戦争は、本当にひどいものでした。
目の前でたくさんの人間が死にました。
「たくさん」という言葉では言い表せないほどたくさんです。
何もできないまま。
ただ死んでいきました。
それが今更…。
娘の2人や3人を救うためにこんなに必死になるなんて。妙な話ですね。
本当は…本当は救う気なんかなかったのかもしれません。
僕はただ、訳が欲しかったんです。
今日を生きる訳が。
スーパープレミアム「獄門島」
個人的な話ですが、私の生涯でミステリー、サスペンス、Jホラー愛の基礎を作り上げる起因となったのが一連の横溝正史作品だと思っている。(江戸川乱歩や夢野久作もそうだけれども)
他の横溝関連記事でも同じような事を書いているかもしれないけれども(きっと )まぁ、いいじゃないか。とにかく大好きなのである。
一番夢中で原作を読み漁っていたのは中学生の時で、その後は何度か読み返すものの、記憶に積もっていくのは映像化された作品たちの方に傾いていく。
自分の映像金田一こと初めは古谷一行氏のテレビドラマ版で、その後、市川崑監督の石坂金田一へと続く。
やはり何事も最初に受けた印象が大きいので、自分の中のベスト金田一は今でも古谷一行版である。
原作の金田一耕助が『獄門島』を解決した年齢が恐らく34歳。
古谷一行さんが『獄門島』を演じられたのが33歳。
年齢もピッタリ。
原作イメージの金田一と一番ピッタリなのも古谷一行さんだと思うのよね。
後の俳優さんはスタイリッシュな美男子(←昭和的表現)すぎて(笑)
きちがいじゃが仕方がない
さて、簡単感想じゃがハセヒロ金田一。
見た目のイメージは金田一とは違うと思うけれども、面白かった。
飄々としつつも、思考に閉じこもると暗い。
人懐っこい雰囲気はない。どちらかというと近寄りがたいよ(笑)
ちょっとキレてるよ。
けれども別の意味でかまってあげたい金田一ではある。モテるに違いない。
レトロな雰囲気を醸し出すのも上手い。
時代物に合っているのは『八重の桜』で実証済み。
長谷川さんだけではなく、他のキャストも皆さま素晴らしかった。
コスプレ感がないというのは、時代ものを見る側にとっては、それだけで有りがたい。
清楚な黒髪の里依紗ちゃんもいいね~~。♥
ストーリーもほぼほぼ原作通りで「犯人が違います」みたいな奇をてらった改変はなかった。
素晴らしいのは、言葉狩りがアレコレうるさいこのご時世に「きちがいじゃが仕方がない」をキッチリ放送したことね。
だって、ここは大事なところなので…。
変えちゃいけないと思うんだよ。本来。
日本のミステリー史上一番美しい死体たちも、ほぼ再現。
さすがBSだなぁ…。予算も気合も違うぜ。
ロックな演出
伝統と歴史と習わしの呪縛に憑りつかれた孤島の古びた空気感とロックな音楽、スタイリッシュな映像という、チグハグさがキチガイ(あ、だめ、これ)じみていてとてもイイ。
狂ったこの島にピッタリな演出だった。
まぁ、ここは好き嫌い分れそうだけど。
OPなんてカッコ良すぎて何度も巻き戻して見ちゃった(笑)
ストーリーの感想は今さら要らないよね…。
縛られる必要のないはずの「約束」という「命令」に狂った義務感で従った人たちの狂った物語。
閉じられた場所、閉じられた思想、閉じられた世界の中で起きた悲劇よね。
それもこれも、戦争というルーレットが回ったせいなんだけれどもね。
その顔!幸庵と同じ顔だ!アハハハハ!
いいか!おい!鬼頭一はな、死んでいたんだ!
戦死していたんだよ本当は!ハハハハハハハ!
み~んな死んだんだ!!
ご破算だ!果たさなくてもいい約束を必死で果たして!
無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!
無意味!ご苦労さまでした!ざまあみろだ!!
まさか、金田一が島の誰よりもキチガイになっちゃうとは思わなかった……。
まさに、ハセヒロならではの金田一であった。チャオ!。
これはこれで良かったけれども、落ち着いた金田一もやらせてあげて…。。
ラストに「悪魔が来りて笛を吹く」キタアァァァァァァァァ!!
だったし、絶対にシリーズ化されると信じてる!
