「水蜜桃」
仕事が無くなると、こんなにも扱いが変わるのか…
哀れな男と、労りのない人たちと、生真面目な家政婦が繰り広げる深夜のホラー。
「家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad」第2話
火田七瀬は、人の心が読めてしまう能力者である。
今回、七瀬が勤めることになったのは、桐生家。
家族構成は、サラリーマンの長男・竜一、その妻・綾子、その子・彰、
竜一の弟・忠二、竜一の母・照子…
そして、2年前まではこの家の大黒柱であった、竜一の父・桐生勝美。
勝美は2年前にバリバリ働いていた会社を定年退職し、家の中でふらふらと過ごしています。
七瀬が人の心を読む時、その人の姿は通常とは変わる。
桐生家では、顔に花が咲いて見えるのだった。
この家でも、やはり、家族の表向きの声と心の声は全く違う。
お帰りなさい。遅かったわねぇ。
うむ部活が長引いた、と言いたい。
ひ弱な忠二が柔道部なんてねぇ。
いやー、疲れた。
「まったく つかれてはいない」
「いまさら ほんとうのぶかつは とてもいえぬ」
次の対戦相手は、なかなか強豪でしてな。そやつは身の丈六尺三寸!
「きってしゅうしゅうくらぶ とは くちがさけてもいえません」
やっと解ってきましたよ。柔よく剛を制すの意味が!
「きってしゅうしゅうくらぶは どこをとっても じゅうだらけだ といいたい」
お義父さん呼んできてくれる?
悪いわねぇ。柔道部で疲れてるのに。
「つかれる だまされてるふり つかれる」
「つかれないだろうー きってあつめで」
歯ぁ磨きたい!歯ぁ磨きたい!歯ぁ磨きたい!
「は みがきたい は みがきたい は みがきたい」
こんな感じに言葉とは裏腹な会話が心の中でなされています。
私がこの霧生家の家政婦になって一週間経つ。
この家族全員の悪意は、ただ1人に集注的に向けられている。
それが、この家のかつての長だった勝美なのである。
勝美が現れた途端に、食卓はもう悪口の嵐です。
「ていねんたいしょくしてから にねんたつのに
いちにちじゅう うちのなかを うろうろうろうろするだけ」
「そんなにひまなら あたらしいしごとを さがせばいいのに」
「はやくせきにつけよ といいたい」
お義父さん~、今日、私の部屋に入りませんでしたぁ?
「ぜったいはいった したぎ ぜんぶあらわなきゃ」
「ていねんせいどは こうも ひとをかえるのかねぇ」
「いえのなかを うろうろするだけ ほかにやることはないのかねぇ」
「はいぼくしゃ」
「まけいぬ」
しかし、家族から何を言われようと、どんな目で見られようと、勝美の心は
「うーーーーうーーーーうーーーーー」
しか聞こえてこない。
長年働いてきて育ててきた息子から、もう一度働けと言われ、
妻からは「いやらしい!」と、夜の床を断られ、孫からは
「お祖父ちゃん、嫌い」と言われる・・・
この、哀れな初老の男に、七瀬は同情する。
そして、廊下で1人ぼんやりする勝美に桃をさし出して
みんなに黙って2人で食べちゃいましょうか?
