【風のガーデン】第11話 最終回

全てが仕組まれた優しさごっこでした。

 

 

9月3日

 

 

ルイの結婚式は行われ、貞美はルイの腕を取って

 

介添え役を務めた。

 

 

内山に宛てた最後の手紙。

 

僕は死にかけた病人ではなく、

 

まさに幸せな花嫁の父でした。

 

 

本当に本当に幸せな時間でした。

 

 

明日は実家に帰ります。

 

 

そこで安らかに死を待つつもりです。

 

街角の電機屋で、歌う茜の映像を見る。

 

 

いつか

 

 

先生が、どこかの街角のスクリーンで

 

「カンパニュラの恋」を歌う私を見るの。

 

 

そうしたら、私のことを思い出してくれますか?

 

懐かしい家の前では、ルイが「おかえりなさい」

 

と迎えてくれた。

 

 

当てがわれた岳の部屋は、

 

かつて自分の部屋だった。

 

 

何も変わっていない。

 

 

ルイには、もうお芝居は止めよう。

 

 

と言った。

 

 

それは、闘う日々を迎える覚悟だった。

 

内山妙子は、富良野にやって来た。

 

 

貞三は、貞美の代わりに妙子に会った。

 

 

麻薬の量が増えて、ウツラウツラしている状態である事。

 

やせ衰えた自分を他人に見られたくないだろう事。

 

 

貞三は、それを妙子に伝え、貞美に会わせなかった。

 

大学病院は、もうどうでもいいんです。

 

 

何か、側にいて、出来ないでしょうか。

 

ウチは長いことバラバラでした。

 

でも、あいつと一緒に戦うことで、

 

家族が初めて結ばれつつあります。

 

 

ですから、他の方のお手伝いはお受けしたくないんです。

 

二神に迎えられる夢から覚めて

 

 

貞美はルイに声を掛ける。

 

押し花の中にカンパニュラはあるか?

 

 

うん。あるよ。

 

 

それを額装して、ある人の所へ届けてくれ。

 

 

急ぐの?

 

 

いや。オレが居なくなってからでいい。

 

 

そして、その時、オレが死んだ事を、その人に伝えてくれ。

 

この前、裸足になろうと言われて、裸足で歩いたんです。

 

土の上を裸足で歩いて、あいつらと手を繋いだ。

 

 

あいつらの手の温かさ、柔らかさ。

 

 

僕は何も知らなかったんですね。

 

何も知らなくて、何もしてやらなかった。

 

 

死後の世界ってあると思いますか。

 

分からんな・・・

 

でも、どうも最近、あるように思えてきた。

 

 

僕も。あると思います。

 

岳は、旭川で、カブリエルの声を聞く。

 

その花は何という花ですか?

 

 

ナツユキカズラです。

 

 

花言葉は何ですか?

 

 

「今年の冬に振るはずの雪」です。

 

 

ガブさん!ガブさん。どこにいるんですか?

 

答えはなく

 

 

風がただ通りすぎていくだけだった。

 

10月1日。

 

白鳥貞美は永眠した。

 

 

      

 

茜を呼び出して、遺言通り、押し花を渡すルイ。

 

 

そして、季節が過ぎ、岳とルイはエゾエンゴサクが

 

沢向こうに大量に咲き乱れているのを見つける。

 

 

キャンピングカーがあった跡だけ四角くポッカリ残して。。。

 

 

それは、確かに父がそこにいた証だった。

 

号泣と言うのではなくて、自然に静かに涙が出てきた。

 

 

家族と闘った日々は、わずか1ヶ月。

 

 

家族再生がどうとか、難しい事は語らなくてもいい。

 

 

ただ、夢のように過ぎていったドラマだった。

 

そこに残したもの。

 

そして、残された者。

 

 

人が1人居なくなっても、自然は何も変わらない。

 

 

まるで、そこに溶け込んでしまったように。

 

最初は、緒形拳さんの遺作だと言う事で見始め、

 

亡くなった緒形さんが出ていると言う、その感覚は

 

最終回まで抜けないだろうと思っていた。

 

 

でも、いつの間にか、そんな感覚は無くなっていた。

 

 

物語を見ている私の中で、

 

死んでいくのは緒形さんではなく、

 

 

間違いなく貞美と言う人だった。

 

 

そして、何かを得たとか何かを学んだと言う事ではないが、

 

あの美しい風景と共に、このドラマはいつまでも

 

私の心から消える事はないだろう、と確信が持てる。

 

 

夢のように綺麗な物語を見た。

 

 

今はただ、そんな風にしか考えられない。

 

このドラマに出演して、最初は緒形さんにとって

 

