【ATARU】第9話

アタルの好きにさせてください。

チョコザイ君は、今日やっと親子になれたんだ。
なのに、まだ捜査をさせる気か？

アタルには事件現場こそが癒やしなんです。

癒やし？

チョコザイ君の手のひら見てみろよ。
チョコザイ君は事件を解決するたびにストレスを感じてる。

アンタがしてることはただの虐待だよ。

 

ATARU(アタル)第9話

　　　　

蛯名と沢は八王子のチョコザイ@アタルの両親の元に行く。
父は小児科医。

父親は笑顔で彼を迎えたものの、儀礼的。
母親の方は戸惑いの色さえ見せた。

 

「親の育て方が悪いからこんなふうになる。」

それが25年前の発達障がいの認識でした。
それに我々がどれほど追い詰められたか…

しかもアタルはサヴァン症候群の傾向が強かった。
でもそんな症状、まだ一部の専門家しか知らない時代です。
当然、日本には頼れる病院も施設もありませんでした。

と、チョコザイの父は当時を振り返る。

調べた結果、アメリカのノースカロライナに適した施設があることが分かった。
連絡すると、現れたのがラリー井上だったらしい。
それからはチョコザイをその療養施設に預けることになった。

警察の仕事ってどんな仕事かご存じですか？

ええ。捜査に使うデータの管理をしているとか。

両親は、チョコザイがラリーに何をさせられているか、まるで知らない様子。

 

親が見つかったからには沢がチョコザイを保護する理由はなく、実家に置いて帰る。
しかし、いつの間にか

ここが家です。

と、チョコザイは蛯名の家に戻ってきてしまうのだった。

 

一方、時を同じく八王子で幼児の遺体が発見され、沢は現場に急行。
幼児の死因は解らず、しかし、身体のあちこちから虐待と見られる傷跡が見つかる。

母親は、遺体を司法解剖に回すことを極度に嫌がった。

あの子の好きなものを詰めてお山にお弁当を食べに行ったんです。
食べ終わってゴミ箱を探してたら朗がいなくなってて…。
家に戻ったら警察から電話が…。

供述通りの場所に弁当のゴミはあった。
遺体はそこからだいぶ離れた場所にあった。

事故なのではないかと沢は言ったが、野崎は珍しく

いや捨て山じゃない。
あの母親にはきっと何かある。

と言うのだった。

被害者の村井朗は3日前に道で吐気をもようしている所を近所の主婦に発見され、
連れて行かれた八王子市内の小児科医から虐待の通報を受けていた。

小児科医は猪口誠。

沢は事件の通報者としても、チョコザイの父と関わることになる。

 

朗の遺体が眼球とまぶた炎症を起こしていた事をチョコザイはいつものように突き止める。

死因は毒物の可能性が高かったが、弁当から毒物は検出されず、
遺体の傷はどれも古くて致命傷ではない。

 

チョコザイが

シャンシー ＤＡ１０１
シャンシー ＤＡ１０１

と、つぶやくのを受けて調べると、それは中国の家電メーカーの電気ケトル。
遺体にいくつも付いた火傷の痕は、そのケトルでつけられた物だった。
しかし、朗の母親は虐待をあくまでも否定し続ける。

 

チョコザイの母親は、チョコザイに対して負い目を感じていた。

友達の家に行くと、暗証番号からその家の秘密まで全部記憶して
その場で口に出してしまうチョコザイ。

両親はそのせいで何度も近所に頭を下げ、人間関係は疎遠になっていった。

次男を妊娠した時にチョコザイが飼っていたラットの尻尾が切れた所を見てしまった
母は衝撃を受け、お腹の子供に危害が及ぶ事を恐れ…
そしてチョコザイを手放したらしい。

 

沢は蛯名がチョコザイに捜査させることに嫌悪感を感じ始めた。

どんな事件でも私は真実が知りたいんです。

お前のエゴにチョコザイ君を利用するな。

エゴ？

今のお前は、あのラリーって男と一緒だよ。
25年もチョコザイ君を捜査の道具にしてきた男だ。

 

チョコザイが指摘した、朗の遺体の指先から毒物が検出される。

捜査はチョコザイの調べ通りに進展している。

それでも、チョコザイを捜査に使う事を嫌がる沢。

反対に、ラリーは自分はチョコザイのために捜査をさせていると思っているらしい。

猪口家の食卓を囲むことになった沢、蛯名、チョコザイ、ラリー、チョコザイの両親。

 

あなたと食卓を囲むとは思いもよりませんでした。

事件の捜査中じゃないんですか？

あなたがアタル君といるのが不安でしょうがないんですよ。

チョコザイ！

もう、その不穏な空気やめましょうよ。

チョコザイが相変わらずケチャップを吸っている事についても、

 

許してないのよねママのこと。

奥さん、アタルは向こうでも夕飯は食べませんでした。

だったら朝と昼に栄養の取れる物与えるべきだろう。

与えるって何ですか。アタルは動物じゃない。
食べたい物を食べる権利がある。

その結果夕飯食べないってどういうことだ。

やめてください。ご両親の前で。

ウチの医療チームが言うには、この商品に含まれる糖分や野菜や肉のエキスの配分が
開発されたアタルの脳にマッチしている。だからアタルは欲するんです。

まるでロボットのエネルギーオイルだな。

やめてください。アタル君の前で。

チョコザイ！

 

