【幽かな彼女(かすかなかのじょ)】第11話 最終回　統括感想

相手に求める前に自分が動けってことです。
自分のことを理解してほしいって甘える前に、相手のことを理解する強さを
持つってことです。

今日学校出る前に言っただろ？
皆さんはもう大丈夫です。

クラスメートと心を1つにしてこんなとんでもないことしでかすぐらいちゃんと理解し合える
強さ持ってんですから。

幽か(かすか)な彼女　第11話(最終回)

 

　　　　　　

ははっ！
ちょっと…告白されちゃった！
ちょっと、もう～。ヤバぁい～ヤバいってこれ、もう…。

あっドキドキしてな～い。
告白された！死んでるのに。

 

有頂天になるアカネと、ちょっと引く暁…。

さっきはああ言ったけど、別に今までどおりでいいから…。

えぇ～でも何か変化が欲しいじゃないですか。
じゃないと告白されたかいがありませんし。

かいって…お前、今更。

新しい服が欲しいと言い出すアカネ。

どんな…。

ははっ。
ウエディングド レ…。

高い。

 

もうすっかり小原南中に別れを告げたつもりで、アカネとそんなイチャイチャをしている中、
3年2組の生徒たちは、着々と「ある準備」をしていた。

 

夕食時になると、なぜかテンションが落ちてくるアカネ。

 

何だよ。どうしたんだよ。

やっぱり良くない気がします。

良くないって何が？

だって私死んでるんですよ。
神山先生の気持ちはすごく嬉しいし、さっきはいっぱいはしゃいでましたけど、でも、
やっぱりそれじゃダメな気がしてきて。

 

俺、お前が幽霊でも別にいいと思ってる。

だって何もできません。
一緒にいるのに料理したり洗濯したり掃除したり、そういうこと何にも。

別にそんなの女がやることって決まってるわけじゃないだろ。
そんなに俺家事とか嫌いじゃないし。

触れることもできないんですよ。
どんなに触れたくても…。　

 

早くも倦怠期のようになっているところに、林から着信が入る。

 

教室に立て籠もり！？
えっ！？

 

3年2組の生徒たちは全員で教室への立てこもりを決行した。

廊下でオロオロする林宛てに生徒が送ったメールには、河合が人質になった画像付き。

ますます動揺する林…。

生徒が帰ってこないので問い合わせた末、学校に押しかけるＰＴＡ。
騒ぎを聞いて駆け付けた教育委員会の轟木。

 

教育委員会にも連絡が入りました。立て籠もりとは…。
結局、神山先生絡みでとんでもないことになりましたね。

副担任の河合先生が人質に取られているそうですが？

 

その河合は、生徒たちと教室の中でお菓子を食べていた。

だって。み～んなだけで立て籠もりなんかして、何か間違いがあったら困るでしょ？

立て籠もり自体、ほんとは大間違いなんだけど。

と、相田。

 

生徒たちには次々と親から電話が入っていた。

もう…親からの電話なんか無視しとけよ。

と、根津。

そういうの子供っぽい。

はっ？

どうせ解ってくれないとか面倒くさいとか言って無視するから、子供のやることだって
軽く見られるの。

そうそう。
自分たちで真剣に考えてやったことだって言い聞かせてやんないとね。

 

生徒たちの要求はただ1つ。

神山先生を学校に戻し、担任を続けさせること。

 

知らせを受けて、暁は学校に走った。

暁が生徒たちに近づく事を阻止しようとする教育委員会を抑え込む職員たち。

 

保護者からは、こちらへの説明が先だろうとクレームが来た。

生徒を監視する事で安心しようとする保護者や教育委員会に、教師たちは、生徒が
自分の頭で考えて行動したこの結果が決して間違えではない事を訴える。

 

霧澤は言うのだった。

子供のことを100％理解できる大人なんて存在しません。
私たちだって子供の頃は同じだったはずです。
でも、皆さんのそばに心を開くことができる大人や尊敬できる大人はいませんでしたか？

責任や義務なんて関係なく、ただ真摯に向き合おうとしてくれた大人が。

私にはいました。
こんな大人になりたいと思える人が。

私たちは、大人としてそういう姿を子供たちに見せるべきなんです。

学校と保護者の間で責任の所在を求め合うのはもう止めにしませんか？
いや、それでも誰かに責任を負わせたいとおっしゃるのなら、岩名先生ではなく
私が全てを負います。

でも、だからこそ、私はこれから先生徒のことを放り出すことはしません。
教育者としてとことん生徒と向き合っていく覚悟があることを約束します。

 

