【幽かな彼女(かすかなかのじょ)】第8話 感想

信じます。

信じるって何を？

生徒を。
自分が、生徒たちのためにやってきたことを。

子どもの問題を大人の手だけでどうにかしようとする事が、間違いなんですよ。
大事なのは、大人が見守っている事で子どもの心の中に勇気を生む事じゃないんですか。

 

幽か(かすか)な彼女　第8話

 

　　　　　　

 

「持ち回り」「持ち回り」
「つまりこの「ハブく」という行為は、転々と持ち回りのようにターゲットを変えていくのです」
「この段階ではまだイジメとはいえません」
「ですから、大人や教師が介入すると、このように本当のイジメに発展してしまうこともあるので…」

 

テレビで教育番組を夢中で見ているアカネにスイッチを消しながら言う暁。

まだ途中ですよぉ。

うるさい。
っていうか、なんでそんなに脳天気なんだよ。
新しい手掛かり見つけたのに。

暁が辿り着いた真実は、この部屋には政治家が手に負えない息子を1人で住まわせていた事。

二十何年前に中学生って事は、今だいたい40前後ってことだろ。
それなら霧澤副校長と同年代だ。
「知りあい」って同級生ってことかもな。

もしそうなら、お前の教え子…かもな。

ここに住んでいたのが私の教え子だとして、何で私はこの部屋の地縛霊に
なっちゃってるんでしょう。
この部屋に住んでたわけでもないのに、変ですよぉ、それ。

だから、それを調べようとしてるんだろ。

 

すると、なぜかアカネは興味無さそうに言うのだった。

別にいいです。
そんなに頑張らなくても。

 

真面目に考えろよ。
記憶取り戻したくないのか。

 

そしたら…成仏しちゃうかも知れませんよ。

記憶が戻って未練が無くなったら成仏してここにいられなくなるって事じゃないですか！？

私、もっと色んな場所へ行ってみたいし。
もっと色んな服も着てみたいんです。

だから、これからも、誤魔化し誤魔化しやっていきましょうよ。

 

それはアカネの本音ではないように思える。
暁は複雑だった。

アカネに居なくなられるのは困る。
しかし、真実は知りたい。

 

翌日、副校長は教育委員会の会議で外出だった。

聞きたい事が聞けぬまま、ホームルームに向かう暁。

今日は文化祭の実行委員を決める日だった。
クラス委員と言っても体のいい雑用係だ。
だれも引き受けたい者はいない。

くじ引きになろうという時、矢沢が手を挙げた。

じゃあ、森野さんを推薦します。

下を向く生徒、驚いたような顔をする生徒、にやつく生徒…。

何となく変な空気の中で、暁は小夜に尋ねる。

 

矢沢さんから推薦を貰いましたが…森野さん。

…やります。

 

京塚りさが嬉しそうに笑っている。
根津はアッサリ委員を引き受けた小夜の後ろ姿を見ながら嫌な予感に顔を曇らせた。

 

暁は放課後、校長に過去の資料を出してもらうようにお願いする。
すると、校長は霧澤先生の資料が見たいのかと聞いてくるのだった。

霧澤和泉は、やはりこの中学の生徒だったらしい。
3年の途中で転校し、卒業生でない、と校長は言う。

しかし、暁の予想は確信に変わっていた。

たぶん、副校長はアカネを知っている。

 

一方、小夜はあれ以来、休み時間の度にりさ達に机の周りを囲まれていた。

会話の内容はたわいない女子のお喋りに聞こえる。
しかし小夜はひと言も口を開いていない。

小夜の周りで勝手に盛り上がる女子たちと、にやつきながらその中心にいるりさ。

その光景は誰が見ても異様だった。

クラスのみんなはその重苦しさに気づいていた。
しかし関われば自分たちも何をされるか解らない。

積極的に関わる人間は誰もいなかった。

 

暁がアパートに戻ると、外で根津が待っていた。
根津は小夜の事を相談しに来たのだ。

小夜がイジメに遭っていると聞いて、アカネは気色ばんだ。
それを抑えて根津に尋ねる暁。

それって確かなんですか？

普通に話してるだけだけど、面倒くさそうだしさ。

…それだけじゃ…。

しかも、不自然なんだ。
今まで話した事も無かった連中が、急にあんなつるみ始めるなんて。

まぁ…文化祭のクラス委員決める時も、少し気になりはしたんですが…。
それで、本人は何て？

別に何も。
でも、あいつ、人付き合い苦手でガキの時から大体1人でいたからさ。

それでも…根津さんとは仲いいんですよね？

根津は言葉を濁らせる。

 

あんた、前…幽霊とか信じないって言ったよな。

暁を見て笑うアカネ。

別にオレも信じてるわけじゃないんだけど、1回だけな。

 

