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【家族八景】 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad 第4話

「青春賛歌」

女は「若い」と言われなければ死んじゃうんだよ。

若さを失う事は死ぬより恐いこと。

 

「家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad」第4話

 

     簡単感想で。

 

火田七瀬は、人の心が読めてしまう能力者である。

今回、七瀬が勤めることになったのは、河原家。
家族構成は、45歳の旦那様と38歳の奥さまの2人暮らし。

この家に来て2週間。
陽子奥様に、七瀬は密かな憧れを感じている。

ヴォーグ掲載の流行りの服を着て、スポーツカーに乗り、
若い愛人と逢引する日々…

私が惹かれているのは、それらを完璧にこなそうとする行動力や精神力だ。

 

それに引き換え、旦那様は、とても気難しいおじさんなのだった。
おじさんは、奥様を「中年」への道へ引きずり込もうとする。

 

奥様に言われた通りに夕食にハンバーガーを出すと

食いづらいよ。と不機嫌。
「なんて やんぐぶった くいものなんだ」

 

七瀬が人の心を読む時は、本来の姿とは違った姿に見える。
この家では、どうやら学生服を着た人に見えるのだった。

 

「どうだ こむすめに このないふさばきができるかな。
これこそがおとなのわざだよ。」

と、七瀬にナイフを要求し、バラバラにしたハンバーガーをナイフで切り分け、
自分のナイフさばきを見せつける。

心の中は奥様への愚痴でいっぱい。

「どうせ また あのわかぞうと あそびあるいてるんだろう。」
「わかいおとこが ほんきでおまえにきょうみをもつわけがない。
ほとばしるせいよくをどうにかするための もくてきなのに」

奥様が帰ってくると、香水がきついだの服が派手だのとお説教が始まる。

「ちゅうねんにはちゅうねんのうつくしさがあるのに どうしてあいつは
それにきがつかないんだ。」

「おれは わかさをうらやみもしないし しっともしない。」
「おれは いまのままの としとったおれがすきだ。」

 

あの清々しい奥様に比べて、この旦那様って、なんかイラッと来る。
何かイラッとする。

「いら様」って呼んでやろうかしら。

七瀬は奥様と同じように、旦那様をうっとおしく思うのだった。

 

そんなある日、奥様はちょっとした交通事故を起こしてしまう。

旦那様のうろたえようは、ただ事ではなかった。

「としがいもなく すぽーつかーなんか のりまわすからだ。」
「ほんとうに だいじょうぶなんだな ほんとうに。」
「こんやこそ ちゃんといってやろう。」
「あいつは おれがいわなきゃだめなんだ。だめなんだ。」

いい年して調子に乗ってスポーツカーなんか乗り回すからだ。

いいか。
若者が起こす大半の事故は、スピード違反によるものかも知れないが、
中年が起こす事故は、あきらかに反射神経の鈍さから来ているものなんだ。

君はもう若くは無いんだよ。

「すぽーつかーなんて ちゅうねんがのるくるまじゃない。」
「ちゅうねんには ちゅうねんのいきかたがあるんだ。」

 

でも私は鈍ってなんかないわ。

「わかものとか ちゅうねんとか かんけいないわよ。」
「きょうは いらないがわいらくのとんだむかむかでー だったってだけよ。」

酔っ払いが飛び出してきたのよ。

「わたしはほんとうに うんどうしんけいがにぶってしまったのかしら。」
「わかくないから。わかくないから。」

「わかいつばめともわかれて おれととしそうおうのせいかつを
おくってほしいんだよ。」

「どうして このひとは わかさのことばかりきにするの?」
「わたしが わかわかしいことに しっとしているのかしら」

「そのままのきみが すきだ。」

スポーツカーはもう止めなさい。

それは命令なの?

中年には中年の生き方があるんだ。

 

七瀬には、この夫婦の考えが全く理解できなかった。

どうしてこの夫婦は、中年らしさとか若さとかにそんなにこだわっているんだろう。
私も、もう少し年を取ったら、年を取る事に恐怖を感じたり
若さに執着したりするのかなぁ…。

 

若い七瀬には理解できない「若さ」へのこだわり。

翌日の奥様は、いつもよりも化粧が濃く、とても若ぶっているように見えた。

今までは若作りではなかった。
なぜなら、奥様自身が自分の事を若いと思っていたからだ。

スポーツカーは止めないわよ。
旦那に伝えといて。

「わたしはちゅうねん? あなたはまだ せいしゅん?」

奥様は、そう言い置いて出かけ…

そして、二度と帰ってこなかった。

七瀬は、スポーツカーをめちゃめちゃに飛ばす奥様の意識を
ハッキリと聞いた。

「わたしはとしなんかとらない!」
「わたしはちゅうねんじゃない!」

「せいしゅんはわたしのものなの」

そして、断末魔の叫び声も……。

 

七瀬がお暇を貰った日。

旦那様は、奥様の遺影の前でボンヤリと座り込んでいた。

「わたしはわるくない。せいしゅんに こしつしつづけたおまえがわるいんだ。」
「わたしはあいしていた。としをとっているのに としをとっていないふりをした
おまえがわるい。」
「だからおまえはしんだ。おまえをあいしていたのに。」
「なにがせいしゅんだ。としをとることがなぜわるい。」
「ちゅうねんはちゅうねんなんだ。」
「わたしはただしい。おまえをころしていない。」
「わたしはまちがっていない。」「わたしは」「わたしは」「わたしは」

