NHK朝ドラ【ちりとてちん】(2013年・再放送) 第53回 感想

喜代美(貫地谷しほり)が最初に教わる落語のネタは、「ちりとてちん」に決まった。
しかしただでさえ不器用な喜代美にとって、ひとりで二役を演じ分け、いくつもの動作を
行いながらせりふをしゃべり続けることは、無理難題に等しかった…。
家事とけいこに追われて、またも落ち込む喜代美のもとに、突然小浜から小梅(江波杏子)が
やってくる。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

連続テレビ小説「ちりとてちん」第53話「ここはどこ?私はだめ?」
     

      ちりとてちん感想

 

※「ちりとてちん」は、2007年10月期のNHK連続テレビ小説です。
当方は当時の放送をオンタイムで見ているので感想は恐らく回顧目線になりがちです。
ご了承のうえ、ご覧くださいませ。

※レビューでは先のネタバレは控えるよう努力します。
※レビューの更新はイレギュラーで…。週まとめは必ず書くようにいたします。

※再放送時間は月~土・午前7時15分からNHKBSプレミアムにて。

 

今日のところ、本当に記憶にない…。
そっか、小梅さんはスペインに行ったんだっけ。

放送当時に勤めていた会社ではシフトは金曜出勤。
弁当も作っていたし、あの頃は本当に朝ドラってあまりジックリ見れなかったんだよな~。
本当に再放送はありがたい……とか、当時の事も思い出したりしてます。 

 

師匠から与えられた初稽古ネタ「ちりとてちん」。

 

「今日はな わしの誕生日でな」

目線が近い!

え?

落語の世界は目線で決まる。もっと顔上げな。
ノミと話してんのと違うのやから。

 

思い切り首を上にあげて~…

「だん…」

上げすぎや!
最初から。

えっと…………。←忘れとる。 

 

「旦さんお邪魔をいたしますです」

「旦さん お邪魔をいたしますです」

上手見な!上手!

ああっ!

あ~!あの~…録音したらあきませんか?

あかん。耳で覚え。

 

喜代美の目の前でガンガン注意入れる草原にいさん。

下手に正座してじいっっっと見つめる草々にいさんと小草若にいさん。

師匠はというと…。

ずっと離れて寝そべって飲んでます。
酌をするのは四草にいさん。

 

草若師匠に酒のあてにされながら必死で稽古いたしましたが…
結局、その日は喜ぃさんがお酒を呼ばれるとこまで進まへんまま終わりました。

 

しかし、あのガッチガッチに睨まれている感じはどやろ…。 
車の教習だって隣に座っている教官がおっかないと何故か失敗ばかりしてしまい、
楽しい人だと上手く乗れちゃったりするじゃないですか~……。

とか言っちゃう私は甘いんでしょうな。 いや、甘いです。

 

稽古の合間ももちろん掃除、洗濯、炊事…と家事は変わらずやり続け、家事の合間に
お稽古を見ていただき、やっては失敗し、喋っては怒られ、上手と下手を間違えては……。

とにかく。
不器用な喜代美には一度に出来ない事だらけで落ち込むばかりなのでした。

廊下に雑巾がけしながら、一つ大きなため息をつく……。

 

その時。

何です?大きなため息ついて。

 

そこにいたのは懐かしい小梅おばあちゃん。

おばあちゃん…!
おばあちゃん!

思わず抱きついて泣く喜代美。

 

何ですのや、この子は。お行儀の悪い。

と笑いながら、よしよしと頭を撫でてくれる。

 

はぁ…ここだけで泣けてきましたわ。

朝ドラにおける「おばあちゃん」って、本当~にありがたい、大きな存在ですよね。・泣

 

師匠に向かって丁寧にあいさつするおばあちゃん。

 

申し訳ございません。
内弟子修業中はむやみに訪ねてくるもんやないとは重々承知しておりますのや。

…けど。
ちょっと、事情がございまして。

事情?