以前、ケンカの仕返しに行った時に、小夜は根津を待っいて、ポケットにメリケンサックを
忍ばせていた根津に「そんな物は使ってはいけない」と言ったらしい。
そして、メンバーの内の1人はナイフを持っていると教えてくれた。

「ご先祖さまからの警告」

そうして助けられてから、根津は小夜が気になり始めたらしい。

 

ホントはこういうの、教師にチクったりしちゃいけないんだ。

でも…

もしかしたら、あんたのせいかも知れねえし。

 

小夜がこうなった原因は、りさに暁のアパートから出てくるところを隠し撮りされて
脅されているからだった。

思い当たるだけに、暁も真剣にならざるを得ない。

 

小夜はカラオケに連れ込まれて、文化祭の出し物のために集金する金を取って来いとまで
言われている。

写真をばら撒かれたら暁に迷惑がかかる。
八方ふさがりの小夜。

 

神山先生、気付いてます？
ウチのクラス、ちょーやっばいですよ。

と、楽しそうに言う河合。

ないと思います。対策なんて。
ああいうのって持ち回りですから、下手に動くとほんっっと悲惨な事になりますよ。

だからって…何もしないのは無責任でしょう…。

 

…私、いじめっ子だったんです。小・中・高、ずーっと。
その経験から言わせてもらうと、虐めのターゲットになったら、終わります。

後は耐えるか、逃げるか、しか選択肢ありませんから。
周りは自分の安全のために見て見ぬふりしますしね。

本人だって虐められてるなんて簡単には言えませんよ。プライドがありますから。

 

…じゃあ、どうすれば…。

だからぁ、何もしない方がいいんです。
自分はイジメなんかに気付いてないって顔してればいいんですよ。

もうすぐ辞めるんで、真面目な忠告ですから。

 

カラッとそう言われて、暁は悩む。

授業が終わると、すぐに小夜の机の周りを囲みに来る連中。
1人無言のままで輪の中にいる小夜。
笑いながら小夜を睨むりさ。

まるで、怖がっている小動物をつつきまわすハイエナの群れのようだ。

暁は教室を見回す。

他の生徒はその異様な輪を見ていない。
いや、見ていない振りをしている。

暁は黙って教室を出た。

 

小夜が連中に小突かれながら教室を出てから、相田は香奈に声をかけた。

なぁ、岡本。
もしもオレがターゲットになったら、お前オレをハブる？

驚いて相田を見つめる香奈。

俺は、お前がそうなっても、たぶんお前をハブらない。

柚木は？

あたしは…。

答えに詰まる明日香。

相田は手嶋を見る。

立ち上がる手嶋。

ともみも、石田も、香織も…そして、根津も。

みんな立ち上がった。

 

暁が職員室に行くと、霧澤に呼び出される。

暁が60年辺りの小原南中の生徒の資料を見たがっている事を知ったからだった。

副校長に伺いたい事があります。
滝沢茜先生のことです。

 

霧澤は言った。

どこかで予感がしていたような気がするんです。
いずれ貴方に滝沢茜先生の事を話す日が来るような予感が。

1枚の古い写真を暁に渡す霧澤。
その中心にはアカネが笑っていた。

滝沢茜先生は、私が中学3年の時の担任です。

 

担当教科は英語で部活動は合唱部の顧問。
生徒思いの熱血教師。

クラスの不良グループに虐められて不登校になった霧澤をアカネは勇気づけていたらしい。

「先生、きっとあなたの力になる。時間は一瞬。出会いは一生。」

そう言って手を握ってくれた。

私だけではなくて、みんなにとって最高の教師でした。

 

それは、渡辺という生徒にとってもですか？

その名前を聞いて、霧澤は驚いた。
そこまで暁が知っているとは思っていなかったようだった。

 

私のせいなんです。
…私のせいで、茜先生は命を落としました。

 

話を聞いて学校を出る暁。

渡辺に刃物で脅されて、霧澤はアカネを夜の教室に呼び出した。
そして、アカネは渡辺に刺されたのだ。

事件があったのはアパートではなくて教室だった。

 

吉岡さんと屋台で飲んで帰ると、アカネは小夜の事を聞きたがる。

 

正直恐いしな。
同じ失敗をまた繰り返したら。
虐めが酷くなったらって。

お前ならどうする。こういう時。

ちょっと考えてから答えるアカネ。

信じます。

信じるって何を？

生徒を。
自分が、生徒たちのためにやってきたことを。

子どもの問題を大人の手だけでどうにかしようとする事が、間違いなんですよ。
大事なのは、大人が見守っている事で、子どもの心の中に勇気を生む事じゃないんですか。

それでも不安だったら、私が付いて行ってあげます。
教室で小夜ちゃんの事を見ていてあげます。

そうすれば、なにかあってもすぐに知らせに行けるでしょ。

暁は笑った。

 

