あなた見てると、なぜか あずみの事を思い出すの。
私、あずみの事、何にも分かってなかった。
分かってるって勝手に思ってただけで。
私、あずみに聞きたかった。
どうしてあんな事したの?
どうして…。どうして、どうして、っていっぱい聞きたかったのよ!
私ね、寂しさについての本を書いたの。
寂しさなんて何にも分かってないくせに。
世の中の事何一つ分かってないのに何でも分かった気になってた。
あなたがいろいろ教えてくれたの。
いろいろ気付かせてくれたのよ。
逃げる女 第6話「滅びぬ愛」
DNA鑑定が出ました。
遺体は川瀬あずみに間違いないそうです。
西脇梨江子はとっくに川瀬あずみを殺してる!
安藤は興奮気味にそう報告する。
あずみの死にショックを受けている義姉の千夏などお構いなしに、
フェークですよ!
西脇は捜すふりをしてるんです。
と喋りつづける。
安藤の頭の中では、あずみ殺しは梨江子の犯罪であり、梨江子を疑い続けた自分の正しさに酔っているよう。
この安藤の視点がもしかしたら正しいのかもしれない、と思ってしまった事もある。
視聴者である私たちは先週突然、施設側から見た梨江子の冷たい部分を突きつけられたから。
もしかしたら「あずみを殺した梨江子」は視聴者に隠されていて、私たちは「気の毒な梨江子」を意図的に見せられているのではないかと…。
しかし、佐久間は真っ直ぐに梨江子を信じ続けている。
それが彼の償いだから。
安藤。あの夜、川瀬あずみはかなり酔って家を出てる。
誤って岸壁から落ちた可能性がある。
司法解剖でも殺しと断定できてない。
西脇に動機は十分あります。
我々が動かなくても他の人が動きますよ。
殺人かどうか解らなくても動機があれば疑われる。
しかも、梨江子は今、最も疑われる環境にあるのだった。
美緒から離れられない梨江子の心理も度を越えている。
金を得るために体を売っているという美緒に合せて、競うように同じことをしてしまう梨江子。
冷静じゃない。
そんな梨江子の頭を一気に冷ますニュースが飛び込んでくる。
あずみの死だ。
そして、自分たちは容疑者として追われていた。
おねえさんをいじめるやつ、私、絶対許さない。
美緒の頭には正常な思考がない。
けれども、美緒だけじゃないんだね。
こんな状態になってしまってから美緒に向かって正義を叫ぶ梨江子。
贖罪のために一心に梨江子を信じようとする佐久間。
疑いの目こそが正義だと信じ込んでいる安藤。
中学校の校庭で、梨江子を逃がすために佐久間に食らいつく結花のシーンは、滑稽だった。まさにカオス。
話をしようと言ったって、そりゃまた犯人にされると思ったら梨江子が逃げるのは当然だ。
佐久間は信用されていない。
信頼されるような事を何一つしていないのだから。
今さら結花に連絡を取ったのは美緒に対する当てつけ。
そんなことしたって何の意味もないのに。
美緒が離れなかったのは梨江子自身の責任でもある。
離さなかったのだから。
2人で列車に乗る。
カップルのようだね。
このまま心中するかと思った。
安藤。
女房に男がいるんじゃないかと俺はずっと疑ってた。
毎日疑惑の目で見られてたら我慢できないよな。
出ていきたくもなる。
人を信じるって何だ?安藤。
人を疑うって何だ?
これがテーマだったんだな。
と、改めて思う。
梨江子はあずみを殺していない。
明らかにそう思えるようになった。
殺しても何も進展しない。
梨江子はただ聞きたかっただけなのだ。
私、人の嫌がる事するの上手くなったのよ。
あなたのおかげで。
あなた見てると、なぜかあずみの事を思い出すの。
私、あずみの事何にも分かってなかった。
分かってるって勝手に思ってただけで。
私、あずみに聞きたかった。
どうしてあんな事したの?
