NHK朝ドラ【ちりとてちん】(2013年・再放送) 第47回 感想

独学で落語のけいこを始めた喜代美(貫地谷しほり)だが、連日の無理がたたって
風邪をひいてしまう。
喜代美は熱でもうろうとした意識のまま、亡き正太郎(米倉斉加年)との思い出の落語の
テープを聴きつづけるが、ついに倒れてしまう。
そこに突然、福井から正典(松重豊)が現れる。
寝込んだ喜代美の看病をしつつ、正典は草若(渡瀬恒彦)に思いがけないことを頼む。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

連続テレビ小説「ちりとてちん」第47話「袖振り合うも師匠の縁」
     

      ちりとてちん感想

 

※「ちりとてちん」は、2007年10月期のNHK連続テレビ小説です。
当方は当時の放送をオンタイムで見ているので感想は恐らく回顧目線になりがちです。
ご了承のうえ、ご覧くださいませ。

※レビューでは先のネタバレは控えるよう努力します。
※レビューの更新はイレギュラーで…。週まとめは必ず書くようにいたします。

※再放送時間は月~土・午前7時15分からNHKBSプレミアムにて。

 

ビーコとの婚約を解消さして下さい!

と、和田家に土下座しに行く友春からの第47話。

 

解消て…。

婚約なんかしとったか?

ぽかーんの和田家。

全ては僕の不徳の致すところです。
これからは株式会社若狭塗箸製作所の立派な跡継ぎになれるよう、ビーコに負けず
一生懸命頑張る所存です!

勝手な思い込みで婚約…。
だけど、前回の喜代美の誠意こもった説得が効いたみたいです。

大阪で喜代美に会うた話をする友春。

 

どねしとった?

落語家になる言うとった。

まだ言うとんのんこ…。

あの、俺…昔の事はよう知らんけど、
ウチのお父さんてビーコのおじいちゃんの弟子やったんやろ?

ほうや。

何でそれがこんな小っこい塗箸屋とあの大企業若狭塗箸製作所に分かれてしもたんかは
知らんけど。
けど、お父さんにはお父さんの考えがあってあの会社作ったんや思うし…。

いや、それがどんな考えなんか今は全然分からん。
けどいつかはちゃんと分かるようならなあかん。
跡継ぎなるいうのも、自分の道見つける事やもんな。

何や一生懸命落語のテープ聴いてるビーコ見とって、そんな事考えたんや。

ほうけ。

ビーコのおっちゃん。
ビーコは大阪行って変わったなあ。

 

一方。
話題のビーコは、自分の部屋で落語の独学。

師匠の「愛宕山」テープを聞きながら復唱する。ノートに写す。

「野辺へ出てまいりますと春先の事で 空にはひばりがピーチクパーチクピーチクパーチク
 さえずって下にはれんげ たんぽぽの花盛り 遠山には パ~ッと霞の帯を引いたよう」

 

隣りの部屋でそれを聞いている草々さん。

しつこいやっちゃなあ。

 

「麦が青々と伸びて 菜種の花が彩っていようかという本陽気」
「やかましゅう言うてやって参ります その道中の…」
 

ハ~ックション!

部屋が寒くて…なんや眠くて…ポーッとしてくる頭。

「陽気な事!」

「ちょっとミナミのお茶屋をしくじりまして つてを頼って京都・祇園町で働いております」
「今日しも 室町辺の旦那衆が…」

テープがついにまた伸びて切れてしまい…。
それをカセットから出して、悲しくなる。

 

あの日…。

おじいちゃんのカセットデッキを抱きながら泣いていた喜代美。

「そや ちょっと いっぺん野がけをしようやないかいという事になりまして」
「もっとも そういう事になりますと 舞妓はんもコッポリ履いて だらりの帯で
 裾引きずってっちゅう訳にいきまへんわな」
「まあ もうちょっと軽快な格好いたしまして…」

おじいちゃん…。
  おじいちゃん…。

 

落語や。
  それは、落語いうもんや。

 

おいキー公!大丈夫か?

喜代美の部屋のドアを叩く草々さん。

そこへ、小浜から出てきたお父ちゃんがやってきます。

 

草々さん。
喜代美、どねかしたんですか?

いや、何か急に声が途切れたんで…。

 

お父ちゃんが中へ入ってみると、喜代美はテープを持って倒れていたのでした。

 

そのまんま、お医者さんを呼んでもらって寝込む事になった喜代美。

どうも、ご迷惑をおかけしてすんません。

草若師匠に頭を下げるお父ちゃん。

いやいやいや。
肺炎ならんでホンマよかった。

部屋まで借りてしもて…。

離れより暖かいですやろ。
…お父さん。今日は何でここへ?

 

師匠さん。

 

真っ直ぐ座り直して草若師匠に頭を下げます。

喜代美を弟子にしてやって下さい。

え?

お願いします。

 

お父ちゃんは、喜代美が持っていたテープを草若師匠に見せます。

 

これ…さっき喜代美が握っとったテープです。
20年前の師匠さんの声が入っとります。

私は、これを父と一緒に聴いたのを10年前に思い出して…。
いっぺんは諦めかけとったんですが、父の跡を継いで塗箸職人になる決心がでけました。

ちょっと、それよろしいか?