勇気。

え？

お前が俺にくれた。

それはお互い様です。
いつか全部取り戻すまで、ずっと側にいますから。

 

翌日、暁はアカネを連れて教室に入った。
生徒を見渡して話し出す。

 

今日はまず、みなさんにお話ししたい事があります。

今、このクラスにイジメがあるみたいです。

それは、解りやすい暴力とか無視するとかじゃないみたいなんで、見て見ぬふりが
できる事なのかも知れませんけど、やっぱり人が嫌がる事をするのは間違いだと
僕は思うので…。

 

一番後ろの席から、突然突っかかってくるりさ。

嫌がってるっていう証拠でもあんの？

みんながうつむく。

じゃなきゃイジメかどうか解んないじゃん。

 

それは…。

この教室にいるみんなが一番よく解っているはずです。

次は自分がターゲットになるかもしれない。
自分の安全を確保したくて他の誰かが嫌な目に遭ってもそれをただ傍観している。
それも、僕はイジメだと思います。

その事を皆さんにちゃんと理解してほしいんです。

このクラスで今起きている問題は、僕には解決する力がないかも知れません。

それでも僕は…

みなさんの事を担任としてちゃんと見ていようと思っています。

 

アカネの顔が満足そうに輝く。

教室の生徒たちには確かに何かが伝わったように見えた。

 

暁が教室を出てから、早速、小夜の机を取り囲むりさたち。

 

森野さん、ちょっと付き合ってよ。

やめろよ、もう。

相田がついに声を出した。

 

なに？
ウチら普通に仲良くしてるだけなんだけど。

森野さん、嫌そうに見えるから。

ケンカ売ってんの？

 

つうか…

根津も声をかけてきた。

 

嫌がってんの解ってんなら性格悪いし、解ってねえなら頭悪いだろう。
お前ら。

 

先生、俺たちのの事、見ててくれてるしさ、せっかく同じクラスなんだから
ギスギスしたくないし。

 

声をかける香奈。

りさ…。

香奈。あんたもそっち側なの？

 

気づくと多くの生徒が立ち上がってりさを見ていた。

「勇気」は、確かに伝わった。

 

　※※※※※

 

本当にもう…切なくて。

アカネの過去が少しずつ蘇ってアカネの前に顔を出し、それと同時に映される小夜の苦難。

虐められる理由なんてない。
でも、確かにどんなに苦しくても他人にはきっと話せない。

河合先生が言っていたようにプライドがある。
噂が妙な尾ひれを付けて伝わる恐さもある。

無言の小夜を囲む気持ち悪い女生徒の集団の不気味さは見ているだけで重かった。

あんなブラックホールみたいな物を教室に抱えながら、それでもみんなは見て見ぬふりをする。

それって現代の学校のイジメ…ってだけの話でもないだろうな～と思った。
たぶん、教室の中の気持ち悪い空間はどんな世代でも体験しているんじゃないだろうか。

いや、学校じゃなくても。
職場でも、あるいはPTAでも近所でも…。

見て見ぬふりは至る所で行われているだろう。

 

それを救えるのは大人じゃない、他人じゃない。

見て見ぬふりをしない「勇気」。
そのための教育を行ったはずの生徒を信じたいと言うアカネ。

 

そして、実際に神山学級は、ちゃんと動き出した。

神山先生が何も言わないうちから、生徒たちはきちんと自覚し、背中を押されたことで勇気を貰った。

みんなが立ち上がるシーンに掛かる主題歌「Joy!!」。

泣いたよ…。

 

でも…

ここに主題歌が来たのは、この歌をいつものようにラストに持って行けなかったから。
あの終わり方では「Joy!!」は流せない…。

 

ここからの流れは息をのんで見てしまった。

 

合唱部の歌声に引かれて、アカネは過去に飛んでしまった。

刺された後、震えながらアパートに籠る渡辺を抱きしめて慰める茜先生。
この時から…アカネはここに住むようになったんだ。

アカネが待っていたのは渡辺淳也だったのかも。

自分を刺して震えている生徒のその後が心配で。
自分を呼び出してしまった霧澤和泉が心配で。

それが心残りでアカネは地縛霊になった。

死んでも生徒の事を考える熱血教師…。

真剣な眼差しも慈悲深い眼差しも、暁の前で見せる明るい笑顔も、全部が
この人の資質だった。

暁は居なくなったアカネを探し続ける。

もうね…本当に何もかも解りあってる夫婦のようだから。
帰ってほしくない。いつまでも一緒に居てほしい。

空の憑代を持って途方に暮れる暁が切ない。

…でも…だからたぶん、アカネは過去に引かれてアパートに戻っているんだと思うんだけど…。

 

