【幽かな彼女(かすかなかのじょ)】第9話 感想

京塚さんは自分が嫌なやつだってちゃんと認めてました。
窪内先生も自分が弱いってことはちゃんと。

結局一番弱いのは私だったんですね。

自分が弱いって認めたくなくて。
どんなことにも向き合わないように逃げて、人をばかにして、否定して。

私…もっとちゃんとした大人になりたかったです。

幽か(かすか)な彼女　第9話

 

　　　　　　

アカネが行方不明になった。
吉岡たちの力も借りて必死になって探し回る暁。

そこへ職員室からの呼び出しが入る。

 

一方、窪内のパソコンから不審なデータを見つけ、生徒の個人情報流出を疑っていた河合は、
理科準備室に入ってきた窪内と鉢合わせ。

一緒にパソコンを覗くことになる。

パソコンの中にあったのは、アメーバピグのような仮想世界。
アバターには生徒たちの名前が付いている。

何なんですか？それ。

あぁ～あ。いじめになっちゃうな、こりゃ。

アバターたちを見ながら何やら調整していく窪内。

 

あぁ…学校だよ。僕が管理してる。

学校？

市販のシミュレーションソフトをベースに作ったんだ。
実際の生徒のパーソナリティーをキャラに組み込んで指導していく育成ゲーム。

実際の生徒のって…。
じゃあ、あれは…。

あぁ。生徒のデータ資料を見られたっけ。
最近の子はブログやらプロフで情報だだ漏れだし。

生徒の個人情報を悪用してたんじゃないんですか。

それが心配で探りにきたの？もうすぐ辞めんのに？

私だって犯罪をほったらかしにするほどダメ人間じゃありません。

ふ～ん。
あっ、またダメか京塚は。
リセットしないと。

京塚って？

いじめられっ子は、ずっといじめられっ子なのかもなぁ。

いじめられっ子？

パソコンの中の「京塚リサ」を見つめる河合。
リサの周りには誰も居らず、1人ぼっちだった。

 

矢沢を刺したリサはそのまま家に帰り、母親に「後始末」を頼んだ。

得意でしょ？

学校では矢沢の無事を確認した後、霧澤は関係者を全員話も聞かずに家に帰した。

いつもならそんな事はない霧澤の一方的な態度を不審に思う暁。

 

アパートに帰ると、いつの間にかアカネが側に居た。

おい！

やっぱり気が付きました？

お前、何してんだよ。
つうか、いきなり学校からいなくなるし、吉岡のおっさんはお前の気配が消えたって言うし
その後さんざん捜し回ってもいないし…。

 

ドアから自由に出入りして見せるアカネ。

私、出入り自由になったんです。
つまり地縛霊から浮遊霊にリニューアルってことで。

リニューアルって、何でいきなり…。

その意味に気付く暁。

お前やっぱり、生きてた時の記憶…。

思い出しました。全部。
でもまだ成仏できませんでした。

だからとりあえず、この問題は保留ってことで。

保留って。

今は、それより大事なことがあるじゃないですか。
まずは先生のクラスのいじめをどうするかですよ。

 

翌日、暁たちの前に教育委員会の轟木が現れる。霧澤が呼んだらしい。

今回のことはただのいじめではなく、れっきとした傷害事件です。
矢沢さんの意向で警察への通報はしませんでしたが、教育委員会に伏せることは
できませんので。

京塚リサは保護者と一緒に呼び出してあると言う。
暁には霧澤の厳しい態度の理由が解るような気がした。

霧澤にはアカネとの過去がある。
一線を超えた生徒を許せないわけが。

 

リサは1人で学校に現れ、いつものように教室へ入って行った。
驚くクラスの生徒たち。

何？朝っぱらからジロジロ見て。

何って…。

今日、舞は？休み？

当たり前でしょ。

つうか、何普通の顔して来てんの？

今まで釣るんでいた仲間にはもう垣根が出来ている。
教室中から孤立するリサ。

あんたとつるむとか、もうありえないから。

二度と顔見せんな！

 

霧澤はリサと母親に退学通告を下した。

暁はせめてリサの気持ちを聞こうとしたが、リサは何も自己弁護しなかった。

私が悪いことしたんだし追い出されて当然でしょ。
じゃなきゃおかしいんだよやっぱり。

 

