土佐に帰った武市は、平井収二郎を救うために奔走した。
何度も容堂に頭を下げに行ったが、そこで待っていたのは
再び登用された後藤象二郎だった。
収二郎は、後藤によって日々拷問を受けていた。
拷問の内容は、吉田東洋を暗殺したのは誰か。
恐れながら申し上げます。
吉田さまは時勢を見る目がおありになりませんでした。
だから、殺されても仕方なかった、と武市は言う。
平井の前に己のことを心配しいや。武市。
後藤は不敵に笑った。
武市は、平井の家に加尾を訪ねた。
大殿さまは勘違いをされてるだけじゃき。
わしらは何も悪いことはしとらん。
と言う武市に、加尾は、でも以蔵を使って京で
人斬りをさせていただろうと尋ねる。
それは攘夷と言う時勢の波に乗れず邪魔しようとしたからだと言う武市。
幕府の重役じゃろうが土佐の重役じゃろうが
天誅が下っただけじゃき。
収二郎は何も悪いことはしていない。
だから心配は要らない、と言って武市は
加尾の元を去った。
物ごとは、こっちから見るのとそっちから見るのとで違う。
と、勝は言う。
何とかして平井さんを助ける手はないだろうがか。
武市は、ただ容堂の事を心から思って、彼なりの攘夷を
実行していっただけと言う龍馬に勝は言うのだった。
それはまた、そっちから見るのとこっちから見るのとの違いだ。
勝塾を運営する資金が無くなりそうだから越前の松平春嶽に
千両借りてきてほしい、と勝から言われた龍馬は福井城に向かう。
千両もの金は出せないと言う春嶽に龍馬は言う。
金には生き金と死に金があります。
わしら勝塾はその金を必ず生き金にして見せます。
生き金とは、何倍にも何十倍にもして帰ってくる金です。
春嶽さまに、あっぱれと喜んでいただける
生き金にして見せますきに!
春嶽の元には、熊本藩士の横井小楠と言う男がいた。
横井は、収二郎の投獄に納得が行かないと言う龍馬に言う。
物事には違う見方があると解っていて
平井収二郎の投獄が納得できんとは
おかしな話じゃ。
今まで値打ちのあったもんが、古びて用無しになっただけの事。
世の中の流れから見れば、1人の人間など
けし粒ほどのもんでしかなか。
平井収二郎も武市半平太も世の流れから
置いて行かれた。
容堂は、東洋暗殺の首謀者について白状しない平井を
ついに切腹させる事に決めた。
わしが勤王党を作らなかったら、おまんを誘わなかったら
こんな事にはならなかったがじゃ。
収二郎の前で嘆く武市に収二郎は笑って言った。
勤王党に入れたおかげで攘夷の旗頭になれたがです。
まるで、夢のようじゃった。
切腹は武士の誉れです。
収二郎の切腹を、龍馬は大阪で加尾の手紙から知った。
間違ごうた事をしていないのならば
兄はどうして切腹させられたのですろ。
教えて欲しい龍馬さん。教えて。
物の見方は、見る方向によって違う。
物の価値はその時々で変わるもの。
材木が必要だと思えた時にたくさん仕入れた弥太郎は、
今や価値がなくなった商品の処分に手を焼いている。
未来の日本を作るための海軍に投資を願う龍馬は成功した。
そして、攘夷の波が引いた日本で、勤王党は必要のない物になっていく。
時勢の変化の中で必要になる者と必要ではなくなる者。
必要ではなくなる者は、けし粒ほどの価値しかないと言うが、
彼らは物ではなくて人間である。
実際、今の社会でも、政界の中で、会社の中で、
もっと小さな組織の中ででも必要とされなくなる存在は
たくさんいるだろう。
しかし、現代では必要とされなくなったからと言っても、
人は命までは奪われない。
人の命の価値が、今よりもずっと軽かった時代。
平井収二郎の命は、時代の犠牲になった。
収二郎の命が無くなることを武市は嘆くけれども、
時代の中で要らない存在だからとそれらを消していったのは
武市自身も同じであり、まさに今、彼はしっぺ返しを
食らっている事になる。
武市は、それに気付いているのか・・・
時代の波に乗っている龍馬とその周辺の人々。
時代から弾き出されようとしている勤王党の人々。
その明暗がくっきり分かれていく。
キャスト
坂本龍馬:福山雅治(少年時代:濱田龍臣)
岩崎弥太郎:香川照之(少年時代:渡邉甚平)
武市半平太:大森南朋(少年時代:桑代貴明)
坂本乙女:寺島しのぶ(少女時代:土屋太鳳)
坂本八平:児玉清
坂本権平:杉本哲太
坂本伊與:松原智恵子
坂本千野:島崎和歌子
坂本幸:草刈民代(登勢・二役)
坂本千鶴:大鳥れい
坂本春猪:前田敦子(少女時代:松元環季)
平井収二郎:宮迫博之(少年時代:ささの貴斗)
平井加尾:広末涼子(少女時代:八木優希)
岡田以蔵:佐藤健(少年時代:黒羽洸成)
望月亀弥太:音尾琢真(少年時代:谷山毅)
望月清平:本田大輔(少年時代:松田佳祐)
溝渕広之丞:ピエール瀧
岩崎弥次郎:蟹江敬三/岩崎美和:倍賞美津子
岩崎喜勢:マイコ/岩崎さき:野口真緒
岩崎弥之助:須田直樹/武市冨:奥貫薫
千葉佐那:貫地谷しほり/千葉重太郎:渡辺いっけい
千葉定吉:里見浩太朗
沢村惣之丞:要潤/近藤長次郎:大泉洋
陸奥陽之助:平岡祐太/池内蔵太:桐谷健太
