岩倉(山本圭)が「日本芸能史」を執筆するルポライター・立木(きたろう)と出会う。
立木は戦前の映画監督・千坂について、摂子(八千草薫)から取材したいという。
2人が恋仲だったこともあり、やすらぎの郷のスタッフは慎重に事を進める。
程なく、立木が郷にやって来た。
菊村(石坂浩二)らが同席し、摂子は戦前の映画界の話を機嫌良く語り始める。
やがて立木は、千坂が戦時中に日本軍に協力し、戦意高揚のために制作したと思われる映像を見せる。
すると、摂子が激しく取り乱し、部屋を飛び出す。
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「やすらぎの郷」第18週 第86~第90話
以前、「戦地に発つ前に切って差し上げた千坂監督の爪を食べた」と語っていた姫に、戦中の芸能史を書きたいというルポライターからの取材の話がやって来る。
それは、姫の忘れえない恋を炙りだすインタビューでもあった。
簡単にあらすじおさらい
第86話(月曜日) : 兄の葬儀のために郷を出ていた大納言が帰ってきた。
大納言は「日本芸能史」を執筆するルポライター・立木公次郎と偶然出会い、千坂浩二監督について聞きたいと言っていたので九条節子なら知っているのではと郷の連絡先を教えてしまったと言うのだった。
姫を傷つけたくない事務局は困惑するが、姫自身がインタビューを受けると言い出し、実現することに。
第87話(火曜日) : 立木公次郎がやすらぎの郷へやってきた。
目的は姫への「戦時中の芸能人としての思想」インタビュー。
姫は言葉を選びつつも機嫌よく自分の身の上など語っていた。
しかし、立木の話は徐々に戦時中の文化人の「国策」へと偏って行き、千坂監督の話が出ると姫の口は次第に重くなっていく。
退席したいと言う姫の手を栄は思わず握りしめた。
第88話(水曜日) : 姫が退席した後、立木はGHQが押収していたフィルムの話をし始める。
それは千坂監督が撮った戦地の映像で日本軍がまだ優勢だった頃のものだった。
しかし、その映像の終わりの方に唐突に平和な京の風景が映し出され、そこに姫と思われる少女が映っていると言うのだった。
第89話(木曜日) : 姫が退席した事を知って、マヤが何があったのかと顔色を変えて飛びこんで来る。
その映像を見せろと迫るマヤを、同席していた秀次は見ない方がいいと止めるのだった。
栄はカサブランカでマヤと、千坂監督はどんな気持ちでそのフィルムを撮ったのか思いを巡らせる。
第90話(金曜日) : 夜中、栄のヴィラに姫が訪ねてきた。
取り乱してインタビューを退席したことを詫び、「フィルムの中の平和なワンシーン」を撮られた時の話をし始める姫。あれは確かに姫の映像だった。
ある日、監督は突然姫を呼び出し、三年坂の前で無言でそれを撮ったのだという。日傘で顔を隠して静かに歩く少女。
その何日か後に監督に赤紙が届いた。
そして監督は6月の初めにアッツ島で戦死した。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
GHQが押収していたという1本のフィルム。
その中に描かれた千坂監督と九条節子の淡い恋で綴る1週間。
とても濃い戦争物語だった。
この戦争で命を失った人たちも、その帰りを待っていた人たちも、それぞれの人生があってそれぞれの恋があったのだと。
ドラマティックに語られた一週間だった。
それが例えその辺の会社勤めの人だったとしても、パン屋さんだったとしても、文化人だったとしても、みんな同じように切ない思いを抱えていた。
先週と同じく、時間をバックさせる当時の映像に被せられる、淡い想いを抱えたまま90になった乙女のような姫の語り。
石坂浩二さんも、八千草薫さんも、今さらだけれども名優だなぁと。
心からそう思った。
簡単な感想
日々の感想はツイッターを拾います。
「アザミの脚本はまだまだ未成熟なものだったが、それ以上に重厚な中身の現実が私の心を押し潰していた」 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年7月31日
あ、大納言はお兄さんが亡くなって留守だったから居なかったのか #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年7月31日
