弓成と昭子の屈辱の取調べが始まった。新聞各紙は政府の不当逮捕と主張、
一大キャンペーンが展開され始める。
一方、由里子は家宅捜査にも気丈に対応。不安を抱えながら夫の帰りを待ち続けていた。
弓成を責める供述をしない昭子に、検察が責めあぐねる中、弁護人の坂元は、「悪いのは
弓成で、貴方は被害者だ」と巧みに吹き込んでいく。
その頃、黙秘を貫く弓成に検察はあるモノを差し出す。
それは弓成を揺さぶる衝撃的なモノで…。
(上記あらすじ「Yahoo!TV」より引用)
「運命の人」第4話
午後3時5分。
これからは、参考人ではなく被疑者としての取り調べに切り替えます。
弓成は、ついに逮捕された。
これからは名前に代わって番号を呼ぶ。
よく覚えておけ。ここではお前の呼び名は144番だ。
由里子は毎朝新聞から電話を受けた。
落ち着いて聞いてください。今日の午後ご主人が逮捕されました。
逮捕…
ですが…主人は罪など犯してない…
もちろん弓成君に新聞記者として非難される点は一切なく、これは政府が仕組んだ
不当な逮捕と思われます。
我々も全力を挙げて早期の釈放に尽力します。
奥さんもお気を強く持たれ、家宅捜索が入った場合に備えてください。
由里子は震える手で、弓成が書斎に残した書類を破き、トイレに流した。
子供たちは妹に預け、夫は出張に出たことにした。
家宅捜索が入り、通帳を持って行かれた。
玄関を開けるとマスコミが押しかけていた。
刑事は笑いながら言った。
報道陣に驚いてるんですか?奥さん。
あなたのご主人がいつもやってることじゃないですか。
留置所で、144番と呼ばれ、服を脱がされ身体捜検をされる屈辱を弓成は味わった。
トイレまで監視され、汚い言葉で罵られた。
弓成は耐えた。
自分は何一つ、糾弾される事はしていないと信じていた。
毎朝新聞では、今回の不当逮捕に関して「知る権利キャンペーン」を決行する事に決めた。
アメリカで「ニューヨーク・タイムズ」 が政府の秘密文書をすっぱ抜いて
訴訟を起こされた時、国家機密よりも国民の知る権利のほうが重要だと
キャンペーンを展開した。
それに倣ったのである。
他新聞社も足並みをそろえ、弓成不当逮捕の記事で政府を叩くようになっていた。
毎朝新聞では、三木昭子の弁護人を手配していた。
しかし、三木の夫はこれを拒み、自分で弁護人を立てていた。
何度言ってきても無駄だよ。
お宅の記者のせいで妻が逮捕されたっていうのに何が一緒に…一緒に闘おうだ!
見舞金だ?
金で人の心を買い叩こうってのかふざけんな!
三木は面白くなかった。
毎朝の意のままに動く弁護士など絶対に使いたくなかった。
私は許せんのですよ。
私達夫婦の人生を狂わせといて、新聞は知る権利キャンペーンなどという
自分達の正義を主張している。
これはもう、思い上がったごう慢というべきものでしょう。
できる限りのことはやらせてもらいますよ。
三木が雇った坂元弁護士はそう約束してくれた。
検察は、弓成には「昭子が弓成との関係を証言し始めた」と、
昭子には「弓成は昭子が1人でやった」と、少しずつ
偽の情報を流しては尋問した。
弓成は食事を断ち、検察の言う事には一切引っかからないよう細心の注意を払った。
一方、昭子の方は坂元弁護士との接見で少しずつ心が揺らいでいた。
いいですか、三木さん。
国家公務員でありながら、国家機密を漏えいした貴女が無罪を勝ち取るということは
極めて難しいことなんです。
唯一の方法は、貴女が弓成記者に強引にそそのかされてやむにやまれず機密を
流したということを洗いざらい説明することです。
貴女は、外務省事務官の職を失ったバカな女の烙印を押されてしまったんです。
それに比べて弓成記者は、正義の記者と祭り上げられ新聞では英雄扱いです。
ここを出ればお子さん達と資産家の奥さんが待ってるんです。
勘違いしないでください。
あなたの敵は検察ではなく、弓成記者です。
毎朝の記者の間でも同じような不安感は流れていた。
斉木は、正木次席検事を取材して、言われる。
君はイギリスの裁判において、クリーンハンドの原則というのがあるのを知ってるかね?
人を裁く者は、自分の手がきれいでなければいけないという戒めだ。
新聞も同じだろう。
毎朝は、今知る権利を強く主張してるが、もし毎朝側の手が汚れていたらどうする?
汚れたペンを振りかざして知る権利を主張できるのかね?
