私達は天使だから。
困っている人に未来や希望、新しい人生を与えるの。
美和は、そういう素晴らしいことをするの。
陽光の生徒達はその使命に誇りを持っていく天使なの。
私、ずっとついてるから。
そばにいるから。
やり遂げるの見てるから。
わたしを離さないで 第8話
3人が陽光学苑へ行ってみると、そこは監獄のような鉄の扉に閉ざされた冷たい建物だった。
というのが、先週のラスト。
三種同時提供という最後通告を受けて、美和が解体までに何を遺すか。
そういう話だった。
突然、美和が良心的になって、視聴者も戸惑うが恭子も戸惑っていた。
恭子には美和が何のために陽光に行きたいと言ったのか理解できない。
3人の間にある思い出は後味の悪い思い出の方が多い。
だから美和は良い思い出をつくりたいんだろうか?
1人でフラっと居なくなった美和はセンターの中に入りこんでいた。
介護人である恭子も、同伴していたトモも当然警備から叱責される。
元・陽光であるこのセンターの中には子どもたちがいたが、様子はまるで変わっている。
子供たちは喋らない。
強制的に縄跳びさせられている。
ゲームもしている。みんな無表情。
恭子はその中に自分を見つけて話しかけた。
だが、その子供は何も答えなかった。
もしかしたら、名前もないのかも知れない。
このセンターの中ではみんながIDで呼ばれていて…いや、たぶんほぼ呼ばれる事も無く、ただ育てられて、そして解体されていくのだ。
あれは恭子じゃないよ。
そうだよな。顔は一緒でも。
でも、元になるルーツは同じでそのコピーなんだから、あれも私なんだよ。
私がちゃんと喋れて笑えてって、そういうのって陽光にいたからなんだって思った。
陽光って一体何だったんだろうね。
分かんないけど感謝しないとな。
俺達、時間もらえてる方なんだから。
ああ…そういう話なんだな。って初めて思った。
つまり、生かされているだけで私たちは幸せなのだと。
自由に生かされ喋る事も笑う事も出来るだけで幸せなのだと。
そういう話なんだと思った。
けれども、彼らはどうなのだろう。
喋れたとしても笑えたとしても、解体されるだけ。
それならば、いっそ、喋れなくて感情が稀薄で、心もなくて…
その方が楽かもしれないよ。
夢や希望が短い人生でどれだけ幸せと言えるのか。
このドラマを見ていると解らなくなってくる。
生まれてくることがどれだけ幸せなのか。
だれでも生まれたら幸せだと言えるのか。
解らなくなってくる。
ごめん。トモ、恭子。
私。恭子からトモのこと とったの。
トモのこと好きとか全然嘘で、二人を離したかっただけなの。
1人になるのが嫌で、2人だけで幸せになるんだって思ったら許せなくて。
美和は今さら謝る。
手に入れた恵美子先生の住所を渡して、猶予を願い出てくれと言う。
けれども、今一つ解らない。
「恵美子先生」という人は、この世界で一体どれだけ力がある人間なんだろうか。
頼めば猶予が貰えるものなのか。
そもそも、恵美子先生とは何だったのか。
子供の写真を愛おしそうに見ているシーンでは、おそらく死んでしまった自分の子供のコピーがこの世にあるのではないかと思うのだけれども。
それは、あの「マダム」という人も同様かも知れない。
自分か子どものコピーを見に来ていたのかもしれない。
知ってた?
私、ずーっと恭子になりたかったんだよ。
かわいくて、絵がうまくて、勉強もできて…運動はイマイチだったけど、みんなに頼りにされてて、いいなあって。
私は…
ずっと恭子みたいになりたかった。
でもなれなくてさ。
じゃあ、恭子を自分のものにしようって思ったの。
だったら同じことじゃないって。
恭子がいて、こうしていられれば安心だった。
それだけで強くなれる気がした。
宝箱なんて私にはいらなかった。
だって、私の宝物は、箱には入らないから…。
知ってたよ。
知ってたよ。
トモのことも誰の事も、貴女は愛していなかった。
ただ恭子だけを求めていたのだと。
愛情の示し方が不器用な人だった。
不愉快なくらい憎らしかった。
恭子が欲しくて欲しくてたまらなかったんだよね。
恭子! 恭子! 恭子!
離さないで!
わたしを離さないで!
この世から1人消滅する恐怖と、恭子から離れる恐怖と…
そういう叫びだったんだ。
このタイトルは。美和の叫びだったんだ。
1人になりたくない。
たぶん、この人たちは「死んだ」とも言ってもらえない。
「解体」され「処分」される。
人間ではないものの魂の叫び。
水川あさみって凄い人だと思った。
怖いくらいの愛情と執着を見せつけられた。
恭子は美和の手を取る。
私達は天使だから。
困っている人に未来や希望、新しい人生を与えるの。
美和は、そういう素晴らしいことをするの!
