【 なぞの転校生 】第9話 感想

案ずるな。
私たちですらマルスの発見から現在まで200年もかかったのだ。
見たであろう。重さがないと驚いていた。

重さがないのではないということに気づくまでに50年はかかる。

 

なぞの転校生 第9話

  なぞの転校生

 

石膏のようなものでドロドロになったみどりと広一と典夫…。

アスカ……。姫…。

広一の…いや、ナギサの声が響く。
花もみどりの手の中で枯れていく。

…アスカ…。

モノリオ…。
みどりは、なぜ泣いている…。

 

アスカは目覚めた。
そうだ。ここは広一の家だった。

王妃の手術が終わったと典夫が迎えに来る。

 

お世話になりました。

アスカは丁寧に広一の両親に頭を下げた。

いつでも遊びにきて。また話しようね。

広一の両親は温かくそう言ってくれた。

 

ここに「JP@D-12帝国」建国宣誓を宣言する!

アゼガミは目覚めた王妃の横で建国宣言をした。

ハイテンションで喜ぶ「兵隊」たち。

意識が戻って騒ぎ始める江原のじいさんにモノリスを使いながら、スズシロはうんざりした体で言う。

コイツのためにモノリスのエネルギーを消費しなければならないなんて、どうにかならないの?

 

王妃の手術で大部分のモノリスを使ってしまった。
アゼガミもスズシロも焦っていた。

その間、モノリオは全く違う事に意識が向いているようだった。

どうした?

訊ねるスズシロ。

冴木がオンラインにならないのです。
アステロイドの期限が切れたのかもしれません。

この場に冴木は居なかった。

 

翌朝、広一の家に典夫とアスカが顔を出す。

岩田くん。
今日、アスカと一緒に学校へ行っていただきたいのだが、いいかな?

 

広一にアスカを託して消える典夫。

アスカの「お世話」は大変だった。

日傘をささなければ外へ出ない。
傘をさしかけるのは広一の仕事。

 

山沢とキミは従兄妹同士なんだろ?
なんであんなに主従関係がはっきりしてるの?

おかしいか?

おかしいっていうか、変わってる。

…前世を信じるか?

前世?

リインカーネーション。

あぁ…あんまりかな。

前世で彼は私のしもべだったのだ。

ウソ!

たわけ。冗談だ。

 

昨夜と違って広一に対する言葉づかいはスッカリ「姫」になっていた。
典夫がいないせいで上履きの場所も解らない。

もう、このままでいいよ。ふいて。

下駄箱で靴の裏を差し出すアスカ。
広一は拭いてやるしかなかった。

「姫」の足の裏を拭いている風景を登校して来たみどりに見られる。

山沢に頼まれたんだよ。彼女の送り迎え。
もう送ったんだし、いっか。
大変だよ、あの子。

慌てて言い訳する広一。

 

アステロイドの在庫はすでになく、追加で兵隊を確保できません。
モノリスの追加もない以上は今後は地道に人民を集めていくしかないものと思われます。

喫茶店で報告するモノリオにスズシロもアゼガミも顔を曇らせる。
モノリスがない…それは、もう姫の手術ができないことを意味していた。
この地に王妃の新たな国を建国するための兵隊も操れない。

 

希望は捨てたくありません。

と言うモノリオをアゼガミは嘲笑する。

 

希望?
笑わせるな!
ヒューマノイドのくせにそんな言葉を軽々しく吐くでない。

申し訳ございません。

 

モノリスのせいでD8世界は滅んだというのに、私たちは今、そのモノリスを
失っていく恐怖を感じているのね…。

 

江原の部屋に戻ると、王妃が銀次の作った親子丼を拒否しているところだった。

もう、あの者に食事を作らせるな。
気味の悪い料理を食べさせられるところであった。

怒りをぶつける王妃に、アゼガミたちはモノリスがもう無い事を伝える。

 

姫はどうなる?

このままでは遠からず命はないかと。

それはならん!なんとかせよ!

…なんとかせよ!

 

下校の時間には雨が降っていた。

 

雨だ。これでは帰れない。

どうして?

皆はどうして雨の中を帰れるのだ?

 

屋根の下から一歩踏み出し、微笑むアスカ。

お~…これは驚いた!
この雨は、きれいなのか。

 

広一が傘を広げてついて行ってもアスカは傘を拒んで中に入ろうとしない。

余計なことはするな。
私は今、雨を楽しんでいるのだ。

 

わけが解らない…と広一は思う。

しかし、雨と戯れるアスカは綺麗だった。

 

夜、アスカは典夫を連れて、再び広一の家にやってきた。

持ってきたのは四角い黒い石。

いやあ…こんな石、見たことない!