そして、自分も虐められていた過去を持つりさ。
この子の闇も深い。

虐められていた事は誰にも言えず、解ってくれない親に苛立ち、自分がされたことを
次々とターゲットに返す。

憎らしいよりも痛々しいよね。もう。

だって、すでに周りの方が引いちゃってる。
すでにクラスで外れてるのは自分の方になっちゃってるよ。

だから…もしかしたら、河合先生も？

虐めてたんじゃなくて、逆なのでは…と、ちょっと思った。

 

その河合先生は、パソコンで何やら生徒の個人情報を集めているらしい窪内先生の
秘密を探る…この辺はちょっと解らないけれども、この情報のおかげで、小夜ちゃんが
公園で追い詰められている現場を知る事が出来るのでは、と、ちょっと期待してる。

 

なんだか緊張感がいっぱいで。
いよいよこれも大詰めなんだなぁ…そう思うと寂しい。

ずっと神山先生の側にアカネに居てほしいけど、幽霊にそれを望むのは
いけない事なのかなぁ。

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

20数年前、暁(香取慎吾)の部屋に住んでいた小原南中の生徒は、政治家の息子だったとわかった。
暁はそれがアカネ(杏)の教え子で、和泉(真矢みき)はその同級生だったのではないかと考える。 　

翌日、千穂(前田敦子)が退職願を出したことを知り、林(北山宏光)は大ショック。
一方、暁は校長の日野(春海四方)から、やはり和泉が小原南中の生徒だったことを聞く。
その頃、和泉は教育委員会の轟木(加藤虎ノ介)から、27年前に学校で起こったある事件を
突きつけられていた…。 　

同じ頃、3年2組の教室は異様な空気に包まれていた。
りさ(山本舞香)と取り巻きの女子生徒たちが、目立たない存在の小夜(森迫永依)を文化祭のクラス委員
に推薦したうえ、まるでほかの生徒との接触を阻むかのようにつきまとい始めたのだ。　

小夜がイジメられているに違いないと心配する亮介(森本慎太郎)は、助けてやって欲しいと暁に懇願。
小夜が目をつけられたのは、暁のせいかもしれないと話す。 　

りさは、アカネを救うために暁の部屋を訪ねていた小夜と暁の関係を勘ぐり、隠し撮りした写真を
ネタに小夜を脅していた。
金を出さなければ写真を公表すると小夜に迫るりさは、文化祭の委員の立場を悪用し、出し物の
準備のために集めた金を盗んで来いと要求して…。

(あらすじは「Yahoo！TV」より引用)

よろしければ→【2013年4月期・春クールドラマ何見ます？】ラインナップ一覧とキャスト表

　　
にほんブログ村

　　　
　　

 

【キャスト】

神山 暁 … 香取慎吾
アカネ … 杏
河合千穂 … 前田敦子
林 邦彦 … 北山宏光
大原操緒 … 濱田マリ
岩名清二 … 高嶋政宏
霧澤和泉 … 真矢みき
窪内 満 … 林泰文
日野 衛 … 春海四方

吉岡さん … 佐藤二朗

※3年2組 生徒役

森野小夜 … 森迫永依
重田 誠 … 田口司
中島智也 … 市川理矩
東川 奈々子 … 浅川梨奈
老谷美香 … 中村ゆかり
向井樹里 … 近藤玲奈
遠藤秀人 … 岡田隆之介
小久保 健太 … 澤畠流星
矢沢 舞 … 飯豊まりえ
葉山 風 … 柴田杏花
野本香織 … 荒川ちか
下川千夏 … 関紫優
倉田円花 … 平祐奈
大宮斗真 … 藤原薫
石田 航 … 松井健太
岡本香奈 … 未来穂香
佐藤優香 … 森川真衣
柚木明日香 … 広瀬すず
手嶋健太郎 … 岩橋玄樹
森岡大樹 … 渡辺貫裕
高橋 蓮 … 井上翔
藤江俊介 … 萩原利久
根津亮介 … 森本慎太郎
藤田ともみ … 上白石萌歌
水沢 真由美 … 加藤里保菜
皆川隆雄 … 岡山智樹
京塚りさ … 山本舞香
相田拓途 … 神宮寺勇太
西原 翼 … 佐奈宏紀
田嶋 萌 … 田辺桃子

 

【スタッフ】

プロデュース … 木村淳
演出 … 白木啓一郎、田中耕司、星野和成
脚本 … 古谷和尚

主題歌 … SMAP「Joy!!」

 

公式サイト http://www.ktv.jp/kasuka/index.html

 

 
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
※FC2にトラックバックが飛ばないブログ＆サイトさま記事リンク(お申し出下さい)
・
・

【幽かな彼女】第1話　第2話　第3話　第4話　第5話　第6話　第7話　第8話