家で療養することになったとと(=父)・竹蔵(西島秀俊)。
少しでもそばにいたい気持ちを抱えつつ、家族にうつってしまわないよう離れて生活していた。
常子(内田未来)はそんなととの気持ちを察して、気丈に振る舞っていた。そんな中、正月を迎え、常子は今日だけはととの近くにいたいと百人一首を持ち出す。
強すぎるかか(=母)・君子(木村多江)を尻目に、常子が一枚だけとれた札は、自分の名前の由来となったものだった…。
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「とと姉ちゃん」第1週「常子、父と約束する」 第4話
※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
ととはついに結核で寝込んでしまい、ととと過ごす日常を愛していた子どもたちには不満と不安が募る。
ととのお膝、好き。
かたすぎず、やわらかすぎず、ちょうどいい。
こんな文学的なセリフをどこで覚えたのか、舌足らずな喋りが今日もカワイイよ美子、カワイイよ。
お帰りなさい。通信簿はどうでした?
はい。
甲が7つ、乙が3つ、算術だけが丙でした。
次は丙を無くしましょう。
はい。
私は全て甲でした。
すばらしい。よく頑張りましたね。
こうやって成績を正座して報告するような描写にも時代観。
ちゃんとしているドラマだなぁと思う。
子供らはととが大好き。
ことに美子には病の重さも理解できない。
だから、正月にもととを遊びに誘ってしまう。
お外で遊んでととが具合悪くなったらどうするんです?
でも、せっかくのお正月だし…。
では、おうちの中で遊ぶのは?
そうねえ…。
それなら問題ないでしょう。
甘いなぁ…
そして、また、ととが無理している…と思うと…。
とも思うんだけどね、それが本人の希望ならば仕方ないよね。
家の中で遊ぶ正月の遊び…は、百人一首。
かかは、遠慮なくガツガツ取っていく。
「ちはや」かよ(笑)
「世の中は」
を取った常子。顔を見合わせて笑う両親。
何がおかしいのですか?
いえね、自分の札はやはり手にするものだと感心して。
自分の札?
実はね「常子」という名はその百人一首の短歌に由来しているんです。
そこから一字を取って常子という名にしました。
どういう意味ですか?
「世の中の様子がこんなふうにいつまでも変わらずあってほしいものだ。
波打ち際を沿いながら漕いでいる漁師の小舟が陸から綱で引かれている。
こんなごく普通の情景が切なくいとおしい」
ごく普通が切なくいとおしいのですか?
この国は幾たびか戦争をしてきました。
ととやかかの知り合いにも戦争で亡くなったり親兄弟を失った人がいるんです。
ととにも家族ができて常子が生まれた時にこう思ったんです。
このささいでごく普通の幸せな暮らしが守られ、常に変わらずあってほしいという願いを込め、常子。
「世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の 綱手かなしも」
この家族の幸せにずっとここにいてほしい…
それは、この父が強く強く願っていることが、この4話までで充分解るよね…。
かかの名前、「君子」も百人一首由来だそうで。
君がため 春の野に出でて若菜摘む
わが衣手に 雪は降りつつ
それで、娘の名前も百人一首から取る事にしたのだそうだ。
そしたら、当然、鞠子だって自分の名前の由来を知りたいわけで…。
鞠子と美子も百人一首から取ろうと考えたんですが、合う歌が見つからなかったんです。
えっ…。
鞠子は生まれた時にぷくぷくと太って真ん丸な鞠のようだったので鞠子と名付けました。
ちょっと待って……子どもはみんなぷくぷくしているよね…。
そんな理由?
よっちゃんは?
美子は、朝生まれたんだけどね、朝方ようやく生まれた美子を抱き上げた時に見えた朝焼けが実に美しくてね。美しい子で「美子」。
どうして私だけ単純な理由なんです?
かわいいじゃない。
まあ、餅のようでもあったので「餅子」と迷ったんですけど、その方がよかったかな?
