【八日目の蝉】第5話

カッコええな。ランドセル。
薫も早く小学生になりたいな。

 

島に来ていくつかの季節が過ぎ、薫は島の言葉を話し、
すっかり島の子になっていた。

 

貴女の成長を見る度に、お母さんは胸が痛んだ。

お母さんは貴女を小学生にしてあげられるだろうか。
側にいてあげられるだろうか。

 

薫の成長は親として嬉しい。
でも、その分、いつまで一緒にいられるだろうかと思う。

小学生になる薫。

その姿を自分は決して見ることはできないだろう。

 

貴女のいる道と居ない道。
どちらかを選べと言われたら、お母さんは躊躇なく
貴女の居る道を選ぶでしょう。

例え、その道が行き止まりだとしても。

 

文治は相変わらず親子に優しく気を使ってくれていた。

 

文治さん。私に関わっても、この先良いことないですよ。
私の人生には、この先良い事なんてないんです。
解ってるんです。

 

やんわりと文治を拒絶する希和子。

しかし、文治は親子の側につかず離れず見守っているようだった。

 

久美が島に戻ってきた。

喜ぶおかみ。

しかし、親子の関係は相変わらず複雑だった。

以前、息子を連れて島に逃げ帰ってきたとき、母は自分たちを追い返した。
あの時、匿ってくれていれば、今頃息子は自分の側にいたのかも知れない。

久美は、今だに蟠りを持っていた。

 

全国紙の新聞に、希和子と薫の祭りの写真が大写しで掲載されていた。

 

顔がこわばる希和子の様子を見る文治。

 

希和子は、その日、島を出ようと支度をした。
しかし、薫は泣き叫んだ。

 

薫はここがいい!何処にも行かない!

 

その時、希和子は観念した。

 

薫。薫はここにいたいんだね。
じゃあ、ここにいよう。ずっと、ここにいよう。

薫を抱きしめる希和子。

 

それは、もう逃げずにその日を待つと決めた日。

 

久美は島を去っていった。

自分が居なくなって希和子と薫まで居なくなったら
お母さんが悲しむから、もう少しだけ島に居てあげてほしい。

それが久美の希望だった。

久美は希和子が別れた亭主に追われているのだと思いこんでいた。

 

希和子は曖昧に頷いた。

 

これが別れの始まりであることを心の何処かで私は知っていました。

 

それでも、大丈夫。まだ大丈夫。
と自分に言い聞かせる。

 

薫と過ごす日々を今は大切にしたかった。

 

貴女の幸せがいつまでも続きますように。

貴女の目の前から私が消えて、この時間の記憶が薄れても
ずっとずっと貴女が幸せでありますように。

 

何度別れを繰り返せば神様は私を許してくれるんだろう。

 

恐れていた日は突然やってきた。

 

フェリーで逃げろと言うおかみと文治の気持ちを汲んで、
希和子は薫を連れて港へ急いだ。

 

そして

2人は港で引き離されたのだった。

 

泣き叫ぶ薫を見ながら、希和子も叫んだ。

 

その子は・・・・・・・

 

  。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 

恐れていた日はついにやってきた。

薫はその時、引き離される寸前までその人の手の温もりを覚えていた。

しかし、その人が何を叫んでいたのか、ちっとも覚えていないのだった。

 

そして、薫は涙の枯れた子供になった。

 

この日が来る事は解っていながらも、引き離される場面に
とにかく呆然としてしまった。

あんな引き離し方、あっていいんだろうか。
子供はこの女を母だと信じて生きてきたのに。

 

ずっとずっと幸せでいて欲しい。

と願う希和子だったけれども、幸せでいられるわけがない、とは
思わなかっただろうか。

 

実の親の方は全く描写がないので、どういう気持ちで
5年もの日々を過ごしてきたのか全く伝わらない。

 

しかし、大人の都合で出生を呪われ、大人の都合で攫われて、
親と信じた人と引き離されたこの子供は、ちっとも幸せになど育っていない。

 

希和子の独白は、ポエムのようで、見ている方の心に染みいる。
この2人にずっと一緒に居させてあげたいと、つい願ってしまう。

でも、見方を変えれば、誘拐犯の勝手な思いこみとファンタジーとも言える。

 

