私はママじゃない。
ママは私じゃない!
私は臆病でずるくて…ママに嫌われたくないからママの顔色ばっかり気にして。
ママの気に入る事だけしてうまくいかない事があったらママのせいにして自分をごまかして。
自分の好きなものも分かんなくて、平気で嫌いなスムージー飲んでワンビース着てにこにこ教壇に立って。
でも、それでいいんだって…。
私ってこんなもんだからって…!
NHKドラマ10 お母さん、娘をやめていいですか? 第8話「人形の家」
最終回らしい最終回だった。
最終回のための、最終回。かな。
解決としては甘いかも知れないけれども、何かの切っ掛けがあってぶち壊さなければ動かなかったのだと考えると、リアリティがないとは言い切れないかも。
とにかく。
最終回ではパパの迷走っぷりが浮き彫りになった。
「あなたの娘を、やめていいですか?」
やっと美月がタイトル言ったーーー……と、盛り上がったのも束の間。
だったら…殺して。みっちゃんの手で…。
みっちゃんに要らないって言われるぐらいなら死んだ方がいい。
お願い…。
ママを殺して…。
の手中に下った美月は部屋から出ることが出来ず。
異変を悟った松島くんと、松島くんに連絡を貰ったパパ・浩司によって救い出されるのだった。
ってか……
本当にこのパパ、一体何をしているんだろうか。
連絡ありがとう。
帰りが遅いから心配してたんだ。
とは、一体何なのだろう。
妻がおかしいことは解っているワケだし、なぜ2人きりで引き渡しに行かせちゃうの?
もう意味が解らないね。
家を飛び出した顕子を美月よりも先に追いかけて出て行ったのに、美月の方が先に顕子に追いついちゃうのも意味が解らないね。
パパ、私、戻る。
ここに戻る。
それでまたママと一緒に暮らす。
何を言ってる。
ママの事はパパが引き受けるって言ったろ。
お前は好きなようにすればいいんだ。
あんたが引き受けられてないからこうなったんですけど。
もっとも、もう引き受ける段階では無いしね。
引き受けられないならせめて引き留めなさいよ。
オーマイガ―――みたいな顔してんじゃないよ。。
ここまでやられると、もう、わざとなのかもと思えてくる。
パパ。わざと?わざとなの?
これ、本当はお父さんも娘をやめさせてくれない話?
浩司さん、覚悟を決めたって言ってたんじゃないの?
と、文恵さんに責められて、
ああ。
だから社長にも直訴したんだ。
結果、もう辞める事になったが、これから本気で顕子と向き合っていこうと思ってた。
ほら…また、とんちんかんな事を言っている。
顕子の話と会社の話は別物だろう…。
こうやって、この人の頓珍漢な思考を見たり聞いたりしていると、会社でリストラ予備軍に落とされてしまったのも何となく納得できる気すらするのだった。
たぶん…
仕事も同じだったんじゃないのかな…
自分では一生懸命上手く出来ているつもりだったけれども、仕事の評価は良くなかったんじゃないのかな…。
そうやって自分の世界だけで一生懸命生きているせいで、パパは新しい家で使うティーカップすら買ってもらえないのだ。
ママの頭の中にあるのは美月との新しい生活ばかり。
ママの思うままな娘に戻ってしまう みっちゃんは、もう介護士の心。
そんな状態に風穴を開けてくれたのは、やはり松島くんだった。
これからどうするつもり?
そんなにママと離れるのが怖いの?
私がいないとホントに死んじゃうかもしれない。
そんな親を放っておけないでしょう。
僕とはどうしたいの?
もう会いたくないならはっきりそう言ってよ。
お母さんの側にいるかぎり、君は自分の気持ちなんか後回しにするんだよ。
お母さんを拒否したあなたの方が正しいの?
ママを悲しませたくない私の方が間違ってるの?
自分を捨てた母親が自分を覚えているかどうか確かめに行こうと誘われて、美月は松島くんに付いて行く。
松島くんの母は男とはとっくに別れて1人で暮らしていた。
今はね、一人なの。
ひとりだけど…なんとかね、やってるの。
だからもう会いに来なくていい。
あんたに甘えたくないから。
ありがとう。太一。
元気でね。
これもこれで寂しいね。
親子とは何と難しい距離なんだろう。
松島くんのお母さんは潔く見えるけれども、不便や不安や寂しさは当然抱えているだろう。
息子を捨てた罪を背負って自分に罰を課しているように見えた。
一緒に暮らしてあげればいいのに、とも思う。
けれども、一緒に暮らしていたら覚悟も生まれないわけで。
いつか…
きっと、いつかね。
お互いそう思える日も来るのかも知れない。
俺…ほんとは怖かったのかもな。
と、ポツンとつぶやく。
忘れられているかもしれない事が。
恐かった。
松島くんは松島くんで、美月母子を見ながらいつも葛藤を抱えていたんだね。
顕子のスムージーを断り、学校へ行く美月。
礼美もまた決心していた。
弟と一緒におばあちゃんの家に行く。
転校するって事?
