「ハゲタカ」BShi6時間マラソン見た。
深夜の再放送とかCS放映も見て、録画もしているのに
また再放送されると聞くと何度でも見てしまう。
それくらい好き。
誰かが言った。
人生の悲劇は二つしかない。
一つは金のない悲劇。
もう一つは、金のある悲劇。
世の中は金だ。金が悲劇を生む。
「ハゲタカ」は、2007年2月から3月にかけて
NHK土曜ドラマ枠で放送された全6回のドラマだ。
もう放送終了から4年経つのである。時が過ぎるのは早い。
企業の破綻と再生、それに絡む金と人間模様、人間の本質と立ち直り立ち上がる力・・・
そんな物が描かれた、経済を中心とした硬質なドラマだった。
全6回の内容は主要人物も元の設定も繋がってはいるが、
大きく2部に分かれている。
前の3回は大手玩具メーカー「サンデートイズ」の破綻と再生。
後ろ3回は電機メーカー「大空電機」の破綻と再生。
その買収に関わるファンドや銀行と会社のやり取りの多くは、
私たちがよくニュースやワイドショーで結果だけ大雑把に
見たり聞いたりする内容を克明に描き出している。
何百億と言う単位の金が動いていく話は、
あまりに自分の生活から掛け離れていて現実味が感じられない。
経済には弱いし、このドラマを見るまでは企業の経営や破綻に関する事も
全く自分の興味の外だった。
それでもこのドラマに強く強く惹かれ続けたのは、そこにはいつも
人間という物の姿がある事を明確に描いていたから。
何百億という金の影にも、大企業の中にも、その下にある下請け会社の中にも
銀行にもファンドにも、そして製品の中のほんの小さなネジの1つにも。
その全ての中に人間の姿がある。
私が常に振り回されている紙切れである「金」。
部品が製品の中の小さな歯車の1つであり、従業員が企業の中の小さな歯車の1つであるように、
「金」もまた、企業の歯車の1つであり、その力は使い方で大きくなったり小さくなったりする。
鷲津もドラマの中で言っていたように、
金持ちになるために金を持つのではなく、経営をするために金を持つ。
理想がなければ金はただの紙切れだ。
そして振り回される者は潰れていく。
そんな事を教えてくれた作品だった。
脚本の林宏司さんは、「離婚弁護士」「医龍」「BOSS」など、ドラクエ的に
仲間が主人公に集まっていき、メンバーの力で事を成し遂げる痛快なドラマを多く書く人。
「ハゲタカ」は、林宏司さんが普段書かれているドラマとは、少し色が違う。
しかし、「BOSS」だろうと、「GM~踊れドクター」だろうと、やはり「ハゲタカ」と同じテーマはある。
それは、人が繋がっているという事。
サンデートイズの大河内社長に鷲津が、
サンデートイズの玩具は、子供が飲み込まないように、「大河内の息子の口の大きさに合わせた穴より小さな部品は決して作らない」安全な木工のオモチャから始まった
事を思い出させるシーンは私の大好きなシーン。
他のドラマだったらベタベタとお涙頂戴的に描きそうなこのシーンを
このドラマは決してお涙頂戴にはしない。
後を引く事をせず、ザラッと心に引っ掛ける。
その描き方は決して温かくはない。
だから心に残るのである。
とにかく、大友啓史演出が素晴らしい。佐藤直紀さんの音楽が素晴らしい。
重たい後味のラストに掛けるエミリー・ブロンテのエンディング
「Riches I hold in light esteem」。
空から降る札を掴もうとする人々を描いたこのエンディングを見ながら本当に毎回涙した。
経済に疎い人でも惹きつけられる、経済を描いた名作。
こういう作品を見ると、ドラマにはまだまだ可能性がいっぱい残っていると感じる。
このスタッフの仕事は本当に素晴らしい。
その才能に感嘆し感動に震えつつ、また、一凡人としては限りない憧れも感じるのである。
※キャスト
鷲津政彦 – 大森南朋
芝野健夫 – 柴田恭兵
三島由香 – 栗山千明
西野治 – 松田龍平
村田丈志 – 嶋田久作
中延五郎 – 志賀廣太郎
アラン・ウォード – ティム・ウェラード
大河内瑞恵 – 冨士眞奈美
大木昇三郎 – 菅原文太
塚本邦彦 – 大杉漣
野中裕二 – 小市慢太郎
加藤幸夫 – 田中泯
飯島亮介 – 中尾彬
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コメント
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今回は、第3話迄観終えた所で、
約束があって出掛けてしまったのだけど、
なかなかお尻が上がらなかったわ^^;。
キャスティングも音楽も脚本も、観てる側にぐいぐい迫って来る。
松田兄の、氷の様な鋭い目もたまりません。
そしてもうひとつの楽しみは、ちょこちょこっと出て来る小市慢太郎さん。
時々、すんごい期待外れな演技力醸してくれる方ですが、
この方の雰囲気、すっきですわ~。
ハゲタカやってる頃の日本経済には、
まだ望みがあったけれど、今はどん底。
鷲津だったら、どう先を見出していくんだろうね。
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私も昨日は出たり入ったりしてて、ゆっくり見てらんなかったんだけど、しかもDVD持ってるのに見ちゃったもん(笑
私は、放送当時は難しそうだな~と思って敬遠してたのよね。
ところが、見てみたら、確かに経済用語は難しいし、何十兆だとか何千億だとか、想像もできない単位が飛び交っているんだけど、描かれてるのは人間。
札束にも会社にも人間のいろんな思いがこもっている。
それをしっかりと、スパッと描いてくれてるから名作なんだよね。
鷲津という男の心の旅を見守りながら、この国の経済を憂い買い叩く臨場感を味わう。
脚本はもちろん、どのキャストの方もすばらしい。
西乃屋の猫ちゃんもね(笑
忙しいのに記事を書かずにいられなかったくうさんに乾杯!
そんな、くうさんに「ハゲタカ廃人」である私の姉のブログを紹介させていただきます(笑
http://kiritani.blog4.fc2.com/ (Cafe Tsumire)
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このドラマの根幹は
「誰が一番この会社のことを考えているのか」
それを言葉にする人ほど
後からドンドン本性が浮き彫りになってしまったり
最初はそうだったのに
いつのまにか自分が変質していた事に気付かなかったり
人の言葉の建前と本音
この2つの見せ方が実にウマイです
何より、このドラマに出てくる方はほとんどが
建前と本音が違いますからね
このドラマは制作される前まで
柴田さんが肺ガンの手術で収録が延期になったり
中村獅童さんのスキャンダルで
キャスティングが変更になったり
作品の存続そのものが危うかったんですが
こうして作品が出来て、本当によかったと思う今日この頃です