手の平の石に興奮する父・亨。

 

何が珍しいの?

え?いや、重さがないんだよ。
だから……ほら!

 

少し手を動かすと、黒い石は空気の中で自由になる。
フワフワ浮いている…というよりも、そこにあるのが当たり前のように空間に在る。
軽いのではなく、それは空気と同等の物。

 

おもしろいでしょ?

と、アスカは笑う。

それ、ちょっと預からしてくれないかな?

ダメです。
私の宝物なんだから。

ごめんなさいね~。
こういうの見ると子供みたいになっちゃうのよ。

夫をたしなめるように言う母も変わった石に興味津々の様子。

 

それにしても不思議な石だよな。

広一もこれが欲しいか?

いやいや…キミの宝物をもらうわけにはいかないよ。

私と結婚してくれたら、お前にこれを託してもよい。

 

茫然とする広一と両親。

D12世界の反応にご満悦の姫に、部屋を出てからモノリオは説教する。

 

なぜ、あのようなことを?

彼が科学に詳しいというから。
彼らの文明のレベルを見てみたかったのだ。

マルスの結晶をこの地の者に見せてはなりません。

案ずるな。
私たちですらマルスの発見から現在まで200年もかかったのだ。
見たであろう?重さがないと驚いていた。
重さがないのではないということに気づくまでに50年はかかる。

ともかく接触は厳禁です。

モノリオ。私に命令するな。

 

江原の部屋に戻ると江原が倒れていた。
部屋の中は荒らされ、アゼガミも傷ついている。

 

何があったのだ?

冴木が襲ってきたのです。

王妃は?

無事だ。

 

江原は倒れたまま動かない…。
痛々しくその姿を見るモノリオ。

 

冴木のアステロイドが見たこともない光を放っていた。
モノリオが言っていたように、アステロイドが何者かに書き換えられているに違いない。

冴木はどこに?

スズシロを拉致して逃げた。

 

  ※※※

 

アバンが無く、突然始まったオープニングとその繰り返し。
このオープニングは、アスカの夢だったんだ。

アスカの夢にみどりがいる…。
そして、みどりがアスカと呼ばれていた気がする…。

みどりの位置づけはD8世界では何に当たるのだろう。

モノリスを失いつつあるD8世界の人たちの歯車が少しずつ狂っていく。
D8世界ではモノリスが絶対に必要で、それがないと全てが成り立たない。

機械やコンピューターに支配されていくこの世界は、その途上らしい。
だとしたら、この世界も大きな戦争に向かっている途上なのかも知れない。

モノリスは人を支配し、争いを起こさせる。
けれども人を救う物でもある。

モノリスがなければアスカは救われない。

もしも姫がこの世界から消えてしまったら、モノリオは涙を流すのだろうか。

モノリオの口から出た「希望」を嘲笑うアゼガミよりも、アステロイドで支配した者たちの
行く末に感傷的な表情を見せるモノリオの方が人間的に見える。

D12世界の雨が綺麗に見えるほど汚れているD8世界の雨は、すでに「黒い雨」
なんだろうな…。

アスカ姫の傍若無人っぷりに輪を掛けた王妃のワガママっぷり…。
王家の方々にとっては石ころのように見えるだろうD12世界が誇れるのは美しいことだけ。

 

スズシロに似ていたという三枝先生。

そのとき僕は子供ながらに思ってしまった。
この人は現実の世界が本当はもっと残酷で寒々としたものなのに、そこから目を背けて
子供が砂場でおままごと遊びでもするかのようにこの世界を見ているだけなのだと。

 

たぶん、D8世界の人たちが見るD12世界もそんなものなのだ。

美しい…と思われる世界の中にも黒い出来事も黒い思い出もいっぱいあって、現実はもっと
残酷で、冴木のように傷ついて育った人間がいっぱいいる。

それに気づいているのは人間ではないモノリオだけ…という皮肉。

 

冴木は死んだのだろうか。
アステロイドを使われた人間は、確か元の人格には戻れないんだよね。
生きていたとしても廃人になるのか。

高貴な人々は、その罪がどれだけ重いか理解しているのかいないのか。

モノリスに支配された世界では、人間的な温かさが希薄。

それでも親しい人を愛する気持ちだけはあるらしいから、それもまた面白い。
文明が進化しても「悪」も「愛」も無くならないということ。

 

※コメントレス、遅れています。すいません。


王妃(りりィ)の意識が戻り、アスカ(杉咲花)は安心する。
早速、建国のセレモニーが行われるが、典夫(本郷奏多)は冴木(碓井将大)と交信が
取れないことが気になっていた。
そのころ、冴木は暗殺者ハーデス(翁華栄)に操られていた。
翌朝、典夫からアスカの付き添いを頼まれた広一(中村蒼)は、アスカの女王のような
振る舞いに混乱。
その様子がみどり(桜井美南)には面白くない。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