どうして…。
どうして?どうして、っていっぱい聞きたかったのよ!
あずみを思い出させる美緒。
あずみも梨江子にとって「イヤな事をする存在」だった。
嘘を吐いた。
嘘をついて梨江子を陥れた。
それは全て、孤独がなさせる業。
ついに追ってきた佐久間を美緒が撃ってしまった。
何の役にも立たず信頼も得る事が出来なかった佐久間が、ここで初めて頑張るんだ。
梨江子の冤罪を晴らすことなく死んでいった あずみ。
あずみと同じことにならないように。
あの時、生きたいと思っていた。
生きて俺を撃ったのが誰か証明しなければならない。
生きる事。
何が何でも生き抜く事。
それが西脇梨江子への償いだった。
こうして、梨江子の逃亡は終わる。
逃げる必要もないはずなのに逃げていた女。
美緒が逮捕されて。
あずみは死んで。
憎しみから否応なく解き放たれて。
初めて本当の意味で孤独を知る。
同じようにまた冤罪をかけられそうになって、そして救われる。
この再体験を得なければ、この人は自分の寂しさに気づけなかったのね。
他人の寂しさに気づけなかったのね。
家族の事も同僚の事も友達の事も何も考えず、自分の感情だけを大切にして生きてきた。
たぶん、梨江子とはそういう女だった。
けれども、その罰として8年もの冤罪…は、私はやはり釣り合わないと思ってしまうのだ。
あずみの嘘は大きいし、警察の信頼は取り戻せないし、梨江子に冤罪をかけた環境何もかも。
それは自業自得と言うにはあまりにも大きすぎる罪なのではないかと。
私は思う。
最後に安藤の梨江子に対する態度が格段に丁寧になっていたのは良かった。
あれだけ疑い深かった人でも、きっと変われる。
安藤は、その体現者だった。
行きすぎた正義は天野のように間違った方向へ進ませる…
という例にしても、天野の絡ませ方はちょっと弱かった気がする。
中途半端で浮いたエピになってしまっていた。そこが残念。
人は自分が信じているものしか見ようとしないから。
間違った方向を選んでしまった人を許そう。というテーマ。
けれども、それには空よりも広く海よりも深い心が必要で。
私には無理だわ…と、思いながらボンヤリとラストの風景を見る。
これからどうするの?
分からない。
私も分からない。
解らないけれども、この人たちにはきっと、パンが焼けることが幸せだと思える日々か来るよね。
そう思えることだけが一筋の希望の光だ。
圧倒的な映像力と、役者さんたちの演技の迫力につられて、何度も息を飲んで見守った。
そんなドラマだった。
秀作。
追ってきた佐久間(遠藤憲一)と安藤(賀来賢人)から、またも逃げ出した梨江子(水野美紀)と美緒(仲里依紗)。
逃避行のうちに梨江子は美緒に対していとしさに似た気持ちを覚えかたくなだった自分の変化をも感じる。
が、そんな矢先上がった水死体があずみであったと知る。
美緒を責めるが、自分を殺せと迫る彼女を突き放せない。
佐久間たちが近づいていることを知り、梨江子はある決意を固める。
が、美緒の拳銃が思わぬ結末を招く。
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
よろしければ→【2016年1月期・冬クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表
※キャスト
西脇梨江子 … 水野美紀
谷口美緒 … 仲里依紗
佐久間学 … 遠藤憲一
安藤純也 … 賀来賢人
川瀬あずみ … 田畑智子
斉藤浩一 … 高橋克典
天野直将 … 加藤雅也
柏木健作 … でんでん
香村綾乃 … 原田美枝子
深見元 … 高橋努
西脇喬雄 … 古谷一行
松尾結花 … 水崎綾女
山口 … りりィ
季佐 … あめくみちこ
八重 … 安藤玉恵
小倉一郎
梅沢昌代
諏訪太朗
※スタッフ
脚本 … 鎌田敏夫
演出 … 黒崎博、中島由貴
プロデューサー … 中山和記
制作統括 … 内田ゆき、越智篤志
音楽 … 上野耕路
公式サイト http://www.nhk.or.jp/dodra/nigeru/
世界の果てまで [ 鎌田敏夫 ] |
恋の罪 [ 水野美紀 ] |
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【逃げる女】第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話(最終回)
コメント
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>特にあずみには ひと言でいいから 何か語ってほしかった。