暁をバリケードの中に入れた生徒たちは、いきなり怒られることになる。

 

勘弁してくださいよ。ほんとに。

第一声がそれ？
もっと感動してくれると思ったのに。

しません。こんな無茶苦茶なことして。

生徒たち、みんな先生のためにって…。

人質の割にくつろぎ過ぎです。

河合にあきれる暁。

 

保護者の方も先生方もみんな心配してます。
後で叱られることは覚悟しておいてください。

そんな突き放した言い方しなくても…。
俺らに言うことそれしかねぇのかよ。
そうだよ。先生に戻ってほしいから俺たちは必死に…。

 

生徒たちを見回して、怒鳴る暁。

甘ったれんな！

理由があれば間違ったことしてもいいなんて理屈あるわけないだろ！
それが誰かのためなんだって言えば、自分たちの行動が何でも正当化できるなんて思うなって。

理不尽なことなんてこれからの人生山ほどあんだよ！
お前ら、その度にこんなことすんのか？

 

迷惑なのかと聞かれて迷惑だと答える暁。

そうやって突き放す事でバリケードを解こうとしている事は、すぐに見破られる。

 

皆さんみたいな生徒には、僕も初めて会いました。

踏み込んだって拒絶されたらそれで終わりなんです。
今までは、もしかしたら僕よりも先に踏み込もうとした大人たちのことを、皆さんの方が
拒絶してたのかもしれないでしょ？

違う。
相手が私たちのこと子供だからって馬鹿にして…。

「鶏が先か卵が先かなんて考えるだけ無駄なんです。」
「そんなの親子丼にして食べちゃえば一緒なんですから。」

親子丼？

暁の傍らで微笑むアカネ。

 

相手に求める前に自分が動けってことです。
自分のことを理解してほしいって甘える前に、相手のことを理解する強さを持つってことです。

今日、学校出る前に言っただろ？
皆さんはもう大丈夫です。
クラスメートと心を1つにして、こんなとんでもない事しでかすぐらい、ちゃんと
理解し合える強さ持ってんですから。

じゃあ、もう一度ちゃんとお別れを言います。
皆さんはもう、今日で僕のクラスを卒業したんですから。

 

生徒たちは文化祭の合唱曲を歌って卒業式にしたいと歌い出す。

教室から流れてくる曲が、娘がよく聞いている曲だと思いだす京塚の母。

ＳМＡＰの『Ｄａｗｎ』。

「～♪もし君が 欲望に荒れ狂う濁流に飲み込まれても
　　　ひとつだけ 真実は ひとつだけ　♪～」

 

合唱が終わって生徒たちと別れを惜しむ間もなく…

バリケードは轟木によって無理やり破壊され始めた。

それを止めようとした京塚りさの頭に什器が落ちてくるのを暁は盾になって止めた。

 

暁は気づくとアパートに居た。

神山先生！

不安そうに顔を覗きこむアカネ。

俺どうしちゃったの？

どうしちゃったのじゃありませんよ！気をしっかり持ってください！

何で？

何でって決まってるじゃないですか！

 

暁の実体は病院に運ばれて意識不明の重体になっているようだ。

俺、死んだの？

驚く暁。

 

まだ死んでません。
体はまだ生きてるんですけど、魂がこう飛び出ちゃっただけですから。

幽体離脱ってやつ？

それですそれ。
すぐ体に戻ればきっと目は覚めるはずです。
行きましょう。

あの…。
ちょっと冷静になろう。

 

暁には、戻る気が全くなかった。

考えてみればちょうどいい気がした。何の未練もない。

 

いや、だって、あれだろ？人間いつかは死ぬわけだしさ。
ぶっちゃけ、今すげぇいい流れじゃなかった？

あんなふうに生徒たちと合唱してありがとうございましたって。
京塚さん！って生徒のことを守ることもできたし。

何言ってるんですか。
先生がこのまま死んだら、りさちゃんも他の生徒たちも一生責任を感じながら
生きていくことになるんですよ！

それはそうかも知れないけど、それを乗り越えていくのが大人の階段を上ることっていうか…。

都合がいい上に訳のわからないこと言わないでください。
正気ですか？神山先生！

正気だよ。正気！
大体さ、これから先、生きていくつったってまだまだしんどいことがあるかも知れないんだぞ。
だったら最高の気分の中で人生の幕を下ろしたっていいだろ。

先生！

そうすればずっとお前と一緒にいられんだろ。

触れられるし。
さっき話してたことだってクリアできたじゃん。

 

