【逃げる女】第4話「危ない道連れ」　感想

10年前、俺は西脇梨江子の言う事を全て覆した。
人が言葉の裏に隠しているものを暴いていくのが刑事の仕事だと思っていたからだ。

でも、今は西脇の心が知りたい。

彼女はどこで何を考えているんだろうか。

 

逃げる女 　第4話「危ない道連れ」

　　　　　

 

家族って思い出で成り立ってるんだって改めて思ったよ。
お前が生まれた時、家を買った。
結花が小学校にあがった時にお祝いをした。
家族4人で海に行った。

全部忘れられると、何のために何十年夫婦をやってきたのか分からない。

 

恐らく事件のショックで起きたのだろう梨江子の母の解離性健忘。
冤罪のせいで、梨江子の家は本当にメチャクチャになっていた。

買った家も失い、妹の幸せも奪い、そして家族の思い出までが失われた。

こうなったら原因を突き詰めれば、あずみである。

ウソの証言さえされなかったら……。

だから、今日も梨江子は失われた時を取り戻しに あずみを追う。

 

実際は、駅で会ったという あずみの証言があったとしても、佐久間はそれを信じなかったかも知れないんだよね。「全て覆す」ほどにあの時の佐久間は梨江子を疑っていたのだから。

そもそも、なぜそこまで信じられなかったのかもよく解らないが…。

言っていたように「破壊衝動」なのかも知れないけれども、そもそも刑事や法を扱う人間にそんなものあってもらっちゃ困るんだけど。

 

西脇だろ、お前。
西脇梨江子だろ。何してんだよ、お前。
こいつ西脇だよ！子ども殺した西脇梨江子！

事件は冤罪だったという結果がとっくに出ているのに…。
世の中には梨江子が子どもを殺したというニュースしか伝わっていない。
「それは間違いだった」というニュースは伝わらない。

ツイッターをやっているとよく解るのだが、ネガティブなニュースの拡散率は高いがポジティブなニュースはあまり拡散されない。

ネガティブなニュースの否定など、恐らくほとんど拡散されないだろう。

これを言ったら虚しいけれども、人間は自分の幸せを求めながらも根本的には他人の不幸は蜜の味なんだなぁ…と、よく思う。

だから、本来だったら「冤罪を作りだした警察」と「偽証した女」を責める！という方向でマスコミを使えば、日本で一番の悲劇のヒロインにだってなることが出来るはずなんだよね。

…で、グルグルと先週と同じことをつい書いてしまう。
初めは梨江子だって犯行を否定していたはずなのに、家族はなぜ信じてあげていなかったのだろう。
ちゃんとした弁護士を付けてあげなかったのだろう。

まぁ…悔やんでも仕方ないんだけど。

梨江子が、あずみの証言をあきらめられないように、私もついつい事件当時の周りの対応をあきらめきれないのである。

 

梨江子は深見から、あずみも施設に居た事があるのだと聞かされる。
初めて聞いた事実。

あずみの両親に会いに行く。
そこに あずみは居なかった。
居ないどころか母親は あずみの結婚すら知らなかった。

母親は、身体麻痺している父親の介護生活を送っていた。

 

こんな親見てたら、結婚なんかできないと思ってたけどね。

これとはつかみ合いの人生だったのよ。
ついこの間まで。
私がいないと生きていけなくなってやっと収まった。

死ぬ間際に二人三脚になって…夫婦って何なんだろうね。

 

あずみの子供時代は全く恵まれた環境では無かった。
親友のようだったらしいのに、梨江子はそれを知らなかった。

「夫婦って何なのか」
奇しくも、あずみの母の口から自分の父と同じような言葉を聞くことになった梨江子。

たぶん、ちょっと同情する。
ちょっとの共感が あずみに対して生まれる。

 

しかし、あずみは見つからない。

手掛かりを求め、梨江子は施設で働いていた時代に「愛人」だと思われていた斎藤を訪ねた。

斎藤は離婚し、施設の仕事も辞めていた。
彼の人生も事件で大きく変わっていたのである。

 

「君と密会しているところを達也に見られた。」
「不倫の関係をばらされたくないから達也を殺した。」
それが嘘だって事は、俺が一番よく知ってたからね。

俺は児童のしでかした事じゃないかと思っていてそれを話したんだが、「自分の愛人がやった事を子どものせいにするのか」って刑事に怒鳴りつけられたよ。

一度決めてかかると簡単には方向転換しようとはしない。
警察っていうのはそういうところだと初めて知った。

自分たちのせいで先生が逮捕された。
達也を突き落とした連中も心に引っ掛かってるものがあるはずだ。

そう思って8年捜した。
　　

 