不穏な食卓……。

そんな中で、父は「チョコザイ」について口を開く。

 

ああ、思い出しました。
昔、仲のいい友達が「チョコザイ」って呼んでました。

そうなんですか。

お二人はチョコザイって呼んであげてください。

 

蛯名がチョコザイの好きな物を聞くと、父はお握りだと答える。

学校から遠足への辞退を申し付けられたチョコザイの母は、泣きながらお握りを作った。

「遠足に行ったらね。これを食べるのよ。」
「だから、これを食べれば…遠足になんか行かなくたっていいんだから…」

その日から、チョコザイの夕食はお握りになったのだと言う。

しかし、コンビニのお握りは食べなかった事を沢と蛯名は知っている。

コンビニのおにぎりじゃなくてお母さんのおにぎりじゃなきゃダメなのかも。

目の前で起こる自分の知らないチョコザイの姿に驚くラリー。

 

花が…花がありません。

と、チョコザイ。

沢は、いつもチョコザイの希望で白いカサブランカを飾っていたと両親に説明した。
蛯名が携帯の写真を両親に見せる。

4つの花を付けたカサブランカの写真。

ああ、これ、アメリカでもやってます。
アタルが自主的に始めた数少ない習慣です。

写真を見た父親は目を細めた。

1本の茎にいくつも花をつけるから。

だから4つの花をつけたユリを愛しなさい。

私と妻とアタルとおなかの中にいた介。
その四人を同時に愛せるよう…

そういうフラワーセラピーだったよな。

 

精神の安定を図るために母親が行っていたフラワーセラピー。
4人の家族。

チョコザイがやっていたのは、これだったのだ。

 

だからこだわってたのね。

飾ることで家族と一緒にいたんだよね。この25年間ずっと。

お母さん。

許してないなんてとんでもないです。
恨んですらなかったんですよ。

チョコザイの気持ちを知って、両親は涙を流して遠くへ追いやった息子を見つめた。

 

その時、沢の携帯に野崎から連絡が入る。

猪口家を去る沢に付いていこうとするチョコザイを沢は止めた。

 

アタルには事件現場こそが癒やしなんです。

と言うラリーに、沢はチョコザイの両手のひらの傷を見せた。

アンタがしてることはただの虐待だよ。

 

チョコザイのストレスに初めて気づいたラリー。

そんなはずはない。
私達の25年は…間違ってない。

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

子どもと「虐待」を、事件とチョコザイの両面から追ったストーリー。

無関係のようで、しっかりリンクしている。

事件被害者の母親は子育てが上手く行かず、子供を虐待してしまっていた。
しかし、朗くんが最後に見たのは母親の好きな「桃の花」だった。

正確には、桃の花によく似た夾竹桃。

朗くんはひと気のない焼却炉に興味を覚えて近づき、母親のために摘んだ
夾竹桃を落としてしまった。

燃えた夾竹桃からは毒性の強い煙が発生する。

まぶたが炎症を起こし、毒を吸ったせいで泣きながら山の中を歩き、
力尽きて息を引き取った朗くん。

つまり、朗君の死因は不幸な事故です。
いつも警察が「捨て山」と言ってる事案です。

でも、あなたにとって、決して捨てていい事実じゃない。

その花、桃の花によく似てますよね。あなたの好きな桃の花に。
だから朗君はその花を摘んだんです。

不思議ですね。子供って。
どんなに疎まれても、どんなに嫌われても、
母親が好きなんですから。

 

号泣する母親……。

 

朗くんと同じように、もしかしたらチョコザイも自分を育ててくれたラリーに
愛情に似た恩を感じているのかも知れない。

ラリーが、気付かずチョコザイにストレスを与え続けても、
チョコザイはラリーを喜ばせるために事件解決に尽くす…。

それを沢だけが「虐待」を受けても親のために尽くす子供と同じように
感じていたらしいから……

沢の優しさや繊細さは只者じゃないな、と改めて思う。

 

チョコザイには「恋愛する能力はない」と断言していたラリーだけれども、
ちゃんと人に愛を感じる心は育っているんだよ。

それは、蛯名に対しても同じかも知れない。

蛯名を喜ばせたいから捜査に協力する。

手の平から血を流しながら。

 

何だか、ラリーが普通に良い人に思えてしまった回だった。

でも…

犬飼の事があるから、うっかり「良い人だ」とも言い切れないんだけど。

 

ラリーにとって、「アタル」はロボットなのか。子どもなのか…。

 

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【キャスト】

チョコザイ … 中居正広
沢 俊一 … 北村一輝
蛯名舞子 … 栗山千明

蛯名 昇 … 玉森裕太
蛯名達夫 … 利重剛
蛯名真理子 … 奥貫薫

中津川 洋治 … 嶋田久作
渥見怜志 … 田中哲司
野崎蓮生 … 千原せいじ
犬飼甲子郎 … 中村靖日

松島光輝 … 庄野崎謙
石川 唯 … 光宗薫
黒木永正 … 中村昌也
玉倉 孝 … 三好博道

猪口誠 … 市村正親
猪口ゆり子 … 原日出子
ラリー井上 … 村上弘明

【CASE09 ゲストキャスト】

村井今日子 – 森脇英理子
村井 朗 – 黒澤宏貴

 
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