 

以前来た時と違って、師匠の顔付きは、ちょっと厳しめに見えます。
もう内弟子の家族ですからね。
しかも、修行中。

その辺はやはり、けじめというものでしょう。

 

ははははっ。

どねしたん?おばあちゃん。

喜代美。
おばあちゃんな、しばらく喜代美に会えんようになるんや。

え?

スペインに住む事にしましたんや。

は?

え?ス…スペイン?

ほうや。

スペインて…あのヨーロッパのスペイン?

ほかにどんなスペインがありますのや。

いや…何か…福井県スペイン市とか…。

ないわな!

 

なんでも~昔一緒にお座敷やっていた芸者仲間の小つるちゃんという芸者のお仲間が
娘さん夫婦とスペインに住んでおられるそうで。

そこで三味線のお師匠さんを手伝ってほしいと頼まれたのだとか。

 

まあ、そういう事ならよう分かりました。
ゆっくりしていかはったらよろしい。

師匠の許可が下りました。

たぶん…相変わらず面白い家族やと思ってるんじゃないかと。 

 

ありがとうございます。

丁寧にお礼を言うおばあちゃん。

 

さあ、喜代美。

おばあちゃんに喜代美の落語聴かせてくれますこ?

 

小梅さん…。
喜代美の落語、まだお聞かせできる状態じゃありませんで…。

 

「ほんまかいな。わしら食べた事ないんで分からんけど『ちりとてちん』て一体どんな味や」
「へえ、ちょうど豆腐の腐ったような味でんねん」

 

一応、一通りやって…礼をして顔を上げる喜代美をシラーーーっと見るおばあちゃん。

おしまいこ?

うん。

ふ~ん…それが『ちりとてちん』いう噺…。

 

ここで、頑張ったね。とか、面白かったよ。とか…

そういう誤魔化しの慰めを言ってしまわない所が、この家族の好きな所。
孫としていくら可愛くても、ちゃんと客観的に評価する。
これって、当たり前じゃん…とか思うかもしれないけれども、きっとなかなか難しいですわ。

 

おばあちゃん。

うん?

私、落語家に向いとらんのやろか。

家事と稽古。口と手。
一度に2つの事が出来る器用さがない。
つい、愚痴ってしまう喜代美です。

 

ほうかもしれませんなあ。
向いとらんのかもしれん。

ほやけんど、ほうやとしたらどねしますのや。
他に向いてるもん探しますんのんか?

ふふふ…喜代美。
おばあちゃんは、喜代美を見とってスペイン行きを決めたんやで。

え?

おばあちゃんも残りの人生、ぎょうさん笑て生きていきとうなってな。

外国語の勉強なんかしたない。けど、しゃあないわな。
好きな事をやり通そう思たら、えらい事も苦手な事も乗り越えんならん。

ほやけんど、それがぎょうさん笑て生きていくいう事やておばあちゃんら思う。

 

そこへ駆け込んでくる草原にいさん。

小梅師匠!

草原ちゃんやないな。

スペインに行きはるて聞いて…。

 

草原にいさんから三味線を借りて、一節歌うおばあちゃん。

~♪~チ リ ト テ チ ン~♪~

 

じっと見つめる喜代美。

あの文化祭の時…喜代美は三味線できなくて投げ出した。

 

思たら昔もあんたは「チリトテチン」でつまずいて、三味線諦めとりましたなあ。

どねですのや?
今度の「ちりとてちん」。

最後までやり遂げる自信はありますのんか?

 

泣き笑いしながら、喜代美は頷くのでした。

 

その晩は「寝床」でぎょうさん歌って踊って笑って…。

小梅おばあちゃんは、翌朝、師匠に丁寧にあいさつして帰って行きます。

 

いや~。
久しぶりにほんまもんの芸者さんの芸、見せてもらいました。
ありがとうございました。

笑いながらそう言う師匠。

自分が若い頃に着ていたという着物を喜代美が高座に上がる時にと師匠に託すおばあちゃん。

 

喜代美の事をよろしくお願いいたします。

ふふっと笑う師匠。

 

けど、ほんまに不器用なお孫さんでんな。

そやけど、一つだけ感心してる事がありますのや。

 