よろしければ→【2014年4月期・春クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

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※キャスト

岩田広一 … 中村蒼
なぞの少年 … 本郷奏多
香川みどり … 桜井美南

江原正三 … ミッキー・カーチス
大谷先生 … 京野ことみ
岩田君子 … 濱田マリ
岩田亨 … 高野浩幸

大森健次郎 … 宮里駿
春日愛 … 宇野愛海
鈴木拓郎 … 戸塚純貴
太田くみ … 椎名琴音
小川玲子 … 福地亜紗美
和田えみか … 岩崎優里菜
戸塚肇 … 川籠石駿平
丸山隼人 … 黒木辰哉
鎌仲才蔵 … 葉山奨之
冴木小次郎 … 碓井将大
咲和子 … 樋井明日香
前川克也 … 芹澤興人
岩田あすか … 立川杏湖

伊達坂医師 … 並樹史朗
坂井銀次 … 金山一彦
鎌仲龍三郎 … 河原さぶ
笹井常務 … 野口雅弘
受付嬢 … 皆川舞

王女 … 杉咲花
王妃 … りりィ
アゼガミ … 中野裕太
スズシロ … 佐藤乃莉

みどりの姉 … 市川沙谷香
高校の警備員 … 清水洋介
体育・二階堂先生 … 加藤玲子
寺岡理事長 … 斉木しげる

 

※スタッフ

企画プロデュース・脚本 … 岩井俊二
監督 … 長澤雅彦
音楽 … 桑原まこ

原作 … 「なぞの転校生」眉村卓

主題歌 … 「今かわるとき」桜井美南・ED「DREAM」清水翔太
      

公式サイト http://www.tv-tokyo.co.jp/nazono_tenkosei/

 

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 【 なぞの転校生 】第1話 2話 3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話


コメント

  1. くう より:

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    レスが劇遅で申し訳ありません(>_<)

    >オープニングは王女の夢でしたね。

    これには驚きましたわ…。またやられたって感じ。

    >素晴らしい脚本と演出によって、登場人物の心情が演技によく表現されています。余分なセリフでいちいち説明しない。答えは画面にある。なんてすがすがしいドラマでしょうか。

    そうなのです。
    映像が語っているんですよね。
    だから喋りすぎない。喋りすぎなくても伝わる。
    切なさも不安もどんどん染みこんできます。すごいドラマですわ。

  2. 隠れ常連 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    オープニングは王女の夢でしたね。
    これからの暗示なのか、D8世界で実際にあったことなのか。
    モノリスが手から離れ、枯れた花を手にして横たわるモノリオ。悲しげに姫と叫ぶ声からすると、これからのことなのでしょうね。みどりの祈りと涙で再び立ち上がるようにも見えましたが・・・。
    ようやく姿を現した暗殺者もまた、放射能によって体が蝕まれていました。それでも使命を全うしようとする。彼には彼の大義があるのでしょう。
    アステロイドの攻撃を甘んじて受けるモノリオ。冷静な判断力の彼ですから、おそらくあの程度の攻撃では故障することはないのでしょうが、反撃をしないところに、命あるものへの想いを感じました。
    素晴らしい脚本と演出によって、登場人物の心情が演技によく表現されています。余分なセリフでいちいち説明しない。答えは画面にある。なんてすがすがしいドラマでしょうか。
    残すはあと3回、心して見ます。

  3. なぞの転校生 (第9話・3/7) 感想

    テレビ東京ドラマ24『なぞの転校生』(公式)
    第8話『きれいな雨~眉村卓原作の傑作SFを岩井俊二がドラマ化!』の感想。
    なお、眉村卓氏の原作小説は40年近く前に既読。また、NHK『少年ドラマシリーズ』版(1975年放送)も鑑賞済み。

    王妃(りりィ)の意識が戻り、アスカ(杉咲花)は安心する。早速、建国のセレモニーが行われるが、典夫(本郷奏多)は冴木(碓井将大)と交信が取れ…

  4. 雨の中の二人(中村蒼)極楽の王女(杉咲花)天窓の暗殺者(本郷奏多)

    東日本大震災の夜、自宅の寝室が就寝不能となったために別宅の居間に避難して横になった。 不安な夜を見知らぬ天井を眺めながら過ごした人も多いだろう。 その心細さは人によって様々だろうが・・・旅先の宿泊施設で目を覚ます時の違和感は多くの人が想像できるだろう。 人々が我が家に感じる居心地の良さは格別のものな

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