犯罪を犯した者は償いをしなければならない。
だが、死んでしまった妻は償うことができない…。
「走馬灯株式会社」第5話:Disc5 柳井研二 40歳
※以下の感想はネタバレしています。ネタバレはしないで見た方が面白い内容なので、
知りたくない方は視聴後の閲覧をお薦めいたします。
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ビルで高校生が3人、焼死させられる事件が起こった。
現場にはガソリンが撒かれ、意図的に殺された事は明らか。
その時、町の派出所に勤めていた柳井は、捜査会議に出ていた沖島刑事を
別件で呼びに行った。気が重い話をするためだった。
沖島さん。
落ち着いて聞いてください。
何だよ。
奥さんが…中央町の雑居ビルから飛び降り自殺を…。
それから何日か経ち…
柳井の派出所に沖島はやってきた。
この度は、大変残念なことで…
と、悔やみの言葉を述べる柳井に、沖島は言った。
そうじゃない。
西新井の放火殺人の件だ。
はい?
あの事件の犯人は…
俺だ。
沖島の息子は半年前に自殺をしていた。
原因は同級生からのイジメだったという。
俺は彼らを許せなかった。
それが…あの事件の被害者?
あのビルが彼らのたまり場であることはすぐに調べはついた。
それで火を放った。
まさか、そんな…警察官であるあなたが。
信じられないのも無理はないが動機は十分だ。
沖島は妻が自殺したのも自分のせいだと言った。
自分の復讐計画を知ったせいで妻は死んだ。
これは出頭じゃない。
お前、刑事課希望だったろ?
柳井、お前が逮捕するんだ。
柳井は沖島を逮捕し、そして沖島の言葉通り、警部に昇進した。
何年か経ち…
柳井は、新聞で沖島の死刑が確定された事を知った。
あれから一度も沖島には会っていない。
面会を拒否しているのだった。
柳井はタバコを買うために街へ出かけ…そこで変わったドアを見つけた。
「走馬灯株式会社」
柳井はいつの間にか吸い込まれるように扉を開け…
気づくと、ホテルのような場所でドアの前に立つ人形のような女を見た。
ようこそお越しくださいました。
私、走馬灯株式会社の神沼と申します。
…何ですか、ここ…。
ここは、人生をかえりみていただく場所でございます。
俺の人生がこれに?
当社のライブラリーには生死にかかわらず全ての方の人生を収めた
ディスクをご用意しております。
事実が必ずしも真実とは限りません。
どういう意味だ?
真実が歪められたことに誰も気づかなければ、それが事実になりますから。
柳井はディスクを入れ、見始めた。
派出所に訪ねてきた沖島…
「ちょっと話せるか。」
「この度は、大変残念なことで…。」
「そうじゃない。西新井の放火殺人の件だ。」
「はい?」
「あの事件の犯人は…
俺だ。」
これは、間違いなくあの日だ!
テレビの中の映像は自分の目線のようだ。
自分は一切映らず、沖島の表情が良く見える。
「…原因は、中学時代の同級生達から受けていたイジメだったんだ。
俺は、彼らを許せなかった。」
「彼ら?」
…殺すほどの相手を…
「あのビルが彼らのたまり場だと…」「すぐに調べがついた」
彼ら…
「一つ腑に落ちない点があります。なぜ放火だったんですか?」
「最初から出頭するつもりでやるなら、もっと違う殺害方法が…。」
「これは出頭じゃない。」
「お前、刑事課希望だったろ。柳井、お前が逮捕するんだ。」
質問に答えてない…。
どうして放火だったんだ?
違う。
沖島さんじゃない。
沖島さんはやってない!
柳井は慌てて走馬灯株式会社を飛び出した。
沖島がいる刑務所に行ってみたが面会はやはり許されなかった。
家でぼんやりしていると、妻に言われる。
食欲ないの?
あっ、ごめん。
沖島さんのこと?お気の毒だけど仕方ないわ。
それだけのことしちゃったんだから。
やってればな…。
いくら息子の復讐とはいえ、現職のデカが少年を殺したりするかな。
ウチは子供がいないから分かんないけどさ。
息子がそんな目に遭わされたら、立場関係なくやるんじゃないかしら。
俺はやらないよ。
ほんとにそう言い切れるの?
私は言い切れないな。
やるかもしれない。同じ苦しみを味わわせてやりたい。
怖いこと言うなよ。
ふふっ。ごめん!
翌日。
柳井は沖島の人生を見るために「走馬灯株式会社」に行った。
関わった人の人生はすべて見れると言う神沼。
ディスクを入れた。見る日付は、あの事件の日。
犯行時刻、沖島さんはどこにいたんだ?
映像の中の沖島は、あの犯行現場にいた。
しかし、中には入って行かなかった。
どこへ行くんだ?
どういうことだ?
