【 MOZU Season1 ～百舌の叫ぶ夜～ 】第9話 感想

同じだろ？
今のこの世の中とオメラス。

国家という体制を維持するために臭いものにフタをする。
そして子供を閉じ込めた地下室の門番。
それが公安なんだよ。

それが真実だ。
そうやってこの国は秩序を保っているんだよ。

 

MOZU Season1 ～百舌の叫ぶ夜～　第9話

　　　　　

 

爆破されたビルの前には変わらず被害者たちの写真や花が手向けられている。
雨の中、ぼんやりとそれを見ていた倉木は、屋上へ誰かが上っていくのに気付いた。

 

どっかに逃げるつもりだったんだろう。
だったら今すぐ ここから消えろ。今しかチャンスはないぞ。

 

怖いこと言うねえ。

 

フェンスの向こうの人影。それは東だった。

 

元公安のＯＢとして助言しといてやろうと思ってな。

必要ない。消えろ。

 

倉木はタバコに火をともした。
かまわず話しはじめる東。

 

オメラスって知っているか？
ある小説に出てくる理想郷のことだ。
オメラスは自然に恵まれ独裁者もいなければ身分制度もない、誰もが何不自由なく
暮らしている幸せな町だ。

ところが、その町のどこかに光の届かない固く閉ざされた地下室があった。
まるで下水道のようなその地下室に一人の子供がずうっと閉じ込められている。
その子はロクな食べ物も与えられず、体は汚物にまみれ、ずっとみじめな生活を
送っている。

実はその子の存在をオメラスの住人達は全員知っていた。
だが、誰も助けようとはしなかった。
なぜならその子を閉じ込めておくことが理想郷が保たれる条件だったからだ。
オメラスの全ての幸せや美しい自然はその子の犠牲の上に保たれているとみんなが
理解していた。

たった一人の子供を地下室に閉じ込めておくことで他のすべての人々が幸せに
暮らせるならと住人達は見て見ぬフリをしているんだ。

 

何が言いたい？

同じだろ？
今のこの世の中とオメラスは。
国家という体制を維持するために臭いものにフタをする。
そして子供を閉じ込めた地下室の門番。それが公安なんだよ。
それが真実だ。

そうやって この国は秩序を保っているんだよ。

だが、俺はそんな仕事に嫌気がさした。
だから公安を辞めたんだ。

倉木。お前も俺と同じ考えに必ずたどりつくはずだ。

 

お前と一緒にするな。

 

本当の真実にはたどりついたのか？

いや。まだだ。

 

だったら諦めるな。
お前は面白いほど室井警視監の思いどおりになってる。
俺はあの人が好きなんだ。どこまでも深～い闇があの人を 誰よりも人間らしくさせてる。
お前もあの人によく似ている。
お前達は俺のお気に入りだ。
同じ女がホレた理由がよく分かる。

 

じゃあな。追ってくるなよ。
チャオ。

 

東は闇の中に消えて行った。

 

倉木と大杉は津城に呼び出され、室井をセーフハウスで軟禁するので警護してほしいと言う。

 

もしかして室井警視監の後ろで糸を引いてる人物がまだいるんじゃないですか？

と、大杉。

 

どうしてそう思うんですか？

 

室井警視監をすぐに処分しないのは、あなたが裏で誰かと駆け引きしてる気がするからです。

そうかもしれませんね。
ですが、大杉警部補。あなたはそれを知る立場にない。

 

津城は「殺さないでくださいよ」と、念押しして出て行った。

 

セーフハウスの外に広がる海岸に腰を下ろす倉木。
明星は戸惑うように声をかける。

 

静かな所ですね。

ああ。

 

小さい頃…玄関の外で鍵がジャラジャラ鳴る音が聞こえたら父が帰ってきたんだって
分かったんです。
父がいなくなったあとも何度かその音が聞こえたような気がして玄関の扉を開けました。

大切な人を失ったあと、どうやって生きていけばいいのかなんて私には分かりません。

でも…
抜け殻のような日々をすごすことなんて、大切な人は望んでいないと思うんです。

 

サルドニア大統領が来日するまでの軟禁…。
その後の事は何も聞かされない状態でも、拘束されたりすることもなく普通に暮らしている室井。

食事する室井の向かいに座る津城。

 

