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【とんび】第2話 感想

この子を見てると昔の自分を思い出す。

ものすごく寂しいわけじゃない。
だけどいつも右手がちょっと冷たい。

泣きたくなるほどじゃない。
でも、ちょっと冷たい。ずっと冷たい。

なあ親父。
俺はどうやってその手をあっためてもらったんだっけ?

 

とんび 第2話

  とんび

 

先週「パパ」と呼ばれていたのは、旭じゃなくて、隣りの父親だった、
という紛らわしいオチ。

しかし、健介というその子の手を引いて歩く旭は、親父を思い出していた。

 

昭和54年。
あれから2年経ち、アキラは保育園に通っていた。

ヤスは相変わらず仕事に精を出しながら男手ひとつでアキラを育てている。

たえ子さんが保育園に迎えに行くと、他の子を迎えに来る「お母さん」を見ながら、
アキラはちょっと寂しそうだ。
それでも、笑顔でたえ子さんに駆け寄ってくるアキラ。

 

ある日、風呂屋のおばさんがヤスに見合い話を持ち掛けてきた。

ねえ、あっくんだってお母さんほしいよねえ。

余計なこと言ってんじゃねえよ!
俺と旭はな、楽しくやってんだよ!母親なんか 今さらいるかっ!

余計なおせっかいは腹が立つ。しかし、

でもさ、ヤスさん。
旭くんは、その…寂しかったりしないの?

と、周りに言われると、ちょっと悩む。

 

そんな時、アキラが保育園で喧嘩をするという小さな事件が起きた。

「家族の絵」を描きましょうと先生に言われたアキラは、ヤスからお母ちゃんの写真を
持って行って描いていた。

友達がその写真を見せてと言い出し、取り返そうとしたアキラと引っ張りあいになり、
美佐子の写真が真っ二つに切れてしまったのである。
アキラは相手の子を殴り、その子にはタンコブが出来た。

しかし、先生がヤスを呼び出したのはそんな事ではなかった。

相手のお母さんは、ちゃんとウチの子にも非はあるとおっしゃってたんで、
市川さんにご足労いただくまではないと判断したんです。

市川さん!
問題はこの後なんです。

アキラはいったんは落ち着いて絵を描いていたものの、その子の母親が迎えに来て優しくして
いるのを見ると急に、張り合わせた美佐子の写真をビリビリに破き始めたのだ。

そして、止めに来た先生の腕に噛みついた。

 

飛びはねたように真っ直ぐ立って先生に謝罪するヤス。

しかし、先生は別に噛みつかれた事に怒っているわけではない。

旭くん、賢い子だから何にも言わないけど、やっぱり寂しいんだと思うんです。
しばらく気にかけるようにしてあげてくれませんか?

 

アキラは、その夜からしばらく止まっていたオネショをするようになってしまった。
怒らないものの、ヤスはアキラの寂しさも知り、濡れたシーツの処理をする日々に
段々と疲れていく。

そして、見合いを決断したのだった。

相手の女性は優しそうな人で、ご主人を病気で失くしており、子どもはいなかった。
そして、アキラにとても優しくしてくれた。
アキラも喜んでいるように見えた。

相手も自分を気に入ってくれたと解り、ヤスは結婚を決意した。

しかし、

よかったね、あっくん。これでお母さんできるよ。

と、風呂屋のおばちゃんに言われたアキラは、その夜、再びオネショした。

シーツの前で、ヤスは心底情けなくなった。

お前さ、お母さんほしくないのかよ…。
はっきり言ってくんねえかな。
お父さん、もう分かんねえや。

もうすぐ小学生だろ!
自分の気持ちぐらい自分で言えんだろ!

ヤスに厳しい言葉で言われて、アキラはやっと本音を言った。

お母さんほしいけど…。
僕がほしいのはあのお母さんだよ!

指さす先にあるのは、美佐子の写真。

ここにいつも一緒にいるなんて嘘だよ。
だって、お母さん何にも言ってくんないし、泣いてもケンカしても
僕のお母さんは何も言ってくんないし…。

どうして僕だけお母さんがいないんだよ!

 

ヤスには、もうどうにも出来なかった。
どうにかしてやりたいが、美佐子は死んでしまった。
もう戻ることはない。

じゃあ、海でも行くか。旭。

話を聞いた海雲和尚は、雪が降る寒い中、アキラを海岸に連れ出した。

そして、そこで上着を脱げと言う。

 

風邪ひかれる身にもなってみろってんだよ。

寒いだろ、旭。
おいヤス、だっこしてやれ。

言われるままにアキラを抱き上げるヤス。

 

どうだ、旭。

寒い…。

ほれみろ!正直でいいぞ、旭。

これがお父ちゃんのぬくもりだ。
お父ちゃんが抱いてくれたら体の前のほうはあったかい。
でも背中はやっぱり寒いそうだろ?