学校はやめる。
一緒にいない方がお互い楽になるよ、多分。
でもお母さんはそう言えない。
だから私が先に決めたの。別れて暮らそうって。
そう…。
ごめんなさい。力になれなくて。
先生さ、もっと適当にやれば?
母親の期待なんて私、裏切った事しかないよ!
期待を裏切るなんてこと、美月には出来なかったんだものね。
たぶん、それは優柔不断な優しさだったのだろう。
拒否できない優しさは、時に残酷だ。
初めて「自分の好きな物」を買う美月。
みっちゃん。ママね、パパと別れようと思う。
パパね、インドネシア行くんだって。
ママは行かないわ。
だってママはみっちゃんと一緒に新しい家に引っ越して毎日お揃いのティーカップでお茶を飲むのが夢なんだもん。
美月はここでやっと、反抗するのだった。
分かった。じゃあ一緒に引っ越そう。
でも、私はそのティーカップは使わない。
買ってきたシンプルなカップを見せ、今までママに与えられて来た物が全て自分の好みと合わなかったことを話し、10円禿を突きつけた。
ママの理想のみっちゃんが崩壊する瞬間。
顕子は激しく抵抗する。
けれども、美月はもうママのみっちゃんではなくなっていた。
私はママじゃない。
ママは私じゃない!
私は臆病でずるくて…ママに嫌われたくないからママの顔色ばっかり気にして。
ママの気に入る事だけして、上手くいかない事があったらママのせいにして自分をごまかして…。
自分の好きなものも分かんなくて、平気で嫌いなスムージー飲んでワンビース着てにこにこ教壇に立って。
でも、それでいいんだって…。
顕子は美月に掴みかかり、やがて床に崩れ落ちた。
ママね…。
ほんとはスムージー、そんなに好きじゃないの。
「いいママ」の象徴だった、健康のためのスムージー。
嫌われたくなかったのは顕子も同じ。
いいママだと思われたかったのは顕子も同じ。
ママもパパも美月も、誰も本音で生きていなかった家が崩壊する。
「家は所詮ただの箱。大事なのは住む人の気持ち。」
立原の言っていたことが、まんま家族のあり方なのだろう。
家はいつか無くなる。
家族もいつかバラバラになる。
永遠な物なんかないの。
顕子は、それを拒否したかった。
幼い可愛い娘と幸せに暮らしていた優しい楽しい時間を、永遠に老けない人形の家で生きていきたかったんだよね。
この気持ちが丸っきり解らないわけではないから、やはり親って寂しい、と思ってしまう。
年を取っていけば誰でも感じ始める孤独の中で、昔に戻りたいと願う気持ち。
時間を閉じ込めたいと願う気持ち。
思い出の中には可愛い子どもたちの姿が常にある。
けれども、戻る事は出来ないのだ。それが切ない。
戻る事が出来ないと気付いてしまった時に、1人で生きる決心をするほど強くない顕子のために、インドネシアで待っていると言ってくれる夫もいれば、話を聞いてくれる親友もいる。
この人、やっぱりものすごく恵まれていると思う。
新しい家は別にローンもないのだから美月と松島くんが住めばいいのに。
インドネシアは情勢もそれほど安定しているとはいえないし、帰って来たくなるよ、きっと。。
それぞれが精神的にしっかり独立した家族ならば、いつかまた一緒に住んでも全く大丈夫だと思うのだ。
家はただの箱。されど箱。
帰ってくる場所は用意されていても良かったのでは…と思った。
あの顕子がインドネシアで雑用のような仕事をしながら暮らしていける気がしないのだけど、まぁ…ドラマはひとまず良い解決をして終わるのだった。
簡単だな、とも思うけれども、心療内科なんかに掛かるよりも、根本的な原因をぶっ壊した方が顕子のような人には良かったのかもしれない。
頼る人がいなくなれば人間はしっかりする。
依存の恐さを思い知ると同時に、自分勝手ではあっても親の愛が全否定されなかった結末にはちょっとホッとした。
親でも、子でも、配偶者でも。
依存される苦しさの中で生きている全ての人がいつか救われますように。
※第8話の再放送は3/7(火)15時10分~16時00分 NHK総合です。