陽光の生徒達はその使命に誇りを持っていく天使なの。
私、ずっとついてるから。
そばにいるから。
やり遂げるの見てるから。
「私たちは天使」
陽光で教わったこの偽善めいた言葉が…
この人たちにとってはバイブルになるのだと気付いた。
そう思わなければ、この言葉が無ければ、納得して消えていく事なんかできない。
そのためのバイブルなのだと。
恵美子先生は正しかった。
私達は崇高な使命を持った天使。
奪われるために、つかの間の生を与えられた私達には、それ以外に納得できる言葉などないのだ。
天使だと思わなきゃやってられない。
天使だと思ったってやってられない。
美和は処分された。
つれて行く看護師たちの冷たさが、人間に対する態度では無かった。
解体のために家畜を連れていくかのような雑さ。
彼らの気持ちを理解できるのは彼らしかいない。
同じ立場の彼らしかいない。
それは、現実の世界でもそうなのかも知れないね。
立場が違う人の気持ちは理解できない。
寂しい。
最後の日まで寄り添うように生きていく彼らの物語が最終的にどういう方向に進むのか解らない。
このストーリーで少しでも「何か」勝ち取るとしたら、それは「人間らしい死」しかないような気がするの。
猶予を貰っても、トモはもう長くはないだろう。
解体されず人間らしく消えるのが彼の幸せなのか、ここまで提供したのだから最後まで「天使」でいるのが幸せなのか、それすらももう解らなくなった。
再会した3人が訪れた陽光学苑は、当時とはまるで違っていた。
そこで、子供の頃の恭子に出会うのである。
そして、最期の時を間近に控える美和は、素直な想いを打ち明ける。
20年の時を超え、結ばれる愛の結末は、美しく、そして哀しいものであった。
美和が最期に託す、微かな希望に恭子と友彦は・・・
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
※キャスト
保科恭子 … 綾瀬はるか(子役期:鈴木梨央)
土井友彦 … 三浦春馬(子役期:中川翼)
酒井美和 … 水川あさみ(子役期:瑞城さくら)
珠世 … 馬場園梓(子役期:本間日陽和)
真実 … 中井ノエミ(子役期:エマ・バーンズ)
金井あぐり … 白羽ゆり
譲二 … 阿部進之介
信 … 川村陽介
桃 … 松岡恵望子
立花浩介 … 井上芳雄
峰岸 … 梶原善
花 … 大西礼芳(子役期:濱田ここね)
広樹 … 小林喜日
聖人 … 石川樹
中村彩 … 水崎綾女
加藤 … 柄本佑
マダム … 真飛聖
克枝… 山野海
堀江龍子 … 伊藤歩
山崎次郎 … 甲本雅裕
神川恵美子 … 麻生祐未
※スタッフ
脚本 … 森下佳子
演出 … 吉田健、山本剛義、平川雄一朗
プロデューサー … 渡瀬暁彦、飯田和孝
音楽 … やまだ豊
原作 … カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
公式サイト http://www.tbs.co.jp/never-let-me-go/
わたしを離さないで [ カズオ・イシグロ ] |
わたしを離さないで [ キャリー・マリガン ] |
コメント
桜小路朱音さん
素晴らしい原作と脚本に支えられての素晴らしい演技ですね。
素敵な女優さんになられますよう、応援させていただきます^^
涙が止まらないこんな気持ち初めて何で涙が出たのか分からない綾瀬はるかと水川あさみがとにかくすごい私の夢は女優でもこんな演技見たら自分がバカみたいで怖い?
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>恵美子先生が子供たちに言った時は偽善としか思わなかったけど、提供者たちへの最終的な救いだったんだね。
本当にねぇ…祈りの言葉のようなものだね。
それだけで、少しだけほんの少しだけ救われるんだね。
>それでもその言葉が恭子から伝えられたことで美和はなんとか覚悟できたんだと思う。
美和にとって恭子は神のような物だったんだね。
最期に独り占めで来て、言葉を貰えて、看取ってもらえて、だから耐えられたんだね。
>提供者とそうではない人間の違いっていったいなんなのか・・
感情を失ってしまっていたらもう人間ではないのか。
このドラマを見ていると生きている意味を考えさせられるわ。
命があることのありがたさと同時に五体満足のありがたさも痛感させられるよ。
希望としては何らかの制度の変革が起きて恭子だけでも生き延びてほしいなぁ。
原作を知らないだけに想像ばかり膨らむ。
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『私たちは天使』という言葉の意味がやっとわかったよ。
恵美子先生が子供たちに言った時は偽善としか思わなかったけど、提供者たちへの最終的な救いだったんだね。
>天使だと思わなきゃやってられない。
天使だと思ったってやってられない。
たしかにそうだよね。どう思ったところでモノとして役に立たなければ処分されてしまう自分たち。
それでもその言葉が恭子から伝えられたことで美和はなんとか覚悟できたんだと思う。
>それは、現実の世界でもそうなのかも知れないね。
立場が違う人の気持ちは理解できない。
そうだね。提供者と提供される側の人間のドラマだけど
こういう切り捨てたような隔絶した感覚はあるよね。
人から感じることもあるし、私自身も切り捨てていると思う。
人間とはなんなんだろう・・
提供者とそうではない人間の違いっていったいなんなのか・・
感情を失ってしまっていたらもう人間ではないのか。
>それは「人間らしい死」しかないような気がするの。
最終的に得るものが死というのが悲しいけど、今この状況ではそれぐらいしかないのかなぁ・・・
真実は自殺だったけど、それも彼女自身が望んだわけではないし。恭子が自分で選びとることができればいいんやがーー
「私を離さないで」8 ☆☆☆
「私を離さないで……!」タイトルは美和の、「提供」に連れて行かれる「天使」の絶叫だったのですね。伸ばされた手を握りしめ「あなたは尊いことをしている」と呼びかける恭子。 …
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パシリムは2が公開決まったら、ぜひぜひ劇場でーー!