うん。

お母ちゃんがいたら、背中のほうから抱いてくれる。そうしたら背中は寒くない。
お父ちゃんもお母ちゃんもいる子は、そうやってあっためてもらえるだけど、
旭にはお母ちゃんはいないから背中はずーっと寒いままだ。
お父ちゃんがどう頑張っても背中まではあっためられない。

その寒さを背負うということが、旭にとって生きるってことなんだ。

 

わずか5歳の子に課せられた、背中がずっと寒い生き方…。
ヤスはハッとした。
和尚の言う事が身に染みた。

アキラの背中に照雲が付いた。
それでも、寒いと言うアキラの所に海雲和尚も来た。

これでも寒いときは幸恵おばちゃんもいるし、頼子おばあちゃんもいる。
それでも寒かったらたえ子おばちゃんもいる。
お前が寒くてたまらないときは、いつもこうやってあっためてやる。
ずーっとずーっとそうしてやる。

だから自分をかわいそうだなんて思うな。
「寂しい」って言葉はな、「寒しい」からきたんだ。
「寒い」 「寒しい」が寂しいに変わっていったんだ。

だから背中が寒くないお前は寂しくない。
お母ちゃんがいないかわりに、お前には背中をあっためてくれる奴らがいっぱいいる。

お前は寂しい子供なんかじゃない!

 

ヤスは見合い相手に結婚話を断った。

お前は旭にかこつけて自分の寂しさを埋めようとしてるだけじゃないのか。

ヤス、悲しみはな、積もっていくんだ。
二人で悲しんどったら、どんどんどんどん積もっていくばっかりだ。

だから…お前は海になれ。

雪は悲しみだ。
お前が地面だと雪が積もってしまう。
解けて消えたとしても地面はぐちゃぐちゃになってしまう。
だけど海なら雪がいくら降っても積もらんだろ。

旭が悲しいときにお前は悲しんではいかん。
旭が泣いたらお前は笑え。
笑ってその悲しみを飲み込んでやれ。

 

和尚にそう言われ、自分がただ寂しさを埋めたいために結婚しようとしていた事に
気づいたから。

相手の女性にも、それでは失礼だと悟ったから。

 

そうやって、たくさんの温かい大人に支えられて、アキラは成長していったのだった。

 

いい話でした…。
和尚の言葉が沁みました。

時代ならではっていうのもありますよね。
日本では段々と家族は核家族になっていって、近所との関わりも少なくなっていって、
地域と子どもとの繋がりも希薄になっていった。

最近では、他人の子どものイタズラを叱ったりしたら、親から睨まれる風潮。
もう、地域みんなが子どもを育てるような社会では無くなってしまいました。

でも、このドラマの時代にはそれが生きている。

ドラマは、そういう人と人との繋がりの大切さを訴えているように思えます。

ヤスは自分の孤独と日々の生活に精いっぱいで、アキラの孤独に気が付かなかった。
でも、アキラの近くに暮らす人はそれに気づいていた。

これは幸せな事ですよね。

母親がいない分、アキラは多くの事をたくさんの大人から勉強して
育っていくのだと思います。

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


昭和54年(1979年)。
保育園に通うアキラは家族の絵を書くことに。
母親の顔を覚えていないから写真を持っていっていいかとヤス(内野聖陽)に頼む…。
男手一つで育ててきたヤスは、アキラが抱える寂しさにまだ気づけないでいた。
ある日、ヤスにお見合いの話が持ち上がる。
妻・美佐子(常盤貴子)を亡くし、家事や子育てに疲れていたヤスは周囲の強い勧めで
お見合い相手と会うことに…

(あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

よろしければ→【2013年1月期・冬クールドラマ何見ます?】ラインナップ一覧とキャスト表と展望

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【キャスト】

市川安男…内野聖陽
市川旭…佐藤健 (少年時代/五十嵐陽向(3)、荒川槙(6)、福崎那由(11))
    

坂本由美…吹石一恵
幸恵ゆきえ…加藤貴子
照雲…野村宏伸
葛原鉄矢…音尾琢真
尾藤社長…ベンガル

市川美佐子…常盤貴子

たえ子…麻生祐未

海雲…柄本明

【スタッフ】

プロデュース … 石丸彰彦
演出 … 平川雄一朗、山室大輔、中前勇児
脚本 … 森下佳子

原作 … 重松清

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【 とんび 】第1話 第2話 第3話 第4話


コメント

  1. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    コメントありがとうございます~。

    本当に良いドラマですね。
    起きた事は悲しいことですが、それを乗り越える優しさが周りにありますものね。

    >ゆきえ役は何とかしてください!

