【破裂】第2話 感想

日本に寝たきり老人が多いのはなぜか。

ある学者が言っていました。
それは心臓の強い老人が多いからだと。
それと私見ですが、もう一つ。医者がバカだからです。
先生は違うと信じていますが、循環器の医者なんて心臓さえ治せば脳の血管が詰まろうが腎臓が弱って
透析が必要になろうがお構いなしだ。
自分たちが寝たきり老人を増やし、社会全体を危機に陥れている事など気付きもしない。

 

一体、何が言いたい?

 

ぴんぴん ポックリ。

 

土曜ドラマ 破裂  第2話

   破裂op1

 

簡単感想で。

ぴんぴんぽっくり…。

は、理想だと第1話のレビューで書いたけれども滝藤さんにニヤニヤしながら言われると、やっぱりちょっと恐い。

CM-GF療法実験犬・サリーちゃんの急死による解剖で、心臓破裂を確認した香村のショックは大きい。

この開放性の破裂は尋常じゃない。
自然に起こったものでもない。

つまり香村療法で心機能は回復する。
ただ、副作用があると…。

 

いいか?
この事は極秘だ。

 

心臓は若返る。
けれども破裂する。

絞んだ風船に空気をどんどん入れていくとパンパンに張って若返ったようになるが、いずれは破裂する…そんな図が浮かんでしまった。もちろん全然違うけど。

OPのタイトルバックで破裂する赤い「何か」の図が怖い。ホラーかってくらい恐い。

 

ヒトとイヌの心臓は似ている。
同等のタイムリミットと考えると、倉木蓮太郎の心臓は…半年で破裂する。

香村のショックの原因は研究が失敗したことだけではない。
それを人間に行ってしまったこと。

父親である国民的俳優・倉木蓮太郎は異常に元気だ。
今はその元気ささえ腹立たしい。

 

実験台になるって言ったのはあんただろ!
何かあったらこっちが迷惑なんだよ!
大体な、治験はあんた一人のためにやってる訳じゃないんだ。
後に続く何百万人のためにあらゆるデータをとる必要があるんだよ!

 

イライラしながら怒鳴る香村を鼻で笑う倉木。

 

気の小さい先生だ。

昔からそうだった。
初めて海へ連れていった時、水を怖がってばかりいた。

 

…何十年前の話だ。
父親面するな!

 

そういう思い出はこの男の中にあるんだ。
香村が9歳になるまでは何度か訪ねてきていたらしい。

つまり、自分の子供だという意識はあったということだよね。
どうでもいい女だったわけでは無かったということだよね。

せめて養育費くらい出してやっておけば、ここまで憎まれないで済んだのに。

親って老いてくると子どもと過ごした昔話ばかりし始める。
こっちはそんな気分じゃないし、そんな思い出は別に何も楽しかった記憶がない。
ここ、とてもよく解る。親と子どもが共有した時間の記憶のギャップ。

こんな香村でも、父がそういうことを覚えていた事は少しは嬉しいのか。
「患者」ではなく、「父」の心臓が破裂することに関しての焦りや苦しみはあるのか。
それは、まだ解らない。

 

チームはサリー以前に兎を実験に使っていたらしい。
心機能が回復したウサギは近隣の幼稚園に譲った。

その内、2羽は香村が危惧した通り3ヶ月で突然死し、あとの2羽は姿を消したのだとか。
死んだ2羽の死骸も幼稚園が作ったお墓から姿を消していた。

つまり誰かが遺骸を掘り起し、生きている2羽も経過を見るために連れ去ったと。

もちろん…

もしかしたら、この人、副作用の事をもう知ってるんじゃね
…と先週から予想していた人物が犯人である。

実験に使った動物を幼稚園なんかにあげちゃった香村が甘かったよね。
経過は病院で見ないと…と考えるのが普通だろう。
研究に無関係なアカの他人の方が先に副作用に気づくなんて、マヌケすぎる結果だよ。

 

その人物は、もちろん、国民生活省大臣官房主任企画官・佐久間くん。

年寄りをビジネスにする話ばかりしている部署なんだね。
いっぱいお金落とす年寄りには長生きしてもらい、お金を落さない年寄りは足蹴にする。
そんなこのお国の裏事情がそのまま透けて見える部署。

 

なぜ日本が長寿世界一か知ってます?
医療が無軌道に進歩したからですよ。
ただ命を延ばせばいいという短絡的な発想でね。

しかも、日本の老人は脳の血管は弱いが心臓は強いから寝たきりになってもなかなか死ねない。

へえ~!
本当ですか、それ。

 