もうねーーすっごい臨場感ですよ。
リアルに自分がドリフトされている体感がありますーー^^
>美和、先週まであんなに憎たらしかったのに水川あさみさんの演技がすごかった。
莉央ちゃんの虚無の目も。
美和は今までは「どうせ死ぬのだから」というやけっぱちで自分本位に生きているように見えました。
解体のように消されることが決定して、最期に自分が出来る事を考えたんでしょうね。最期まで恭子が居てくれたからこそ本音を出す事が出来た。
受け入れる覚悟も死の恐怖も体現した水川あさみ、凄い人だと思いました。
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おもしろかったー>パシリム。録画観てたらこんな時間に
よかった。すんげえいいもん観た>ちかえもん
どちらも制作陣が自分たちが作りたいのはこれだ!!というのがビシビシ伝わってきました。
それを堪能できる幸せ。それに浸れる幸せ。は~満足です。
美和、先週まであんなに憎たらしかったのに水川あさみさんの演技がすごかった。
莉央ちゃんの虚無の目も。
あの粘土でつくる手の表現。昔マダムに渡していた美和の作品がまんま、恭子に差し出された手でしたね。
わたしを離さないでってあそこで出てくるとは思いませんでした。
観終わった後いろいろ考えさせられます。
わたしを離さないで 第8話
2016.3.4 onair. #8「友との別れ…解ける因縁、託されたのは最期の希望」 美和(水川あさみ)の希望で、陽光があった場所へ訪れた恭子(綾瀬はるか)、友彦(三浦春馬)、美和の3人。しかし、そこには陽光の面影はなく、提供者を育てるための別の“ホーム”がそびえ…
みんなが私の幸せを願ってくれたのです(綾瀬はるか)
教育の基本は「愛」である。 自分を愛することの素晴らしさを教え、自分を愛するように他者を愛することを育む。 バランスを変えれば「個人主義」に導くことも可能だし、「奉仕精神」への傾斜を形成することもできる。 「個性」は「複雑さ」の許容となるし、「標準」を求めれば「画一化」が推進される。 「生きるために
わたしを離さないで 第8話
美和(水川あさみ)の希望を聞いた恭子(綾瀬はるか)と友彦(三浦春馬)は、3人でかつて学校があった場所を訪ねます。
しかし、そこは当時の学校の面影はなく、提供者を育てるための別のホームになっていました。
友彦としばらく昔話に花を咲かせていた恭子は、席を外した美和の帰りが遅いことを心配して捜しに行きますが、そこでホームの管理人たちと出会って・・・
美和が保護されたことを聞いた恭…
わたしを離さないで #08
『友との別れ…解ける因縁、託されたのは最期の希望』
わたしを離さないで (第8話・2016/3/4) 感想
TBSテレビ系・金曜ドラマ『わたしを離さないで』(公式)
第8話『友との別れ…解ける因縁、託されたのは最期の希望』の感想。
なお、原作:カズオ・イシグロ「わたしを離さないで 」は未読。マーク・ロマネク監督映画「わたしを離さないで(2010)」も未見。
恭子(綾瀬はるか)と美和(水川あさみ)、友彦(三浦春馬)は陽光学苑の跡地へ。ところが、高い塀に加え門は閉…
わたしを離さないで 第8話
第8話
JUGEMテーマ:エンターテイメント
わたしを離さないで「友との別れ…解ける因縁、託されたのは最期の希望」
タイトルの語が、なんと美和(水川あさみ)から、恭子(綾瀬はるか)に向かって放たされましたね。
美和の希望で恭子と友彦(三浦春馬)が向かった陽光学園に昔の面影はなく、雰囲気もそこに居る子供達も荒涼としてました。
また、クローンでしょうか? 自分そっくりな容姿の子を見て驚き、思わず声をかける恭子ですが、子供は、ただ固まって怯えるだけ。黙って学園の人々に連れ去られます
恭子は、自…