    ダメですか?^^;
    もうキャスティングされてしまっているので、どうにもならない気がしますけど、
    TBSの方にご要望出してみて下さい^^;

  2. ばばあ アンジュ より:

    SECRET: 0
    PASS: e4a9383f17bca72d8ea62b708e01282f
    大好きなドラマです!
    今期最高と楽しませてもらってます。最近泣くほど感動的なドラマも
    映画も舞台も少ないけど
    「とんび」はいい!心開放されます
    ただ、・・
    ゆきえ役は何とかしてください!
    最悪です。監督さんはどう思ってるのでしょうか。
    3話も拝見しました、これからの行方を見守っていきます!

  3. とんび【第2回】TBS日9

    最愛の決断- 

    「どうだ旭、これがお父ちゃんのぬくもりだ。お父ちゃんが抱いてくれたら、体の前の方はあったかい。でも背中はやっぱり寒い。そうだろ。お母ちゃんがいたら、背中

  4. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    >和尚さんの言葉、ほんと泣けるわぁ~!
    だけど感動させておきながらも
    「寂しい」は「寒しい」から来た言葉というのは
    和尚の作り話だというとこでは
    ずっこけそうに・・・(笑)

    大丈夫。和尚にとって、作り話も講和の1つでございます(-人-)

    >こんな風に、悲しいばかりでなく
    笑ってほっこり出来る部分があるのが
    このドラマのいいところ!

    うんうん。温かい人たちだよね。
    ただ泣けるだけじゃなくてホッコリできるところがいいんだ^^

    >その証拠に成長したアキラもすんごく
    いい大人になってるもんね。
    と、そう思うのは演じてるのが
    健くんのせいもある?(笑)

    そうそうww健が好青年だから良い大人なのよ(#^.^#)
    って、確か反抗期もあったような…そこが11歳イケメン子役かなぁ。
    楽しみだ^^

  5. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    >一回目のラストは原作を読んでない人には!
    え?!もう子供がいるの?とか、謎かけになっていたということを(昭和47年生まれで、平成10年だから、26歳くらいと直ぐ計算できる人はできるもんね 笑)色々感想読んで解りました。

    うん。すっっごい謎ですw
    ツイッターでも騒然としてました^^;
    って事はアキラの子ども(かどうかは知らないけど)エピソードは原作にもあるのですね。

    >原作はアキラの成長を順々にえがかれているから、原作の話の位置がそれでわかったというか、謎かけには気づかなかったです
    注意してますが、うっかりネタばれしなくて、すみました。

    NHK版も順に追ってました^^
    だから、後編を見ていない私はワケが解らんのです^^;
    先を楽しみにして見ます~^^

  6. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    >お母さんのいない寂しさは、ずっとあるだろうけど、たくさんの大人たちが愛情をいっぱい注いでくれたんだもの。
    そして、いくつになっても叱ってくれる人がいる幸せ。

    時代だよね~。
    今は近所が子育てに関わるなんて繋がりがないからな。
    ヘタに関わったら怒られるし。
    そして、実際に変質者も多くて警戒しちゃうし。
    嫌な世の中だよ~。

    >由美と旭はどういう関係なんだろうね?
    恋人って雰囲気でもないし・・・まさかホントにゲイってエピソードぶっこんでくるわけないし。
    旭の片思いか?こちらも楽しみだね~

    これって原作エピソードなのかな…何せNHK版を半分しか見てないので
    よく解らんのよ~。
    NHK版は回想形式じゃなかったからな。
    回想形式にしてくれないと健が見れないし(爆
    先が楽しみじゃ。

  7. とんび 第2話

    幼稚園になって。旭は頭のいい、聞き分けのいい子となりました。<続きは本家記事でご覧ください。>※本家の記事のURLhttp://miru-yomu-kiku.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/2-8226.htmlこの記事のトラ…

  8. 「とんび」第2回★背中が寒くなくなったアキラ

    「とんび」第2回〜最愛の決断−

    これが香取慎吾と山Pのヘンテコなドラマ『MONSTERS』と同じ時間帯のドラマだとは思えない・・・。
    でも『JIN-仁-』の時間帯でもあるし・・・。
    不思…