と、提案するのである。
その時から、勝美の七瀬を見る目が変わってしまった。
夜、勝美は初めて家族の食卓で爆発する。
「ふざけやがって! じゃまものあつかいしやがって! ばかにしやがって!」
「おれをなんだとおもってんだーー!」
と、心で叫びながら、七瀬が剥いた桃を舐めるようにむしゃむしゃ食べる勝美…
七瀬は、勝美に優しくした自分を後悔する。
竜一たちと忠二が2泊の旅行に出かけた日の夜、七瀬は部屋の戸に釘を打った。
今夜、旦那様は私を襲うつもりだ。
安易に同情して優しくしてしまったのが仇になったのだ。
自分の身は自分で守るしかない。
しかし、勝美は戸を破って七瀬の部屋に乱入。
七瀬を一直線に襲ってくる。
もう、心の中は
「ももーーー ももーーー ももーーー すいみつとうーー」
なのです。
そこで、七瀬は、ついに禁断の手に出る。
「この すいみつとうをたべれば おれはもういちど たちあがれる!」
私は水蜜桃なんかじゃないわ。
私を食べても、あなたは立ち上がる事なんかできない。
勝美は心の声を読まれたことに当然狼狽する。
「おれ いま しゃべっちゃったのかな」
いいえ、貴方は喋ってないわ。
口に出してなんかいないわ。
ここで、勝美は初めて七瀬に恐怖を覚える。
昔、田舎のお祖母ちゃんから聞かされた、人の心を読む妖怪「さとる」の
想像の姿が頭の中に形になって現れる。
「さとるだーーー くわれる さとるだーーー」
逃げようとする勝美を七瀬は追います。
ここで、完全に追い落とし、とどめを刺してしまわないと、自分の能力が
世間にバレてしまうから。
そして、助けを求めて階段を上りかけた勝美は…
階段の途中でへらへら笑いながらへたりこんでしまう。
妻の照子が階段を駆け降りてきた時は、勝美の精神はすでに崩壊してしまっているのだった。
しかし、七瀬は、ここで予期せぬ夫婦の姿を見たのである。
あら、どーしたの?あなた!
かわいいわねー。いつまでも、そのままでいなさい。
ほんと、かわいいわねー・・・あなた、かわいいわねー…
照子が幼児をあやすように勝美をあやし始めたのだ。
あんなに、近づかれるのさえ嫌がってたのに!
今、自分自身が仕掛けたはずの罠の結末に、七瀬の方こそ
声も出せずに、異様な光景に呑まれて立ち尽くしていた…。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
何もしないでフラフラしている夫が、ボケて幼児退行してしまった途端の
照子の態度の変わりよう……
性なのか?
性欲がある老人は許せないけれども、幼児に戻ってしまったぼけ老人なら
受け入れられるって事なのだろうか。
母性愛って……不思議…
勝美という人はバリバリ働いていた頃は家でも威張っていて、
照子たちはしもべのように主に尽くしていたのかも知れない。
それで、今、巻き返しに出ていた…のかも知れない。
そこは、描かれていないから解らないけれども…
かつては、自分たちのために働いてくれていた人をさ…
クズみたいに扱うのはどうなんだろう。
家族も人数が多いと、集団イジメと同じ体になる。
心と裏腹の言動をぶつけ合う家族の姿は、心が読める「さとり」よりも、
もっと薄ら寒いのだった。
美しい花咲く彼らの顔は、カラフルなだけに滑稽で恐かった。
やっぱり、「家族八景」は、深夜のホラードラマだ。
しかし、田山さんって、すっごい役者さんだわ。と、改めて思った!
次回(第3話)のゲスト出演者は、清水ミチコ、浜野謙太、山本浩司、橋本じゅん。
脚本は、池田鉄洋さん!
※キャスト
火田七瀬 … 木南晴夏
第2話
桐生勝美 … 田山涼成
桐生照子 … 千葉雅子
桐生竜一 … 正名僕蔵
桐生綾子 … 佐藤寛子
桐生忠二 … 須賀健太
桐生彰 … 池澤巧
※スタッフ
原作:筒井康隆
脚本:佐藤二朗
監督:堤幸彦
コメント
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> おお!原作のままなんですね~~。これは見て見たいなぁ~~。
私は原作読んだのがものすごい前で記憶に薄いのです…
どうなんだろうね。
キッドじいやのお話だと、かなり現代風アレンジになってるみたいだけど。
やっぱり、堤監督と脚本家さんなりに解釈した七瀬になっているみたいだよ。
> まだまだエロおやじはいっぱい出てきますよ~。(笑)だから深夜枠にしたのかな??
