【家族八景】 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad 第9話

「芝生は緑~市川家編~」

 

「隣の芝生は青い」とは、自分に比べて余所様は幸せで良い物に見える事である。
隣が無かったら、だれも比較なんてしないのに……

 

「家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad」第9話

 

     

 

簡単感想で。

 

火田七瀬は、人の心が読めてしまう能力者である。

今回、七瀬が勤めているのは、市川家。
旦那様は設計士である省吾さま。奥様は専業主婦の季子さま。

旦那様が新設のスーパーマーケットの内装設計をされるので、その間の1週間
だけ家事をサポートする契約である。

七瀬が人の心を読むとき、その家によって家族は違った姿に見える。
市川家では、どうやら、ぽにょっと太った人に見えるようだ。

旦那さまは、仕事に煮詰まっているせいかイライラしている。

 

こいつはトロいよって、助けてやってな!

と奥様を馬鹿にしたように言う旦那様。

そう。私、トロいんです。大トロです。トロイの木馬です~~!
だから手伝ってもらうと助かるんですーーー!

奥様はそんな旦那様の下手に下手に出ているようだ。

しかし、心の中では結構毒づいている。

「やだやだ また とどこおってるよ」
「このひと ないそう にがてなのよねぇ」
「っていうか ねんねん たんきになってない?」
「もてあますわぁ」
「ななちゃんいてくれて よかった」

旦那様は旦那様で、言葉でも心の中でも奥様を卑下している。

まだ、飯出来てへんのか!?
日が暮れたら飯って相場が決まってるんじゃ!
早うせんかぼけ!

「ほんま どんだけ とろくさいんや」
「ちょっとは となりの おくさん みならえっちゅうんや」
「あんな おくさんいたら さいこうやろうなぁ」
「ひんがあって かしこくて ぐらまらすで せんすはあって はながあって
えろすがあって いったい なんびょうし そろってんねん」

 

あれ…?
この人、隣の奥さんの事を…?

七瀬がいぶかしんでいる間も隣の奥さんに対する妄想は続く。

「あかん めっちゃ あいたなってきた」
「それにひきかえ うちのよめは…」

 

翌朝、その隣の奥さんが手作りのマドレーヌを持ってやって来た。

マドレーヌ、お口に合うか解らないけどぉ。

確かに美人。
旦那様の態度はコロッと変わる。

お手伝いさん、良いわね。ウチも来てもらおうかしらぁ。

と言う隣の奥さんに

いやぁ。要りませんよ。
奥さんみたいな家事も何もかも完璧な人は。

「そうなんです」
「おくさん あいつやだめなんです」
「わしには あんたが ひつようなんです」

そこから、奥様の悪口大会が始まる。

とうの奥様は七瀬と一緒にベランダで洗濯もの干し。

隣の奥さん、ウチの主人と話が合うみたい。
私、難しい話、よく解らなくて。

寂しそうだな…と思っていたら…

「あぁあー なんであんな ヒステリーやろうと
 けっこん しちゃったんだろう」
「わたしがもとめているのは もっとおだやかで やさしくて いたわりがあって」
「そう まるで たかぎせんせいのような」

えっ…?

「あなたのそのえがお あいじょうぶかいまなざし いとおしゅうございます」
「おあいしとうございます」

この人はこの人で、病院の先生に恋しちゃってるみたい。

しかも、ベランダに出てきた隣の旦那。
それが、その先生らしいのだった。

「あなたは いったい なにを おかんがえなのでしょう」
「いがくのみらい? それとも みちなるびょうげんきん?」
「ここに あいにさまよえる むゆうびょうかんじゃがいることに
 おきづきくださいませぇ」

洗濯かごを置きに玄関の方に行くと、こっちはこっちで、まだやっている。

玄関は玄関で、ベランダはベランダで、それぞれ妄想にふける夫婦…。

 

駄目だこりゃ…

その日、七瀬は考えた。

私には到底理解できない。
ひと組の夫婦が、こんな風にお互いを欺きあい一つ屋根の下で暮らしているなんて。

うすうす思っていた事だけど、私はたぶん一生結婚しないかもしれない。

 

翌朝、隣の高木家にマドレーヌの皿を返しに行くと、七瀬はスカウトされた。
市川家の仕事が終わった後は、高木家で働いてほしいという事だった。

「やった」
「これで しょうごさんの じょうほうが てにはいりやすくなるわね」

高木家の旦那様は旦那様で

「なんでもかんでも かってにきめやがって」
「しかし これは おとなりのおくさんと したしくなれる ちゃんすかもしれない」

つまり、こっちはこっちで自分のパートナーに不満を抱き、市川家の夫婦に
妄想を抱いているのだった。

 