梨江子が出所する事が出来たのは、斎藤が真実を探ってくれたからだった。

関わった子どもたちの心をほぐして真実を証言させるって、大変な苦労だと思う。
自分の替りに誰かが捕まってくれちゃってれば、嘘を突き通したいのが心理ってものだものね。

なのに、梨江子は自分が出所する事が出来た過程も知らなかったらしい。

ちょっと、人と関わっていなさすぎじゃないだろうか。

ボーっと、ただ偶然に冤罪の証言者が出てきて真犯人が解って出所できたと思ってたの？

 

梨江子と別れるときの斎藤のひと言が凄かった。

 

俺は、やっと君から離れられる。

 

凄い表情だった。
やっと厄介な地獄から解放される後ろめたさと安堵感が入り混じった表情。
逃げていくずるさも併せ持った表情。

高橋克典って、こんな顔もするんだなぁ…と思った。
　　

 

施設で あずみの姉分だった千夏の所に、あずみは来る予定になっているらしい。

梨江子はそこで あずみを待つ。

…来ないと思うけど。

 

先週、梨江子のバッグを自転車で引ったくった男から、美緒はバッグを取り返してきた。
冗談で「殺って来たんじゃね…」みたいな話もしたわけだが……本当に撃ち殺されてた…。

銃を手に入れる切っ掛けになった最初の男。
襲ってきた軽自動車の男。
そして引ったくりの男。

美緒が銃で殺した相手はすでに3人。

 

10年前に中年の夫婦が殺された事件がありまして、西脇に付いてる女の指紋とその現場に残された指紋が一致したんですよ。

たぶん、両親も殺しているよね。(←※1)

 

たぶん、あずみも……。

おねえさんのために。

 

安藤は梨江子に対する判断が常に揺らいでいる。
怪しんでいるかと思えば同情もする。

しかし、疑う気持ちは大きい。

佐久間は、ただひたすらに悔恨の気持ちを梨江子にぶつけている。
お節介すぎるほどに。

このコンビが、再び梨江子に あずみ殺しの冤罪を掛けるような事にならなければいいのだけど。

美緒が梨江子に付いている理由が今ひとつ解らないんだよ。
純粋に好意なのか。
あずみを殺したいほど憎んだ梨江子の殺意に引き寄せられているのか。

それとも、自分の罪を梨江子に被せようという計算なのか。

 

サイコパスだよね。この人。
梨江子の方が、この子に引き寄せられるような事にならなければいいけれど。

 

(※1)
ここ、安藤のセリフで「学校から帰ってきた娘と出くわしたとホシも言ってるんですが、殺しは否認してるんですよ。」 という物が入ったので私は犯人は両親の殺しを否認しているのだと思っていましたが、「行方不明になった娘の殺しは否認」という事らしい。

…という事は両親の死が切っ掛けでこうなった？だとしたらサイコパスではなくてソシオパス…

 

梨江子（水野美紀）と美緒（仲里依紗）の周囲で殺人が起きたことに、佐久間（遠藤憲一）は動揺する。
追ってきた佐久間や安藤（賀来賢人）から、美緒は動物的な巧みさで梨江子を逃がす。
佐久間たちは深見（高橋努）らに居所を尋ねるが、その強い反感からえん罪の残した傷が大きいことを悟る。
梨江子は、施設で先輩職員だった斉藤（高橋克典）を訪ねる。
斉藤は事件の真相を明らかにするべく梨江子のために力を尽くしてきたのだった。

(上記あらすじは「Yahoo！TV」より引用)

 

　　
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※キャスト

西脇梨江子 … 水野美紀
谷口美緒 … 仲里依紗
佐久間学 … 遠藤憲一
安藤純也 … 賀来賢人
川瀬あずみ … 田畑智子
斉藤浩一 … 高橋克典
天野直将 … 加藤雅也
柏木健作 … でんでん
香村綾乃 … 原田美枝子
深見元 … 高橋努
西脇喬雄 … 古谷一行
松尾結花 … 水崎綾女
山口 … りりィ
季佐 … あめくみちこ
八重 … 安藤玉恵
小倉一郎
梅沢昌代
諏訪太朗

※スタッフ

脚本 … 鎌田敏夫
演出 … 黒崎博、中島由貴
プロデューサー … 中山和記
制作統括 … 内田ゆき、越智篤志
音楽 … 上野耕路

公式サイト　http://www.nhk.or.jp/dodra/nigeru/

 

 

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