小梅おばあちゃんの顔を見ながら微笑む。

 

お孫さんの箸持つ手。
ほんまに綺麗や。

落語家にとって、ものすごい大事な事なんです。

よう、しつけはりました。

 

この時、小梅さんの顔が、何よりも嬉しそうに誇らしそうに輝くのでした。

 

こんな所で泣きたくなる私はおかしいのかも知れませんが…。

「ちりとてちん」のこういう所が私はまた大好きなんですわ。

落語は伝統芸であり、「箸つかい」もまた日本人独特の文化です。
文化も歴史も伝えられていくから劣化しないもの。

きちんとこの美しさを伝えること。

この姿勢が私を魅了するのです。

「ちりとてちん」は礼儀正しいドラマです。
もちろん、友達同士の会話、家族間の会話などくだけて面白い。

けれども、目上の者に対する礼はきちっとしている。

「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」「こんにちは」「ありがとう」

ドラマの要所要所にきちっとした挨拶と美しい所作が入ります。

前作の朝ドラは大好きでしたが、目上でもタメ語。それがオラだ…。
の主人公は結構キツいところがあったのです。 
(ツッコんでましたよね、私 )
前々作に至っては挨拶なんて…聞いたかな。
現は食後の挨拶しか興味ないらしいし…。[emoji:i-201]

 

お堅い話なのかも知れませんが、礼儀がきちんとしている事は、日本人として
とてもホッとする所なのです。

 

今回は、スペインに行くことを聞きつけて和田家にやって来る秀臣さんがツボでした。 

小梅さんも、迷惑そうな顔して追い出したそうにしているけれども、秀臣さんが本当に
「女将さん」を心配している事は伝わっている…。

秀臣さんにとっては、小梅さんはお母ちゃんなんですよね。

スペイン行きを止めようと必死な表情が可笑しくて可愛くて…でした。

 

よろしければ→【2013年10月期・秋クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

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※キャスト

和田喜代美/徒然亭若狭 … 貫地谷しほり(少女時代:桑島真里乃)

徒然亭草若(三代目) … 渡瀬恒彦
徒然亭草々 … 青木崇高(少年時代:森田直幸)
徒然亭草原 … 桂吉弥
徒然亭小草若 … 茂山宗彦(少年時代:榎田貴斗・森川翔太)
徒然亭四草 … 加藤虎ノ介
木曽山勇助/徒然亭小草々 … 辻本祐樹
吉田志保 … 藤吉久美子

和田糸子 … 和久井映見
和田正典 … 松重豊
和田小梅 … 江波杏子
和田小次郎 … 京本政樹
和田正平 … 橋本淳(少年時代:星野亜門)

和田正太郎 … 米倉斉加年

和田清海 … 佐藤めぐみ(少女時代:佐藤初)
和田友春 … 友井雄亮(少年時代:小阪風真)
和田秀臣 … 川平慈英
和田静 … 生稲晃子
野口順子 … 宮嶋麻衣(少女時代:伊藤千由李)
野口幸助 … 久ヶ沢徹
野口松江 … 松永玲子
野口春平 … 斉藤勇人/新岡澪
野口順平 … 斉藤隼人/新岡塁

熊五郎 … 木村祐一
咲 … 田実陽子
磯七 … 松尾貴史
菊江 … キムラ緑子
徳さん … 鍋島浩
お花 … 新海なつ
緒方奈津子 … 原沙知絵
原田緑 … 押元奈緒子

鞍馬太郎 … 竜雷太
万葉亭柳眉 … 桂よね吉
土佐屋尊建 … 波岡一喜
万葉亭柳宝 … 林家染丸
土佐屋尊徳 … 芝本正
柳宝の弟子 … 林家染左、林家染吉
烏山 … チョップリン西野
原田颯太 … 中村大輝(少年時代:河合紫雲)

音大の教授 … キダ・タロー
あわれの田中 … 徳井優
横山たかし・ひろし … 本人
五木ひろし … 本人
ニュースキャスター … 浅越ゴエ

竹谷修 … 渡辺正行
堀田由美子 … 和田はるか
高島恵 … 中井飛香
北川沙織 … 村上佳子

 