意識がないまま2年間。「家族はむしろホッとしてやがったよ」そして遺産の分配で揉める(´д`) #やすらぎの郷
— くう (@kukucoo) 2017年7月31日
ルポライターから昭和の芸能史の話を聞かれた。
「話が千坂浩二の話になって。それでつい千坂さんの事なら姫に聞けばいいんじゃないかって余計な事言っちゃったんだよ」千坂監督の話がまた出てくるとはーー #やすらぎの郷— くう (@kukucoo) 2017年7月31日
「一応東京のやすらぎ財団の芸術委員会の住所教えちまったんだけど」また郷のプライバシーが( ꒪⌓꒪) #やすらぎの郷
— くう (@kukucoo) 2017年7月31日
「気になるのはここにあるアメリカの公文書館から立木さんが探し出してきたっていう幻のフィルムの存在ね」GHQが当時押収したフィルムらしい…。
終戦記念日に合わせてまた色々入って来そう #やすらぎの郷— くう (@kukucoo) 2017年7月31日
「当時の事を知ってる方、もういらっしゃらないでしょ?だから摂子さんみたいな生き残りの方に聞いておきたいって」「その頃の事を話すのはいいわ。
ただね。先生との個人的な事は…ね」 #やすらぎの郷 #録画だよ— くう (@kukucoo) 2017年7月31日
立木公次郎というライターの『日本芸能史』のためのインタビューを受ける姫 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月1日
姫のご実家は大正末期から営業していた旅館だって。お嬢様。 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月1日
「さすがこの頃の話となると姫の話は私が知らない話ばかり」栄ちゃんが舌を巻くような勢いで生き生きと語る姫 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月1日
「その中に千坂浩二さんもいらした」「そして千坂さんの誘いで映画に出られたんですね」結局、姫と千坂浩二の話に持っていきたいのかな #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月1日
ヒデさん現る。
戦争の話になると口が重くなる姫。
「撮りたい映画も撮れなくなって監督もかなり腐っていたんじゃないですか」「個人的に何かお聞きしたことはないですか」
GHQが当時押収したフィルムというのは国策映画だったんだね #やすらぎの郷— くう (@kukucoo) 2017年8月1日
「千坂さんは終戦まで生きておられません。アッツ島で亡くなりました」
軍に協力していたことを責めるような立木の言い方。仕方ないじゃんね。誰もが撮りたい物を撮れなかった時代でしょ。 #やすらぎの郷— くう (@kukucoo) 2017年8月1日
「私に何を言わせたいんですか」
「責めてるわけじゃありません。ただ当時の文化人たちがどういう気持ちで戦争に協力したのか」
察すればいいのに。察せられないの? #やすらぎの郷— くう (@kukucoo) 2017年8月1日
「千坂さんは私にとってたった一人の大事な人」爪をずっと取っておくくらいの存在なんだよね。
あの当時国策協力したからってそれが何なの。国中が洗脳されている中でそれを信じて煽ってしまった事は罪なのか。傷をえぐる人は本当にイヤだ。 #やすらぎの郷— くう (@kukucoo) 2017年8月1日
立木が炙りだそうとしたのは戦争当時の思想。しかし、姫は自分と千坂のスキャンダルを炙りだそうとしているように受け取った。
私もそう感じていた。そういう演技だったと思う。お2人とも。 #やすらぎの郷— くう (@kukucoo) 2017年8月2日
見つかったフィルムは日本軍が優勢だった頃のジャングルの中での戦闘のシーン。 #やすらぎの郷
— くう (@kukucoo) 2017年8月2日
惨酷な戦闘シーンの後に唐突にのどかな日本の映像が続く。千坂さんは戦闘シーンを単なるニュースとして使い、劇映画を作ろうとしていたのではないか。立木はそう考えたと。 #やすらぎの郷
— くう (@kukucoo) 2017年8月2日