普通に育っていれば、この子供も当たり前の幸せの中で
当たり前の幸せを見いだして生きていたかも知れないのに。

 

深く考えれば、希和子にも産みの親にも
同情出来ないこのストーリー。。。

 

一番の犠牲者は、この子供なのだから。

 

一匹くらい8日間生きる蝉もいるかもね。

と言う希和子に

 

1人で生き残るなんて寂しい。

 

と言う薫。

 

母と引き離されたこの日、薫は八日目の蝉になってしまった。

 

大人達に、その心を癒すことは出来るのか。

 

答えは最終回。

 

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【キャスト】

檀れい

板谷由夏
津田寛治

北乃きい
岡田浩暉

あき竹城
京野ことみ
坂井真紀

藤田弓子
岸谷五朗
左時枝
吉行和子 

 

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コメント

  1. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >ついつい希和子目線でずっと親子でいさせてあげたいと思ってしまうのですが

    >こうやって引き離された結果、涙の無い子になった薫が

    >最も犠牲となったのですね。

    つい希和子にどっぷり浸かってしまうように出来ているドラマなので、

    ずっと薫と一緒に。。。と思っちゃいますよね~(; ;)

    でも、これはいけない事なんだと段々気付いてしまった。

    希和子自身は気付いているかしら。

    >二人が再会したときに全てが綺麗な思い出となって

    >薫自身も生きる意欲を持てたらいいですね。

    私もそう思ってます。

    そういう最終回だといいなぁ。

    エリちゃんもお熱が下がったようで何よりです(*^^*)

    お互い、もう寝込まないようにしたいですね~(>_<)

  2. エリ より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >深く考えれば、希和子にも産みの親にも

    >同情出来ないこのストーリー。。。

    >一番の犠牲者は、この子供なのだから。

    そうなんですよね。

    ついつい希和子目線でずっと親子でいさせてあげたいと思ってしまうのですが

    こうやって引き離された結果、涙の無い子になった薫が

    最も犠牲となったのですね。

    二人が再会したときに全てが綺麗な思い出となって

    薫自身も生きる意欲を持てたらいいですね。

    くうママ、元気になりました?

    私も今週は熱が出ないので

    さすが大学病院はエライと思ってるところですわ^^;

  3. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >もっとせっかちに、パンを買わなければ、

    >船に乗ってたら逃げられたかもしれないのに。

    >なんて考えてしまって、ハッとします。

    私もそう思っちゃいましたよ。。。でも、出航前だったみたいだから

    どっちにしろ捕まってしまったでしょうね。

    もし逃げ切れたとしても、いずれは何処かで捕まるでしょうし。

    それでも、一緒にいたかったんですから仕方ないんですよね。

    >ずっと一緒にいたいと希和子は言ってるけど、

    >相手の気持ちは考えてないですよね。

    >希和子の子供ではないのだから。。

    そうなんですよね。

    ドラマにのめり込んでいると、希和子の罪を忘れてしまいそうになる。

    でも、この幸せは、本当はあってはならない時間なんですよね。

    >こんな不倫相手に子供を連れされて、

    >そんな中で夫婦仲がうまくいくなんて思えないし。

    >薫が一番可哀想です。

    夫婦はどうしていたんでしょうね。

    そこは最後まで描かれない気がしますが、そっちサイドで

    もう一つドラマが作れそうですよね。

    >希和子は薫に会うんでしょうか。

    >薫に会ったときの第一声によっては、

    >嫌いなドラマになるかもしれないです。

    本当に、ここまで来ても先が見えないですよね。

    来週はどんな解決なのか、見守りたいですね。

  4. 藤井樹 より:

    SECRET: 0
    PASS:
    ついに引き離される日がきちゃいましたね。

    もっとせっかちに、パンを買わなければ、

    船に乗ってたら逃げられたかもしれないのに。

    なんて考えてしまって、ハッとします。

    誘拐犯の勝手な思い込みとファンタジー、確かにです。

    やっぱり、どう考えても希和子が悪いですよね。

    ずっと一緒にいたいと希和子は言ってるけど、

    相手の気持ちは考えてないですよね。

    希和子の子供ではないのだから。。

    そもそも不倫が外れていますからね。。

    本当の両親側の話がなかったですけど、

    母親はパニックになってたと思うし、

    鍵をかけてでなかったことも後悔しただろうし。

    こんな不倫相手に子供を連れされて、

    そんな中で夫婦仲がうまくいくなんて思えないし。

    薫が一番可哀想です。

    本当の親なのに、きっとこれから馴染むまで時間がかかるし。

    涙の乾いた子供になったって、4年は長いですよね。

    希和子の勝手な行動の何物でもない気がしてきます。

    最終回どうなるのか。

    希和子は薫に会うんでしょうか。

    薫に会ったときの第一声によっては、

    嫌いなドラマになるかもしれないです。

  5. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    じいや、ありがとうなのです。。。

    マイペースで行きたい所なのですが、こっちはともかく映画の方に

    有り得ないほどお返しする物が溜まり、恐ろしくて管理画面にも

    近寄れないほどでございます。。゛(ノ><)ノひぃ~・・・

    そんなテンパった状態で、それでもドラマを見るのは楽しいのですな。

    倒れない程度に頑張ります~^^

    >まあ、誘拐犯に悪気はなくて

    >ただ正気ではなかった・・・

    >無我夢中だった・・・

    >と言われても困りますよね。

    そうなんですよね。。。。

    ドラマの作りは、視聴者にその事をなかなか気付かせてくれないんですよね。

    希和子=ただ悲劇の人のように見えてしまうのです。

    >しかし、五歳の薫はそれなりに

    >幸せだった・・・という恐ろしさでございます。

    >本当に天晴れな設定ですな。

    >犯罪者の子供たちは

    >まあ・・・おおかれ少なかれ

    >そういう宿命におかれているわけですが・・・。

    5才の子供は、どんな状況であれ幸せでなければならないでしょう。

    子供が自ら赤ちゃんポストを求めるような状況でない事だけは、

    薫にとっては救いだったかも知れません。

    しかし、過去が幸せであっただけに、現実を知ってしまった後の

    世界とのギャップは大きかったのでしょう。

    来週は、とにかく薫が救われる最終回でなければ、と思います。

    全ての子供が八日以上夢を見続けられるセミでありますように。

  6. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >こんな可愛い子には、大人になっても笑っていて欲しい。幸せになって欲しい。と想ってしまいます。

    そうですよね~。

    希和子は薫にそう願っているけれども、実際、大人になった薫が

    そうなっていないのは希和子自身のせいなんですよね。

    罪深いです。

    >どんな子どもにも罪はないです。

    >子どもの未来が明るいように祈ります!

    そういうラストを来週どう見せてくれるのか。。。

    納得の行く最終回であって欲しいですね。

  7. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >そうなんだよね。もとはと言えば希和子が始めてしまったことだけど。

    >薫にとってはお母さん以外の何者でもないんだから。

    このドラマを見ていると、どうしても希和子目線になってしまうから、

    希和子が犯罪者なんだと言う事を忘れてしまいそうになるのよね。

    でも、実際は悲劇に浸る資格があるのは、薫だけなんだわ、と思う。。。

    >最終回で薫がどんな道を選ぶのか、怖いような楽しみなような・・

    >じっくり見守りたいと思いますわ。

    私は救いのあるラストになるんだと信じてる。

    希和子は薫に詫びなければならないし、本当に愛していた事も

    伝えなくてはならないよね。

    そして薫の中でわだかまっていた物が溶けるといいなぁ。。。

  8. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >考えさせられるよね。

    >さらわれた夫婦はどうしているのだろうと・・・・

    このドラマだと全く語られてこないので、どうしてるんだろうと

    想像する余地さえ与えられないよね。

    原作では、どういう描写なんだろう。。。とか、

    もっと上手く処置されているんだろうか、とか、色々と考えるわ。

    ドラマが終わったら、ぜひ原作を読んでみたいです。

    >本の中で

    >すとん

    >という表現が出てくるんだけど

    >まさしくそれなんだよね

    >それが来週いかにテレビで表現されるのか楽しみです。

    それを聞いたら、ますます楽しみになってきたわ。

    最終回も、原作も^^

    原作ファンは多いみたいなので、ファンが納得出来るラストだと良いね。

  9. キッドじいや より:

    SECRET: 0
    PASS:
    ご無理は禁物ですぞ。

    マイペースでお願いします。

    思い出してごらん

    五つの頃を

    手放しで泣いてた

    五つの頃を

    という中島みゆきの歌をふと思い出しました。

    それまでの短い人生を

    全否定された五歳児・・・。

    まあ、残酷とはこのことですな。

    まあ、誘拐犯に悪気はなくて

    ただ正気ではなかった・・・

    無我夢中だった・・・

    と言われても困りますよね。

    しかし、五歳の薫はそれなりに

    幸せだった・・・という恐ろしさでございます。

    本当に天晴れな設定ですな。

    犯罪者の子供たちは

    まあ・・・おおかれ少なかれ

    そういう宿命におかれているわけですが・・・。

    それでも生きていかねばなりませんからな。

    それが人類百万年の歴史というものですし~。

  10. マママゴ より:

    SECRET: 0
    PASS:
    薫ちゃんが可愛くて・・。

    赤ちゃんの時も物凄く可愛かったけど

    この子役の薫ちゃんも可愛いです。

    こんな可愛い子には、大人になっても笑っていて欲しい。幸せになって欲しい。と想ってしまいます。

    今の薫は幸せなの?

    妻子の居る人の『子ども』を産むことがどんなことになるのだろう?

    っていうか・・妻子のある男と付き合っても虚しいーー

    男ってずるいよね?

    そう想った。

    どんな子どもにも罪はないです。

    子どもの未来が明るいように祈ります!

  11. きこり より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >一番の犠牲者は、この子供なのだから。

    そうなんだよね。もとはと言えば希和子が始めてしまったことだけど。

    薫にとってはお母さん以外の何者でもないんだから。

    それなのに突然引き離されてしまって、薫がどんな苦しい思いに耐えて生きてきたのかと思うと・・

    恵津子との関係だって、急にお母さんって言われても薫が受けいれられる訳ないし・・

    お互い苦しいと思うわ。

    最終回で薫がどんな道を選ぶのか、怖いような楽しみなような・・

    じっくり見守りたいと思いますわ。

  12. SECRET: 0
    PASS:
    考えさせられるよね。

    さらわれた夫婦はどうしているのだろうと・・・・

    先に本を読み終えました

    考えさせられましたよ

    くうさんも是非読んで欲しいと思いました

    本の中で

    すとん

    という表現が出てくるんだけど

    まさしくそれなんだよね

    それが来週いかにテレビで表現されるのか楽しみです。

  13. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >まずは体調が回復されたようで何よりでございます。

    ありがとうございます~(; ;)

    でも、仕事には行ってたんですよ~。

    寝込んだり仕事行ったり寝込んだりの日々でした(__)

    >作品に関して、つきつめて考えれば

    >これはもう希和子の身勝手な行動が全ての元凶であり

    >子供には罪はないのですが

    でも、希和子の独白からは、希和子に罪の意識がちっとも

    感じられないんですよね。。。

    ただ薫と一緒にいたいと言う自分の願いだけ。

    なんか、本当に夢見てるような日々だったんでしょうね。

    捕まって、夢から覚めて、希和子にどんな感情が生まれるのか、

    それも知りたいです。

    >5歳の薫が語ったように

    >母親がいなくなった世界は

    >薫にとって「八日目の蝉」だったんでしょうね。

    1人だけ置いてけぼりの孤独な世界だったでしょうね。

    最終回では、きっと希和子に会うのでしょうが。。。

    救われると良いですよね。みんな。

  14. ikasama4 より:

    SECRET: 0
    PASS:
    まずは体調が回復されたようで何よりでございます。

    作品に関して、つきつめて考えれば

    これはもう希和子の身勝手な行動が全ての元凶であり

    子供には罪はないのですが

    それだけに子供だけは傷ついてほしくない

    今を壊してあげたくないと思ってしまいます。

    5歳の薫が語ったように

    母親がいなくなった世界は

    薫にとって「八日目の蝉」だったんでしょうね。

    ここからどうなるのか

    最終回の答えが楽しみです。

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