…鞠子…
かわいいよ、鞠子。
今日も、取り立てて大きな何かが起こるわけではない。
ただ、ととの病状はどんどん悪化し、子どもたちはそこにある幸せが欠けていく不安を漠然と感じている。
子供時代がゆっくり丁寧に濃密に描かれるドラマだ。
しかも、その描写は甘やかでキラキラしていて郷愁感に溢れている。
自分が常々、朝ドラでも大河でも「子役時代は大切」と書くのは、子役にしか出せないリアルな「昔の生活」感が上手く出ている時、その後のドラマが相当悪くてもこの思い出の貯金だけで楽しんで行けるからだ。
朝ドラでいえば『おひさま』とか、大河だったら『天地人』など。
(どっちも最終回のだいぶ手前で貯金が切れたけどな)
このドラマの場合はどうだろう。
この幸せな風景がいつまでも続けと願うこの一週間は、きっとずっと心の奥に温かく残り続けると思うのだ。
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の 綱手かなしも
変わらない世の中なんてない。
むしろ、変わってくれることこそ望んでいる人間も世の中にはたくさんいる。
「変わらないでほしい」と願う竹蔵ととに、子どもたちと過ごす日常を愛する親の温かい愛情と共に、無理をしてでも…死んでまでもこの家族のままでいたいと永遠を熱望する姿が見える。
ちょっと恐いくらい。
子供時代が終わった時に、きっとこの人の姿はもうないのだろうけれども、私たちは画面のあちこちにこの人の「家族」というものへの執念を見てしまうかもしれない。
子供たちにとって、それは幸せな事なのか。
それとも「家族」という呪縛なのか。
…そもそもそんな深いテーマを朝ドラで描けるのか。
ちょっと興味深い。
ところで、母の名前の由来「きみがため」は百人一首に二首ある事は、ご存知ですよね…。
君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな
やっぱり、木村多江さん、薄幸女優だなぁ…。
よろしければ→【2016年4月期・春クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表
※キャスト
小橋 常子 … 高畑充希(子役期:内田未来)
小橋 竹蔵 … 西島秀俊
小橋 君子 … 木村多江
小橋 鞠子 … 相楽樹(子役期:須田琥珀)
小橋 美子 … 杉咲花(子役期:川上凛子、根岸姫奈)
小橋 鉄郎 … 向井理
青柳 滝子 … 大地真央
隈井 栄太郎 … 片岡鶴太郎
青柳 清 … 大野拓朗
森田 まつ … 秋野暢子
森田 宗吉 … ピエール瀧
森田 照代 … 平岩紙
森田 富江 … 川栄李奈
中田 綾 … 阿部純子
星野 武蔵 … 坂口健太郎
東堂 チヨ … 片桐はいり
花山 伊佐次 … 唐沢寿明
五反田 一郎 … 及川光博
谷 誠治 … 山口智充
水田 正平 … 伊藤淳史
ナレーション(語り) … 檀ふみ
※スタッフ
脚本 … 西田征史
演出 … 大原拓、岡田健、藤並英樹、松園武大
プロデューサー … 盆子原誠
制作統括 … 落合将
音楽 … 遠藤浩二
衣装監修 … 黒澤和子
主題歌 … 宇多田ヒカル「花束を君に」
公式サイト http://www.nhk.or.jp/totone-chan/
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コメント
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>私も、ととの妄執か!?と感じてしまい、ちょっと過激に反応してしまったかな…と思ってましたが
やはり、そう受け取れる部分がありますよね(^^;)
いや、妄執ですよね、これ。間違いないと思います(笑)
そこは、たぶん狙ってるだろうなと。
>ただ、某『まれ』みたいに
毒親にしか見えないけど作者の意図は理想の家族なのかも…
この作家は恐らく「毒に気づかず理想と思いこむ主人公」を意図的に描いて行くのだと個人的には思っとります。で、そこと葛藤する主人公であってほしいなと…
この脚本家さんの作品で大好きなものがあるのですが、それは良作連発のPさん作なので「西田さんの作品」としてはどういう傾向なのかよく解らないのです。
深い人間ドラマを書く人だと信じているので…先が楽しみではあります。今のところはかなりハマってます^^
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>家訓も子どもが小さいうちはいいけど思春期にはわずらわしくなるような…(これは後で出てくると予想)
時代が違うので、わずらわしいとも思わないのかも知れませんね~…(まぁ…私だったらニシジがパパなら永遠にわずらわしくありません!)
しかし、ととの遺志を継いで「家族・家族」言う常子に妹たちが辟易…って図は見える気がします。
>普通が大事普通が大事ってことさらに言いつのるところに少々不自然さを感じました。
それはモデルの人・大橋鎭子さんのモットーでもあるんでしょうね。
私的にはととが死んでしまうことを思うと日常…今のうちに大事にしてね(泣)…って気持ちでした。
>ところで宇多田さんの主題歌ってしみじみいい歌ですねー。好きです。
朝ドラのOPをこんなにジックリうっとり聞いているのは「カーネ」以来です!!(あまちゃんはまた別にして)
朝ドラ15分はOPから作られる世界だよなってしみじみ感じさせてくれる素敵な曲ですよね。
ゆうさんはツイッターTLをご覧になっているようなのでご存知だと思いますが、これ「死化粧」とか「死者に贈る花束」とか言われてるらしいんですよね!
誰がそんなワケ解らん深読みをするのでしょうか…宇多田さんご本人は何も言ってないのに~止めてほしいですわーー!