語り – 上沼恵美子

 

※スタッフ

脚本 … 藤本有紀
演出 … 伊勢田雅也、勝田夏子、井上剛、菓子浩、三鬼一希、吉田努、櫻井壮一
制作統括 … 遠藤理史
音楽 … 佐橋俊彦

テーマ曲・ピアノ演奏 … 松下奈緒

 

 

 【ちりとてちん】第1週~第3週、
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コメント

  1. くう より:

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    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    >小梅ばあちゃん、私は好きなのですが、やはり、一本筋が通っていて、芸を身につけた人ならではのお言葉も深く、素敵です。

    そうですよね。
    ただの孫馬鹿で訪ねて来たわけではなく、長く会えないからと、ちゃんと師匠に礼を通す。
    ちゃんとした社会人で秩序という物を解っている人ですよね~^^

    >そして、草若師匠も、弟子入りしてからの回の一回一回がいちいち素敵で、私も弟子入りした気分です。

    そうなんですよ。
    思いやり深いですわ。
    弟子だから突き放す所は突き放すけれどもちゃんと理解して見ているのがよく解ります。

    >喜代美のあの爆発した回は、見ていてつらかったです。
    喜代美の10年以上続いている苦しみはようわかる。
    でも別にA子が悪いわけではない。
    それだけに胸が痛いです。
    (ってこの後にブラックA子が出てきたら怖いですが)

    エーコには何ら悪気がないんですよね^^;
    いっそ、すごく嫌な奴だったらこっちも見ていて楽なのに…。
    喜代美もそれは解っているんですよね。
    でも、どうしようもないというのも解るのです。
    人間、描けてますな~。

  2. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    >ちりとてちんの大好きなところは、たった15分、されど15分。それでしっかりストーリーが展開されること。

    そうですよね。ボンヤリした15分じゃないんですよね~。
    必ず15分の中に見どころがある…15分ってこんなに充実した時間なんだよな~
    と思えるドラマです^^

    >小梅さん(粋なおばあちゃんです)を演じる江波杏子さんの素晴らしいこと!!
    スペインというのも、洒落た演出だったとどこかで聞いたことがあります(*´∇`*)

    スペインで三味線…とか、あまり考えつきませんよね(*´艸`*)
    70過ぎても楽しことを見つけようという姿勢がまた好き。
    孫に触発されて、なんて素敵なお祖母ちゃんですわ。

    >箸の使い方は私もずーっと変わった持ち方をしていたけど、恥ずかしくなり、直したこともあって。
    きれいに持てるのはいいなと思って見てます。

    私も自信ないんですよ^^;
    でも、綺麗に持ちたいですよね。
    お箸の国の人だもの~^^

  3. たこ より:

    SECRET: 0
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    素敵でした。
    小梅ばあちゃん、私は好きなのですが、やはり、一本筋が通っていて、芸を身につけた人ならではのお言葉も深く、素敵です。
    そして、草若師匠も、弟子入りしてからの回の一回一回がいちいち素敵で、私も弟子入りした気分です。

    喜代美のあの爆発した回は、見ていてつらかったです。
    喜代美の10年以上続いている苦しみはようわかる。
    でも別にA子が悪いわけではない。
    それだけに胸が痛いです。
    (ってこの後にブラックA子が出てきたら怖いですが)

  4. まる より:

    SECRET: 0
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    私も泣きました(泣)
    ちりとてちんの大好きなところは、たった15分、されど15分。それでしっかりストーリーが展開されること。
    小梅さん(粋なおばあちゃんです)を演じる江波杏子さんの素晴らしいこと!!
    スペインというのも、洒落た演出だったとどこかで聞いたことがあります(*´∇`*)

    箸の使い方を取り上げるのもいいですね~…。
    箸の使い方は私もずーっと変わった持ち方をしていたけど、恥ずかしくなり、直したこともあって。
    きれいに持てるのはいいなと思って見てます。

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