全6話の連続ドラマ『ボクの妻と結婚してください。』が14日に最終回を迎えた。
原作は2012年に出版された樋口卓治氏の小説。
2014年には主演も妻役も同じキャストで舞台化されていたらしい。
ストーリーはまともに捉えると奇想天外すぎる。
テレビ局員の三村修治は以前はバラエティ番組制作、現在は営業員として
番組作りの仕事に携わっている。
そんなある日、修治は人間ドッグの結果、末期の膵臓がんだと医師から宣告される。
余命は6ヶ月。
修治は愛する妻・彩子と息子・陽一郎のために、自分が死んだあとでも彼らが
笑って生きていけるように妻の再婚相手を探しはじめる。
自分の「終活」は妻の「婚活」。
実は初めはあまり乗れなくて。
元々、闘病ものは好きじゃないジャンルだし、設定も突拍子もないと思ったし、
ダンナに勝手に再婚相手を探されるなんてチョーー迷惑っ!と思ってた。
末期がんなのに家族に隠し通すのも無理があり過ぎるし、自分の苦しみや悲しみよりも
家族のこと優先?ないわ~~…と思ってた。
何よりも家の中のシーンだけシットコムで演出されている違和感についていけなかった。
コメディ舞台をドラマにしたからって、観客の笑い声を仕込む必要ってないだろ…と思った。
最終回に行くにつれて病状だって悪くなるだろうし、その時にも入れるの?この笑い声…
と、思ったらかなり引いた。
いくら大好きなウッチャン主演で、大抵の作品は外さない岡田惠和脚本でも脱落しそうだった。
けれども、最終話で気づいたわ。
なぜシットコム演出だったのか。
修治がテレビ局を去る時に、今まで自分が作ってきたバラエティ番組の笑い声を
思い出すシーンで解ったんだよ。
ああ、この人にとって余命宣告されてからずっと毎日が笑われてなきゃやってられない
状態だったんだろうな、って。
視聴者にとっての「リアリティないストーリー」だったこのドラマの主人公にとって、
自分の余命宣告こそリアリティのない現実だったのだろう。
だから、自分で自分の生活を演出した。
自分も笑う、妻も息子も笑う、みんなが笑う明るい家の中。
ああ、そういうことか…。
妻子の将来ばかりで自分の事なんて何も考えていない…ように見えていたけれども、
そんなはずがない。
死ぬんだもの。恐いだろう。悲しいだろう。苦痛だろう。
そこから逃避したい彼の頭の中の舞台。それがあの笑い声。
みんなに優しく見送られて、社長と対面して退社。
テレビをよろしくお願いします。
テレビマンとして生きてきたその先のことまで遺言する事が出来た。
退社した途端に病状は悪化した。
彩子は親友の立木と結婚してくれると言う。
何もかも決まるまで病気の方が待っていてくれた。
そう言って満足して入院する。
臨終は家で。
立木が持ってきた新しい番組のテープを見ながら、笑いながら逝く。
最期の言葉は
「馬鹿だねぇ…」
葬儀には担当医と看護師まで来てくれた。
企画は彩子が考えたバルーン葬。
お骨の灰が入ったバルーンが成層圏で爆発して永遠に宇宙を舞い続けるのだそうだ。
(※本当にあるらしい~『バルーン宇宙葬』)
また来週~~!