高松太郎:川岡大次郎
中岡慎太郎:上川隆也
高杉晋作:伊勢谷友介
吉田松陰:生瀬勝久
桂小五郎:谷原章介
三吉慎蔵:筧利夫/久坂玄瑞:やべきょうすけ
伊藤俊輔:尾上寛之/井上聞多:加藤虎ノ介
大久保利通:及川光博
三条実美:池内万作
楢崎龍:真木よう子
後藤象二郎:青木崇高
山内豊範:染井将太
柴田備後:北見敏之/河田小龍:リリー・フランキー
三条実美:池内万作/坂崎紫瀾:浜田学
島村衛吉:山雄介/河原塚茂太郎:原田裕章
井伊直弼:松井範雄/金子重之輔:尾関伸嗣
那須信吾:天野義久/岡本寧浦:ベンガル
智:菅井きん
お元:蒼井優
ぎん:林侑香/さと:三宅ひとみ
志乃:及川奈央/なつ:臼田あさ美
徳川慶喜:田中哲司
朝比奈昌広:石橋凌
ジョン万次郎:トータス松本
永井玄蕃頭:石橋蓮司
小栗忠順:斎藤洋介
岩堀文治郎:松尾貴史
上野彦馬:テリー伊藤
トーマス・ブレーク・グラバー:ティム・ウェラード
今井信郎:市川亀治郎
近藤勇:原田泰造/土方歳三:松田悟志
沖田総司:栩原楽人/松平容保:長谷川朝晴
松平春嶽:夏八木勲
勝海舟:武田鉄矢
阿部正弘:升毅
西郷隆盛:高橋克実
小曽根乾堂:本田博太郎
大浦慶:余貴美子
吉田東洋:田中泯
山内容堂:近藤正臣
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コメント
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>私は子供の頃「殺される側の論理」という本を読みました。
>違う見方があるというのは、子供の頃から知っています。
子供の頃にそんな難しい本を読むなんて凄いですね~^^
私は小説ばかり読んでいましたわ~。
>龍馬だって分かりそうなものなのに、なぜ、理不尽だと言い続けるのか、その方がわからなかったです。
うん。。。でも、やはり理不尽だと思いますね。
だって、別に東洋を殺したのは収二郎ではないし。
朝廷に取り入ったのは容堂の差し金だし。
収二郎は騙されたわけです。
>勤皇党といい、次回出てくる新撰組といい、殺人集団は苦手です(^^;)
殺人集団。。。^^;
そう言ってしまうと見も蓋もありませんね~。。。
これもやはり見方の違いでしょうか。
彼らの志は国を救うためにあった事で、それが必要なことだと
思いこんでいたわけですね。。。
現代人の人殺しとは、ちょっと違います。
殺人集団と言えば、土佐の上士は下士を虫けらのように
殺したりしていたわけで、たぶん下士にとって上士はまさしく
殺人集団だった事でしょう。
ネタバレになっちゃいますが、武市の死後、攘夷派は
再び盛り上がってきて土佐は後々苦しい位置に立たされ、
容堂は武市を殺してしまった事を悔います。
私利私欲で動いているのは容堂の方だと言えるんですね。
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>重たく酷い展開のためか坂本家に弥太郎にと笑いがありましたが、
>それでも何だかやりきれなくて。
そうですよね。。。どんよりしてしまいます。。。
龍馬サイドと武市サイドの温度差が激しすぎました。
>勤王党はあまりにも人の命を奪いすぎたけれど、
>それを正義と信じていたわけで。
そうなんですよね。別に私利私欲のために立ち上がった人たちではないわけです。
そこが理不尽だと思います。あまりにも切ないですね。
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>“理不尽な死”がそこにありました。
「東洋殺し」では殺せないから「藩に隠れて取り入った」罪で
裁く。。。どっちにしろ殺すつもりだったんでしょ。。。
「家へ帰れるのですか」と武市に聞く収二郎が可哀想すぎて。。。
>時代の波に乗れる者と乗れない者・・・
>この境目はやはり時勢を見る目だと思いますね。
>武市にはそれが無かったのでしょう。
自分の考えが藩の考えだと思ってしまった所が大きく間違っていました。
まさに、見る方向で物事が変わる事が解っていなかった
と言うことでしょうね。
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私は子供の頃「殺される側の論理」という本を読みました。
違う見方があるというのは、子供の頃から知っています。
>収二郎の命が無くなることを武市は嘆くけれども、
時代の中で要らない存在だからとそれらを消していったのは
武市自身も同じであり、まさに今、彼はしっぺ返しを
食らっている事になる。
本当にその通りです。
龍馬だって分かりそうなものなのに、なぜ、理不尽だと言い続けるのか、その方がわからなかったです。
勤皇党といい、次回出てくる新撰組といい、殺人集団は苦手です(^^;)
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重たく酷い展開のためか坂本家に弥太郎にと笑いがありましたが、
それでも何だかやりきれなくて。