歴代金田一
…と言っても、大昔は高倉健さんもやった事があるらしくて、それはさすがに解らないや。
自分が覚えている限りでは…
石坂浩二
おそらく、日本で一番有名な金田一ではないかと。
1976年の「犬神家の一族」から6本もの金田一を市川崑監督とのタッグで作り上げている。
私が金田一は古谷一行さんだと思っているように、石坂金田一しか見ていない人にとってはもうそのイメージなんだろうな~。
市川崑監督の金田一シリーズは、とにかく美しいのよ。
死体の見せ方などもね、後で原作を読み返すと、そのイメージがシーンに投影されて脳裏にこびりついたよ。
恐かったなぁ。そして、大好きだったなぁ。
古谷一行
私にとってのベストね。
どこの局で放送されていたかももう忘れてしまっていたけれどもTBSだったらしい。
大好きなシリーズだったよ。
一行さんの金田一さんは、ボーーッとしていて鋭くて優しいんだよね。
渥美清
いや~~…実は渥美清さんの映画って寅さん以外はほとんど見た事なくて。
この金田一は自分的にはメチャメチャ違和感だった。
(けれども、横溝先生は渥美さん推しだったらしい)
豊川悦司
これがまた、市川崑監督の浮気なんだよね(爆)
…というか、石坂さんでは年齢的に難しくなってきたので若い役者で撮りたくなったのだろうか。
(しかし、なんとこの10年後に石坂金田一は1本復活するのだった…。)
今ではワイルドさ際立つトヨエツもこの頃はもっと線が細くて神経質な雰囲気だったので、この金田一はヒジョウに頭が良さそうでスタイリッシュで文学的なイケメンだった。と記憶している。
稲垣吾郎
フジテレビの金田一ね。
おおよそ金田一っぽさはないと思うけれども、ここで初めて金田一に触れたという方は、これが金田一のイメージになるんだろうな。
(個人的にはJ事務所なら風間くん辺りにぜひ一度やってみていただきたい気がする。)
このシリーズは作中に横溝正史先生が登場するんだよね。
その辺が面白い。
ソフト化されていないのは、なぜなのかしら…。
吾郎ちゃんの代表作にもあたると思うので、ぜひソフト化を。
終戦直後、瀬戸内の孤島を訪れた金田一耕助(長谷川博己)。
僧の了然(奥田瑛二)の案内で島の実力者・本鬼頭家にやってきた金田一は、そこで美しい女性・早苗(仲里依紗)と出会う。
さらには島に似つかわしくない奇抜な風体の3姉妹にも。
そしてある晩、末妹の姿が消える…。
金田一耕助再起動!数々のミステリー・ランキングで1位に輝く横溝正史の最高傑作!封建的な島で繰り広げられる怪奇な連続殺人の謎に金田一が挑む!
あらすじはYahoo!テレビより引用
よろしければ→【2016年10月期・秋クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表
※キャスト
金田一耕助 … 長谷川博己
了然 … 奥田瑛二
荒木村長 … 菅原大吉
幸庵 … 綾田俊樹
磯川警部 … 小市慢太郎
清水巡査 … 山中崇
鬼頭嘉右衛門 … 瑳川哲朗
鬼頭与三松 … 山崎銀之丞
お小夜 … 中西美帆
鬼頭千万太 … 石田法嗣
鬼頭一 … 萩原宏樹
鬼頭月代 … 堀田真由
鬼頭雪枝 … 秋月成美
鬼頭花子 … 吉田まどか
分鬼頭儀兵衛 … 古田新太
分鬼頭志保 … 山田真歩
鬼頭早苗 … 仲里依紗
竹蔵 … 谷田歩
了沢 … 岡山天音
鵜飼 … 柳俊太郎
梅吉 … 八十田勇一
海賊 … 吹上タツヒロ
船員 … 石井テルユキ
※スタッフ
脚本 … 喜安浩平
演出 … 吉田照幸
制作統括 … 村松秀、西村崇
原作 … 横溝正史『獄門島 』
コメント
>髪型なら 兄上様もいいんだけどね(笑)
あーー(笑)ぴったり!!
そういえばツイッターで教えてもらったのに忘れてたわ。
BS-TBSですよね。
古谷一行さんの金田一は「横溝正史シリーズ」(連続ドラマ)と、「名探偵金田一シリーズ」(2時間ドラマ)の2種類があって、昨日やっていたのは2時間ドラマの方らしいです。
私は2時間ドラマの方はたぶん見た事ない気がします。
ちょっと2サスペンス劇場っぽいらしいです(笑)
>堺さんにやってもらいたい!!
あー、名案!! ぴったりだし、いま一番見たい金田一かも、です!!
髪型なら 兄上様もいいんだけどね(笑)
今日昼間実家に行ったら BSで古谷「獄門島」やってましたよ。若くてびっくりしちゃった。
Qさん
おお、こんばんわ~~!
何人かの方からはコメントの書き込みできないというメールをいただいたりもしたので心配していました。出来て良かったです^^
漱石は最終回だけでもーーと思いつつ、仕上がらない状態で~←いつものごとく(泣)
>そして(虚覚えだけど)こんなに人を殺すことに怒った金田一は 初めてな気がしました。
そうですね!
半分謎解きマニアな部分もある人ですもんね。
やはり戦地で過酷な体験をして帰国したばかり、という影響が大きいのでしょうね。
>あと、パロではありますが、山Pの金田一も面白かったですよね^^
あ~~(笑)
あれは私は伊藤さんが金田一で(かなり逞し過ぎるけどw)山Pが明智の方が合ってる気がしていたのだけど、どうでしょう。
そうだ、パロディと言えば、個人的にはリーハイで見せてくれた堺さんにやってもらいたい!!