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コメントありがとうございます^^
>…でも、なんだろう、物凄く胸が痛いんです。
声を荒げることのない両親。
反抗的な態度を見せない上の子たち、甘えん坊の末っ子。
絵に描いたような一家団欒。
見ているだけで、苦しくて苦しくて…(笑)
苦しいですね。それで正解だと思います(笑)
ととが自分を縛り付けているとしか思えない家訓。
愛される親を持たなかった父親の家族への縛りがぎゅうぎゅうに詰まった子供時代です。
でも美しいんですよね。
これは狙ってやっているのだと思いますよ~。
この子供時代を美しいと思って育ったこの子たちが、将来どうなるのか、そこをじっくり見守りたいです^^
これだけ丁寧に描いているのだから、きっとこの先も丁寧だと信じたいし、名作の予感すらしています。今のところは(笑)
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>おひさま……私は父親の寺脇康文さん…だっけ?あの役者さんを、おひさま出演されるまで全く存じ上げなかったんですが、
私は寺脇さんはずっと好きで。ただ父親役っていうのは見た事なくて(あれが初めてだったかも)そういう点では違和感というか新鮮でした。
「おひさま」は一週目で父ではなくて病気の母が亡くなるわけですが、母子の描写がとても美しくて…その後も戦後までは二十四の瞳みたいでなかなか良かったんですよね…戦後まではね…。
>我が家の正月風景を思い出しました。ゲームも何も無い、一家団欒の良い時代だったなあ。昭和四十年代の事です。
私も子どもの頃の正月風景を思い出しましたわ。ゲームなかったですもんね。家族でかるたやトランプをやりました。
古き良き時代の日本の正月ですね。
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私も、ととの妄執か!?と感じてしまい、ちょっと過激に反応してしまったかな…と思ってましたが
やはり、そう受け取れる部分がありますよね(^^;)
ととの代わりになる=とと姉ちゃんって、呪縛ですよね…
ただ、某『まれ』みたいに
毒親にしか見えないけど作者の意図は理想の家族なのかも…
という疑惑(?)でイッパイだった作品の例もあるので、何とも言えませんが。
↑あまりにも酷い例え
百人一首>『とと姉ちゃん』第4話
羽根つきで
やたら墨を塗りたがる美子ちゃん
ピカッツァ事件の背後には
こうした性癖(ぇ)があったのね
…ひじゅにですが何か?
「ごく普通が切なく愛おしいのですか?」by常子
昨日のラストで、ととが結核になると語られて
今日は既に床に就いている、ととの図ぅ―
まずは職場が映って
西洋紡との取引が決まったとの台詞で
ラサールのエピはメデ…
百人一首>『とと姉ちゃん』第4話
羽根つきでやたら墨を塗りたがる美子ちゃんピカッツァ事件の背後にはこうした性癖(ぇ)があったのね…ひじゅにですが何か?「ごく普通が切なく愛おしいのですか?」by常子昨日…
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「変わらないでほしい」「あたりまえの生活が一番大事」だという背景には「変わってしまったかつての自分の家族(両親が早くに亡くなり)」が見え隠れしているみたいに感じます。
家訓も子どもが小さいうちはいいけど思春期にはわずらわしくなるような…(これは後で出てくると予想)
普通が大事普通が大事ってことさらに言いつのるところに少々不自然さを感じました。
ところで宇多田さんの主題歌ってしみじみいい歌ですねー。好きです。
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はじめまして。
書き込むのは初めてですが、ずっとウロウロさせて頂いていました。
子供時代が丁寧に書かれるドラマ。昭和の美しい生活がいい感じで、良いドラマになりそうな、期待でワクワクしています。
…でも、なんだろう、物凄く胸が痛いんです。
声を荒げることのない両親。
反抗的な態度を見せない上の子たち、甘えん坊の末っ子。
絵に描いたような一家団欒。
見ているだけで、苦しくて苦しくて…(笑)
前作の今井家の親子関係や、あさちよの確執のほうがよほど健全に思えてきてしまうのは何故なんでしょう?
家族って難しいですね。
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おひさま……私は父親の寺脇康文さん…だっけ?あの役者さんを、おひさま出演されるまで全く存じ上げなかったんですが、あの父親の演技が、どうも私の感性に合わなくって……結局、ほとんど視聴するにはしたんだけど、違和感ばかりの朝ドラでした。ごちそうさんと、同じ所に私の記憶の中に居ますね。百人一首に羽根つき、福笑い…非日常の特別な時間って事でしょうか…とっても楽しかった…着物姿にしてもらって、髪飾りちょっと付けて、リボン程度ですが…我が家の正月風景を思い出しました。ゲームも何も無い、一家団欒の良い時代だったなあ。昭和四十年代の事です。
【とと姉ちゃん】第4回(4/7)感想「名前の由来」
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とと姉ちゃん 第4回
内容“とと”竹蔵(西島秀俊)が、結核になり、家で静養をはじめる。家に居る“とと”に、常子(内田未来)たちは、喜ぶが、竹蔵自身は、家族にうつさないよう気遣い。。。。。
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「とと姉ちゃん」第4回★百人一首
連続テレビ小説「とと姉ちゃん」
第4回(4月7日)
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とと姉ちゃん (第4回・4/7) 感想
NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第1週『常子、父と約束する』『第4回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
家で療養することになったとと(=父)・竹蔵(西島秀俊)。少しでもそばにいたい気持ちを抱えつつ、家族にうつってしまわないよう離れて生活していた。常子(内田未来)はそんなととの気持ちを察して…