NHK朝ドラ【ちりとてちん】(2013年・再放送) 第20回 感想

草若(渡瀬恒彦)と小草若(茂山宗彦)親子の複雑な確執を感じた喜代美(貫地谷しほり)。
奈津子(原沙知絵)の興味はすでに小草若になく、かつて若手実力派落語家としてスポットを
浴びていた草々(青木崇高)の取材許可を喜代美に頼む。
草々のかつての姿を知って驚く喜代美だが、草々は今では高座に上がるどころか、
若手落語家の手伝いでようやく生計を立てているという。
いぶかしく思う喜代美に、小草若が衝撃の事実を明かす…。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

連続テレビ小説「ちりとてちん」第20話「小さな鯉のメロディ」
     

      ちりとてちん感想

 

※「ちりとてちん」は、2007年10月期のNHK連続テレビ小説です。
当方は当時の放送をオンタイムで見ているので感想は恐らく回顧目線になりがちです。
ご了承のうえ、ご覧くださいませ。
※再放送時間は月~土・午前7時15分からNHKBSプレミアムにて。

 

えっと…特に毎日レビューする予定ではないんやけど~。 

背中やね…草々さんの背中を見ていたら、書かねばならんという気持ちに…。
(毎日書いた方が、一記事が短くて済むというのも大きい… )

 

奈津子さんに過去の「サブリナ」を見せてもらう喜代美。
なんでも4年前にも落語の特集はあったのだとか。

そこに大きく載っている草々さんを見て、たまげる喜代美でありました。

 

「上方落語三国志」
当時、3人の若手の落語家が注目されてたんやて。
まずこれが万葉亭柳眉。土佐屋尊建。そして、徒然亭草々。

 

奈津子さんは、この3人のその後を追いたいのだとか。
ちなみに草々さん以外の2人は、大手芸能事務所「天狗芸能」が仕切る「天狗会」に
出演予定があるのだとか。

お笑いタレントをいっぱい抱えている超大手。大阪のお笑いの伝道。
まぁ…吉本みたいなもんですわな。

 

草々さんが隣の住人だと聞いて、取材させてほしいと喜代美に頼む奈津子さん。

ちなみに、昨日登場した草若師匠の息子・小草若に対する奈津子さんの評価は酷い。 

 

あんなんタレントのインタビューなんか、もっと子供向けの雑誌でやったらええねん!

それより見てよ、この3人。
揃いも揃って男前にも関わらず、顔で世の中渡ろうと思わんと。
落語という伝統芸能に身を投じて芸を競い合う!
これこそ「サブリナ」の読者が求めるピンポイントな企画や!

 

ぶっきら棒でおっかない隣りの住人が思わぬ有名人だと知って、何とも言えない気持ちで
帰宅する喜代美でしたが、大好きな奈津子さんの手助けはしたい。

しかし、取材を頼もうとした喜代美の手を引いて、いきなり何処かに連れて行く草々さん…。
呼び名は、すっかり「キーコ」で定着したようで。

喜代美が人ごみの中を恐る恐るついて行くと、草々さんはスーパーの中に入って行きます。
そして、その2階へドタドタと上がっていくのでした。

 

そこは、なんや集会所のようになっていて…バタバタと準備していた若い衆は、みな
草々さんを見て恐縮しているようでした。

どうも、今日、ここで落語会が開かれるようなんですな。

若い衆に

兄さん、大丈夫です!僕らでやりますから!

と、オロオロされながら座布団運んだりパイプ椅子をセットしたり、やってきたお年寄りの
受付けをしたり…。

喜代美はその様子を端っこでぼんやり見ているしかありません。

やがて、若い衆からいくら入っているのか「大入り」袋を渡されて、受け取る草々さん。

 

ほな、袖からでも高座…。

と言いかける草々さんの言葉を遮って、すかさず頭を下げる若い衆。

ほんまにありがとうございました!!

 

喜代美にはわけが分かりません。
しかし、草々さんは黙って階段を下りていきます。

 

わけが分からない…けれども、でっかい背中が寂しい。切ない。

この人を…高座に上がらせたって……。・泣

と、ワケが解っている私はここでもうウルウルです。

 

わけが分からないまま徒然亭へ帰る喜代美でしたが、入る寸前に向かいの居酒屋「寝床」の
女将・咲さんに捕まり、店の中に引き入れられるのでした。

そこにいたのは、小草若。

人気タレントだけあってきっぷが良くて愛想良くて…なんですが、チャライんですな。 

店の客らにも驕ってビール100本。
焼きおにぎり100個。

何でも100個言うといたら「ぎょうさんやろ」みたいな感覚…。

と、カウンターの菊江さんがボソ…。

帰りはな、俺のスーパーカーで送ったるさかいな。

向かいや!歩いて3秒や!しかもスーパーカーて!