この事件の裏には、みんながまだ知らない何かが隠されているのだろうか・・・
みんながそんな事を考え始めた中、
弓成は早期釈放された。
裁判所が、拘置取り消し要求を認めてくれたというのである。
しかし、三木昭子は釈放されなかった。
この措置の差により、三木昭子とその夫の心は完全に弓成の敵と化した。
記者会見では、昭子との関係を取りざたする質問も来た。
まず間違えないでいただきたいのは、これは外務省機密漏えい事件ではなく
沖縄返還密約事件だということです。
密約を交わした事実をうやむやにするために、政府は密約事件を機密漏えい事件に
すり替えようとしてるのです。
本来裁かれるべきは沖縄返還密約問題であり、それをごまかそうとする政府であります。
弓成の釈放から10日後、昭子は体調不良で精密検査を受けるために拘置所を出た。
マスコミは昭子を取り囲んで、弓成が釈放された事について聞いた。
とにかく…
弓成記者が約束を守ってくれなかったのは残念です。
昭子は、これだけ答えた。
その日の午前9時。
東京地検はこの事件の起訴状を発表。
内容は、テレビ放送で全国に報道された。
「第一 被告人・弓成亮太は、被告人・三木昭子と密かに情を通じこれを利用して
外交関係機密文書の写しを…」
「昭和46年5月25日 三木被告を 東京都港区六本木1丁目23番9号
ホテル王山に誘って情を通じた揚げ句「君や 外務省には絶対に迷惑をかけないから
沖縄関係の秘密文書を見せてほしい」と執拗に迫った」
「第二 被告・ 三木は、被告人・弓成からのそそのかしに応じ同月26日頃
外務省3階 廊下において軍用地復元補償費に関する日米政府の交渉経過に関する
機密文書を被告人 弓成に渡した」
「さらに 同年6月10日頃港区赤坂6丁目18番3号大同ビル内春日経済研究所に
おいて沖縄返還協定の事前交渉に関する極秘電信文を渡し、職務上知ることのできた
秘密を漏らしたものである」
「密かに情を通じ・・・」
この報道は、弓成の妻・由里子、毎朝新聞社の社員…
弓成を信じていた人たちに衝撃を与えた。
弓成自身もテレビから流れる起訴状の内容を信じられない思いで聞いていた。
早期釈放は…このための物だった…
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
私が物知らずなのか、これが常識なのか、当時はこうだったのか…
あの最後の東京地検による起訴状の読み上げ放送は何?!
だって、裁判もやってないのに、あんな物をテレビで流すって、おかしくないですか?
第一、被告人・弓成亮太は、被告人・三木昭子と密かに情を通じこれを利用して…
あれを聞いて、弓成からみんなの心が離れていく。
こんな物をテレビ放映されたら、万一無罪だった場合でも風評だけが広がっていくに
決まってるじゃないか。
一方的にテレビで発表されたら本人は申し開きも弁明も出来ない。
弓成の弁護士は何やってんの?
これは人権侵害なんじゃないのか…
ちょっと有りえない気がします。
…が、ここは現実の事件で、そうだったらしいので…
本当に酷いことが行われたんだなぁと…うすら寒くなる。
そもそも、弓成と三木昭子ってやったのか?
確か第1話では、一緒に食事に行って、その後、もう一軒飲みに行きましょうみたいな
話になって…その後の事はボカされて不明だったような…
手は握ってたけど「情を通じ」って…
いや、やったかやってないかは問題じゃないのか。
どっちにしろ、もうそういう事になっちゃってるらしいし。
弓成は「国」を舐めていた。
新聞記者は強いと思っていた。
記者にはペンの力で何でもできると信じていた。
しかし、懇意にしていた政治家が離れ、みんなが協力してくれなくなると、
自分は1人の素っ裸の人間だったのだと気付く。
…いや…
気付かされるのは来週からなのかな…
家族も新聞社もたまったもんじゃないよね…
信じていた人に裏切られた思いをするのは彼らも同じ。
国も、新聞社も、三木昭子も、そして弓成自身も…
みんなが少しずつ嘘をつく。みんな自分が可愛いからね。
そして、結果、悲劇を招く…
【関連サイト】
※このドラマのネタ元である「西山事件」(沖縄密約事件)の概要。読むとかなりネタバレします。
「西山事件」by Wikipedia
※キャスト
弓成亮太 … 本木雅弘
弓成由里子 … 松たか子
三木昭子 … 真木よう子
山部一雄 … 大森南朋
佐橋慶作 … 北大路欣也
司修一 … 松重豊
清原了 … 北村有起哉
金田満 … 遠藤雄弥