食生活の違いからアメリカやヨーロッパは逆なんです。
やつら年を取ると心臓発作でどんどん死にます。
介護負担もそれほど増えないんです。

 

なるほどねぇ…。
食生活や文化の違いか。
そして医療技術や生活習慣の情報のおかげか。
日本人は勤勉だ。「こうすると長生きできるよ」という情報に従ってストイックに健康管理する。
その結果、ますます心臓を強くしているわけですね。解ります。

 

金持ち老人はケアセンターだの延命治療だのに湯水のように金を落とし、貧乏な老人は長生きしたくもないのに心臓が丈夫なせいで痛みに耐えながら死を待たなければならない。

今週の水曜にフジテレビの『無痛』で放映されていた内容が蘇って繋がった。

病院に行く金もない老人。
痛みに耐えきれず、1人は自ら死を選び、1人はやってもいない犯罪を犯した事にして刑務所で「世話」してもらう。

ピンピンポックリが実現すれば、そういう老人も無用な痛みから逃れられるというわけ…。

…なのかな。
それとも、貧乏人はピンピンポックリすら許されないのかな…。

 

佐久間は香村を墓場に呼びだし、高台からセンターを見せる。

 

日本に寝たきり老人が多いのはなぜか。
ある学者が言っていました。
それは心臓の強い老人が多いからだと。

それと私見ですが、もう一つ。医者がバカだからです。

先生は違うと信じていますが、循環器の医者なんて心臓さえ治せば脳の血管が詰まろうが腎臓が弱って 透析が必要になろうが お構いなしだ。
自分たちが寝たきり老人を増やし社会全体を危機に陥れている事など気付きもしない。

 

一体、何が言いたい?

 

ピンピンポックリ。

先生もご存じでしょ?
いつまでもピンピン元気でいて死ぬ時は寝つかずにポックリ逝く。
それが高齢者にとっては理想だと。

寝たきりを減らすには、もちろん予防は必要です。
しかし不幸にして寝たきりになったらその期間はできるだけ短い方がいい。
なのに心臓が強いから多くの老人がポックリ死ねないんですよ。
これからは心臓を強くする事は国策に反するという事です。

 

何だと!?

 

我が省としては「ぴんぴんポックリ」を超高齢化社会への対策として推進する事になりました。
こちらへ。

 

「死の白い巨塔」…たぶん何処からでも見えるんだろうに、わざわざこの場所から見せる皮肉。

 

ネオ医療センターです。
我々の国家プロジェクトにふさわしい最先端技術の城です。
先生には副センター長の椅子を用意しております。

心臓破裂による突然死は副作用じゃない。
香村療法の立派な効果だ。

超高齢化社会に対応するため心臓を扱う国内外の研究を徹底的に調査した。
その中で一番我々の目的に合うのが香村先生、あなたの研究だった。
突然死の可能性を知った時、私は狂喜しました。
ぴんぴんとポックリ同時に実現する事ができる。

先生の研究は老人を救い、国をも救う。

 

香村療法に副作用が起こる事は当然解っている。
佐久間が欲しいのは丈夫な心臓ではなく、その副産物である「破裂」の方なのだから。

香村療法の副作用を公表すれば教授の椅子はない。
これは要請でもスカウトでもなく、もはや脅迫。

当然、そんな研究をしているつもりはない香村の怒りは爆発する。

 

ふざけるな!
俺の研究をそんな事に使われてたまるか!

 

そう考えているなら先生もバカな医者の一人だ!
あまりに無知だ。
老人医療の現状を全く理解していない。
死ぬなと言うのは時に死ねと言うより残酷な事なんだ。
孤独な老人、家族に疎まれる老人、寝たきりの老人息もできずチューブにつながれ床擦れに苦しみ時には虐待まで受ける。
彼らにとって文字どおり死は救いだ。
これは声なき声だ。

お年寄りが死にたいとメッセージを発すると、世間はこぞって圧殺にかかる。
「それは社会が悪いんだ。みんなで改善していこう!」なんてね。 
そんな小手先の改善なんて通用しない。
もう十分だから早く楽にしてくれと多くの老人たちが思っている。
なぜ誰もその声に耳を傾けない?