戦場シーンの後にくっついたのどかな風景は京の東山あたりで撮られたと思われるシーンだった。映っていた15くらいのモンペ姿の少女は姫だったのではないかと。「千坂監督はどういうつもりでその映像を差し挟んだのか」 #やすらぎの郷
— くう (@kukucoo) 2017年8月2日
「無口なジャガイモは利口に見える」
ヒデさんは賢いし冷静だしいつも世を平らな目で見ている……
…と、あの入居してきたばかりのギックリ腰の週を見なければ思うよな。どんな凄い人間でもダメな部分もある…という #やすらぎの郷— くう (@kukucoo) 2017年8月2日
「何があったの?詳しく教えて。」栄ちゃん、教えてしまうのね^^; #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月3日
実家の旅館の話などは機嫌よく話していたけれども、千坂監督の話になったら口を閉ざしてしまった、と一応説明。どうもマヤの「何があったの」はただの好奇心にしか思えなくて #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月3日
「あの頃ほとんどの日本人は自分たちは正しい。聖戦だと信じていた。」「多くの文化人が国策に協力し、若者たちを戦争に駆り立てた」 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月3日
「もしかしたら今の北朝鮮もそうかも知れないね」ズバリ出したな………そこだけじゃなくてね、テロ行為などしている多くの国がそうだと思うよ。国民個人個人が何の切っ掛けもなく戦いの先頭に立っているわけではない #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月3日
「前へ出ることを拒む勇気なんてなかったんだよ。前へ出なければ国賊だからね。みんな恐くて前へ出たんだよ。」 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月3日
「こわいねぇ…」マヤは戦争体験者ではないの?まだ物心つく前かな? #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月3日
戦場のシーンの間に千坂監督はなぜのどかな京都の情景を入れたのか。
それはたぶん、愛する九条さんの画を入れることで浄化したかったから #やすらぎの郷 #録画だよ— くう (@kukucoo) 2017年8月3日
そして戦争体験と震災をどうしても繋げたいんだな…倉本せんせー。
手を離したのは千坂監督…ってことかしら。姫には自由になってほしいと。 #やすらぎの郷 #録画だよ— くう (@kukucoo) 2017年8月3日
また夜中に訪ねてくる姫。
だがシノの時みたいに「もう朝よ」とは言わないのね。 #やすらぎの郷 #録画だよ— くう (@kukucoo) 2017年8月3日
「あられもなく」「取り乱した」って感じではないのよね.。oOもっと上品に「動揺して」「拒否をした」という感じ。 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月5日
「あの方に悪い事をしちゃったわ」「悪意があったわけではないのにね」
スキャンダルを暴きたいように見えなくも無かったから仕方がないと思う。 #やすらぎの郷 #録画だよ— くう (@kukucoo) 2017年8月5日
「あの方は戦後生まれの方でしょう」「団塊の世代です」「戦後生まれの方が見るのと私たちが見るのでは違いますでしょう?」 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月5日
戦争というものを映画などで見て来て「嫌だなぁ」と漠然と思ってきたけれども自分は銃後にいたから戦地の嫌なことからは逃げてきた。でも監督が実際にあのフィルムを現地で撮ったのだと思うとたまらなかった。という姫。 #録画だよ #やすらぎの郷
— くう (@kukucoo) 2017年8月5日
窓がコツンと音がして下を見ると川のほとりの柳の下に先生が立っていた。
慌てて下に降りて走っていくと、三年坂で先生はカメラを持って立っていた。
「走らないでそのままゆっくり歩いて来なさい」
#やすらぎの郷 #録画だよ— くう (@kukucoo) 2017年8月5日
