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【家族八景】 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad 第6話

「日曜画家」

 

うるさい奥さんの声をシャットアウトしている旦那さんは実際にも多そう。

抽象画家の抽象化された心の中は、さすがの七瀬にも見えず…
勘違いの恋心。

「家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad」第6話

 

     簡単感想で。

 

火田七瀬は、人の心が読めてしまう能力者である。

今回、七瀬が勤めることになったのは、竹村家。
家族構成は、52歳の旦那様と45歳の奥さま。21歳の長男・克己さま。

初対面の奥様は、とにかくペラペラペラペラよく喋る。

そうなの。いたの、いたの、家政婦さん。いたの。だから前から家政婦さんに
来てもらいたかったの。ホントのホントよ。でもね、色々な話を聞くでしょ。
最近の若い家政婦さんは贅沢になって仕事が多いとか洋裁学校に行かせろ、とか、
そういう注文、要求、注文!やだ、注文って2回言っちゃった…。

七瀬には、

そうですか・・・

としか言えない。

七瀬が人の心を読む時、人の姿は普段とは違って見える。
この家では、「お歯黒をした人」に見えるのだった。

私、心配でしょうがないんだけどさぁ。
「さいしょに くぎをさしておかないと」

最近の若い子はさぁ本当に解らなくて・・・。
「このこだってそのうち ちゅうもんようきゅうちゅうもん いろいろと
いってくるかもしれないし」
「うちは めいか なんだから つとめるだけでもありがたいとおもいなさい」
「なんて くちかずがすくない」
「ねんちょうしゃのわたしが これだけいってるんだから
もっとながくしゃべりなさいよ」

 

あのぅ…こちらへ来るまでに聞いたのですが、こちらのご主人様は、画家で
いらっしゃるとか。素敵ですねぇ。

「おお!いっぱいしゃべれるじゃないの」
ああ、主人ね。画家と言っても休日に趣味で描いているだけなんだけどね。
「あのおとこ げいじゅつかをきどりやがって かねにならない えばかりかいて」

でも、新聞の連載小説に挿絵を描いたこともあるのよ。
「あれはかねになったのに さいきんはかねになるえは いっさい かきやがらない」

間もなく帰ってきた主人に七瀬は紹介される。

どうやら、奥様は全く旦那様に相談なしに七瀬を雇ったようだった。

 

良いでしょ。家政婦さん雇っても。とにかく雇う事にしたから。
「ざまあみろ おどろいてやがる」
「もうやとっちゃったもんね」
「かねが しんぱいなら かねになるえを かきやがれ」

旦那様は、ずっと無言だった。

七瀬は、夕飯の食卓で、変わった光景を目にすることになる。

この家の奥様と、長男は2人して、旦那様に「金になる絵」を描かせようとしているのだった。

その2人に対して、旦那様は終始無言であった。

旦那様の心の中では、奥様と長男の姿は四角と三角の図形になっていた。
そして、その声は全て聞こえなくなっているのだった。

 

この人の心の中では、人の顔が図形になっている。
今まで色んな人の心を読んできたけれども、こんな心の中は初めてだ。

聞きたくない事を遮断してる?

凄い・・・これは・・・才能だ・・・。

 

食堂を出ていく時に自分を見る旦那様の心の中を七瀬は見てみた。
しかし、七瀬には図形は被せられていなかった。

え・・・私は図形にならない・・・

旦那様の心の中の七瀬には、何か白い物が降っていた。

雪?

七瀬にはその情景が気になった。

 

あれは芸術家としての防衛手段なんだろうか。
でも、何で私だけ雪だったんだろう。

七瀬は、いつの間にかニヤニヤしている自分に気づく。

悪い気しないな。

……なに喜んでるんだろう。私。

翌日、アトリエ掃除に入った七瀬は、旦那様が描いた1枚の絵を見る。

抽象化されたバラのような花がキャンバスにたくさん描かれた隅の方に、
見覚えのある四角と三角…

これ・・・奥様と克己さん?

アトリエを出ると、土曜で会社を早く引けた旦那様が廊下に立っていた。

 

きみ・・・いや、きみじゃ失礼ですよね。七瀬さん、でしたよね。
アトリエを掃除してくれたんだね。

ありがとう。

優しいステキな話し方と声。

 

まずい・・・なんか・・・嬉しい・・・
こんな気持ち、初めてだ。

夕食の席でも、デリカシーなく金になる絵のことばかり考え、
口でも心の中でも旦那様を責めたてる奥様と克己さん。

それを黙って遮断している旦那様。

七瀬を見つめる旦那様の心の中では、ますます激しく七瀬に雪が降り積もっているようだった。

 

雪…積もってた。
もし、雪は好意の表れで積もれば積もるほど好意が増えているんだとしたら・・・・
旦那様も私の事・・・

私のような能力を持った女でも、人並みに誰かを好きになれるんだ・・・

 