リサは小学校の時、学校で酷いイジメに遭った。
トイレで裸にされて写真を撮られた。
公園のトレイで小夜にしようとしていた事。
それは、リサ自身がかつてされた事だった。

イジメていた相手の親はリサの父親よりも立場が上の人間だった。
両親はリサを守らず、リサは転校させられ事は隠匿された。

７８２個。

えっ？

あの日からあんたが私に買ってくれたものの数。
バッグ、服、縫いぐるみ、香水、アクセサリー、靴…。

欲しいもの買ってやれば気持ちが楽になるとか思った？
ちゃんとしつけられるとか思ってたわけ？

りさ…。

疲れたから。
あんたたちのペットやってんの。

 

母親はこんな事件を起こしてもリサを叱らない。
父親はこんな事をしてもリサを恥だと言うだけ。

1人部屋に籠って泣く。

アカネはそんなリサを見ていた。

神山先生。
りさちゃんのこと、助けてあげるべきです。
彼女、すごく孤独なんです。
お金持ちなのに誰からも守ってもらえなくて心が凍えそうなんです。

いや、私、彼女のこと見てると…。

渡辺淳也のこと思い出す…か？

記憶、戻ってんだろ？自分が死んだ理由も全部。

あっ…。

副校長から聞いた。

この部屋に住んでた政治家の息子。
お前が担任してたクラスの渡辺淳也って生徒が、逆恨みでやったことだって。

 

自分が呼びだしたせいで茜先生が死んでしまった、と霧澤は暁の前で涙した。

だからこそ、霧澤はリサの暴力を許せない。
これ以上、被害者を作れないという考えが心に根付いているのだ。

それを聞いて、アカネは「馬鹿」と言う。

ばかですよ。そんなこと考えてるなんて。

何でだよ。
副校長は お前が死んだことでず～っと…。

生きてる人には深刻なつらい悩みかもしれません。
でも当事者の私にはそんなの死ぬほどどうでもいいことです。

死ぬほどって…実際、死んでるし。

だから、正しいことができるかどうかは生きてる人たちにかかってるんじゃないですか。

正しいことって何だよ？

 

罰することより正してあげることです。
責めることより救ってあげることです。
神山先生。

 

クラスは完全にリサの悪口で溢れていた。

興味を持ち、はじき、悪口を言う。
その中心になっているのが、あんなにリサと釣るんでいた連中。

まだリサはクラスメートなのだから、と言う暁に彼女たちは言うのである。

じゃあそのクラスメートに伝えといて。
さんざん好き放題やってくれたけど、お前のことなんて友達だと思ったことなんて
ないしって。

後、「さっさと死ね」も追加で。

 

リサの家に家庭訪問に行くと言う暁を止める河合。

行ってどうするんですか？
意味ないと思いますけど。

行って向かい合うことが大事なんじゃないですか。
行く意味はその後についてくるものです。

河合先生も、そろそろそのことに気付くべきだと思いますよ。
教師を続けるにしても、辞めて何か新しいことを探すにしても、ずっと傍観者では
いられませんから。

 

3年2組の生徒たちは傍観者ではなかった。
彼らは自分で動き出す。

香織は、リサの事を「死ね」と言った下川に声をかけた。

さっきのさ、ひどいと思うよ。

はっ？

京塚さんのこと死ねって。
そういうのって思ってても言っていい言葉じゃないと思う。

俺らも同じこと思ってたけど。

何がよ？

手のひら返し過ぎだろ。
ずっと京塚とつるんでたくせに。

つうか、あんたら関係ないでしょ。

私は関係ある。

と小夜。

私のことターゲットにしたの京塚さんだけじゃなくてあんたたちみんなでしょ。
それって、いじめのターゲットが変わっただけじゃない。
私から京塚さんに。

加害者ならいじめていいの？
理由があればハブいてやられたらやり返すって当たり前なの？

俺らさ、いつまでこういうこと続けんだよ？

 

河合は、理科準備室の窪内に話をしに行った。

 