萩野孝和 … 梶原善
恵比寿史朗 … でんでん
荒木繁 … 杉本哲太
社長 大館智文 … 錦引勝彦
主筆 久留 … 吉田鋼太郎
安西傑 … 石橋凌
吉田孫六 … 升毅
山本勇 … 小松和重
林外務次官 … 石丸謙二郎
弓成正助 … 橋爪功
弓成しづ … 吉村実子
弓成洋一 … 今井悠貴
弓成純二 … 山崎竜太郎
八雲泰造 … 山本圭
八雲加世 … 高林由紀子
青山芙佐子 … 柴本幸
鯉沼玲 … 長谷川博己
三木琢也 … 原田泰造
大野木正 … 柳葉敏郎
高槻 … 伏見哲夫
坂元勲 … 吹越満
鳥井裕三 … 斎藤歩
松中雄也 … 眞島秀和
横溝宏 … 市川亀治郎
愛川輝一 … 大和田伸也
曽根川靖弘 … 本田博太郎
田淵角造 … 不破万作
福出赳雄 … 笹野高史
小平正良 … 柄本明
十時正春 … 伊武雅刀
井口捜査二課班長 … 小市慢太郎
森靖之 … 浅野和之
坂元千恵子 … 黒沢あすか
枝川清美 … ふせえり
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コメント
運命の人【第4回】TBS日9
暴かれた関係
「『密かに情を通じ』起訴状に記されたその言葉は、知る権利キャンペーンで盛り上がった世論を、一変させた」by弓成亮太(本木雅弘)。
「密かに情を通じ…」なんて言われたら、そりゃ世論は下世話なそっち方面でおもしろおかしく騒ぎ立てるわよねぇ…。
?…
SECRET: 0
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> ドラマ内では情を通じたような描写は無かったし、
> 弓成と昭子は同じような正義感を持つ同士のような
> 関係なのだと思って見てたけど、どうなんだろ?
「ホテル山王」とかいう所に行ったっけ?
あの証拠に出されたマッチは確かに出てきたような気はするけど…
昭子の場合は正義感って言うよりも、世間と夫への復讐心みたいな物が大きかった気がする。
そして、やっぱり弓成へのそれなりの浮気心はあったと思う。
それを解ってて…だから弓成も卑怯と言えば卑怯だよねー…
実際のモデルになっている事件では、押し倒して無理やり情を通じたって事に
なってるらしい^^;
それも真実かどうか解らないけど~・・・
> ともかく二人はとてつもなく大きなものを敵に回してしまったんだなって
> 点は理解出来たけど、むずかしい~[絵文字:i-183]
昭子の場合は自業自得な気がする。そもそも勝手に渡してきたのは昭子だし。
弓成は、これから三木夫妻のでっち上げに巻き込まれていくのねー…
大変だ、こりゃ…
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ドラマ内では情を通じたような描写は無かったし、
弓成と昭子は同じような正義感を持つ同士のような
関係なのだと思って見てたけど、どうなんだろ?
てか、実在した二人の関係も実際にはどうだったんだろ?
例え関係が無かったとしても、世間が疑うのもわからんでもない。
ともかく二人はとてつもなく大きなものを敵に回してしまったんだなって
点は理解出来たけど、むずかしい~[絵文字:i-183]
運命の人 第4話:暴かれた関係
情を通じ・・・ですってよ~奥さま!Σ( ̄▽ ̄ノ)ノえっ!
恐ろしや・・・何でそんなありもしない事がでっち上げられてしまったんだろ?
あの放送を無表情で見てた昭子なので、弁護士や検察の人間にそそのかされて
そのような自供をしてしまったのかな~?
まぁ、毎日毎?…
運命の人 第4話
第4話「暴かれた関係」 2012年2月5日 横溝議員(市川亀治郎)が晒した外務省の極秘電信文は、自分が漏洩した物だ、と認め出頭した三木昭子(真木よう子)。弓成(本木雅弘)も機密文書を持ち出すよう"そそのかした"罪で逮捕され、屈辱の取調べが始まる…。 そ…
「運命の人」第4話 中年の不倫は「岸辺のアルバム」から
「運命の人」第4話、ついに逮捕され屈辱を味わいながらも抵抗する本木雅弘さん。
しかし真木よう子さんの方は、男にそそのかされ騙された被害者である、という、
弁護士の作戦にしだいに乗り、本木さん…
「運命の人」沖縄問題を考える4検察の詰問に亮太は黙秘を続けたものの昭子は落とされ真実は曲げられた
「運命の人」第4話は亮太と昭子が逮捕された事で新聞各社は報道の自由に対する侵害だと新聞社各社は数多くの政府批判の記事を展開する。亮太の逮捕に毎朝も由里子も動揺するが、 …