【Mother】第11話最終回と統括感想

人は死ぬ前に人生の所々を思い出して走馬燈のように巡るって。

それが今から楽しみなの。

笑いながら葉菜は言う。

小さな奈緒を連れて、あちこち転々と逃げた。

何をやっても上手く行かなくて、心細くて恐かった。

でも、でもね、内緒だけど楽しかった。

貴女と逃げるのが楽しかった。

奈緒は葉菜に言った。

家に帰ろうか。

主治医からは、後何日も保たないと言われていた。

葉菜を連れて家に戻った翌日、小さな来客があった。

継美だった。

もう会えないつもりでいた可愛い娘を

奈緒は叱責しながら抱きしめた。

継美は千葉の叔母さんから貰ったお金を使って

1人でここまで来たのだった。

子供を帰す事が貴女にできるのか?

と藤吉は言う。

明日、必ず送り返すと約束する奈緒。

奈緒の連絡を受けて、鈴原の義母と妹たちが来た。

籐子がお土産に持ってきた餡蜜をみんなで食べる。

記念に写真も撮った。

何か、お正月みたいね。

顔をほころばせる葉菜。

籐子たちが帰った後、葉菜はハサミを持ち出した。

継美の髪を切りながら言う。

昔は、こうやってみんなお母さんが切っていたのよ。

奈緒の髪も私が切っていたの。

うっかりさんにも、お母さんがいたの?

いましたよ。

うっかりさんもお母さんに切ってもらっていたの。

そうやって、ずっと続いていくのよ。

椅子に座って母に髪を切られながら、奈緒は幼い日、

こうやって髪を切られた日の事を思う。

まるで、あの日も今日も同じ幸せな1日のよう。

鏡に映る母は、あの日の母と同じだった。

明日は、朝市に一緒に行こうと約束して継美を寝かせ、

葉菜は編んでいた手提げを仕上げた。

あなた達は、まだ始まったばかり。

これから、貴女があの子に何ができるかは今じゃないの。

あの子が大人になった時に解るわ。

芽衣が出産した日の朝、葉菜は静かに息を引き取った。

奈緒は、室蘭の施設に戻る事を継美に告げる。

お母さん。継美の事嫌いになった?

じゃあ面倒くさくなった?

ううん。

じゃあ、何で「お母さん」辞めるの?

継美。

室蘭を一緒に出た時の事、覚えてる?

4月1日。

エイプリルフールだから嘘をつこう。

私が貴女のお母さんになる。

奈緒は、そうやって継美の母になった。

今度は嘘じゃない。

私は継美のお母さんになったの。

お母さんは辞めたりしない。

離れててもずっと継美のお母さん。

そしたら、きっといつか会える。

お母さんがお母さんに会えたみたいに。

気付かないよ!

変わっちゃうもん。

背も伸びるよ。

顔も変わるよ。

気付く。お母さんは継美に気付く。

お母さんは必ず継美を見つける。見つける。

母子は抱き合い・・・

翌日、奈緒は継美を連れて室蘭へ行った。

施設まで、ゆっくりゆっくり歩いた。

学校の友達と会った継美と一度別れて、

バス停からまた引き返し

もう少し、一緒に行こうか。

と言う奈緒に継美は叫ぶ。

見てて!

お母さん、継美を見てて。

1人で帰れるから。

母である奈緒を信じたからこそ、今は別れて1人で行こうとする

小さな娘の背中を奈緒は見送った。

「20歳になったら読む手紙」

一通渡して。

あなたに出会えて良かった。

あなたの母になれて良かった。

貴女と過ごした季節、母であった季節、

それが私にとって今、全てであり、

いつか貴女と再び出会う季節、

それは私にとって、これから開ける宝箱なのです。

愛しています。

母より。

      