今は悪いことしたやつは未成年でもすぐに曝されちゃうからね。
まあ曝してる連中も正義の味方じゃないけど。

で、用件は？

こないだ言ってましたよね？
京塚りさのこと誰かが助けてやればいいのにって。

それが？

窪内先生にその気はないんですか？

ない。無理。

はぁ？

向き合ったら責任取らなきゃいけなくなるでしょ。
僕はさ、きれい事言うのは嫌いじゃないし、教師って仕事に愛着もある。
でも…とにかく弱虫なんだよね。

だったら何で…。

逆に聞くけど、何で辞めるわけ？

はっ？

京塚りさのことが気になっていらいらしてる。
知っちゃったからね。彼女にもちゃんと血が通ってるってこと。

やる気になればできるんじゃない？いい先生。

…少なくとも僕のシミュレーションではそうだけど。

パソコンの中のアバターを示す窪内。
生徒の真ん中で笑っているアバター。

これ、私ですか？

うん、そう。

キモいんですけど。

自覚してる。

私は…。

 

　　※※※※※

 

※文中↑の「京塚りさ」を「リサ」と表記してあるのは、打ち間違いではなくワザとです。
ひらがなだと、とても読みにくい事になるので…。

 

今日は、ここまでの流れが好き。

京塚りさの闇と、解決。
そして、河合先生気づきの回。

でも、どちらかと言うと河合先生の覚醒の方が大きかったかも。

 

このクラスは、大丈夫だと思えた。
ちゃんと自分たちで気づく。

同じことを繰り返しているだけで、それが決して楽しいことではなく傷つく人間を
増やすだけだということに。

そういう正しい生徒がいる事に救われる。
まだ中学生。
この先も、ずっとこのままでいてくれるといいな。

 

窪内先生がこんなに大きなウェイトを占めてくるとは思わなかった。

パソコンの中に作っている仮想教室もね、決して好奇心や遊びだけでやっているわけではなく、
「きれい事言うのは嫌いじゃないし、教師って仕事に愛着もある。」
と言う言葉に救われる。

 

アカネの心の広い事。

刺されて死んだというのに、恨むどころか心配している。
そして、また同じような生徒を救おうとしている。

アカネの存在が暁の教師としての姿勢を正しくさせる。

浮遊霊になってしまったというのは、居なくなってしまう予感でいっぱいだけど…。

 

この後…。

居なくなった京塚りさを皆で探しはじめる所はちょっと…う～ん…

あ、やっちゃうんだ、それ～？

と、思ってしまった…。

幽霊大活躍の流れも、ちょっとここでやらなくても～…。

 

今までね、わりと幽霊パートは癒しのコメディとして、教育パートはシリアスで、上手く
分散されて処理しているドラマだと思っていた。

だから、少し残念だった。

別に生徒みんなでリサを探さなくても…とも思った…。
そういうのって…みんなで夕日に向かって叫ぶくらい恥ずかしい…。

河合先生がリサを見つけるだけで十分だったかと。

 

死んじゃだめ！

死んだら負けなんだよ。
関係ないやつらがいじめっ子を懲らしめてくれてもあんたが死んだら何の意味もないんだよ！

生きてなきゃ意味ないんだよ！
どんなに苦しくても、つらくても、生きてなきゃ意味ないの。

 

…のセリフも、私的にはちょっと足らなかった。

その「意味」が欲しかったの。
私だったらそうじゃなければ納得できない。

 

ただ、河合先生自身が発展途上だから…
「意味」なんて解らず、一生懸命諭しているんだろうなぁ…

と、思えば納得はできるかな。一応。

 

このセリフよりも、自分を抱きしめる存在がいる事。
大切に思ってくれる存在が要る事。

それがリサを救ったのかもしれない、と思う事にした。

 

リサから「ありがとう」と言われて、霧澤から言われた言葉を思い出す河合先生。

「たった一度だけでいいので、心の底から「ありがとう先生」と生徒に言ってもらえることを
　していただけませんか？」

 

この言葉を貰って、自分は自分から目を背けて逃げて生きてきた事を知る。

退職願を破く河合先生が良かった。

 

留学なんてさせないでください。
京塚さんを僕のクラスに戻してほしいんです。

京塚さんを僕と僕のクラスの生徒たちに救わせてください。

神山先生のこの言葉が良かった。

「僕に」じゃなくて「僕と僕のクラスの生徒たち」なんだよね。

自分が育てた生徒たちに対する信頼と安心感。

本当にいい先生だ…。

 

