私達はそのために生まれてきたのだから。
だから使命を全うさせるのは当たり前の仕事だ。
たとえそれが私の全てだった男だろうと。
たとえそれが
私から全てを奪った女だろうと。
同じことだ。
最後は
始末するだけだ。
わたしを離さないで 第2話
先週も感想が仕上がらず(1/3くらいは上がってる )1週間経って2話目が来てしまったので簡単感想で。
初回はボンヤリと正体が見えただけだったのが、徐々にハッキリして来るとさらに気持ち悪かった2話目。
初回の冒頭で恭子が行っていた注射や「焼却」は、すでにアレは用済みの外側だけだから始末していたのだと、美和との会話から見えてくる。
前の「提供」が レバーでさ、それから貧血がすごくって。
笑いながらそう言う美和。
そう。
恭子はしごく無表情。
同情もしない。寂しがりもしない。慰めもしない。
彼らにとって『提供』は当たり前のことだから。
当たり前のことだが…
仄かな抵抗はある。
抵抗はあるが逃亡も逆襲もしない。
あきらめているから。
逃げたら、どうなるか知っている。
外の世界に出たら、
「殺人鬼に殺されてスッカラカンになって木につるされちゃうよ」
それを、この人たちは子どもの頃に陽光学苑で見たのである。
サッカー選手になりたくて。
けれども、塀の中は不安がいっぱいで。
あなた達は「ある使命」を負っています。
それは自らの体の一部を提供する…言ってみれば…天使なのです。
恵美子先生からそう聞かされた子どもたちは、純粋に自分たちは「天使」なのだと信じたかった。
けれども、新任教師の龍子先生は、その教えに怒っている。
なぜ龍子先生は怒るのか。
その疑念が不安につながる。
提供ってさ、誰かの命を救えるってことでしょ?
ちょっと痛いかもしれないけど、それってすごくいいことなんだよね?
うん。
死んじゃったり…しないのかな?心臓…取られちゃったり。
まさか! そんなことしたら私達が死んじゃうじゃない!
誰かが生き延びても私達が死んだりしたら意味ないじゃない。
臓器が必要な人のドナーになるために生まれ「させられた」子どもたち。
彼らに「自分たちに自由はなく、もしかしたら死ぬかもしれない」という疑念が生まれ…
2人の子どもが苑から居なくなり、そして、血まみれの靴だけが門に刺さって発見された。
「塀の外の殺人鬼」の証明である。
もちろん、犯人は居る。
犯人というよりも、それは必然。
子供の提供というものがあることを知っていますか?
聞いたことはありますけど…
難病を抱えた子供に対する「提供」はかなり強く望まれる分野です。
ある意味…大人に対するそれよりも強く。
えっ…!?
出したってことですか?
あの子達を提供に出したんですか?
ここにいる子供達はここを出たあとも少なくとも3年間は提供を免れる特権を持っています。
それはなぜだか分かりますか?
陽光の卒業生が知的で従順で自分のおかれた立場に理解があり、よい「介護人」「提供者」になるという実績があるからです。
あなたが理想とされているような自由で大胆、制御のきかない子供達ばかりになったら結果はどうなると思いますか?
脱走を当たり前と思、提供に抵抗する、そんなことになったらどうなると思いますか?
陽光の特権はなくなりここにいる子供達の…命が縮むことになります。
正しくあることが良い結果を生むとはかぎらないんです。
管理するということは、守るということです。
愕然とする龍子。
自分が「自由」を焚きつけたせいで2人の子どもが脱走を試み、その結果、子どもの提供に出された。
本来ならば、たぶんこの苑の子どもたちは「子どもの提供」には出されないのだろう。
見せしめである。
原因を作ったのは他ならぬ龍子だ。
そもそも、こんな人を陽光が採用したことがいけないのだと思う。
自分の立場もここで暮らす子供たちの運命もよく把握せず、同情だけで正しそうなことを言うから。
こうして、龍子も自分の浅はかさを悟り、口をつぐむ道を選んだ。
ここまでで解った事を1話の分も含めておさらい。
・この世界では、臓器提供のための人間クローン製造が当たり前に行われている。
・恐らくクローンは「人間」とは見られず教育も当然受けさせられていなかったが、恵美子はこういう子どもたちにも教育が必要だと提唱。陽光学苑を作った。つまり、「いい花を育てるために音楽を聞かせるといい」「美味しい牛乳を出させるために牛に話しかけるといい」と同じ感覚で。「いい内臓のためには教育を」。
・クローンは当然『提供』の目的だけで作られたものだが、それが公認になっているこの世界でも人間の形をしたものをゴミのように扱うのは気が引けるらしい。だから、クローンたちには「提供」が始まると「介護人」がつく。提供のために作ったものを最期まで世話するには「人間」の精神は耐えられない。だからクローンの「介護人」にはクローンが充てられる。