最終回のための、まとめのような最終回。

30年の時を経て再会し、その深い愛情を知り

最期の時を静かに過ごした母子。

離れていても、そこにいつも母の手はあった。

身体は離れていても母の心は離れる事はないのだと確信した奈緒は、

愛する娘に同じ事を伝える。

これから12年。

継美が20歳になる時まで、母子は共に住む事を許されない。

離れて暮らしても心はいつも側にある事。

母は母である事に変わりはない事。

そして、それを受けて、幼い娘は一歩を踏み出していく。

ヒナの内に母から離れることを覚え、目印を覚え、

必ず戻って来られる自信を持って飛び立つ渡り鳥のように。

奇抜な展開は特に無く、誘拐も、もちろん無く。。。

映画のラストシーンだけを語ったような最終回だった。

葉菜と奈緒の逃亡劇の原因も少しだけ語られ、

しかし、その事は決して娘に伝えられることは無く、

葉菜は文字通り、秘密を墓場まで持っていった。

これも母の愛。

母とは

葉菜のように強く、

籐子のように逞しく、

芽衣のように一途で

そして、仁美のように弱い。

奈緒がどんな母であるかは、

これから時間をかけて作られていくのだろう。

詩のように美しいドラマだったと思う。

さて。。。

ここからは現実的なお話ですが。。。

もちろん、このドラマの詩的な空気をぶち壊す事も承知で書いてる事です。

おまけだと思ってお読み下さい

結局、奈緒と継美が一緒に暮らせるように

何か運動を起こすと言う事はないんだね。

それはそれで静かで良い最終回だった、と思うけど。。。

人は変わるもんである。

それに、未来はどうなるか解らないモンである。

日本は明日、沈んじゃうかも知れないし、

子供だからって20歳まで生きているとは限らないし、

いつ病気になるか事故に会うか戦争になるか天変地異が起きるか。。。

だから、一緒に暮らせる方法を模索して欲しい気もする。

幸せは得られるときに得ておかないと。。。いや、ただの主義ですが

駿輔は「聖母」とか言う記事を書いていたのに

何故、捨ててしまうんだ。

あれを発表してヒットすれば、慈善家みたいな団体が

2人が一緒に暮らすために動いてくれるかも知れないじゃん。

印税がっぽりを目指すのは止めてしまったの~

後は、気になること。

もう1人の母である「仁美」は完全スルーですか。。。

仁美と怜南の母子に未来はないのだろうか。

こっちも救ってあげて欲しかったんだけど。。。

う~ん。。。

ちょっと不完全燃焼気味です。。。

キャスト

鈴原奈緒 – 松雪泰子

藤吉駿輔 – 山本耕史

鈴原芽衣 – 酒井若菜

鈴原果歩 – 倉科カナ

加山圭吾 – 音尾琢真

道木仁美 – 尾野真千子

浦上真人 – 綾野剛

木俣耕平 – 川村陽介

道木怜南(鈴原継美)- 芦田愛菜

袖川珠美 – 市川実和子

藤吉健輔 – 田中実

鈴原籐子 – 高畑淳子

望月葉菜 – 田中裕子


 


コメント

  1. くう より:

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    ご訪問とコメント、ありがとうございます。

    >12年後にクリームソーダを飲んでいたのは、一人が成長した怜南もしくは継美。もう一人は後ろ姿だけでしたけれど、僕には生みの親である仁美(尾野真千子さん)に見えました。

    それは新解釈ですね!すごいです~。

    確かに、そんな見方もあるかも知れません。

    あのシーンは、役としては成長した継美を尾野真千子さんが

    演じていたようです。

    私なりの解釈では、あのシーンは奈緒の空想だと思われました^^

  2. くう より:

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    PASS:
    >何らかの運動をして一緒に暮らせるような方向に行って欲しかったですね。

    まぁ。。。誘拐犯として刑を受ける身の上になってしまった以上、

    難しいことではあるんでしょうね。

    きっと、このドラマが終わった後に、そういう事もあるかも、と想像したいです。

    >しかし、こういう終わり方も分かりやすい点では悪くないとも思いました。

    私もドラマのエピローグとしては満足しています^^

    静かで良い最終回だったと思います。

    >仁美を救ってあげられるのは怜南だけですから

    >いつかこちらの和解もあると見えない部分を想像しておきますわ。

    そう!想像でいくらでも視聴者が先を作れる終わり方でした。

    余韻があるのね。

    きっと実の母子にも救われる未来があるだろうと私も思っています。

  3. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >多分、奈緒は継美が住む室蘭の施設の

    >近くに移り住んだんだと思います。

    そうかも知れませんね~。。。

    何か、「その後のこと」は、そうやって脳内補填していくしかない感じですね。

    >それで二十歳になった時に

    >奈緒が怜南と出会った時に

    >クリームソーダを食べたあの室蘭の喫茶店で

    >出会ったんじゃないかなって思ったんですが

    私は、あのシーンは奈緒の想像。。。のようなモンかなぁ、

    と思ったりしています。

    特に「12年後」を本当に映した物ではないのではないかと。。。^^;