現場のビルの裏手に入っていく沖島。
爆発音が現場の方から響き…そこで泣いていたのは沖島の妻だった。
「な…夏子!」
「大丈夫!大丈夫。大丈夫だから、大丈夫だから…うん、大丈夫…」
「ごめんなさい!」
「どうしても許せなかったの…昭太を死に追いやった人間が…
のうのうと生きてるなんてぇ……」
「分かった!もう何も言うな。分かったから…」
「どうしよう…どうしよう…」
「お前は家にいるんだ。あとは俺に任せてくれ。…分かったから…もう任せてくれ」
画面を食い入るように見ていた柳井は全てを悟った。
そして、次のシーンでは…あの捜査会議だった。
沖島の前に出てきたのは、自分。
「沖島さん。落ち着いて聞いてください…」
「奥さんが……中央町の雑居ビルから飛び降り自殺を…」
翌日、柳井は再び刑務所に足を運び、やっと沖島と面会する事が出来た。
柳井、今、どこの部署だ。
沖島は、穏やかにそう言った。
刑事課です。
そうか。よかったな。
あなたのおかげです。
沖島さん。
…ほんとのことを話してください。
あの少年達を殺したのは、沖島さんじゃない。
殺したのは俺だ。
沖島は静かに微笑む。
あの日…沖島は、少年たちがビルに集まっているのを知っていて、拳銃を持って
あの現場に行った。
しかし、現場にはすでに火がつけられていた。
でも、沖島さんは殺していない。
どうして逮捕させたんですか?
犯罪を犯した者は償いをしなければならない。
だが、死んでしまった妻は償うことができない。
だから俺が代わりに償おうと思った。
妻を殺人犯にしたくなかった!
息子を失った上、人殺しとして死んだなんてむごすぎる。
夫の人殺しを悲しんで自殺したと思われる方がまだいいだろう?
柳井は自分のうかつさを心から悔いていた。
あのとき気づかなかった…俺がバカでした…。
気づいたじゃないか。
だからここへ来たんだろ?立派な刑事だ。
誤認逮捕したのにですか?
俺が望んだことだ。
だから柳井…このことは…
すがるような目で見る沖島。
言いませんよ…誰にも…言えませんよ…。
面会の時間は終わった。
ようやく…妻と息子ん所に行ける…。
沖島は看守と共に、ドアの向こうに消えて行った。
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すいません…1週間遅れレビュー。
とても、重い話だった…。
少年事件は犯人が逮捕されても、重罪になる事はない。
イジメは立証するのが難しい。
相手が解っていても、逃げ道は多い。
被害者家族は泣き寝入りするしかない……。
柳井は、警察官としての誇りを守って生きてきた。
警察官である自分が犯罪を犯す事など絶対にないと信じてきた。
もちろん、先輩も同僚もそうだと信じていた。
しかし、人間には理屈だけでは貫けない物がある。
それは、愛だったり…守りたいものだったり…色々あるだろう。
沖島は、警察官としての正義感よりも、家族を思う愛を貫き、
柳井はいつの間にかその手助けをしていた。
沖島だって、何事もなければ刑事としての道を貫いて生きていきたかったに違いない。
その夢を託されたのだと思えば……。
選択は限りなく切なくて悲しいものだったけれども。
「走馬灯株式会社」は、放送地域によって放映日時が違うのでチェックを。
TBSテレビ(TBS)・静岡放送(SBS)…月曜 24:20 – 24:59
中部日本放送(CBC)…(7日遅れ)月曜 24:50 – 25:30
毎日放送(MBS)…(8日遅れ)火曜 26:40 – 27:20
山陽放送(RSK)…(14日遅れ)月曜 23:50 – 24:30
南日本放送(MBC)…(14日遅れ)月曜 24:10 – 24:50
北陸放送(MRO)…(14日遅れ)月曜 24:25 – 25:10
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交番勤務の柳井(山中聡)に、現職刑事の沖島(渡辺哲)が放火殺人事件の犯人は
自分だと告白。
やがて、刑事になった柳井は走馬灯株式会社である事実に気付く。
(上記あらすじはYahoo!TVより引用)
よろしければ→【2012年7月期・夏クールドラマ何見ます?】ラインナップ一覧とキャスト表と展望
【キャスト】
神沼…香椎由宇
・Disc5ゲスト
柳井 研二(綾瀬中央警察署刑事課刑事) – 山中聡
柳井 恵(研二の妻) – 馬渕英俚可
沖島 夏子(昭造の妻) – 宮田早苗
沖島 昭造(綾瀬中央警察署刑事課元刑事) – 渡辺哲
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コメント
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>現実にも、だれにも知らされずこういうことって、あるんだろうか。。
なかなかないでしょうが「あるかも」と思わせる内容でした。
理不尽ですが…すごい愛情ですよね。
私としては、いくら沖島さんの強い意志があるとはいえ、柳井には
真実をちゃんと公表してほしいなぁ…
それが警察の正義ですよね。
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渡辺さんの演技が秀逸でした。
せつなすぎて、泣きました…。展開はわかってたけど、、現実にも、だれにも知らされずこういうことって、あるんだろうか。。
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良い話だったけど切なかったなぁ…
>ただ、刑事としてちゃんと妻の罪を認めて
そのうえで生きて償ってほしかったなぁ。
妻は死んでしまった身だから、死者をムチ打ちたくないという気持ちが大きかったのかも。
この人自身ももう年だから若い後輩に道を譲って自分は妻の代わりに業を負う…
人のせいにする人間ばかりの世の中で、自分が罪を背負うってスゴイな、と思いつつも、
腑に落ちないものは残りますよね。
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今回ええ話やなぁ~。と思いつつ見てました。
ただ、刑事としてちゃんと妻の罪を認めて
そのうえで生きて償ってほしかったなぁ。
っていうのもありました。
それが刑事というものなんじゃないのって・・・。
走馬灯株式会社 各話あらすじ
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