あずみにも何か一言聞きたかったし、施設の先生たちにもなぜ梨江子が不利になるような発言をしたのか聞きたかったし、父は少しでも娘を信じる気持ちがあったのか聞きたかったし、色々とモヤモヤしました(笑)
そこを脳内で補てんしていくことで余韻を残すドラマなんだろうな、と。
>それ、梨江子が自分でそう言ったの?誰かに吹き込まれたのか、斉藤自身が思ってる梨江子像だったのじゃないかと思いました。
そう、あの梨江子の裏の顔みたいな発言ね。
最終回1回前に突然出てきて、結局、誰が言っていることが本当なのか解らないまま終りましたね。
そこも視聴者が自分で考えるんでしょうね。
何を信じるかどう考えるのか。
答えのない宿題が残るドラマでした。
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あやふやなままのとこが多かったから ものすごくいろいろな想像をしてしまって 頭がぐちゃぐちゃになってます。
それもねらいなのかもしれないけど、もうちょっと答えあわせがしたかったな。特にあずみには ひと言でいいから 何か語ってほしかった。
でも、想像しまくったことも含めて このドラマにひきこまれました。怖い話だった。
他の方へのレスにあったので…私も斉藤の「梨江子が大学の他の人より上になりたくて…」という言葉がひっかかりました。それ、梨江子が自分でそう言ったの?誰かに吹き込まれたのか、斉藤自身が思ってる梨江子像だったのじゃないかと思いました。
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>でもその8年の間に自分のまわりの人間へのなぜ?どうして?という気持ちが初めて生まれた。
こうならなければ自分がやっている事に気づかなかった。
全てがこれを知るための道筋だった…っていう話だよね。
しかし…8年はキツすぎる~~。せめて1、2年だよな~。
私だったら絶対に国を相手に訴訟を起こすな。
(そして人間としての成長ナッシング…爆)
>たぶん梨江子は昔の彼女だったら決して選ばない生き方、ただパンがおいしくできたことに喜びを感じるような生活をしていくんだろうね。
うん。
そういう幸せもあるんだって気づくのだろう。
ある意味、宗教のような話だと思った。聖人に近いよ。
>許せなくて苦しみ続けた美緒が哀れで・・・・
梨江子といられた一瞬の間だけでも救われたと思っていたのなら・・と思うよ。
きっと救われていたのだろうね。
けれども、美緒が求めていたのは梨江子を道連れにした破滅だったような気もするんだ。
美緒も捕まって良かったんだと思う。
梨江子にはマメに面会に行ってあげてほしいよ。
そうなって初めて美緒にも気づくことが色々と出てきそう。
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>里依紗さんがうまくて、幼い子どものようにみえました。
幼さと理知的な大人の顔と狂気が交差する演技がすごかったです。
この人もねぇ…背景が解らなければただのサイコパスなのですが、虐待の様子が映されたら一気にビジョンが広がりましたよね。
本当にただ孤独なんだなぁって思います。
仲さんの爆発力は本当に素晴らしい。
「昨日のカレー」と同じ人には見えません。
田畑さんもいい女優さんですからね、私もぜひ あずみパートはもう少し見せていただきたかったです。
>でんでん課長話はよくわかりませんでした。
行きすぎた正義も、隠して行われた犯罪も、見ている人は見ているよ…という、ドラマの本筋に被せたパートだとは思うのですが、ちょっと、えーーー…ですよね~~^^;
それ「オレは解ってるからな」で済ませないでいただきたい。
警察官は公務員です^^;
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>確かに天野&でんでんの話は中途半端で、余計でした。あそこに時間かけるなら、もっと細かく描写すべき部分があったと思います。
そうなんですよね…。
安藤があそこまで疑いを持つ根拠とか、町の人たちが頑なに冤罪ニュースを知らされていない背景とか、ぇ、斎藤ってホントは梨江子の事大嫌いだったの?とか、色々と謎が残りました(爆)
脳内補填する部分がたくさんあって、それが余韻にも繋がる……と言ってしまえば美しいですが、描かなさ過ぎだとも思っています^^;
>特に水野さん、仲さん、高橋さんは、これまで「演技の幅のない人」と認識していただけに、意外な収穫でした。
そうですか!
