

父が愛した写真館を残してくれた新しい入居者である花菱一家は、父の想いと同居している。
幽霊を気持ち悪いとか恐いとか言わずに大切にしてくれている。

小暮さんは気難しい顔をしているように見えたけど、良いお父さんだったんでしょうね。
萬田さんが「娘の顔」をしていました。

「殺される」ことを恐れたのではなく「殺す」ことを恐れる人々。
そういった事で実際に心を壊した人たちがたくさんいる。

小暮さんは素晴らしいオヤジさんと出会ったんだね。

 

…で、それを踏まえての、先週から続くカモメの心霊写真。

私にはカモメに見えず…黄色いウサギがはねているように見える。
　　

これを作ったのはピカちゃんのクラスメイトで、登校拒否中の翔くんだった。

「三つ葉会」というフリースクールに通っていると聞いて、そこまで会いに行く英一。
しかし、翔くんは多くを語ってくれなかった。

先生に聞くと、翔くんの成績はトップクラス。学校では友達は多く、教師にも問題はない。
では、一体何が翔くんを登校拒否にしているのか。

英一は、この風変わりなカモメが、ある映画のキャラクターである事を突き止める。

その映画「カモメの名前」は、「映画天国」という自主映画専門の映画館でしか見られないという。

で、監督から「18歳未満お断り」と言われて、付き添いを順子に頼む英一。

英一の方がお兄さんっぽく喋るけど、順子は年上なんだよね。

 

「カモメの名前」は、なるほど…前衛的なクレイアニメだった。

 

長旅から国に戻ってきた大天聖は、出迎えに来たカモメたちの中で、黄色いカモメの
名前を思い出す事が出来ない。
そして、そのままカモメは去って行ってしまうのだった。
召使であるリ・ウォンは、大天聖から凶兆かも知れないからカモメを捕まえるように言いつけられる。

しかし、カモメは捕まらず、そのまま国へ戻ったリ・ウォンは国家反逆罪として強制収容所送りに
されてしまうのだった。

そして、収容所で作業させられていたリ・ウォンの前にカモメが姿を現す。
「ああっ！　あのカモメだ！あのカモメの名前さえ分かれば…。あのカモメの名前さえ分かれば！」
「カモメよ～！」
空に向かって叫び倒れるリ・ウォン・・・。

 

何の事はない。リ・ウォンは大天聖に振り回されっぱなしの人生を送った。
ただそれだけの映画だった。

英一にはワケが解らなかった。

翔君のやる事はいつも意味があるから…。
だから、カモメの写真も何らかの意思表明なんじゃないかな？

三つ葉会でボランティアをしている、友達の宮ちゃんはそう言っていた。

この映画に何の意味があるのか。

 

そんなの決まってるじゃん。

と、あっさり言う順子。

親。

でも、お母さんと会ったけどちゃんとしてたよ。

家族なんて外から見ただけじゃ分からない。

翔君がどう思ったかは分かんないけどさ、主人公は悪くないんだろ？
ただ独裁者の言いなりに生きてる。

と、テンコちゃん。

うん。

リ・ウォンがホントに探さなきゃいけないのはカモメじゃなくて違う生き方。

そういう事だろ？
この映画が言いたいのはさ。

バッカみたい。
単純な話じゃん。

いるんだよ。その子のそばに。
独裁者とリ・ウォンが。

 

翔くんの家に行ってみた英一は、玄関先で翔くんのお母さんがお父さんに怒鳴られて
いるのを見た。
何度も謝るお母さん。
家の外でそれに黙って耐えている翔くん。

独裁者とリ・ウォン。

 

翔君ママはね、玉の輿結婚なのよ。
ご主人も親兄弟親戚、み～んな東大出のエリート。

と、京子は言う。

だからって自分の事、駄目な母親だなんて言わなくてもいいじゃん。

そうは言うけどね。
自分に負い目がある時に相手が正しい事言ってると、もう自分が駄目としか
思えなくなっちゃうのよね…。

風子が亡くなった時、親戚は京子を責めた。
京子は何もかも自分が悪いとしか思えなくなっていた。

それは、花菱家のトラウマ。

 

翌日、翔くんと話す英一。

 

もしかして大天聖がお父さんで、リ・ウォンがお母さんだって、翔君はそう思ったの？
学校へ行かないのはお父さんに対しての抗議？

お父さんは間違ってる。

お母さんに気付いてほしいんだよね？別の生き方に。
直接言わないのは、お母さんを傷つけたくないから？
翔君は、ず～っと1人で悩んで、ず～っと1人で闘ってきたんだよね。

うちの母親がね、こう言ってた。

「でもね。母親ってね…」
「子どものためだったら、どんな事でもできるって思ってるもんなのよ。」

お母さんにぶつかってみたら？
直接。

廊下では翔くんのお母さんが話を聞いていた。
そして、英一に静かに頭を下げるのだった。

 

人が傷つく事を見ることで傷つく人がいる。
人を傷つける事で傷つく人がいる。

翔くんは、浜辰さんのような人が欲しかった。
心が殺されないように気遣ってくれる人。

黄色いカモメの名は、たぶん「自由」。

人の自由な心を捉えて殺そうとする人間が一番罪深い。

 

※『小暮写眞館』の再放送は来週日曜 午後4時30分～5時20分から。
同じくNHKBSプレミアムで。見逃した方はぜひ！

 

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花菱英一(神木隆之介)が家に強盗が入ったという知らせを受けて飛んで帰ると、犯人
(梶原善)は家で老人の幽霊に襲われ、捕まえられたという。
幽霊は写眞館の主だった亡き小暮泰治郎(品川徹)だと思い、弟ピカ(加部亜門)とともに、
泰治郎の娘(萬田久子)の家へ。
そこで戦時中に生きた泰治郎の波乱の青春時代を聞く。
そんな折、心霊写真探偵とあだ名がついた英一のもとに、今度は奇妙なカモメが写った
写真が舞い込む。

(あらすじは「Yahoo！TV」より引用)

よろしければ→【2013年4月期・春クールドラマ何見ます？】ラインナップ一覧とキャスト表

　　
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【キャスト】

花菱英一 … 神木隆之介
柿元順子 … 成海璃子

花菱京子 … 松下由樹
花菱秀夫 … 石黒賢
花菱光 … 加部亜門

店子力 … 堀井新太
高田文司 … 市川知宏
田中博史 … 加藤諒

須藤 … 笹野高史

小暮泰治郎 … 品川徹

 

第1話ゲスト

田中美里
りりィ
梅沢昌代
根岸季衣
梶原善
山中崇

第2話ゲスト

萬田久子
有森也実
梶原善
塚本晋也

 

【スタッフ】

プロデュース … 藤村恵子
演出 … 熊坂 出、守屋健太郎
脚本 … 国井 桂

原作 … 宮部みゆき

※公式サイトがどうもないみたいです。NHKさん…ホームページ作って～。[emoji:i-229]
一応詳細ページ→ 宮部みゆき×神木隆之介　プレミアムドラマ『小暮写眞館』制作開始！

 
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