 

まぁ…小草若のチャライ話は置いておいて…。

ここで、喜代美は初めて徒然亭の闇の過去にちょっとだけ触れるのでした。

 

「徒然亭草若を出したろ」いう小屋は大阪にはない。

え?

うちの…天狗芸能の会長を怒らしてしもたんや。

何でですか?

天狗座特別公演「草若一門の会」。
トリやったのに穴あけてしまいよったんや。
天狗芸能の信用も面目も丸潰れや!

…舞台に出ならんと、どこで何しとなったんですか?

 

…しょうもない事や…。

 

この「しょうもない事」を語りたがらない小草若。

しかし、天狗芸能の高座をスッポカし、会長に多額の借金も背負わせて踏み倒したらしい
草若師匠は、もう大阪で高座に上がる事は出来ない…という事情だけは理解した喜代美。

「永久追放」…の言葉が芸をするもんにとって、どんだけの地獄か…。
考えるとゾッとします。

しかし、草々さんはそんな草若師匠に付き従っている。

いつかオヤジが復活するて本気で信じとんのや。
ドあほが!
自分の落語家生命絶つだけやのに。

 

小草若のこの言葉に、馬鹿にしてるんと違って本気で草々さんの身を心配している様子も
ちょっと垣間見れた気がするのでした。

 

永久追放…の闇の中にいる師匠に少しでも光を見せ、希望を持たせたいと、不器用に
笑顔を作り続ける草々さんが切ないです。・泣

切ないって…こういう事を言うんやで~。

 

そして、切ない師弟のどん底の中の愛情を理解してしまう喜代美の表情もまた切ないです。

 

出ていってくれ、草々!頼む。このとおりや。
俺は、お前、潰したないんや!

 

その話は何べんもしたやないですか。
俺は師匠のそばにいます!
もういっぺん一緒に高座に上がります!

その日まで俺は師匠の側を離れません!

 

夜、壁の向こうから聞こえてくる草々さんの慟哭…。

ああいう小さい会場の手伝いをして、戸惑われ嫌がられながら小さい額の手伝い賃を貰って、
それで今、2人は生計を立てているらしい。

もちろん…あの「大入り袋」が目的で草々さんはあの集会所へ行ったのです。

でも、それ以上にね、

高座に上がりたかろう。

落語、やりたかろう。

 

青木崇高さんのデッカイ背中から、全身から、その叫びが聞こえてくるようでした。

誰かこの人に落語やらしたって……。・泣

 

居酒屋「寝床」のやりとりはおかしくて笑った部分もありました。
まぁ…とにかく脇役さんたちの笑い動き怒つきまくる様子が生き生きとしていること。

小草若のウザい

ほな、底抜けにっ! シーユーアゲイン!

まで、懐かしいわ。楽しいわ。

 

寂しい切ない中にも仕込まれる笑いと、不自然のない流れ。

緩急激しく心揺さぶられる物語の作りが、この徒然亭の抱える事情に引き込まれ飲みこまれて
いく主人公・喜代美の気持ちそのままに伝わるのでした。

 

よろしければ→【2013年10月期・秋クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

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※キャスト

和田喜代美/徒然亭若狭 … 貫地谷しほり(少女時代:桑島真里乃)

徒然亭草若(三代目) … 渡瀬恒彦
徒然亭草々 … 青木崇高(少年時代:森田直幸)
徒然亭草原 … 桂吉弥
徒然亭小草若→徒然亭草若(四代目) … 茂山宗彦(少年時代:榎田貴斗・森川翔太)
徒然亭四草 … 加藤虎ノ介
木曽山勇助/徒然亭小草々 … 辻本祐樹
吉田志保 … 藤吉久美子

和田糸子 … 和久井映見
和田正典 … 松重豊
和田小梅 … 江波杏子
和田小次郎 … 京本政樹
和田正平 … 橋本淳(少年時代:星野亜門)

和田正太郎 … 米倉斉加年

和田清海 … 佐藤めぐみ(少女時代:佐藤初)
和田友春→野口友春 … 友井雄亮(少年時代:小阪風真)
和田秀臣 … 川平慈英
和田静 … 生稲晃子
野口順子 … 宮嶋麻衣(少女時代:伊藤千由李)
野口幸助 … 久ヶ沢徹
野口松江 … 松永玲子
野口春平 … 斉藤勇人/新岡澪
野口順平 … 斉藤隼人/新岡塁

熊五郎 … 木村祐一
咲 … 田実陽子
磯七 … 松尾貴史
菊江 … キムラ緑子
徳さん … 鍋島浩
お花 … 新海なつ
緒方奈津子→和田奈津子 … 原沙知絵
原田緑 … 押元奈緒子

鞍馬太郎 … 竜雷太
万葉亭柳眉 … 桂よね吉
土佐屋尊建 … 波岡一喜
万葉亭柳宝 … 林家染丸
土佐屋尊徳 … 芝本正
柳宝の弟子 … 林家染左、林家染吉
烏山 … チョップリン西野
原田颯太 … 中村大輝(少年時代:河合紫雲)