自分も幽霊になった事で、アカネに触れる事ができるようになった！
都合よく死ねることに喜びを感じているらしい暁……。

 

アカネは、そんな暁を殴る。
触れることができるようになったので、殴る事もできるのだった。

 

何だよ！？

フライングチョップです。

技の名前じゃなくて。何すんだよ！

私は気軽に死ぬなんて言う人と一緒にいたくありません！
20年以上の幽霊生活ナメないでください！

私がどんな思いで今までここでやってきたと思ってるんですか！

 

20年、ずっと1人だった。
つい脅かしてしまうから住人は次々と変わっていった。
寂しかった。

そんな時に、暁がやっとこの部屋に来た。

私は神山先生に出会えて嬉しかった。
先生のおかげで、私は色んなものを取り戻せた。

そりゃ、こっちだって…。

正確には取り戻せたのは神山先生だけです。

えぇ？

私は本当は取り戻せないんです。
死んでるんですから取り戻す資格なんてない。

人は死んだら終わりなんです。
生きてる人の思い出にはなれたとしても、死んだ本人が新しい何かを積み重ねて
いけるわけじゃありません。

あのお城だってそうです。

暁が作りかけで未完成にしている城の模型。

生きてなきゃ、完成させることだってできないんですよ。
人との関わりもそうです。

生きてるってことは可能性なんですよ。神山先生。

先生が生きてることで先生自身も先生に関わる生徒たちも、それ以外のたくさんの人たちにも
何かを与えられて与えられることができるんですから。

俺は…。

人はいつか必ず死ぬんです。
だから、お願いだからそれまで精いっぱい生きてください。

私は、それまで「向こう」で待ってますから。

 

「向こう」の意味を測りかねる暁。

アカネは、自分と暁の間に繋がっている白い糸を見せた。

先生、言ってましたよね。
どうして記憶を取り戻したのに私が成仏しないのか。

アカネは自分に繋がっている糸を掴んで引きちぎって見せた。

暁の未練。

そして、アカネ自身の未練でもある。

ありがとうございます。
私のこと、こんなに真剣に思ってくれて。

 

アカネは暁に抱きついた。

ずっと触れ合う事が出来なかった2人の初めての抱擁。

本当は私もずっと先生のそばにいたい。

でも、先生は生きてるから。
これからも生きていかなきゃいけないから。

神山先生。

私は、生きてるあなたが大好きです。

あなたに出会えて良かった。

 

暁は病室で目覚めた。

生徒たちが、先生たちが。
生きている世界が自分を待っている。

 

　　※※※※※

 

うん。
このドラマらしい、いい最終回だった！！

ベタだよな…と思うし、やはりバリケードを築いてしまった時点で金八っぽさは
免れなかったし、生徒を助けて自分が犠牲になって…とか、何十年前のドラマ…
とも思うし…。

 

けれども、そこにアカネの存在が差し挟まれるから描き方が既存のドラマと変わってくる。

 

意識不明になって倒れてからの神山先生の気持ちが、ものすごくよく解る。

これは、すなわち自殺願望のようなもので…。

だって、死ぬ事の何が恐いって、苦しかったり痛かったりがどれだけなんだろうと。
今現在、苦しみも無くそのまま死ねて、しかも現実世界は何となく綺麗にまとまったし、
…しかも恋人は幽霊だ。

これは、このまま死にたいでしょう。

 

それを元の世界に戻すアカネの説教。

生きている神山先生が好きです。

死んでしまったら、何も積み重ねられない。
幽霊になって何もできず、ただこの先漂い続けるという自分と同じ姿には
好きな人にはなってほしくない…。
アカネのこの想いに泣ける。

 

結果、成仏できずにまた会えて良かったけどね。

ずっと一緒にいてくれ。

もう一度言えてよかった。

 

それが幸せなのかどうかは解らないし、生きている神山先生はこの先変わる事もあるだろう。
それでも、今は一緒に居たいんだよね。

幸せな気持ちになれるラストだった。

 

教育委員会の轟木は、神山先生に大けがを負わせ、中にいる生徒もどうなっていたか
解らないような失態を犯したのだから、それこそクビじゃね？

と、思うわけだけど、それもこのドラマらしく何だか普通にラストも偉そうだった。
誰も傷つかず責任も取らされず…まぁいいのかなぁと思った。

 

合唱曲に関しては……

特に出演俳優に思い入れがない身としては、出演俳優さんの所属グループの曲は
避けていただきたかったです。
そこは、本当に心からそう思う。
(合唱には合っているように思えなかったし)