と、風船に叫ぶ立木。
みんなイイ人で……。なんてホッコリしたイイ話なんだ。
と、誰もが思う最終回。
けれども、思ったの。
「イイ話」は、中心に存在している人が「イイ人」だから成り立つのだと。
言葉1つでもそうだ。
修治は見舞いに来る人たちに「具合どう?」と聞かれて、
「ぼちぼち」とか。
笑いながら「良くないです」とか…
そんな風に応えている。
決して「良くないに決まってるだろ!」とも「俺の痛みがお前に解るか!」とも言わない。
常に周りを柔らかくするように気を配っている。
だから、みんなが来てくれる。
この人を見送りたいと思う。
つまり「素敵な最期」は周りのおかげ…だけではなくて、自分自身の覚悟の上に
成り立つものなのだ。死んでいく人自身の覚悟も問われるということ。
辛い身体、辛い気持ち、きっと周りに気を遣ったり気を配るなんてことは物すごく
大変な事に違いない。
ギスギスした空気やドンヨリした空気の方が作りやすいに決まっている。
ホッコリする空気を臨終に作り出せる人は、きっと物すごく強い人だ。
まぁ、ドラマだからね…という話だが、立派な人だと思ったよ。
「ホッコリした良いドラマ」とは立派な人格の上に成り立つのだとしみじみ思った。
もちろん、私は余命宣告されている人間ではないし、それこそ「人の気も知らないで」
っていう話だろうさ。
自分自身が苦しいのに周りに気を使えなんて、決して言わないし言えない。
世話してくれる人を罵倒し、苦しみをありったけぶつけ、見舞い客にグチグチガミガミ
文句を言い続け、ワガママ放題に死んでいくのもその人の人生だ。
ただ、そのドラマの世界には「ホッコリ」は絶対に無い。
人と接するその姿勢が自分の周りの世界を作る。
それは、仕事の場でも家族でも友達づきあいでも……そして最期の時でも。
「ホッコリした世界」は自分自身の演出によって成り立つ。
そこには我慢も努力も強さも必要なのだと…
このドラマの三村修治を見て気づかされたんだ。
連続ドラマは最後まで見るもんだな。
本当に「いいドラマ」だった。
ストーリーは奇想天外でも、テレビマン・ウッチャンの演技は真に迫っていた。
三村修治はウッチャンならではの役だ。
素敵なドラマをありがとう。
【関連記事】2016年公開・劇場版レビュー
http://www.cinemarev.net/entry/bokutsuma.html
彩子(木村多江)は、修治(内村光良)が亡くなった後に立木(筧利夫)と再婚
することを了承した。
安心した修治は、斉藤(小泉孝太郎)と葉子(酒井若菜)に報告し、本格的な治療を
始めてほしいと申し出る。
だが、修治にはもう一つ、息子の陽一郎(伊澤柾樹)に自分の病状と、立木を父親に
迎えることを伝えるという大きな仕事が残されていた。
彩子に背中を押された修治は、陽一郎の部屋に向かう。
その一方、修治は出社最終日を迎える。
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
よろしければ→【2015年7月期・夏クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表
※キャスト
三村修治 … 内村光良(子役時代:若林瑠海→福島海太)
三村彩子 … 木村多江(学生時代:佐伯美奈)
三村陽一郎 … 伊澤柾樹
斉藤光信 … 小泉孝太郎
川口葉子 … 酒井若菜
沖秀樹 … 吉田栄作
立木宏 … 筧利夫
沼田怜子 … 中村映里子
香取博明 … 堀内正美
香取和子 … 市毛良枝
テレビ日東社長 … 大和田獏
波田陽区
クールポコ
ムーディ勝山
堀内健
※スタッフ
脚本 … 岡田惠和
演出 … 深川栄洋
プロデューサー … 金澤友也
制作統括 … 後藤高久、黒沢淳
音楽 … 平井真美子
原作 … 樋口卓治「ボクの妻と結婚してください。」
主題歌 … 槇原敬之「5 minutes」
公式サイト http://www.nhk.or.jp/pd/bokutsuma/
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コメント
妻の再婚相手を探す!?
ドラマ「ボクの妻と結婚してください。」を見ました。
NHK BSプレミアにて 日曜10時からやってました
余命が6か月と宣告された主人公 三村は遺される家族を支えてくれる人を探すことを決意する
言ってしまえば 妻の再婚相手を探すという!
なんとも奇抜な設定というか、…
「僕の妻と結婚してください」~最終回 ☆☆☆
大団円。
親戚から主治医から、妻の再婚相手候補からw 縁のあった人が公園に集まって、笑顔でお葬式です。
遺灰の入ったバルーンは成層圏まで達して破裂、気流に乗って空にばらま …
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最終回だけならまだ再放送があるよ~。
2015年6月20日(土) 23時45分~24時45分 BSプレミアム。
たぶん1年位したら地上波に下りてきそう。
>子供達に死んでまで、3周忌だ、7回忌だとお金かけさせたくないから。
解るわ!
ウチなんか、お金かけてくれるかどうかも解らないし、放りっぱなしにされるかも知れないから宇宙に行きたいわ(爆)
私はこんなの初めて知ったよ~。
ご主人はムッとするってことは一緒にお墓に入りたいのね…。愛されているね~^^
このドラマの奥さんはいつも空を見上げれば主人公がそこにいる…という
自由さを選んだんだろうな。
それもロマンよね^^
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これ、録画した『美女と男子』を見る時に、
番宣がちょこっと入っているので気になってはいたのだけど、
終わってしまったんですね〜。残念。見たかったな〜。
風船葬、私これにしようかな〜と思っていたんです。
義実家のお寺さん、凄くお金かかるし、お墓に入りたくないし、
行きていくだけでも大変な世の中なのに、
子供達に死んでまで、3周忌だ、7回忌だとお金かけさせたくないから。
友人と、今度説明聞きに行こうか、なんて話してたの。
でも、死ぬまでに、その会社が潰れないといいね〜って^^;。
どうせ宇宙に行くのには間に合わないから、
せめて風船葬でなんてね。 主人にはムッっとされたけどね。