顕子(斉藤由貴)は美月(波瑠)を部屋に閉じ込め自分の元に戻ってくるように説得するが、美月は拒否する。
しかし、それなら「自分を殺して」とまで言う顕子を見て、美月はいったん家に帰ることにする。
浩司(寺脇康文)はそんな二人を見て、結局元に戻っただけかと落胆する。
一方、松島(柳楽優弥)は美月と顕子の前に突然現れ、美月を強引に連れ出す。
そして、二人は長年会っていなかった松島の母親に会いに行く。
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
※キャスト
早瀬美月 … 波瑠
早瀬顕子 … 斉藤由貴
早瀬浩司 … 寺脇康文
川端玲子 … 大空眞弓
松島太一 … 柳楽優弥
後藤礼美 … 石井杏奈
後藤佳代子 … 池津祥子
立原真紀 … 壇蜜
太田和幸 … 眞島秀和
雪村勝治 … 棚橋真典
御手洗孝史 … みのすけ
村主栄三 … 佃典彦
川端貴之 … 中村靖日
川端和子 … 太田彩乃
牧村文恵 … 麻生祐未
※スタッフ
脚本 … 井上由美子
演出 … 笠浦友愛、佐藤譲、大橋守
制作統括 … 櫻井壮一
音楽 … 富貴晴美
主題歌 … サラ・オレイン「Little Doll」
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コメント
きこりしゃん
>決心したって言って会社で乱を起こしたのもどうかしているし、
頼むから顕子のことに集中してくれってね~
会社の乱と顕子の件は何の関係もないのに、どうして「顕子の事で頑張る=会社で立ち直る」になってしまうのか( ̄∇ ̄;)
元々、思い込みの激しい性格なのかしらん…
先週から顕子にちょっと同情し、美月にはもっとすごく同情する(笑)
>最後まで用意されなかった新居の食卓の椅子(普通一緒に買うと思うが・・笑)
だよね!!食卓なんだから、とりあえず4つくらい買っておくといいよ(笑)
>どっちかが殺されたり廃人になるんじゃないかってびくびくしていたけど
希望のある最終回でほっとしたよ。
どうなろうが、帰着点はハッピーエンドかバッドエンドかしかなかったもんね。
何だかんだとカオス展開になっても井上脚本はラストは救われるな。
顕子にも幸せあれ!
>それにしても斎藤由貴さんはすごかったね。
うん。元々すごい人と思っていたけど、ここまでか…って思ったわ。
おまけに、とても綺麗で可愛かったよ。
守りたくなっちゃうのも解る気がする。
いいキャスティングだったね!
お母さん、娘をやめていいですか? TOP
『お母さん、娘をやめていいですか?』は、2017年1月13日から同年3月3日まで、NHK総合・ドラマ10枠(毎週金曜 22:00~22:50)にて放送された。全8話。 概要 波瑠と斉藤由貴の共演で、複雑に絡む娘と母の関係を描くモンスターホームドラマ。一番の親友であり、まるで…
「お母さん、娘をやめていいですか」 最終回 人形の家
「大事に大事に育ててきたのに離れた方が喜ばれる。 母親なんて、ばかばかしいものね。 もう、や〜めた。 みっちゃんが娘をやめる前にママがママをやめるわ」顕子 「えっ・・・?・ …
いや~もうパパンのトンチンカンと役立たずには呆れたよ(笑
決心したって言って会社で乱を起こしたのもどうかしているし、
頼むから顕子のことに集中してくれってね~
ホント、これじゃリストラ候補になったのも納得だよ( ̄∇ ̄;)
>ママもパパも美月も、誰も本音で生きていなかった家が崩壊する。
最後まで用意されなかった新居の食卓の椅子(普通一緒に買うと思うが・・笑)
浩司とは別れて退職金半分もらって好きに生きた方が良かったかもって思うが
顕子はまだ精神的に自立できてるってアレでもないから、とりあえず浩司を
頼ることになって良かったのかね・・( ̄∇ ̄;)
どっちかが殺されたり廃人になるんじゃないかってびくびくしていたけど
希望のある最終回でほっとしたよ。
それにしても斎藤由貴さんはすごかったね。
最初から最後まで興味深いドラマだったわ~