残酷な事だと思っていたけれども、

 

今は、何故か、そうは思えない。

 

 

素晴らしいお仕事を最期にされたんだ、と思う。

 

 

改めて、ご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

 

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コメント

  1. くう より:

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    >ドラマの中で緒方さんはしっかり生きていて、

    見終わっても、まだ生きている感じがします。

    そうなの。

    緒形さんは、このドラマの中で生きていたのよね。

    このドラマを見た人の中に生きている人として

    残ったんだよね。

    そういう意味でも、緒形さんは、やっぱり最後に

    このドラマに出て良かったんだと思った。

    >エゾエンゴサクが咲き乱れているのを見て、

    >ルイが、父が亡くなった事を悲しんでいるのではなく、

    >強くて優しい眼で佇んでいるのが、とても良かった。

    貞美が自分に残していった物に気付いたのよね。

    私も、あのラストがとても好きです(^^)

    >岳とガヴリエルの関係が、とっても好きでした。

    >真っ青な空の下で、岳を見送るガブリエル、

    >あのシーンがとっても好きだったから、最後に見れて良かった。

    私も。。。

    岳との思い出の回想は綺麗でしたね~。

    合奏のシーンももう一度見れて良かった。。。

    >とっても散文だけど、感じることがいっぱいあって書き切れないよ。

    そうなの。。。

    綺麗なドラマだったわ。

    文では書ききれない事がいっぱいある。

    心に残る物がいっぱいあるドラマでした。

  2. えしゃ母 より:

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    PASS:
    緒方さんの遺作だから見始めたけど、

    ドラマの中で緒方さんはしっかり生きていて、見終わっても、まだ生きている感じがします。

    以前は強烈だった緒方さんの存在感、

    今は、空気のようにまるい感じ・・・・・。

    エゾエンゴサクが咲き乱れているのを見て、

    ルイが、父が亡くなった事を悲しんでいるのではなく、

    強くて優しい眼で佇んでいるのが、とても良かった。

    茜の存在が、最終回でやっと好きになれた。

    『カンパニュラの恋』が、胸に響いたわ。

    岳とガヴリエルの関係が、とっても好きでした。

    真っ青な空の下で、岳を見送るガブリエル、

    あのシーンがとっても好きだったから、最後に見れて良かった。

    落ち着いた、良いドラマでした。

    途中で挫けそうになったけど、最後迄見て良かった・・・・。

    とっても散文だけど、感じることがいっぱいあって書き切れないよ。

  3. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >最後までじっくり見入ったドラマでした。

    私も、たぶん、今期一番真剣に見たのは、このドラマだと思います。

    >本当にそうですね。

    >忘れられない作品になりそうです。

    最初はね、ほんと、死を目前にした人がこんな役をやっていたとは、

    と思っていたんだけど、今は、緒形さん、最後にこんな

    素晴らしいドラマに出られて良かったな~、と思ってます(^^)

    私も、忘れられない作品になりそう。

  4. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >最初の頃はどうしても緒形さんに視線が

    >集中してしまい、、ご本人と重ねてしまったけど

    >やはり死んだのは貞美だと

    >ちゃんと思わせてくれましたね。

    そうなんですよね~。。。

    あくまでも主役は中井さん演じる貞美である事、

    死んでいくのは貞美であること。脇に誰が出ていようが、

    それがぶれる事は無かったです。

    緒形さんのためではなく、貞美のためにたくさんの涙を

    こぼすことが出来ました。

    >あのガーデンは

    >今、どうなっているのですかね?(^_^)

    そうですね。。。

    思い出の場として、いつまでも受け継がれて行くんでしょうね。

    今日もガッくんが手入れをしている気がします(^^)

  5. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >死の向き合い方に、正しい方向を示しながら、

    >大人の洒落たドラマでしたね。

    洒落た。。。そう。

    「芋掘り」とかリアルな表現も多いのに、

    とにかく夢のようにキレイでした。

    風景、インテリア、確かにお洒落だわ。

    >また、撮り終えてからの最終回拡大に際して、どうするんだろうという興味がありました。

    >ルイと茜のシーンは、最近追加で撮影されたそうで、平原さんの歌(日本語)もどこか新鮮でした。

    あの歌は正直言って、英語バージョンの方が好き(^^)

    あのシーンは追加撮影だったんだ~。

    ちょっと違和感あったんですよ。

    。。。でもまぁ、年の近い、娘と父の愛人の会話なんて、

    それだけで違和感だからかな。。。

  6. ミマム より:

    SECRET: 0
    PASS:
    最後までじっくり見入ったドラマでした。

    >素晴らしいお仕事を最期にされたんだ、と思う。

    本当にそうですね。

    忘れられない作品になりそうです。

  7. ルル より:

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    PASS:
    くうさん、こんにちは~。

    >間違いなく貞美と言う人だった。

    うん、そうですね。

    最初の頃はどうしても緒形さんに視線が

    集中してしまい、、ご本人と重ねてしまったけど

    やはり死んだのは貞美だと

    ちゃんと思わせてくれましたね。

    一夜明けて思ったのですが、、、

    号泣度を高めた作りより

    この方が自然だったかな~と。

    あのガーデンは

    今、どうなっているのですかね?(^_^)

  8. シャブリ より:

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    PASS:
    >最近、学芸会のようなドラマばかりでしたので。

    死の向き合い方に、正しい方向を示しながら、

    大人の洒落たドラマでしたね。

    また、撮り終えてからの最終回拡大に際して、どうするんだろうという興味がありました。

    ルイと茜のシーンは、最近追加で撮影されたそうで、平原さんの歌(日本語)もどこか新鮮でした。

  9. くう より:

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    PASS:
    >みんな死ぬときが来るんだもんね。自分は孤独死して白骨死体で見つかるんだろうな・・・。

    何で白骨死体(?_?)

    まぁ、孤独死は誰でもなる可能性はあるよね^^;

    家族に送って貰える人は、幸せな人だよね。

  10. くう より:

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    PASS:
    >何度も言うみたいですが

    >切なくて悲しいけれど心が温かくなる作品でした。

    >これこそ名作です。

    そうなんですよね。。。この感覚は不思議です。

    終末を扱っているのに、なぜか癒されるんですよね。

    >こんなに心を打つのは皆誰しも必ず通る道だからなんでしょうね。

    そうかも知れませんね。。。

    いつか誰もが考えなくてはならない事ですよね。

    >自分も出来れば

    >両親にたいして悪いジョークはせず

    >両親を見送ってあげたいと改めて思いました

    ikasamaさんは大人です~。

    そうですよね。

    送ってあげなきゃダメなんですよね。。。

    そんな日は来ないでもらいたいものですが、そうも行かないし。。。

    この世は美しいと思って貰える最期を迎えさせて上げるって、

    きっと難しい事でしょうね。。。

  11. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >最近、学芸会のようなドラマばかりでしたので。

    最近は、脚本が若手役者向けになってますからね^^;

    アイドルを作り出すためだけのドラマって言うのが

    多いことは確かです。

    >今は、この作品を作成した人たちにありがとうといいたいです

    私も本当に、そういう気持ちです。

    素晴らしい作品でした。

  12. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >号泣度は、貞美と卓三が再会した回の方が凄かったですが、

    >最終回はじわ~とくる涙でしたよね。

    後から後から涙が出てきました。。。

    ドラマが終わって、みなさんの記事を読むと

    また泣けてきます。

    >貞美はいい最後を迎えられました。

    >心に残るいいドラマでしたよね。

    暗い話のはずなんですが、なんだかそうも思えない

    んですよね。。。

    たぶん、これからも折々に思い出すと思います。

  13. お気楽 より:

    SECRET: 0
    PASS:
    みんな死ぬときが来るんだもんね。自分は孤独死して白骨死体で見つかるんだろうな・・・。

  14. ikasama4 より:

    SECRET: 0
    PASS:
    何度も言うみたいですが

    切なくて悲しいけれど心が温かくなる作品でした。

    これこそ名作です。

    こんなに心を打つのは皆誰しも必ず通る道だからなんでしょうね。

    こればっかりはなんとも分からないとこがありますが

    自分も出来れば

    両親にたいして悪いジョークはせず

    両親を見送ってあげたいと改めて思いました

  15. 奈々 より:

    SECRET: 0
    PASS:
    最近、学芸会のようなドラマばかりでしたので。

    本当にいい作品に出会えました。

    今は、この作品を作成した人たちにありがとうといいたいです

  16. みんと より:

    SECRET: 0
    PASS:
    号泣度は、貞美と卓三が再会した回の方が凄かったですが、

    最終回はじわ~とくる涙でしたよね。

    貞美はいい最後を迎えられました。

    心に残るいいドラマでしたよね。

  17. くう より:

    SECRET: 0
    PASS:
    見ている人が、みんなそう思えるドラマだったって

    事ですかね。。。

    本当に良いドラマを見ました。

    脚本・演出・役者さん、3本揃ってましたね。

    こういう作品には、なかなか出会えないと思います。

  18. SECRET: 0
    PASS:
    >号泣と言うのではなくて、自然に静かに涙が出てきた。

    まったく同じ事書きました

    いいドラマでした

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