時の流れは人ひとりではどうしようもない部分もあるけれど、
勤王党はあまりにも人の命を奪いすぎたけれど、
それを正義と信じていたわけで。
加尾の手紙が切なかったです。
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収二郎の切腹・・・
やはり辛い展開になりましたね。
龍馬に宛てた加尾の手紙も非常に切なく・・・(汗)
“理不尽な死”がそこにありました。
>その明暗がくっきり分かれていく。
時代の波に乗れる者と乗れない者・・・
この境目はやはり時勢を見る目だと思いますね。
武市にはそれが無かったのでしょう。
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>…それが人や立場の違いで異なるのは当然だけど、今回のように命を失うところまでいく例は、史実とはいえ本当に見ていて悲しいです。
そうですよね。現代だったら権力から追い落とされたと言っても
命を奪われるまでの事はありませんもの。
時代。。。なんですよね。
>文字どおりの「勝てば官軍」という巨大な実例が、音をたてて迫っている時代のこと。これからも多くの命が散っていくでしょうが、その人々の思いを少しでも心にとめ、自分なりに考えていきたいです。
そうですね。
この時代の上に立っている今の平和な社会なんだと言う事を
考えていきたいですよね。
>今回は、お久しぶりの弥太郎とならんで、権平兄上に救われる展開でした。
権平兄上、頑張りましたね~^^
ホント、坂本家の人たちには癒されますわ♪
優しい家族は健在です。
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>活躍する芸能人とか国会議員とかを見てると
>横井の言葉に納得出来るとこもあったりして。
横井の言葉は冷たいようですが真実なんですよね。
でも、それが命に関わる事となると。。。
現代人の目から見たこの時代の裁きのやりようは、
酷いとしか思えない部分が多いですよね。
>そして明治になってから武市は
>龍馬と共に正四位が与えられた
結局は、この後、攘夷派が盛り返すんですもんね。
土佐は勤王党がいれば、と後悔も大きかったはず。
亡くなってから与えられた正四位なんか虚しい物だろうと
思ってしまいますが、子孫の方にとっては救われたって事なんでしょうか。
本当にやりきれない話です。
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>人の命の重さは時代がどうあれ同じだと思いたいけれど、
>実際には、今とは比べ物にならないほど簡単に、命を失った時代だったでしょうね。
何せ刃物を腰に差した人たちが普通に歩いていた時代ですもん。。。
今だったら銃刀法違反で速攻逮捕ですよね^^;
人を斬る事が許されていた時代。
弁護士なんかいなくても死刑に出来ちゃった時代の事です。。。
収二郎も武市も無念だった事でしょう。
>同じものを別の角度から見たら違う姿をしている。
>それに武市が気づく日が来るでしょうか・・・
最期までには気付いてほしいです。
確かに武市がやったことは間違いではなかった。
でも、間違っていた。
そういう事に気付いて貰いたいですね。
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…それが人や立場の違いで異なるのは当然だけど、今回のように命を失うところまでいく例は、史実とはいえ本当に見ていて悲しいです。
文字どおりの「勝てば官軍」という巨大な実例が、音をたてて迫っている時代のこと。これからも多くの命が散っていくでしょうが、その人々の思いを少しでも心にとめ、自分なりに考えていきたいです。
今回は、お久しぶりの弥太郎とならんで、権平兄上に救われる展開でした。
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モノの価値もモノの見方も
時代の流れと共に見る方向で変わるという言葉は
納得がいくものの
それは人も同じというトコロに
納得出来る部分もあり
また抗いたくなる部分でもあり
活躍する芸能人とか国会議員とかを見てると
横井の言葉に納得出来るとこもあったりして。
そして明治になってから武市は
龍馬と共に正四位が与えられた
そういうところはたしかに
モノの価値とかモノの見方が
変わったってことでもあるんでしょうけど
それだけに何かやり切れないものがあります。
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人の命の重さは時代がどうあれ同じだと思いたいけれど、
実際には、今とは比べ物にならないほど簡単に、命を失った時代だったでしょうね。
何も、切腹や暗殺というだけでなく、ちょっとした病気や怪我が元で、
今なら救える命がたくさん散ったことでしょう。
同じものを別の角度から見たら違う姿をしている。
それに武市が気づく日が来るでしょうか・・・