日曜日、旦那様とアトリエを見せてもらう約束をした、と言って
会社の女の子が2人仲よく訪ねてきた。

奥様から、「アトリエに一緒に居て、折を見て女の子たちに金になる絵を描くように
言わせろ」、と指示された七瀬は、3人の様子をじっと見ていた。

女の子2人はほがらかに話をし、旦那様はにこやかに相槌を打っていた。

しかし、七瀬は気付くのである。

旦那様から見た女の子は、1人は図形になり、1人の姿はそのままだった。

そして、七瀬は初めて旦那様の心の声を聞いた。

「いつにするかなぁ」
「このこの つかいこみは ぼくしかしらない」
「それをねたに このこを ほてるにつれこむのは いつにするかなぁ」
「ほてるにつれこむのは けっさんのちかくのほうが いいなぁ」
「いいわらいごえだ さぞかし いろっぽい あえぎごえを あげてくれるだろう」
「わかい にくたい・・・あじわいつくし・・・」

 

茫然とする七瀬。

その内、図形だった女の子が、急に怒り出し、泣きながらアトリエを出て行ってしまった。
七瀬が聞いた、その女の子の声。

「やっぱり かちょうは おちあいさんのことが」
「ちゅういしてあげなきゃ かちょうのおんなぐせは さいあくだって」
「でも そんなことできない わたしと かちょうの かんけいがばれてしまう」
「くやしい かちょうにはだまされた」
「こどもを おろしたひようだって はらってくれないし」

 

翌日、七瀬は旦那様の会社にいる落合さんに声を変えて電話した。

落合さんですか。
今日中に、使い込んだお金を返しておきなさい。

 

出勤する旦那様の心を覗くと、七瀬にはますます雪が降り積もり、
もう頭のてっぺんしか見えないほど。

これは雪じゃない。 
これは、キャンバスだ・・・

旦那様は自分の心のキャンバスに、要らない人間は図形に、
興味ある女はバラを描いていたんだ・・・

そして、声も聞こえてきた。

「うぶなこ」
「げいじゅつかのあこがれをりようして ほてるにつれこんで」
「もし からだにあきたら………」

飽きたら・・・七瀬も図形になる……。

 

気の毒な人…。

七瀬は言った。

私、今日で・・・辞めさせていただきます。

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

恋は幻覚…に近い物がある。

相手の気持ちが読めなくて、自分の良いように解釈して、妄想して、夢見て…

七瀬は正確に相手の心を読めなかった。
芸術家で優しそうでスマートで自分だけが特別だったから。

特別扱いだと思っていた恋は、他にも同じ人がいると思うと急激に冷める。
だって、誰だって「たった1人の私」でいたいから。

「盲目」じゃなくなると、相手の欠点はボロボロと見えてくるのだった。

 

次回(第7話)のゲスト出演者は、本田博太郎、鈴木一真、阿部真里、徳井優。

 

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※キャスト

火田七瀬 … 木南晴夏

第6話

竹村 天洲 (52) … 矢島健一
竹村 登志 (45) … 石野真子
竹村 克己 (21) … 菊田大輔
梶原 里子 … 八代みなせ
落合 美佐 … 真凛

※スタッフ

原作:筒井康隆
脚本:佐藤二朗
演出:白石達也

 

 

 

 

コメント

  1. キッド より:

    SECRET: 0
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    気がつけば三月でございます。
    本当はこのドラマだけのレビューのつもりでしたが
    結局・・・毎日レビューしております。
    まあ、こうなることは想定内ですな。
    愛しているものを絶賛するには
    その他について語らなければならない。
    それは純粋な愛とは言えないかもしれませんが
    愛の一種とは申せましょう。

    七瀬が「誰かを好きになること」を知った・・・
    ということではこの回は
    「七瀬ふたたび」へ続く序章なのですな。
    なにしろ・・・そこではほのかな恋が描かれるのですが
    相手は心を読まれることを恐れて
    七瀬には近づけない。
    なんてロマンチックな悲恋なのでしょうか。
    そういう意味でこの回の恋の陥穽は
    グロテスクであればあるほど
    後のプラトニックラブを輝かせるのですな。

    オンリー・ユー
    オンリー・ミー
    の愛は悪魔の守備範囲ではございませんが
    ああ・・・そういう時はもう太古の昔ですからな。
    でも・・・時には
    甘酸っぱい気持ちを蘇らせたいもの。
    この回の七瀬の心の揺らぎは実にすばらしい。
    堪能しましたぞ~。

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    『日曜画家』

    内容
    竹村家にやってきた七瀬(木南晴夏)
    妻・登志(石野真子)から、色々と注意されるのだが。。。。
    心が読める七瀬は、“お歯黒”に見えていた。
    夫・天州(矢島健一)は、平日は会社に勤め、休日は家で絵を描く日曜画家。
    喋るだけ喋る登志に対して、?…

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