最近見た映画で『デタッチメント』という学校を描いたものがあって、その中で同じような
事が語られている。

「学校は、子どもを育てる資格のある大人を育てなくてはならない」

こういう事だよね。
子どもを育てられない親が子どもを生み、教育を学校に押し付け、子どもも教師も
学校も悲鳴を上げている。

でも、その映画では何も解決せずに終わってしまうのね。

 

このドラマではどうなるのか。

 

そして、暁は教育委員会からクビを言い渡されるらしい…。

え…神山先生って何か悪いことしましたか？

教師が主役のドラマにしては、全く熱血でもないし、いつも静かに正論を言って
くれているだけだけど。

クラスで何か問題が起きたからって、明らかに教師自体が暴力や凶悪な事をしない限り、
クビはありえないでしょう。
だって、公立だよね、ここ…。

 

そういう流れは要らなかった気がする…んだけど、そういう方向で最終回に向かうらしい。

 

いやぁ…せっかく今まで丁寧に描いてきたんだから、あまりステレオタイプな事は
しないでいただきたい。

という不安を抱えて次回を待つ～…。

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

姿を消したアカネ(杏)を必死に探す暁(香取慎吾)。
そんな折、りさ(山本舞香)が舞(飯豊まりえ)を刺し、ケガを負わせたと連絡が入る。
暁は現場にいた小夜(森迫永依)らから事情を聞き出そうとするが、和泉(真矢みき)は
生徒たちを帰してしまう。 　

同じ頃、千穂(前田敦子)は窪内(林泰文)が生徒の個人情報を集めていた理由を探ろうと理科準備室に
忍び込んでいたのだが、窪内に見つかってしまう・・・。　

翌朝、和泉からりさの件で報告を受けた教育委員会の轟木(加藤虎ノ介)が職員室に現れた。
和泉は今回のことは「れっきとした傷害事件」だと言い、教育委員会に伏せておくわけには
いかないと話す。
さらに、りさを小原南中学へ復学させようとする暁とも対立する。

当事者の生徒からの話も聞かず、事務的に事態を収束させようとするいつもとは違う和泉の態度に、
暁は違和感を覚えて・・・。

(あらすじは「Yahoo！TV」より引用)

よろしければ→【2013年7月期・夏クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

　　
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【キャスト】

神山 暁 … 香取慎吾
アカネ … 杏
河合千穂 … 前田敦子
林 邦彦 … 北山宏光
大原操緒 … 濱田マリ
岩名清二 … 高嶋政宏
霧澤和泉 … 真矢みき
窪内 満 … 林泰文
日野 衛 … 春海四方

吉岡さん … 佐藤二朗

※3年2組 生徒役

森野小夜 … 森迫永依
重田 誠 … 田口司
中島智也 … 市川理矩
東川 奈々子 … 浅川梨奈
老谷美香 … 中村ゆかり
向井樹里 … 近藤玲奈
遠藤秀人 … 岡田隆之介
小久保 健太 … 澤畠流星
矢沢 舞 … 飯豊まりえ
葉山 風 … 柴田杏花
野本香織 … 荒川ちか
下川千夏 … 関紫優
倉田円花 … 平祐奈
大宮斗真 … 藤原薫
石田 航 … 松井健太
岡本香奈 … 未来穂香
佐藤優香 … 森川真衣
柚木明日香 … 広瀬すず
手嶋健太郎 … 岩橋玄樹
森岡大樹 … 渡辺貫裕
高橋 蓮 … 井上翔
藤江俊介 … 萩原利久
根津亮介 … 森本慎太郎
藤田ともみ … 上白石萌歌
水沢 真由美 … 加藤里保菜
皆川隆雄 … 岡山智樹
京塚りさ … 山本舞香
相田拓途 … 神宮寺勇太
西原 翼 … 佐奈宏紀
田嶋 萌 … 田辺桃子

 

【スタッフ】

プロデュース … 木村淳
演出 … 白木啓一郎、田中耕司、星野和成
脚本 … 古谷和尚

主題歌 … SMAP「Joy!!」

 

公式サイト http://www.ktv.jp/kasuka/index.html

 

 
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