そういえば昨日…森原官房長官が私に会いに来てくれましたよ。

 

どうしてそんな話を私にするんだ？

 

どうしてでしょうね。
私に圧力をかけるためとはいえ、わざわざ出向いてくれるなんて感激しました。
まだ諦めてないんですか？
この局面を打開できるとでも？

 

私は君の飼い犬になったんだろう？
なのに、何をそんなに心配しているんだ。

 

まあ、悪あがきはやめておきなさい。

 

室井は軟禁状態に置かれながらも、警護する人間の心を揺さぶり続けた。

明星には父親の事を知っているとほのめかした。

 

そして、倉木には自分が雫の父親だと千尋に知らされたと告白した。

 

あんたは雫の死について千尋から何か聞いてるのか！？

 

聞いていたとしたらどうする…？

答えろ！
千尋はなんて言ったんだ！？あいつは雫を…。

 

倉木。
真実を知ったところで、起きてしまった事実は変わらないんだぞ。

俺の質問に答えろ！

 

すべての発端はお前なんだよ。倉木。

なに？

 

雫ちゃんが死んだのも
心を病んだ千尋が爆弾を起動させたのも

全部お前のせいだ。
それが真実だ！

 

その時、警報ベルが鳴り響き、ガラスの割れる音がした。
灯りは消え、にわかに緊張感高まるセーフハウス。

 

暗闇の中、部屋の中に浮かぶ影は新谷だった。

 

なぜ俺を殺そうとする？

 

ピックを持って襲いかかる新谷を室井はかわした。

 

お前のせいで和彦が死んだ。
メッタ刺しにしてやる！

 

復讐か。
くだらん。

いいか。国家の秩序を維持するためには汚い仕事を請け負う者が必要となる。
それがお前達なんだ。

お前もお前の兄も捨て駒なんだよ！

 

室井を守るために新谷に食らいついて行った明星は負傷し、室井は逃亡した。
何者が逃がしたのか…去っていく車のエンジン音。

 

倉木は東からの電話を受けた。

 

俺は今回でやっと自分の存在意義が分かったよ。

 

お前か！新谷を逃がしたのは！

 

ああ。地下に閉じ込められていた少年を解放したんだ。

 

何が目的だ。

 

東はビルの屋上にいた。
高みからオメラスの人々を嘲笑する神のように。

東は笑っていた。

 

俺は気づいたんだ。
秩序を乱すのが俺の役割だってことに。
オメラスの平和はもう終わりだ。

もう一つ、面白いことを教えといてやる。
俺は爆弾を二つ入手してたんだ。
そのもう一つの爆弾は室井が持っている。
面白いことになりそうだな。

 

お前は完全にイカれてる。

 

フフフ…そうかもな。
だが、もう一度言っておく。
お前も必ず俺と同じ答えに辿り着く。

じゃあな。倉木。
俺はオメラスを去るよ。

 

東は電話を捨てた。

目の前には都会の灯りが無数の光になって広がっている。

オメラスの荒廃のスイッチはその手で押した。

満足げに笑いながら、東は地上に向かって沈んでいった…。

 

　　　　※※※

 

ハセヒロのチャオ！Part２.きた～～～!!!!!
　　　

　電光でビカビカしてて怖いよ、ハセヒロ…。

前の「チャオ」はアドリブだと聞いたんだけど、これもそうなのか？
気に入ったのか？気に入ったのか、博巳……。

 

「オメラスから歩み去る人々」になった東。
アーシュラ・K・ル＝グウィンの「風の十二方位」に出てくる理想郷

その地下にいる少年がまさに新谷だと東は言うのだった。

しかし、理想郷が保たれる条件となっている閉じこめられた少年と、新谷はだいぶ
違うんじゃないの…？

と、現在までを見た所では私はそう思っている。

 

仮に、新谷の「衝動」が国家による一大実験「ダルマ」によって起こされた物で、国の
監視対象になっている…とする。

だとしたら、この話は当てはまる。

「衝動」がダルマと何の関係もない場合は新谷は別に国のために地下に閉じ込められた少年
って事にはならないと思うの。

まぁ…国家の大罪人のために罪を被る身になるって意味では犠牲者だけどね。
そう考えたら「罪を被せられる」＝「地下の少年」ってことになるのかな。

 

