【理想の息子】第10話　最終回　統括感想

俺って親離れしてないと思う？

はい。

マザコンなのかな？ やっぱり。
そういうのって女子は キショいとか思うよな。

はい。

「母ちゃんばっかで頭いっぱいの男とは恋愛できない」って？

はい。

チックショ～！やっぱそっか。

でも「愛情が濃い人だ」って安心もします。

一番近くにいる人を好きになれない人が、他の誰かを好きになることなんてないと思うから。

 

「理想の息子」第10話

 

　　

 

海さんが急に結婚すると言いだした。

相手は倉橋。

母ちゃん、いいかげんそういう子供みたいなことよそうよ。
俺に彼女ができたからって腹いせでしょ？

母ちゃん、そういうとこあんだよ。
分かった！はっきりさせよう。

まずソラは婚約者なんてもちろん彼女でも何でもないから。
ただの家出少女だから。いいね？
だから母ちゃんの結婚もなし！オールナッシング！

 

倉橋には「キモイ」「あんた誰？」と言い放ち、ソラには「だまれ！」と言い、
あぁ～ヤダ！もうヤダ！朝からヤダ！ 世界中がヤダ～！
と、叫んで出ていく大地。

出て行った所に内山先輩が待っている。

三船のお母さんが見つかったけれども、若年性アルツハイマーで
全く三船の事も何も覚えていない状態…。

捨てられて、忘れられて…三船は病院で大荒れ。

大地も海さんも心を痛めます。

 

私は今まで自分のために理想の息子を作ろうと努力して来ました。
でもフッと思いました。

息子にとって理想の母親ってどういう母親なんだろう。
理想の親子、理想の夫婦、理想の家庭。

自分にとってはそうでも、相手にとってはどうなんだろう。

理想って誰のためにあるんだろう？

 

バスの中で、お前に彼女や奥さんが出来た時の海さんの気持ちを考えろ。
そろそろ親離れしろ、と倉橋から言われた大地。

仲間たちの問題は、小林が何とか誤魔化してアッサリ解決したものの
スッキリしない。

家に帰ると海さんは倉橋の家に行ってしまっている。
ソラと2人で布団を並べて寝る事になった大地。

しかし、大地も海さんも、それぞれ眠れないのだった。

 

卒業式。
内山先輩も三船先輩もみんな去っていく日。

三船先輩は新しい頭決めの誓いの第2ボタンを中島に渡した。

どっかのアホが辞退しやがってな。
頼んだぞ小林。

みんながざわめき、小林は躊躇する。

 

みんな待ってくれ。

僕は、そんな人間じゃないんだ。
本当に弱虫でダメな人間なんだ。
嫉妬の塊で偽者コアラの事件だってホントは僕が…！

しかし、大地は言うのだった。

お前は自分が弱いって認めてる。
自分がダメな奴だってみんなの前でさらけ出せる。

そんな奴、なかなか いない。

カッコつけて上っ面ばっかりの奴より、みんなお前のそばにいると安心すんだ。

夢だったんだろ？これが。
ママも喜ぶぞ。

 

三船がアパートに帰ると、海さんが待っていた。

カレーとシチュー、どっちがいい？

三船は家に入ってきた海さんに戸惑う。

 

一体、何すか？

私はあなたのこと「憲吾」って呼ぶわ。
だから、あなたも私のこと「おかあさん」って。

何ごっこなの？それ。

家族ごっこかな。
別に特別なルールはない。
ただ、ごはん食べて、話して、たまにケンカして。ただ普通に。

 

海さんの事を「母さん」と呼ぶ三船。
2人は普通に一緒にカレーを食べて、話をして、銭湯に行って…

おやすみ、憲吾。

おやすみ。
母さん。

 

翌日、ボクシング部に最後に立ち寄った三船の所に後輩たちが手合せに来る。

次々と後輩を倒していく三船。

 

みんな先輩のことが心配で。
お母さんのことでボクシングやめちゃうんじゃないかって。

意味ないですよ。
母ちゃん嫌っても憎んでも意味ないです。

テメェに何が…。

母ちゃんは俺達の根っこなんすから。
その根っこ嫌ったら人生花なんか咲かせられない。
どんな母ちゃんだって好きになるしかないんです。

だって母ちゃんだから。
母ちゃんなんだから！

ウッザ。
マジでウザいんだけど。

みんな先輩が大好きだし尊敬してるんです。

ったく…。
母ちゃん母ちゃんって、マザコンか？テメェ。

俺はマザコンじゃないっす。
ただ母ちゃんが大好きなだけです。

 

三船は爽やかに笑った。

来いよ、鈴木。

 

吹っ切った三船先輩にコアラパンチは通用せず、本気の先輩のパンチに大地は撃沈。

お前らに1つ言っておく。

これからやりたいこと、好きなことが見つかったら…。
いいか。恥ずかしいくらい、みっともねえくらい努力しろ。

俺もそうする。

世界をつかむ。

 

その頃、海さんは結婚式。
出席しない予定の大地は1人家に帰る。

ソラも、今日出て行って親が決めた相手と婚約すると言う。

自分にも気になる人がいて楽しく過ごしたという思い出があれば大丈夫だとソラは言う。
海もきっと同じ思いだと。

まぁ、いずれ100％じゃいられないからお互いちょっと減らそうって話。

不幸なお話ですね。

何でよ。これから結婚して幸せになる人に。

だって、あなたが100％あげられなくなると思ってるから。

 