すれ違いざまに小さな声で「先生」って言おうとしたら、先生は小さな声で「そのまま歩いて」って。そして「さよなら」って。
その後、千坂監督に赤紙が来た。
#やすらぎの郷 #録画だよ— くう (@kukucoo) 2017年8月5日
「先生がアッツ島で亡くなられたのは、昭和18年の6月の初め。」と微笑む。一緒に過ごした思い出から戦死したとまで、今はもう全て美しい恋の思い出なのね。だから、微笑む。 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月5日
夜道。姫の手を取って歩く栄ちゃん。
「わたし、殿方と手をつないで歩くのは、本当は生まれて初めてなのね。」
戦前は男女は一緒に外になどいれば非国民。先生とは部屋の中でしか会えず。亡くなった旦那様も厳格な昭和の男で手を繋ぐことは無かったのだろう。
なんて可愛い人。
#やすらぎの郷— くう (@kukucoo) 2017年8月5日
今週の話はしみじみと寂しくて、思い出が温かくて好きよ。「風化させてはいけないもの」をここに持ってきたんだね。風化させてはならないけれども、個人の傷は抉り出してはならない。 #やすらぎの郷 #録画だよ
— くう (@kukucoo) 2017年8月5日
2017年、戦後72年を迎えた。姫は現在90歳を超える。戦時中は20歳前後?もう名の売れた女優だったという。
監督との恋は少女の終わりの季節の淡い思い出だった。
戦地で亡くなったとなれば尚更。
毎年、監督が亡くなった6月の初めを。
8月15日の終戦記念日を。
この人はどんな気持ちで迎えて来たのだろう、と考える。
どんなに歴史を研究しようが、たくさん本を読んだり映画を見たりして知ったような気になろうが、体験した人でなければ理解できない苦しみや悲しみは確かに存在するもので。
風化させてはならない。
けれども、抉ってもならない。
千坂監督が撮った姫の映像が、そのまま淡い恋の形として表現された金曜日。
切ない話だった。
この記事を書いている本日は8月6日。
72年前、1945年(昭和20年)8月6日月曜日・午前8時15分。広島に原子爆弾が投下された。
今、朝方3時。
この日は夜中に空襲警報があり、市民は睡眠不足の中、軍需工場などに出勤したという。
就業開始から恐らく15分ほどのち。
「いってきます」と家を出て、二度と家族に会えなくなった人たちの数は10万~12万人。
それぞれの人たちにそれぞれの日常ドラマがあったはず。
風化させてはならないこととは、ただ死を悼むことだけではなく、二度と繰り返さないためにどうするか考えること。
1人1人の人生をスキャンダラスに掘り起こす事ではないと思うの。
御霊は安らかに。
再放送
通常再放送は BS朝日 毎週月曜~金曜日 朝7時40分~8時。
前週分の無料配信は「TVer」で。
※キャスト
菊村栄 – 石坂浩二
白川冴子 – 浅丘ルリ子
及川しのぶ – 有馬稲子
水谷マヤ – 加賀まりこ
三井路子 – 五月みどり
井深凉子 – 野際陽子
高井秀次 – 藤竜也
真野六郎 – ミッキー・カーチス
九条節子 – 八千草薫
岩倉正臣 – 山本圭
松岡伸子 – 常盤貴子
財前ゆかり – 松岡茉優
名倉みどり – 草刈民代
菊村律子 – 風吹ジュン
名倉修平 – 名高達男
貝田英信 – 藤木孝
三角寬次 – 山谷初男
堺田俵介 – 毒蝮三太夫
原田 – 伊吹吾郎
那須 – 倉田保昭
中井竜介 – 中村龍史
宮下一馬 – 平野勇樹
中里正 – 加藤久雅
進藤秀夫 – 山下澄人
橋本忠吉 – 納谷真大
野村伊三郎 – 芳野史明
菅野平助 – 西岡ゆん
村松豊 – 福崎峻介
千倉和夫 – 森谷勇太
冲正之 – 熊澤洋幸
荒木実 – 関健介
正岡治 – 池田絢亮
田辺三郎 – 湯川尚樹
茅野大三郎 – 伊藤初雄
茅野順子(カメコ) – 長内美那子
中山保久 – 近藤正臣
侘助 – 小松政夫
玉子 – 野村麻純
犬山小春 – 冨士眞奈美
石上五郎 – 津川雅彦
四宮道弘 – 向井理
榊原アザミ – 清野菜名
菊村梢 – 山本舞香
菊村加奈子 – 森上千絵
菊村一郎 – 水津聡
住職 – 坂本長利
おかみ – 福井裕子
※スタッフ
脚本 – 倉本聰
演出 – 藤田明二、阿部雄一、池添博、唐木希浩
プロデューサー – 五十嵐文郎
音楽 – 島健
主題歌 – 中島みゆき「慕情」