仲さんは元々私にとっては「凄く上手い人」でした。
高橋克典さんも元々好きですが、今回の「さり気ない黒さを含んだ普通の人」…は素晴らしかったですね~。
水崎綾女さんも、良かったです^^
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ほんとにねぇ・・8年のムショぐらしは長すぎるよ。
いくら梨江子が自分の感情にだけ正直で他人を見下していたとしても。でもその8年の間に自分のまわりの人間へのなぜ?どうして?という気持ちが初めて生まれた。それは憎しみや怒りからくるものだけれど、なぜ?という疑問は相手に深く関わろうとするところからきている。
すべての疑いが晴れた彼女に行く場所があってよかった。
たぶん梨江子は昔の彼女だったら決して選ばない生き方、ただパンがおいしくできたことに喜びを感じるような生活をしていくんだろうね。
思い込みは恐ろしい。そして人を許すことは難しい。
でも許すことで人は前に進んでいけるんだと思う。
許せなくて苦しみ続けた美緒が哀れで・・・・
梨江子といられた一瞬の間だけでも救われたと思っていたのなら・・と思うよ。
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最終回がはじまると美緒がかわいそうでかわいそうで泣けてきました。
里依紗さんがうまくて、幼い子どものようにみえました。
幼さと理知的な大人の顔と狂気が交差する演技がすごかったです。
「ともだちに優しくできなかったからってかわりにわたしに」というところ、せつなかったなあ。
「かえってきてくれたの」「あなたしかいない」と抱きしめられたかと思うと
「あずみはあんたが殺したの」と頭を叩かれる。
そんな梨江子を「箸の使い方を教えてくれるおかあさん」としたところも悲しかったです。
「このひと、わたしたちのさみしさがわからないんだ」とあずみが怒りを感じ、
それが偽証につながったのなら、やはりその心境を語ってほしかったです。
さみしさについての本を書いたけどなにもわかっていなかった。
それがわかるための8年というのは、結果として本人が導きだとしたことであって、
その代償としては失ったものが大きすぎますよね。家族のことを考えても。
そういう理不尽さがずっとありました。
でんでん課長話はよくわかりませんでした。
逃げる女 TOP
『逃げる女』は、2016年1月9日から毎週土曜22:00 – 22:44にNHK「土曜ドラマ」枠で放送された。主演は水野美紀。全6話。 概要 冤罪(えんざい)が晴れて出所がかない、自分を裏切った親友を探す旅に出る40歳の女性を主人公にした、鎌田敏夫オリジナル脚本のヒューマン…
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こんばんは。
確かに天野&でんでんの話は中途半端で、余計でした。あそこに時間かけるなら、もっと細かく描写すべき部分があったと思います。
脚本は結構いい加減だったように思いましたが、出演者の皆さんの演技が良かったですね。特に水野さん、仲さん、高橋さんは、これまで「演技の幅のない人」と認識していただけに、意外な収穫でした。
個人的には妹役の水崎綾女さんが良かったです。
救いのない重苦しい音楽もよく合ってました。