音大の教授 … キダ・タロー
あわれの田中 … 徳井優
横山たかし・ひろし … 本人
五木ひろし … 本人
ニュースキャスター … 浅越ゴエ

竹谷修 … 渡辺正行
堀田由美子 … 和田はるか
高島恵 … 中井飛香
北川沙織 … 村上佳子

 

語り – 上沼恵美子

 

※スタッフ

脚本 … 藤本有紀
演出 … 伊勢田雅也、勝田夏子、井上剛、菓子浩、三鬼一希、吉田努、櫻井壮一
制作統括 … 遠藤理史
音楽 … 佐橋俊彦

テーマ曲・ピアノ演奏 … 松下奈緒

 

 

 【ちりとてちん】第1週~第3週、19 20



コメント

  1. くう より:

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    >あ~それはとても安心しました! 個人的に好みです。根幹はスカッとするストーリーなんですね。

    根幹は…何でしょうね~基本はコメディなんだろうけれども、結果的には
    自分の中に残っているのは、しみじみとした感動ですわ。
    スッキリすることばかりではないけれども、そこに必ず何か残るものがあります。
    ぜひ味わってみてくださいませ^^

    >東京人が大阪でどう頑張るのか、とかも見てみたかったんですが、そんな深さはまるで期待できないので(というか、もっと頭にきそう)あっさりリタイアです。

    あっさりリタイアはいっそ清々しいです!
    私は、大阪編になったらコロッと良くなる…かも…という淡い期待で見ています…
    だから、そこがダメだったらバッサリ切ります^^;
    とりあえずはそこまで見てみる^^;

  2. かこ より:

    SECRET: 0
    PASS: 8f7db576fadcdb1735211664d8a0c82f
    >サクセスストーリーというか、自ら影に入っていた喜代美さんが自分と
    いう物を取り戻していくストーリー…ですかね(^^)

    あ~それはとても安心しました! 個人的に好みです。根幹はスカッとするストーリーなんですね。

    私も関東圏、生れ&育ちともに東京です。それこそ「ごちそうさん」の今の舞台はほぼ地元(徒歩圏内)なんで、ちょっと楽しみだったんですが。東京人が大阪でどう頑張るのか、とかも見てみたかったんですが、そんな深さはまるで期待できないので(というか、もっと頭にきそう)あっさりリタイアです。

    方言は難しいですよね。。。福井弁、聞き慣れてはいるものの、自分では話せません。語尾の発音が出来ない(とても難しい!)ので。演者は大変だと思うし、それだけでも超リスペクトです。なので、方言についてのクレーム的なものではなく、ついつい思考が止まってしまうことが辛かった(←自分勝手な問題で。。。汗)のですが、それも無事乗り越えました!

    長々とすみません。レビュー楽しみにしてます!

  3. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    こちらこそ、お読みいただいてありがとうございます^^
    あ、あちらはリタイアですか…そういう方も多いみたいですよね^^;

    サクセスストーリーというか、自ら影に入っていた喜代美さんが自分と
    いう物を取り戻していくストーリー…ですかね(^^)

    私は関東圏の人間なので、方言には疎いです。
    そうですか。おかしいですか (´・ω・`)
    旦那様は福井の方なのですね^^
    この朝ドラが放送されている間は、かなり地元は盛り上がったみたいですよ。
    今ももしかしたら再放送祭りが行われているかもですね~^^

    >脚本&演出ともに頑張ってるドラマな感じです。これが当時、低視聴率なんて、信じられません。

    これの前の影響もあるのかなぁ。
    朝ドラの視聴率は大抵前作の視聴率を引っ張ります。
    あと、やはり色んな意味で「朝ドラ」とは規格外な作品だったのかも。

    今回が初見だと言うのは新鮮な目で見られると言う事で、羨ましくもあります。
    この先もどうぞお楽しみに!

  4. かこ より:

    SECRET: 0
    PASS: 8f7db576fadcdb1735211664d8a0c82f
    ちりとてちんのレビュー、嬉しいです!! ありがとうございます! 私、ごちそうさんはすでにリタイアしてしまったので、、、週1のドラマだけでは何か寂しい日々でした。
    初見なのですが、最初の2週間は、いじけた主人公のサクセス(するんですよね?きっと)ストーリーって共感できるのかなぁ、、、と懐疑的だったのですが、だんだんとこのドラマに魅了されてきました。(あ、あと、夫が福井出身なので、福井弁は聞きなれており、最初は出演者の変な福井弁に頭が止まってしまう、というのもありました、が、それももう慣れました)
    脇の方々が魅力的ですねぇ、とても。それに笑いもいっぱいあるし。脚本&演出ともに頑張ってるドラマな感じです。これが当時、低視聴率なんて、信じられません。
    くうさんのレビューもスタートし、嬉しい限りです。楽しみにしてます!!

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