・教育を受けている陽光学苑の生徒たちは、その「介護人」にも相応しい格を備えている。だから卒業してから3年間は「提供」に猶予が与えられるのである。
原作は未読なので想像の範囲ですが、こんな感じでほぼ正しいと思われます。
人道的にどうなのだ、という話だが、SFなので。
こういう話なのである。こういう世界なので何を言っても仕方ない。
例えば、生きている物は食さないパラレルワールドがあったとして、現実世界について「食べるために生き物を育てるなんて、なんて野蛮な世界なんだ!」と言われたら、でもここはそういう世界だから…と言うしかない。そういう事ですよね。
だから、この世界に生きながら…しかもこの苑に就職しながら、こんなに「自由」だの「残酷」だのと思っている龍子の方が変なのだ。どうして、この人はこんなに抵抗があるのか、むしろ不思議。
「臓器」が人間の形をしていることが心を痛ませるのである。
なぜこんな女を雇ったのか…。
そこに恵美子先生の作為的な物を感じるのね。
クローンたちに教育を受けさせようと決めたのもこの人。
本当は助けたいんじゃないのかなぁ…とも思える。
こんな残酷なことは止めよう、という話になったら、そもそも生まれない子どもたち。
そしてこの世界も通常の世界と同じようにドナーを待つ病人で溢れかえる。
もしも自分の家族がドナーが必要な身になったら…
この世界に憧れるようになるかも知れない。
塀の中の異世界では「人間じゃない者」が痛ましい嫉妬や争いや虐めの中で死んだような心の持ち主へと変わっていく。
人間じゃなくたって。
心があればやる事は同じなのよ。
グレーのボロい服。
それでも、子どもたちは喋り笑い恋をする。
これを可愛いとか可哀想だとか思っちゃいけないと言われても…
思ってしまうよね。
もしかしたら、塀の外にいる「人間」こそが本当に殺人鬼のバケモノかも知れないわけで。
壁の中の小さき人たちの運命を過去に遡りながら見る。
過去への映像は引き潮のように巻き込まれるファンタジー。
青み掛かった学苑の記憶は写真のような不気味な美しさ。
「白夜行」以来、久しぶりに見る暗い冷たい綾瀬はるか。
原作とはだいぶ違うようだけれども、原作と違う方向から「ドラマ 白夜行」という名作を作った森下佳子氏の本領発揮……になるといいな、と思っている。
自分たちは「臓器提供」の為に作り出された「天使」だと知った恭子(綾瀬はるか)達は、それぞれが運命を受け入れ、未来を変えようともがき始める。そんな中、2人の生徒が行方不明になる。
その事件が彼女らの運命を徐々に狂わせていく。
そして大人になった恭子たちに訪れる不協和音。
幼少期に隠された秘密、物語は思いもよらない方向に進み始める。
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
※キャスト
保科恭子 … 綾瀬はるか(子役期:鈴木梨央)
土井友彦 … 三浦春馬(子役期:中川翼)
酒井美和 … 水川あさみ(子役期:瑞城さくら)
花 … 濱田ここね
真実 … エマ・バーンズ
花 … 本間日陽和
広樹 … 小林喜日
聖人 … 石川樹
マダム … 真飛聖
克枝… 山野海
堀江龍子 … 伊藤歩
山崎次郎 … 甲本雅裕
神川恵美子 … 麻生祐未
※スタッフ
脚本 … 森下佳子
演出 … 吉田健、山本剛義、平川雄一朗
プロデューサー … 渡瀬暁彦、飯田和孝
音楽 … やまだ豊
原作 … カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
公式サイト http://www.tbs.co.jp/never-let-me-go/
わたしを離さないで [ カズオ・イシグロ ] |
わたしを離さないで [ キャリー・マリガン ] |
コメント
「わたしを離さないで」★第2話の視聴率も6.2%〜魔女に惨敗
TBS系『わたしを離さないで』第2話の平均視聴率は6.2%だったそうな!!
初回と全く同じ数字で、日テレが放映した『魔女の宅急便』(18.8%)に喰われた??
2週連続の日テレの「ジブリ攻撃」で撃沈!?
カズオ・イシグロのベストセラーを原作にした野心作なのに、この視聴率は辛いだろうなぁ。
−◆−
塀の外に出た2人の男の子、”提供”させられちゃった。
ウグッ・・・・…
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やっと大人になっての主要人物が出てきました
キャスティングは豪華なのですが、随分と、因縁と事情が深そう…
まだ、ひとつ、詳しいところが分からない部分が多いので、もうしばし、様子見です
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