ってか…

なぜ、新谷は監禁されてあんな目に遭っているのに室井は軟禁であんな良い扱い？

新谷は確かに凶暴だから拘束されるわけだが、解き放たれたら何するか解らないのは
テロリストの室井も同じことじゃないか。

結局は、裏に官房長官がいるらしいけれども～…日本ってそんな怖い国家なの？

何、あの黒ミサみたいなお食事会は…。
　　

 

放っといていいの？これ…。

助けないで新谷に復讐させとけば良かったのにね。
明星はたぶん生きている……と思ってしまうのは『SP』で撃たれても刺されても生きている
笹本を見ているせいでしょうか……ぇ…。

 

結局、今回ハッキリ解った事は、雫の父親は本当に室井だったらしいこと。

室井を利用して津城を潰そうという勢力がある事。

つまり、これって、

 

津城　vs　室井

の争いってことなの…？

これ、どっちも応援できない争いなんですけど…。

 

官房長官はサルドニア大統領が襲撃されてもかまわないの？

 

…んで…

東は自殺しちゃったの？
どうして死ぬ必要があるの？
中神を愛してたの？

 

新谷が国家の犠牲だとしたら、東も倉木も同じように罪を被せられたオメラスの地下に
閉じこめられた子供ってことで…。

 

東が切ないよ。ほんと、チャオとか言ってる場合じゃないで。・泣

 

　　

新島八重の最初の夫を知っているか？
会津藩出身でもないのに藩と共に会津戦争を戦い、藩士たちと共に斗南に移動して苦労し、
藩士たちのために米の先物取引に手を出し、一人罪を被って東京で裁判を受けたんだ。

彼の妻が多くの談話を残しているにも関わらず、後世に彼の事は全く知られていなかった。
みんな、彼の事を知っていながら藩のために蓋をしたんだ。
彼らの出世や幸福は彼の犠牲の上に保たれているとみんなが理解していた。

 

なんて…尚之助さまは思っていなかったさ……。・泣

でも、ダブってしまったよ。悲しい～。

 

って話は関係なく……

結局、千尋が起爆させた理由は何だったのだ……「衝動」とは…。

で、次回は最終回。

 

※コメントレスが滞っておりますが申し訳ありません～！
たのしく読ませていただいております。ありがとうございます！

 

千尋（石田ゆり子）はなぜ爆弾を起動させたのか…その理由がわからず爆発現場を訪れた
倉木（西島秀俊）は、物影にいる何者かに気づく。
倉木を誘うように移動する何者かの影…それを追って倉木がたどり着いた先には、東
（長谷川博己）が待ち受けていた。
東は「助言」だと言って、ある小説に登場する理想郷“オメラス”について話し出す。
「その町のどこかに、光の届かない固く閉ざされた地下室があった…」。

(上記あらすじは「Yahoo！TV」より引用)

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※キャスト

倉木尚武 … 西島秀俊
大杉良太 … 香川照之
明星美希 … 真木よう子

津城俊輔 … 小日向文世
室井 玄 … 生瀬勝久
鳴宮啓介 … 伊藤淳史

村西 悟 … 阿部力
若松忠久 … 戸田昌宏
村瀬龍臣 … 鶴見辰吾

新谷和彦 … 池松壮亮

東 和夫 … 長谷川博己
中神 甚 … 吉田鋼太郎

中島葵美 … 有村架純
倉木千尋 … 石田ゆり子

来栖利理 … 奥貫薫
南 貴之 … 染谷将太

赤井信輝 … 田口浩正
筧 俊三 … 田中要次
大杉恵子 … 堀内敬子
大杉めぐみ … 杉咲 花
森原健吾 … 瑳川哲朗
寺門 守 … 品川 徹
明星香織 … 音月桂
倉木雫 … 小泉彩

 

※スタッフ

脚本 … 仁志光佑
監督 … 羽住英一郎
プロデューサー … 渡辺信也、井上衛、森井輝
音楽 … 菅野祐悟

原作 … 逢坂剛「百舌の叫ぶ夜」
　　　　　　

公式サイト　http://www.tbs.co.jp/mozu_tbs/

 

 

 

 

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