1週間の契約期間が過ぎ、七瀬は最後に市川家に一泊した。

仕事が終わったら、少し穏やかになった旦那様は奥様への労りも見せていた。

何だかんだ言って、やっぱり夫婦は夫婦だ。良かった。

しかし、夜も更けて営みが始まると…

「これはなおこさんや そうこれはなおこさんや」
「これはせんせいだわ ああ せんせいーー せんせいーー」

七瀬には隣の声も聞こえてきた。

「おくさん いい おくさん いい」 
「しょうごさんーーー」

 

・・・うるさい・・・

 

朝、市川家を出た七瀬には、考えがあった。

この二組をこのままにしておいて良いわけがない。
私の道徳がそれを許さない。

建て前的な貞操観念なら、いっそ無くなってしまえばいい。

火をつけてやろう。
そして、ジックリと観察してやろう。

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 

簡単ですが…私的には、先週の神回「亡母渇仰」で、もう完了しているので…。

原作でも、あれが最終話だし。

もっともドラマ的には、あれが最終回だったら、ちょっと後味悪い余韻が残るのかもね。
原作を知っている人は良いかも知れないけれども、知らない人があれを最終回に見たら、

ぽかーん・・・こえぇぇぇ・・・

と、なってしまうだけなのかも。

私的にはおまけ的な第9話、第10話である。

 

演出、堤幸彦回だったわけだけれども、あんまり堤さんらしくなかった気がする。

この「芝生は緑」をなぜわざわざ前後編に分けたのか…
その意図は来週にならなければ解らないな。

原作では第6話であるこの話を最後に持ってきた意図も…来週かな。

順番的に変わっているせいで、先週あんなに人の人生に関わる事を否定していた
七瀬が、今週はガッツリと罰を与える計画を練る…という変な感じになっちゃってますが。

まぁ…

時をかけて、七瀬は過去に戻っているという事で…

では、来週。

 


次回(第10話)のゲスト出演者は引き続き、西村和彦、星野真里、大河内浩、野波麻帆

 

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※キャスト

火田七瀬 … 木南晴夏

第9話

市川 省吾 (37) … 西村和彦
市川 季子 (34) … 星野真里
高木 輝彦 (40) … 大河内浩
高木 直子 (37) … 野波麻帆

※スタッフ

原作:筒井康隆
脚本:上田誠
演出:堤幸彦

 

 

 

 

コメント

  1. 家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad 第9話 芝生は緑~市川家編~

    『芝生は緑~市川家編~』

    内容
    市川家にやってきた七瀬(木南晴夏)
    家主は設計士の市川省吾(西村和彦)は、スーパーの内装設計のため
    マンションに籠もりきりになると言う。
    その省吾を妻・季子(星野真里)とサポートするのが仕事のよう。
    どうやら、市川家では、妙…

  2. キッド より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ついにここまでまいりましたなあ。
    本当に家族八景をドラマで
    全部見ることができるとは・・・。
    感無量でございます。

    トロのくだりで
    原作の言葉は
    ああ・・・そういえばコード的にひっかかるな
    と昔を思い出しました。
    臼の炉がNGでトロイがOKという
    姿なきコード製作者(おそらく総務省の役人)の
    唯我独尊ぶりに放送職人たちは
    いらいらさせられたものでございます。

    いまもあってなきのごとく
    ふるまいながら
    無言の敷居を作って
    言葉を狩るものたち。
    それはある意味「七瀬ふたたび」の「敵」たちを
    連想させるのでございます。

    今回はゲスト・・・特に星野真里が
    いろいろやらされていて
    そこはちょっと・・・ああ、やってるやってると
    思いましたぞ~。

  3. 家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad TOP

    2012年1月24日から同年3月27日まで、毎日放送(MBS)制作・TBS系列の深夜ドラマ枠にて『家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad』(かぞくはっけい ナナセ・テレパシー・ガールズ・バラッド)のタイトルで放送中。木南晴夏は本作が連続ドラマ初主演となる。全10話。 原…

  4. となりの芝生は青いとはいうもののマンションなので芝生がないことに困惑する乙女(木南晴夏)

    嫉妬の根底にあるものは「ないものねだり」である。 所有欲に目を転じれば、「自分にないものを他人が持っていること」から生じる「うらやましさ」ということになる。 さらに「隣の芝生は青い」という警句には「それほど差のないものを過剰に意識する弊害」というものを暗…

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