大地は考える。そんな引き算みたいな愛情で良いのかと。

簡単だ！

俺が200％の男になればいい。
だったらずっと母ちゃんに100あげられる。

 

自分が200％の男になるまで待ってもらうために、大地は式場へ駆けつける。

 

俺は母ちゃんというゼペット爺さんに作られたピノキオなんだ。

だから作った母ちゃんが、煮るなり焼くなり好きにしてくれて構わない。
だけど「子離れ」なんて言って遠ざかろうとすんのはやめてくれよ。

もっと俺の母ちゃんでいてくれよ！

何なの？ 一体。
私なんかの何がいいのよ。

ただ産んで、せいぜいごはん食べさせたぐらいじゃない。

貧乏で親のできる最低レベルのことしかしてあげられなかったのに
何でそんなに…。

何でそんなに懐くのよ！

 

そんなの、飼ってる子犬に聞いたって「分からない」って顔するだけさ。

けど、俺は母ちゃんが側にいると尻尾が勝手にブリブリ振れちまうんだよ。

母ちゃん、俺、200％の男になるよ。
そうすれば俺に彼女ができようが、嫁ができようが、常に母ちゃんには100％の安定供給さ。

俺、ずっと母ちゃんだけの理想の息子でいられるから！

 

しかし、海さんは、ケロっと誓いの言葉の続きを言ってしまう。

 

不思議だわ。
ついこの間まで、こんな子犬感に大喜びする自分がいたのに。

今はイラっとする。
「いつまで甘えてんの？」ってお尻ぶっ叩きたくなる。

もっと成長しなさい!!

母ちゃん…。

何が200％の男よ！
そんなことできる息子がいたらね、嫁しゅうとめ問題なんて、
金輪際、起こりゃしないのよ！

 

海さんは、今、子離れして母親になった自分を感じていた。

コアラになった息子を鼻先で嘲笑い、大きなカンガルーオーラを出して見せる。

 

ふんっ！

これが母親よ。
文句ある？！

 

カンガルーのポケットに飲み込まれる大地のコアラ……

 

結婚しても、大地と海さんの生活は何も変わらない。
倉橋も、元々一緒にご飯を食べていたし……。

まぁ、でもこれで大地もマザコン克服できたってことかもな。

だから、もともと俺はマザコンじゃないって。
「ただ…」。

「ただ…」？

言わせたいのね？ どうしても。

言いたいのね。どうしても。

ＯＫ！

俺はマザコンじゃねえ！
ただ母ちゃんが大好きなだけさ！

 

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大団円の最終回。

と言うか、元々、毎回1話ずつ大団円で片付いてましたが。

 

ただのお子様向けコメディに見立てて、実は深いテーマを含んでいる。

親に対する子どもの愛は無償だという事。
そんな子供の心に気付かない親がいかに多いかという事。

自分の優しさに気付けないで傷つく人の多さ。
気づかせてくれる存在の大切さ。

不器用でも愛を受け取っていれば子供はそれなりにスクスク育つ。

海さんの愛情は、やっぱ海より広いのよ。

大地にそそぐ愛情。
三船にもおすそ分けできる愛情。

優しい人たちの優しいドラマ。

三船先輩と海さんを見ていたらさ、三船先輩も充分、「理想の息子」だと思った。

なかなかこの年の男の子で、こんなに母親と話してくれる子はいない。

学園の子たちも、みんな「理想の息子」。

 

倉橋と結婚しちゃって大丈夫？
とは思ったけれども・・・考えてみれば毎日一緒にご飯食べていたわけだし、
何も変わらないんだよね。

 

野島脚本らしい例えや過去作品のオマージュや…

野島ドラマを見ている本数が多い人ほど楽しめた作品。
やっぱり、私的には「ゴールデンボール」学園版といった感じに見えた。

 

野島ドラマのテーマは、どんな時でも、基本は「愛」。

愛情あふれた微笑ましいドラマだった。

 

俳優さんたちも、みんな素敵。
山田涼介くんの演技の成長を特に感じられた作品でした。

 

ところで…
クララと大地は何の関係もないんだね。
ただのコスプレ道具で終わってしまった三吉彩花ちゃん～。
もったいない……。

 

まぁ・・・賛否はあれども・・・

あたしは、ただこのドラマが大好きなだけさ！！

どんな子供もみんな「理想の息子」。

たぶん、私の息子も。貴女の息子も。

 

よろしければ→【2012年4月春期ドラマ一覧】ラインナップとキャスト表

　　
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※キャスト

鈴木大地…山田涼介
鈴木海…鈴木京香

倉橋実…沢村一樹
神部敏郎… ケンドーコバヤシ
池田冬彦… 金子ノブアキ
小林光子… 鈴木杏樹

三船憲吾…藤ヶ谷太輔
小林浩司…中島裕翔

内山五郎…武田航平
丹波さやか…三吉彩花
丹波巌…脇知弘
鰐川悠馬…入江甚儀
羽生義和…柄本時生
象林友行…諸見里大介
豹塚昌子… 吉永淳

金狼 … 林遣都

梅沢昌代
宮地雅子
萩原利映