これは熱望します!
くうさん、こんにちは~♪
引っ越しのお祝いもせず、読み逃げばっかりで ごめんなさいm(__)m
漱石に続いて(←2話以降のレビューを秘かに待ってます?)金田一…良かったよ~、面白かったです~。「ロックな演出」、まさしく!!
漱石の竹林も相当綺麗だったけど、和尚と対峙した時の背景も すっごく綺麗だった、さすがNHK
そして(虚覚えだけど)こんなに人を殺すことに怒った金田一は 初めてな気がしました。
土地に根づくあらがえない運命みたいなものに、今までは「間に合わなかったー」っていう感じだったような・・・他の作品もやってほしいです。
あと、パロではありますが、山Pの金田一も面白かったですよね^^
chia-chiaさん
>「きちがいじゃが仕方ない」を、原作通りに使っていることに、スタッフの本気が伝わって来ます。
そもそもあの「季」が無かったら話が全然違っちゃうのにね~。
あれを削った「獄門島」を作ろうと考えることが摩訶不思議(笑)
そうそう。
私はたぶん何本かの作品はドラマ→原作なんですよね。
だから原作読む時点でもう金田一=古谷さんなんですわ(笑)
なつかしいなぁ。
>明日からBSで池松くんが短編3作で金田一を演じるそうですが
BS見るたびに予告に出会って、ほーーっと思ってますが、どうなんでしょうね。
ムキムキすぎるけどwちょっと楽しみ^^
-d- さん
>エキセントリックでダークな金田一(笑)
そうそう(笑)
暗いわーーー景気悪そうだわーーーって感じでした(笑)
戦争トラウマ抱えて帰ってきたばかりってところがよく出ていた気がします^^
>妄想に操られた犯人に自分を重ね合わせる金田一
敗戦直後の心の暗黒面を吐き出したラストで怖かったです。
そういう解釈をちゃんと見せるっていうところが今作の素晴らしい所だと思いました^^
ただ過去作をなぞっただけではない。
スタッフの気概、見せてもらいましたね!
巨炎さん
石坂さんの昔の金田一ってやっぱりイケメンすぎて若いんですよね(笑)
作品数も多いですし、映画では一番テレビで放映され続けているので、私も映像化で一番記憶に残っているのはすでにそっちですわ。
高倉健さんと西田さんのは全く見た事がないのですが、そういえば私、鹿賀さんのは見ましたわ!!
どんなもんだったかは忘れてしまいましたが、違和感だらけだった事だけは覚えてます^^;
実家で録画していたのをDISCにおとして、今から観ます(^o^)丿
「きちがいじゃが仕方ない」を、原作通りに使っていることに、スタッフの本気が伝わって来ます。
凄く楽しみ、楽しみ♪
私もくうさんと同じく古谷・金田一推しです。
幸い親もドラマに興味を持っていたので、多分全部観ていたと思います。
当時は学校の図書館に置いてなかったし、町に図書館も無かったんですよ~。
原作の文庫本を少ないお小遣いでせっせと買って読んでいたんですけど、頭の中では古谷・金田一が活躍していました。
そう言えば、明日からBSで池松くんが短編3作で金田一を演じるそうですが、一体どうなるんでしょ。
風体はちょっとヤバめですがww
面白かったですね。エキセントリックでダークな金田一(笑)
無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!
無意味!ご苦労さまでした!ざまあみろだ!!
これはショックでした。
5年程も戦場にいて飢餓や 病や死の隣り合わせにいた。
それが敗戦で無駄死にになった。
何のために銃口をむけたのか、友が死んでいったのか?
生きていく意味と目的を見失った。
妄想に操られた犯人に自分を重ね合わせる金田一
敗戦直後の心の暗黒面を吐き出したラストで怖かったです。
私はやっぱり石坂派で「獄門島」も、それで観ました。
若い頃のシャアが坊さん役。
>高倉健
「悪魔の手毬唄」を原作もロクに読んでいないスタッフが作ったとか。
スポーツカーを乗り回している金田一って…。
個人的には若山富三郎と共演の石坂版「手毬唄」が一番、好きな作品でしょうか。
>「悪魔が来りて笛を吹く」
横溝ブームの70年代に東映が西田敏行主演で作ってましたな…。
金田一にスケベオヤジ臭が入って等々力警部の方がカッコいい。
後は古谷&石坂に先駆けてATG制作「本陣殺人事件」(1975年)で中尾彬。
ジーパン姿の金田一ですが寅さん金田一同様に主人公とは言い難い扱いなのでマシ。
「悪霊島」(1981年)では鹿賀丈史ですがブームにも陰りが見えた頃に便乗で
外した感、バリバリ。大体、ビートルズと横溝作品を繋げる意味が分からない…。