嫌だったんじゃねえのかと思うんだ、おいら。
何がだよ?
不発弾のヤツだよ。
爆発するの嫌だったんじゃねえのかな? あいつ。
だって、爆発したら何にもなくなっちまうじゃねえか。
あいつは嫌だったんだよ。
爆発してさ、人を殺しちまうのがさ。
だから根性出して黙って眠り続けたんだよ。
みんなにはよ、爆発しなかったせいでこうやって不安にさせたり迷惑掛けちまってるけどよ。
傷つけたくなかっただけなんだよ。
本当はど根性あるヤツなんだ。
そう思うんだ、おいら。
だからさ、静かに眠り続けさせてやりてえんだよ。
ど根性ガエル 第6話
簡単感想で。
8月15日。終戦記念日に不発弾の話である。
『ど根性ガエル』原作の設定は練馬区石神井近辺だが、ドラマでは墨田・葛飾辺りだと思われる。
スカイツリーがあんなに近くに見えてるんですもんね。
ちなみにロケ地は葛飾区立石らしい。
東京の下町らしい空気を…ということで象徴であるスカイツリーが見えるこの地を舞台にしたのだろうと思っていたが、このエピソードのためのこの地なのかも知れないとも思えてきた。
墨田区界隈は東京大空襲の被害が一番大きかったと言われているからだ。
墨田区横網町公園には「東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑」が設置されている。
また、京島地区には不発弾が落ちたというのも実際の話らしい。
設定からちゃんと下地は作ってあるということ。
そういう丁寧さが素晴らしい。
スカイツリーは焼け野原の町と不発弾のおかげで焼け残った町のその後の姿を上から見下ろしているのである。そう考えるとあの青いライトが鎮魂の光のように見えてくるのだった。
さて。
不発弾の処理のため、避難区域に住んでいるひろしの町の人たちは、ひろしの家に避難してくる。
人が集まるということは、どんなに緊迫した状態でもちょっと嬉しい。
ちょっと不謹慎でしたかね、こういうの。
と、気にするひろしの母ちゃん。
いいのよ~。
何でも楽しいことに替えてしまうのは素敵な事よ。
京子ちゃんのおばあちゃんはそう言って笑う。
戦争に関わることだし…今、避難させられて困っている人だっているわけだし、不謹慎といえばそうなのかも知れないけれども、ウチだって1週間前の父親の葬儀で丸っきり泣いてないもんね。久々に会った従姉妹と談笑なんかしちゃって不謹慎極まりないわけだが…そういう時じゃないと親戚って集まらないからな。やっぱりちょっとはしゃいじゃうモンである。
集まったら、ちゃんと戦争の話も聞く。それでいいんだよね。それが「機会」というもの。
今から70年ほど前にね、ピョン吉くんが暮らすこの国は戦争してたの。
でね、ピョン吉くんが生きてる今のこの町には爆弾がたくさん落とされたの。
雨が降るみたいにね。
バクダン?
爆発する弾のことよ。
えっ?
ばあちゃんはその時…。
いたわ。この町に。
でも、ちゃんとは覚えてない。まだ2歳だったの。
死んじまうじゃねえか。
そんなヤツが落ちて来たら。
そう。たくさんの人が死んだわ。たくさんの命が。
この辺り一帯はもう、焼け野原だったそうよ。
「不発弾」というのはその時に不発…爆発しなかった弾の事だと聞き、
処理ってのが終わったら死んじまうのか? そいつは。
爆発しても死んじまうんだよな?
と、「弾」に同情するピョン吉である。
凧みたいに高く上げられて、風に舞い上げられて飛んで行き、みんなで追いかける…。
警備していた五郎がピョン吉を着て、不発弾の側で見せてあげるってのが良い方法だったかもね。
だけど、ピョン吉は高い空の上から「もうすぐ死んじまう不発弾」を見る事が出来たのである。
空の上の花火になるピョン吉。
空から命の終わりを見るピョン吉。
爆発したら何もなくなっちまうじゃねえか。
そっか…
不発弾はど根性で人の命を守ったのか。
今までそんな風に考えたこともなかった。
もし爆発していたら、もっともっと大きな犠牲がこの町に出たのである。
だからど根性で爆発を止めた。
人より体が大きいからど根性で町を守りたいゴリライモ。
理不尽な力の中で精いっぱいのど根性で命を守った不発弾。
みんなのど根性の行く末を見守りたいピョン吉。
たぶん、それはみんな「男気」ってもんなのである。
みんなに守られているヒロシにそれが出来るかなぁ。
けっ けっ けっ…………の先が言えない梅さんと同じくらい、自分の最期を告げられないピョン吉…と思っていたけれども、ついに言ったね。
おいら、もうすぐみんなとお別れみたいなんだ。
寿命が来ちまったみたいだ。
もうすぐ
おいら、死んじまうんだよ!