  9. とんび 第2話

    『最愛の決断−

    内容
    旭(佐藤健)は、息子・健介(黒澤宏貴)の手をとりながら、思い出していた。
    かつて父・安男(内野聖陽)に手を引かれていた自分の姿を。

    保育園に通う旭(荒…

  10. まこ より:

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    和尚さんの言葉、ほんと泣けるわぁ~!
    だけど感動させておきながらも
    「寂しい」は「寒しい」から来た言葉というのは
    和尚の作り話だというとこでは
    ずっこけそうに・・・(笑)

    こんな風に、悲しいばかりでなく
    笑ってほっこり出来る部分があるのが
    このドラマのいいところ!

    お母さんがいないのは寂しいけど、
    アキラはめっちゃ幸せな子どもだーーーっ!

    その証拠に成長したアキラもすんごく
    いい大人になってるもんね。
    と、そう思うのは演じてるのが
    健くんのせいもある?(笑)

  11. とんび 第2話

    第2話「最愛の決断-」2013年1月20日 アキラ(佐藤健)は会社の上司・由美(吹石一恵)の息子・健介(黒澤宏貴)を保育園へ迎えに行った帰り道、手をつないで歩く2人の前に両親と手

  12. トリ猫家族 より:

    日曜劇場 「とんび」 第2話

     美佐子(常盤貴子)が亡くなって2年、ヤス(内野聖陽)はご近所のみんさんの協力で旭(荒川槙)と二人暮らしを続けていた。
    保育所のお迎えは、たえ子(麻生祐未)が行ってく …

  13. ミンミン より:

    SECRET: 0
    PASS: 63ee451939ed580ef3c4b6f0109d1fd0
    一回目のラストは原作を読んでない人には!
    え?!もう子供がいるの?とか、謎かけになっていたということを(昭和47年生まれで、平成10年だから、26歳くらいと直ぐ計算できる人はできるもんね 笑)色々感想読んで解りました。
    原作はアキラの成長を順々にえがかれているから、原作の話の位置がそれでわかったというか、謎かけには気づかなかったです
    注意してますが、うっかりネタばれしなくて、すみました。
    パパの呼びかけも、オチだったのかあ~
    子育てをへて、深い意味の父親になっていくのだろうし、成長したアキラくんのそれを平行してみせていくって、なかなか粋な演出だと思います

  14. きこり より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    本当に旭は幸せだよね。
    お母さんのいない寂しさは、ずっとあるだろうけど、たくさんの大人たちが愛情をいっぱい注いでくれたんだもの。
    そして、いくつになっても叱ってくれる人がいる幸せ。
    和尚のげんこつには愛があるよ~(泣
    >先週「パパ」と呼ばれていたのは、旭じゃなくて、隣りの父親だった、という紛らわしいオチ。
    まぎらわしや~( ̄∀ ̄;)
    由美と旭はどういう関係なんだろうね?
    恋人って雰囲気でもないし・・・まさかホントにゲイってエピソードぶっこんでくるわけないし。
    旭の片思いか?こちらも楽しみだね~

  15. とんび(2)

    視聴率は 16.1%・・・前回(17.0)より

    最愛の決断-

  16. とんび 第2話:最愛の決断−

    アキラ、卒園おめでとう!(┯_┯)うるる
    お母さんはいないけど、アキラの卒園に集まった大人は9人。
    それだけじゃないよ、全国の何万もの視聴者が同じ気持ちでアキラの
    卒園を祝って

  17. とんび 第2話

    旭(佐藤健)は、保育園に子供を迎えに行きます。

    一緒に帰宅していると、旭は自分が6歳の保育園児だった頃のことを思い出します。

    旭(荒川槙)が通う保育園に、たえ子(麻生祐…

  18. とんび #02

    『最愛の決断―』

  19. Happy☆Lucky より:

    とんび 第2話

    第2話

    JUGEMテーマ:エンターテイメント

  20. ドラマ「とんび」 第2話 あらすじ感想「最愛の決断」

    いつもちょっと冷たい右手と背中-----------。

    なあ 親父。
    俺は どうやってその手をあっためてもらったんだっけ?

    1話目は感動したという感想が多く、HNK版をご覧になられた方は色

  21. ドラマ「とんび」 第2話 あらすじ感想「…

    いつもちょっと冷たい右手と背中-----------。なあ親父。俺はどうやってその手をあっためてもらったんだっけ?1話目は感動したという感想が多く、HNK版をご覧になられた方は色々対比をや…

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