お年寄りが望むなら国が望ましい死を保障する。
プロジェクト名は『天寿』。

 

悪魔的だけれども言っていることがほとんど当たっているので、ただゾッとするしかない。
末期の痛みに苦しんでいる人を介護するのは家族にとっても地獄の苦しみだよ。

それでも、私の母は父に生きていてほしかったらしいけれどもね…
私の目は佐久間と同じくらい冷めていた。

 

「人を殺した事がある」
と言う佐久間は、恐らく身内の介護に関して何かしらの苦い経験があるのだろう。

介護はどれほど心を尽くして手を尽くしても必ず遺族に後悔を残す。

行く人は苦しむ。
見送る人も苦しむ。

 

綺麗ごとを取っ払ったところにこのドラマがある。
たぶん、多くの人が不謹慎だと思い、不快に思うだろう。

よくドラマにしたよな…と思うもの。
これは民放ではできないわ…スポンサーが引くよ。

 

何が「プロジェクト天寿」だ!
国策だと? 
どうせ一部の人間が勝手に裏で進めてるんだろう。
まともな政治家、まともな官僚、それに国民はどう思うんだろうな。

俺を利用したいんならもっと頭を使え!

 

まぁ…
確かに、こんな計画を発動しようとしていると国民にバレたら大混乱だし。
国会前デモくらいじゃ済まないし。

そもそもこんな事を実行するなら、まず積極的安楽死を認める法律を作らなければならないし。

秘密裏に…という事なのだろうけれども、香村療法を受けた患者が必ず死ぬとなったらいずれはバレる。

 

倉木蓮太郎に真実をズバリ話してしまうのには驚いた。

 

夢の治療法には副作用があった。
あんたの心臓は破裂する。

 

親子の情はお互いにあるのか。ないのか。

この治験立候補が我欲のためだけのものなのか否か。

終末医療の在り方と共に親子の物語でもあるのだろう。
それは、たぶん佐久間の過去も含めて。

 

※プロジェクト名は「PPP」じゃなくて「天寿」なのな…。
いっそ「プロジェクト 黒いノート」でも良くてよ…。

  

 

※第2話の再放送は10月24日金曜 24:10~。NHK地上波です。

 


倉木(仲代達矢)の治験が成功したかに見えた矢先、心臓破裂という副作用が判明し、香村
(椎名桔平)は動揺する。
倉木の「奇跡の復活」が世間の注目を浴びる裏で、必死に副作用の改善を図る香村。
だが医療ミスの怪文書騒ぎも訴訟にまで発展しそうになり、遺族側の弁護士・松野公子
(坂井真紀)の攻勢もあって追いつめられていく。
そんな中、佐久間(滝藤賢一)は改めて香村をネオ医療センターにスカウトし、恐るべき計画を明かす。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

 

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よろしければ→【2015年10月期・秋クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

 


※キャスト

香村鷹一郎 … 椎名桔平

佐久間和尚 … 滝藤賢一

倉木蓮太郎 … 仲代達矢

松野公子 … 坂井真紀
厨忠彦 … 甲本雅裕
伊達伸吾 … 嶋田久作
小池清 … モロ師岡
林田博史 … 佐戸井けん太
城貞彦 … 佐野史郎
須藤彰子 … キムラ緑子
香村朋美 … 黒沢あすか
香村直輝 … 里村洋
鶴田忍
天宮良
水橋研二
松崎謙二
浅香航大
中原果南

※スタッフ

脚本 … 浜田秀哉
演出 … 本木一博、藤並英樹
制作統括 … 勝田夏子
音楽 … 蓜(はい)島邦明

原作 … 久坂部羊「破裂」

公式サイト http://www.nhk.or.jp/dodra/haretsu/

 

 

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【破裂】第1話 第2話


コメント

  1. くう より:

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    >64を期待したのですが、ちょっと路線が違う感じですね。

    64にはリアルがありますが、こっちは「夢の医療」ですもんね。
    今期の医療ドラマ群はみんなそういう部分があって。

    でも、「そんな治療できるわけないじゃん、馬鹿馬鹿しい。」って話では無くて、あったらいいな…と思い、あったら怖いなと思う。そういう所で考えさせられます。

    演出も役者さんの演技もちょっとホラー。私は好みです^^

  2. 隠れ常連 より:

    SECRET: 0
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    やはりこの時間のNHKらしい骨太感で、割と良かったです。
    64を期待したのですが、ちょっと路線が違う感じですね。
    1回目はかなり面白かったです。今回は少し間延び感がありました。
    まぁ、しかし仲代さんだけ、別の生き物みたい。

  3. 昼寝の時間 より:

    破裂 #02 簡単感想

    公式サイト 原作:久坂部羊「破裂 上下」(幻冬舎刊)脚本:浜田秀哉/演出:本木一

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