深夜枠にピッタリだよね(#^.^#)
筒井さんの原作の色と堤監督の演出が元々マッチしてる気がするから面白い物になってるよ。
そっちでも、早く始まると良いね~。
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> ねむくな~る。あなたはだんだんねむくな~る。
> 執事たるもの催眠術は基本的に取得しておりますからな。
じいや、私、その催眠術、昼間にかかってしまうわー^^;
夜になるとやる事いっぱいで、仕事まで夜中に後回しになって昼夜逆転の体でございます。
おかげで深夜ドラマの時間帯に頭が冴えて楽しくて仕方ありません。
何とかしてーーー( ̄∇ ̄;)
> 今回は忠二というか、須賀健太が脚本的に
> もてあそばれていましたなあ。
人気子役はこういう道を通って大人になっていくのですね…(;_:)
すっかり背丈も伸びて、あんなメガネかけてたら言われないと誰だか解らないくらい。
> ドラマの忠二の無意味な軽薄さが
> 重厚な田山涼成の暗鬱な演技と対になって
> 言葉では説明しにくい・・・
> 桐生勝美の自我の崩壊過程を
> 印象づける・・・。
> なかなかの計算だと憶測いたしました。
うん。凄かったですね~。
他のドラマでは、ちょっと出てくる脇役の良い人って雰囲気の田山さんが
初めて不気味で恐いと感じました。
>
> 番宣では堤幸彦が七瀬の入浴シーンは
> 入浴剤が徐々に薄くなっていくといってたのに
> ちっとも薄くなっていないのは
> ガッカリしましたがな・・・。そもそも幻聴じゃないのか。
それは幻聴です( ̄∇ ̄;)
私も薄くなってないなと思いました。
むしろ濃くなってるような気さえ・・・
> そして昔はよかったなあ・・・ですな。
> 主人がお手伝いに手を出せる可能性があって・・・。
> まあ、今でも実行している方がいるかもしれませんが
それは昔も今も実行してはいけない事ですわ^^;
しかし、家政婦の方に家を乗っ取る気があるなら話は別です。
でも…あんな家は乗っ取っても楽しくないわね~。
家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad 第2話 水蜜桃
『水蜜桃』
内容
七瀬(木南晴夏)が桐生家の家政婦となって1週間。
その家では、心は“花”になって現れていた。
家長の勝美(田山涼成)は、定年退職後、家出ぶらぶらしていた。
そのためか
長男・竜一(正名僕蔵)嫁・綾子(佐藤寛子)そしてその息子・彰(池澤巧貢?…
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おお!原作のままなんですね~~。これは見て見たいなぁ~~。映像になったらどんなんだろう?と前から思ってたんですけど、原作を大きく変えられたらちょっとな。と思ってました。よかった。よかった。
まだまだエロおやじはいっぱい出てきますよ~。(笑)だから深夜枠にしたのかな??
家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad「水蜜桃」
また、今回も大胆な演出! 七瀬(木南晴夏)が心を読む瞬間、前回は「裸になって」ドッキリでしたが、今度は顔に花とは! ちょっとトボけた斬新な堤ワールドに、あんぐり、だったのでした。
しかも、ここのところ、悪の親玉とか、家族に邪険にされる役とか、癖のある…
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ねむくな~る。あなたはだんだんねむくな~る。
執事たるもの催眠術は基本的に取得しておりますからな。
今回は忠二というか、須賀健太が脚本的に
もてあそばれていましたなあ。
原作をはるかに逸脱して
佐藤二朗が人気者の後輩を可愛がっている姿が
目に浮かび・・・それはそれでむむ・・・
やりたい放題だなあ・・・と感服いたしました。
ドラマの忠二の無意味な軽薄さが
重厚な田山涼成の暗鬱な演技と対になって
言葉では説明しにくい・・・
桐生勝美の自我の崩壊過程を
印象づける・・・。
なかなかの計算だと憶測いたしました。
番宣では堤幸彦が七瀬の入浴シーンは
入浴剤が徐々に薄くなっていくといってたのに
ちっとも薄くなっていないのは
ガッカリしましたがな・・・。そもそも幻聴じゃないのか。
とにかく・・・超能力者と
無能力者の恋は実らない可能性が高いというのは
確かですな。
そして昔はよかったなあ・・・ですな。
主人がお手伝いに手を出せる可能性があって・・・。
まあ、今でも実行している方がいるかもしれませんが
やはり・・・秘すが花なのではないかと
思う次第でございます。
ああ・・・来週が待ち遠しい。
自己防衛のために疲弊した彼の自我を崩壊させる水蜜桃(木南晴夏)
原作的には・・・「澱の呪縛」、「青春賛歌」をとばしての「水蜜桃」である。 深夜にも関わらず・・・七瀬が人類に敵対する萌芽を見せる・・・それは全く、やむを得ずではあるが・・・ある種の人間にとっては七瀬が人類にとっての脅威であると認識せざるを得ない「水蜜桃?…