    >駿輔に関しては

    これは私なりの「ドラマのその後」ですが、あの人は

    やっぱりペンを持つ者なんですから、何かしら書いて欲しい気もするんですよね。

    誘拐を正当化する事は出来ませんが、ただ誘拐した

    わけじゃない事。

    また、仁美のためにも書いて欲しいですね。

    子供を虐待してしまう愚かな母の背景を書いて欲しいです。

    >ついでにキャストに田中実さんが出てるのに

    >彼は1話のみの登場で、キャストに名を連ねてないのに

    >かなり頻繁に出てる高橋昌也さんの役名(フルネーム)が

    >何なのか最後までわからんかったのもひっかかってるところです

    >; ̄▽ ̄ゞ

    田中実さん。。。奈緒が好きだったんですよね~^^;

    何かあの人も気の毒ですね。

    突然、奈緒が消えてしまって、後はニュースで色々見て、

    あらあら・・・とビックリしていた事でしょう^^;

    奈緒は渡り鳥の研究の仕事に戻れれば一番良いですね。

  4. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    ご訪問とコメント、ありがとうございます。

    > あまりに今までの展開に比べて 潮がひくように終わってしまい とても不完全燃焼というか 消化不良というか・・・。正直残念な最終回でした。

    そうですか。。。

    いや、そういうご意見もあるかと思います。

    色々と回収し切れていない部分は確かにありました。

    私的には、ドラマ自体は詩のような流れでキレイに終わり、

    最終回は大きな事も起こらず終結して、これはこれで

    良かったのだと思います。

    ただ、まぁ、ここに生みの親が救われる何かが一つ

    入っていてくれれば良かったかなぁ。。。

    と思われたのでした。

    間違いなく名作であったとは思っています。

    このドラマの後のことは、視聴者それぞれが脳内補填していくしかありませんね^^;

    私もそうします。

  5. くう より:

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    PASS:
    ご訪問とコメントありがとうございます。

    >どんな理由、状況があるにせよ、我が子を虐待すると言うことは、母として生きることは認められないのだと言うメッセージのように感じました。

    そうかも知れませんね~。。。

    でも、それだとドラマとして度量が狭いと私は感じてしまったんですね。

    確かに虐待は絶対にいけない事だし、それを認めるような

    内容はとんでもないと思うんですよ。

    しかし、支援のない中、鬱のようになって、そういう状況に

    追い込まれてしまう女は確かに存在する。

    仁美もその状況に近いですね。

    子育ては大変な苦行です。

    全ての母は聖母ではいられない。

    聖母ではいられない母の末路も描いて欲しかったんですね。

    でも、このドラマは結果として聖母だけを描ききったようです。

    正義に溢れた人には、その方が見ていて心地よかったかも知れません。

    私は、そんな立派な母ではないので、立派ではない母も

    救われる結末も知りたかったのです。

    >突然失礼しました;;;

    >私は、ある意味、仁美完全スルーで良かったと思いました。

    いえいえ、色々な意見を聞かせて頂けるのは、ドラマレビューを

    書いているかいがあると言うものです^^

    またぜひお寄り下さいませ~。

  6. くう より:

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    PASS:
    そう、何となく、もやっとするんですよね。。。

    回収し切れてない感がありますわ。

    それが脚本家のわざとなのかは解らないですが。。。

  7. くう より:

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    >総括のような最終回らしい最終回ではあったかと。

    まぁ、エピロールだと考えても良いですよね。

    全てをまとめるための終章の部分だと。

    静かで良い最終回だったと思います。

    >仁美にも救いが欲しかったですね。

    >娘に謝罪のひとつも言ってもらいたかったと思います。

    あ~。。。それ、欲しかったですね~。謝罪の言葉。

    このドラマで描かれなかった「その後」では、そういう

    事もあるだろうと空想補填しておきます^^

    >きれいでしたけど、最後にまだもうひとつ詰める余韻はあったかなぁ。

    私も色々と考えました。

    でも、まぁこのドラマとしては、これで良いのかなぁ。。。

    それぞれの想像に任された「その後」があると思えば。。。

    脳内補填で満足するのも楽しいかなぁと^^;

  8. 香月啓介 より:

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    どなたも書かれていないようなので書きますけれど、12年後にクリームソーダを飲んでいたのは、一人が成長した怜南もしくは継美。もう一人は後ろ姿だけでしたけれど、僕には生みの親である仁美(尾野真千子さん)に見えました。とすると、あの写真はどういう意味になるのか…。考えてみると深い意味があるような最終回だったと思います。

  9. エリ より:

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    PASS:
    何らかの運動をして一緒に暮らせるような方向に行って欲しかったですね。

    ただただ二人が離れなくて済むようにとずっと願っていた最終回でしたから。

    しかし、こういう終わり方も分かりやすい点では悪くないとも思いました。

    仁美はつぐみの言う「好きでも嫌いでもない」

    いてもいなくてもいい存在だったということでしょうか。

    仁美を救ってあげられるのは怜南だけですから

    いつかこちらの和解もあると見えない部分を想像しておきますわ。

  10. ikasama4 より:

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    PASS:
    なるほどですねぇ。

    多分、奈緒は継美が住む室蘭の施設の

    近くに移り住んだんだと思います。

    かつて葉菜が娘に気付かれないように

    娘の近くに住んでずっと見守っていたように

    それで二十歳になった時に

    奈緒が怜南と出会った時に

    クリームソーダを食べたあの室蘭の喫茶店で

    出会ったんじゃないかなって思ったんですが

    ま、それを証明するには

    最終回と第1話でのお店の机を

    チェックしないといけないんですけど; ̄▽ ̄ゞ

    駿輔に関しては

    「聖母」を書いたものの

    それにはもしかしたら葉菜のあのことなんかも書かれてて

    それをもし読んだら奈緒が傷つくかもしれないとか

    これ以上鈴原家を傷つけたくないとか思ったのかも

    しれないという思いからああいう行動になったのかなって感じです。

    仁美に関しては

    あれは私もひっかかっているところです

    どうにかしてその後の彼女を描く事ができんかったもんかなぁと。

    ついでにキャストに田中実さんが出てるのに

    彼は1話のみの登場で、キャストに名を連ねてないのに

    かなり頻繁に出てる高橋昌也さんの役名(フルネーム)が

    何なのか最後までわからんかったのもひっかかってるところです

    ; ̄▽ ̄ゞ

  11. 爆発寸前 より:

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     あまりに今までの展開に比べて 潮がひくように終わってしまい とても不完全燃焼というか 消化不良というか・・・。正直残念な最終回でした。色々なそれぞれのドラマが頓挫してしまい 胸焼けをおこしてしまいそうです。最終回直前までの展開で視聴者を引き付けて、最終回で突然はしごをはずされた感が否めません。もう終わりだから 最後の75分にとりあえずエンディングを収めてしまったのではないでしょうか。残念でなりません。

  12. かのう より:

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    はじめまして

    確かに、仁美は完全スルーでしたね。

    仁美が虐待母になってしまった経過を見せられたら、仁美にも救いが、と思ってしまうけど。でも、葉菜も菜緒もどんな状況でも、子供を救う方を選んだ。それが仁美とは根本的に違う。

    仁美を最後に登場させず、全くの無視扱いにしたのにも意味があるのではないのでしょうか。

    どんな理由、状況があるにせよ、我が子を虐待すると言うことは、母として生きることは認められないのだと言うメッセージのように感じました。

    そしてもし、我が子を虐待している母親がこのドラマを見ていたら、最後に仁美を救うことによって、彼女達に言い訳を与えてしまうようで。。。

    突然失礼しました;;;

    私は、ある意味、仁美完全スルーで良かったと思いました。

    こうやって色々な意見があること自体、本当に良いドラマだったと思います

  13. SECRET: 0
    PASS:
    私も同じです

    ちょっと日記に書き足しました

    なんとなく もやっとですよね・・・

  14. なぎさ美緒 より:

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    PASS:
    終わってしまいましたね(^^)

    総括のような最終回らしい最終回ではあったかと。

    ただ動きが少なかった分、ここ2回が怒涛の展開だったので、ものすごくあっけなく感じたのも事実ですよね。

    >仁美と怜南の母子に未来はないのだろうか。

    仁美にも救いが欲しかったですね。

    娘に謝罪のひとつも言ってもらいたかったと思います。

    きれいでしたけど、最後にまだもうひとつ詰める余韻はあったかなぁ。

    まぁでもここまで見せてくれたのでひとまず私は満足出来た最終回でした。

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