Tシャツから半分も剥がれたピョン吉を見るヒロシの顏…。
気づいているのかと思っていたけれども、まるっきり気づいていなかったのかもね。
ピョン吉の最期までにど根性見せないと…
ってか、ホントに最期なんだろうか。
接着剤で張り付けて解決しないものかなぁ……
命ってそんなに簡単じゃないか…。
【おまけ】
リアル・ドラマ版ど根性ガエルその後……第3話。
「『ど根性ガエル』を失った作家と家族の”そのあと”:『ど根性ガエルの娘』第3話」
町内で見つかった不発弾を処理する日、立ち入り禁止区域に住む京子ちゃん(前田敦子)
たちがひろし(松山ケンイチ)の家に集まる。
おばあちゃん(白石加代子)から空襲の話を聞き、不発弾を見たいと願うピョン吉
(声=満島ひかり)はひろしに頼み、たこになって空から処理現場に近づく。
京子ちゃんは、不発弾に自分の運命を重ねるピョン吉に違和感を抱く。
ひろしは、糸が切れてピョン吉がどこかに飛ばされてしまったことに気付き、慌てる。
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
よろしければ→【2015年7月期・夏クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表
※キャスト
ひろし … 松山ケンイチ
ピョン吉 (声)… 満島ひかり
京子ちゃん … 前田敦子
五郎 … 勝地涼
梅さん … 光石研
町田校長 … でんでん
よし子先生 … 白羽ゆり
ゴリライモ … 新井浩文
京子ちゃんのおばあちゃん … 白石加代子
ひろしの母ちゃん … 薬師丸ひろ子
(子役)
ひろし … 髙澤父母道
京子ちゃん … 松本来夢
五郎 … 山﨑光
ゴリライモ … 菊池宇晃
※スタッフ
脚本 … 岡田惠和
演出 … 菅原伸太郎、狩山俊輔
プロデュース … 伊藤響(チーフ)、河野英裕、大倉寛子
音楽 … サキタハヂメ
原作 … 吉沢やすみ「ど根性ガエル」
オープニングテーマ … 「ど根性ガエルのテーマ」
エンディングテーマ … ザ・クロマニヨンズ「エルビス(仮)」
公式サイト http://www.ntv.co.jp/dokonjyo/
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コメント
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「ピョン吉、命の終わり。別れの時」
内容
ゴリラパン工場の裏で不発弾処理が行われる事に。
避難区域に指定されて、仕事が休みになったひろし(松山ケンイチ)
京子(前田敦子)ゴリライモ(新井浩文)たちの家だけでなく、
梅さん(光石研)そして。。。。中学校も避…
ど根性ガエル「ピョン吉、命の終わり。別れの時」
花火大会のオハナシも、ひろし一日社長のエピソードも好きでした。ますます、独自世界を拓いていますね。この、ぐーたらひろし(松山ケンイチ)が、映画「デスノート」で、Lを好演してた彼と同一とは思えないけれど、あるいは、「セクシーボイス アンドロボ」の感じに近いのでしょうか? 似合ってます。特に、ピョン吉・声の満島ひかりの声が絶品で、薬師丸ひろ子のお母さんぶりも、いい味出してます。それにしても、今回…
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日テレ系『ど根性ガエル』(公式)
第6話『ピョン吉、命の終わり。別れの時』の感想。
なお、原作漫画:吉沢やすみ氏の『ど根性ガエル』は数巻は既読、過去のアニメ版も見た記憶あり。
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他人の心を想像できる人が善人とは限らない。 苛められて苦しんでいる人の心が想像できなくて苛めている人はむしろ少ないのではないか。 その苦しみこそが喜びであり・・・もっと苦しめてやろうと生きがいを感じるのが人間らしい。 苛めることを苦痛に感じながら苛めをやめられないという心理を想像することもできるが・