 

奥様は、とてもお綺麗な方だったと思います。

七瀬はそう言い残して河原家を出た。

 

青春から逃れまいとすることがどうして悪い事なのか。
私には分らない。

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

痛い話である……。

これの原作を読んだ時、私は学生だったはずた。
たぶん、七瀬と同じように、あまりよく解らなかったと思う。
だから、あまり印象にも残っていない。

しかし、今となっては我が身だ。

女にはね・・・

年取ってるとか、美しくないとかは絶対に言ってはいけないと思うのよ。
それは禁句中の禁句である。

女には、「若い」「美しい」「かわいい」と言っておけばいいのである。

誰だって、いつまでも「青春」でいたいのよ。

 

七瀬も、あと20年すれば理解できる事だ。

 

次回(第5話)のゲスト出演者は、根岸新三、根岸菊子、河原実乃梨
脚本は、佐藤二朗さん

 

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※キャスト

火田七瀬 … 木南晴夏

第4話

河原寿郎 (45) … 堀部圭亮
河原陽子 (38) … 小沢真珠
修 … 未来弥

※スタッフ

原作:筒井康隆
脚本:江本純子
演出:高橋洋人

 

 

 

 

コメント

  1. 家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad 第4話 青春讃歌

    『青春讃歌』

    内容
    七瀬(木南晴夏)が働きはじめた河原家。
    そこの住人たち。。。七瀬には、学生服姿に見えていた。
    毎日若い男・修(未来弥)オサムと遊び歩く妻・陽子(小沢真珠)38歳。
    そんな妻を哀れむ夫・寿郎(堀部圭亮)45歳。
    七瀬は、、、そんな陽子に“?…

  2. くう より:

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    > 死んじゃうのですか・・・大変ですな。

    そうですよー。お気を付けあそばせ。
    そういう言葉を繰り返していると女はどんどん老化して、すぐに
    お祖母ちゃんになってしまいます^^;

    > その原作者も得意のフレーズに
    > 「昔はよかったなあ・・・」がありますからな。
    > 老人力爆発の短編も数多いところもミソです。

    「水蜜桃」もそうでしたからね。
    老いを受け入れるのは人間難しい物ですよ。
    思い出すのは輝かしい昔の事ばかり…になった時には、もう老人の域です。

    > 青春時代に「家族八景」に出会えた喜び
    > そして時が経ってまた巡り合う「それ」の
    > 感触の違いを楽しむ・・・それもまた人生の醍醐味でございます。

    そうですよね!それは思いますよ。
    味わう年齢で全く違う感慨のある作品。素晴らしいです。

    > くう様がいつまでも若くありますように
    > いつまでも若くいつまでも若く
    > くう様がいつまでも若くありますように

    大丈夫よ。じいや。
    私は年など取らないのです。
    「青春は私のものなのよーー!」

  3. キッド より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    死んじゃうのですか・・・大変ですな。

    中年になった原作者が書いた小説で
    「若さ」への固執と諦念が
    夫婦の間に分離している物語でございますよねえ。

    その原作者も得意のフレーズに
    「昔はよかったなあ・・・」がありますからな。
    老人力爆発の短編も数多いところもミソです。

    昔、ある演出家が
    すでに中年になったハマショーのコンサートに行き
    自分を含めた観客が
    「おっさんおばさん」ばかりでびっくりした・・・と遠い目をして語っていました。
    その中でハマショーが
    「俺は・・・いつまでも・・・ヤングでいいよなー」と叫ぶと
    「おおーっ」と拍手喝采というのですから爆笑です。

    まあ・・・すべては面白くてやがて哀しきなんとやらなのですな。

    青春時代に「家族八景」に出会えた喜び
    そして時が経ってまた巡り合う「それ」の
    感触の違いを楽しむ・・・それもまた人生の醍醐味でございます。

    くう様がいつまでも若くありますように
    いつまでも若くいつまでも若く
    くう様がいつまでも若くありますように

    心から祈るキッドでございます。

  4. 家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad TOP

    2012年1月より、毎日放送(MBS)制作・TBS系列の深夜ドラマ枠にて『家族八景 Nanase,Telepathy Girl’s Ballad』(かぞくはっけい ナナセ・テレパシー・ガールズ・バラッド)のタイトルで放送中。木南晴夏は本作が連続ドラマ初主演となる。 原作 『家族八景』(かぞくはっ…

  5. いつまでも若く、いつまでも愚か者で、いつまでも愛しい女へ捧げる突然の死という贈り物に叫んだ乙女(木南晴夏)

    原作は八篇で構成されるわけだが、登場人物の「死」が表現されるのはこの「青春賛歌」が最初である。 原作順では「無風地帯」→「澱の呪縛」と来て三番目が「青春賛歌」になる。 連作短編であるので・・・主人公の設定説明などくりかえしの部分もあるが・・・いわば・・・…

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