そういうのが目的じゃなく、ストーリーを楽しんでいる視聴者が多い良いドラマだったと
思うのですよ。
こういう選曲はその思いに水を差すよね。

そこ以外は、本当に気持ちよく見れた最終回。

 

全体に、コメディテイストに包まれながらも、リアルに子供の心を描き出し、決して甘い解決は
せず、出来る範囲で精一杯生徒の心に踏み込もうとする教師の言葉が心に沁みるドラマだった。

学園ものなのに先生が丸っきり熱血じゃなくて。
賢すぎもせず、でも馬鹿でもヒーローでも中二病でもなく…
とても真面目に考えてくれるから等身大の人間として共感できたのだと思う。

 

以前も書いたけれども、香取くんの演技はいつもと変わらないけれど、このドラマには合っていた。
甘い優しい語りで、正しい事をきちんと言う大人。

神山先生に拍手。

そして、生徒のために生前も死後も駆け巡る茜先生の大きな心に拍手。

この先も、きっと幸せに、と願う…。

 

で、成仏しなかったところで…SPも出来るしね。

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

「ずっとそばにいてほしい」と暁(香取慎吾)に告白され、有頂天のアカネ(杏)。
だが、急に顔を曇らせると、幽霊のアカネが生きている暁と一緒に暮らしてはいけないと言い出し…。 　

そんな中、暁を仰天させる知らせが入る。
3年2組の生徒全員が千穂(前田敦子)を人質に取り、教室に立てこもったというのだ。
その頃、小原南中では、我が子を心配して押しかけた保護者たちへの対応に和泉(真矢みき)ら
教職員が追われていた。
騒ぎを知った教育委員会の轟木(加藤虎ノ介)も現れ、校内は騒然となる。 　

教室の外から必死の説得を試みる岩名(高嶋政宏)。
まもなく、中にいる亮介(森本慎太郎)が電話で岩名に要求を伝えてきた。
「俺らの要求は一つだよ。神山を学校に戻して、担任を続けてもらいたい」。
続けて電話に出たりさ(山本舞香)も、父親の京塚(飯田基祐)に暁の転任を白紙にするよう
伝えてほしいと懇願。

暁を慕う生徒たちの真剣な訴えに、岩名は言葉をなくし…。 　

まもなく、暁が学校に駆けつけ、「生徒たちと直接、話します」と教室に向かおうとするが、
これを轟木が阻止。
暁が復職のために生徒たちを扇動しているのではないかとあらぬ疑いをかけ、
暁を追い払おうとする。

(あらすじは「Yahoo！TV」より引用)

よろしければ→【2013年7月期・夏クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

　　
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【キャスト】

神山 暁 … 香取慎吾
アカネ … 杏
河合千穂 … 前田敦子
林 邦彦 … 北山宏光
大原操緒 … 濱田マリ
岩名清二 … 高嶋政宏
霧澤和泉 … 真矢みき
窪内 満 … 林泰文
日野 衛 … 春海四方

吉岡さん … 佐藤二朗

※3年2組 生徒役

森野小夜 … 森迫永依
重田 誠 … 田口司
中島智也 … 市川理矩
東川 奈々子 … 浅川梨奈
老谷美香 … 中村ゆかり
向井樹里 … 近藤玲奈
遠藤秀人 … 岡田隆之介
小久保 健太 … 澤畠流星
矢沢 舞 … 飯豊まりえ
葉山 風 … 柴田杏花
野本香織 … 荒川ちか
下川千夏 … 関紫優
倉田円花 … 平祐奈
大宮斗真 … 藤原薫
石田 航 … 松井健太
岡本香奈 … 未来穂香
佐藤優香 … 森川真衣
柚木明日香 … 広瀬すず
手嶋健太郎 … 岩橋玄樹
森岡大樹 … 渡辺貫裕
高橋 蓮 … 井上翔
藤江俊介 … 萩原利久
根津亮介 … 森本慎太郎
藤田ともみ … 上白石萌歌
水沢 真由美 … 加藤里保菜
皆川隆雄 … 岡山智樹
京塚りさ … 山本舞香
相田拓途 … 神宮寺勇太
西原 翼 … 佐奈宏紀
田嶋 萌 … 田辺桃子

 

【スタッフ】

プロデュース … 木村淳
演出 … 白木啓一郎、田中耕司、星野和成
脚本 … 古谷和尚

主題歌 … SMAP「Joy!!」

 

公式サイト http://www.ktv.jp/kasuka/index.html

 

 
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