テープを手に取って改めて見る師匠。

昭和43年「小浜市民会館」

……塗箸職人…。

 

20年前、師匠は小浜市民会館で落語をやって、上がってから受付の所で
1人の男性がしきりに頭を下げているのを見ました。

 

どうかお願いします。
特別な日の記念にしたいんです。

その様子が、とても真剣そうだったので、師匠はつい声を掛けました。

 

どないかしはりました?

こちらの方が「今日の師匠の高座のテープが欲しい」言うて。

録音してましたんか?
ほな差し上げたらよろしいがな。

ええんですか?

かまへんかまへん。減るもんやあるまいし。

 

それが、和田正太郎。
おじいちゃんだったのです。

 

どうもありがとうございます!

何や、特別な日の記念にとか言うてはりましたな。

はい。
息子が今日、私の跡を継いで「若狭塗箸の職人になる」言うてくれまして。

ほ~う。

あの、自分の仕事をそばで見とったもんが跡を継ぎたい言うてくれた。
ただそれだけの事が、何でこない嬉しいんでしょうな。

 

本当に幸せそうに笑う正太郎じいちゃんを見て、草若師匠も微笑んだのです。

 

そんな大事な日の記念に私の落語を。
おおきにありがとうございます。
噺家冥利に尽きます。

 

あの時の男性がこのテープの持ち主で…
そして、今、目の前にいるこの男が、あの人の後を継いだ息子で。

そして、その娘が今、落語家になりたいと自分の元にいる。

 

あの日…。
この落語を聴きに行かんかったら、私が塗箸の修業をやり直す事も喜代美が
落語に出会う事もなかった。

何や、不思議やけんど、亡くなった父が私や喜代美の進むべき道を照らして
くれとる気がするんです。

 

ドラマティック…。
まさに。

「愛宕山」が繋ぐ和田家の歴史と草若師匠。

「愛宕山」を語る師匠の声の抑揚が音楽のように、BGМのように流れ続けて、
その中で浮かび上がり師弟の運命が繋がっていく様に感動し涙する。

人の声もBGМになるんだな…と、私はこのドラマで知ったのです。

繋げているのは家族が愛したおじいちゃん。

「愛宕山」があって、師匠がいて、おじいちゃんがいて…
塗箸があって、喜代美が今、大阪にいる。

 

ドラマなんだけどね。
運命というもの凄さに感動せずにいられないのです。

だから、今回も泣いたのでした。
一生懸命な人たちの思いに。

 

よろしければ→【2013年10月期・秋クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

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※キャスト

和田喜代美/徒然亭若狭 … 貫地谷しほり(少女時代:桑島真里乃)

徒然亭草若(三代目) … 渡瀬恒彦
徒然亭草々 … 青木崇高(少年時代:森田直幸)
徒然亭草原 … 桂吉弥
徒然亭小草若 … 茂山宗彦(少年時代:榎田貴斗・森川翔太)
徒然亭四草 … 加藤虎ノ介
木曽山勇助/徒然亭小草々 … 辻本祐樹
吉田志保 … 藤吉久美子

和田糸子 … 和久井映見
和田正典 … 松重豊
和田小梅 … 江波杏子
和田小次郎 … 京本政樹
和田正平 … 橋本淳(少年時代:星野亜門)

和田正太郎 … 米倉斉加年

和田清海 … 佐藤めぐみ(少女時代:佐藤初)
和田友春 … 友井雄亮(少年時代:小阪風真)
和田秀臣 … 川平慈英
和田静 … 生稲晃子
野口順子 … 宮嶋麻衣(少女時代:伊藤千由李)
野口幸助 … 久ヶ沢徹
野口松江 … 松永玲子
野口春平 … 斉藤勇人/新岡澪
野口順平 … 斉藤隼人/新岡塁

熊五郎 … 木村祐一
咲 … 田実陽子
磯七 … 松尾貴史
菊江 … キムラ緑子
徳さん … 鍋島浩
お花 … 新海なつ
緒方奈津子 … 原沙知絵
原田緑 … 押元奈緒子

鞍馬太郎 … 竜雷太
万葉亭柳眉 … 桂よね吉
土佐屋尊建 … 波岡一喜
万葉亭柳宝 … 林家染丸
土佐屋尊徳 … 芝本正
柳宝の弟子 … 林家染左、林家染吉
烏山 … チョップリン西野
原田颯太 … 中村大輝(少年時代:河合紫雲)

音大の教授 … キダ・タロー
あわれの田中 … 徳井優
横山たかし・ひろし … 本人
五木ひろし … 本人
ニュースキャスター … 浅越ゴエ

竹谷修 … 渡辺正行
堀田由美子 … 和田はるか
高島恵 … 中井飛香
北川沙織 … 村上佳子

 

語り – 上沼恵美子

 

※スタッフ

脚本 … 藤本有紀
演出 … 伊勢田雅也、勝田夏子、井上剛、菓子浩、三鬼一希、吉田努、櫻井壮一
制作統括 … 遠藤理史
音楽 … 佐橋俊彦

テーマ曲・ピアノ演奏 … 松下奈緒

 

 

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コメント

  1. くう より:

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    >ちりとてちんは一人ひとりのキャラクターがしっかりしていて、それぞれに物語があって(あの友春でさえ、友春なりの筋を通しにいく。見てるもんはぽか~んですが)、本当に素敵です。

    そうなんですよね!
    キャラが生きている事は
    朝ドラの必須ですわ。
    他のドラマよりも放送時間が毎日短いからこそ、余計に印象付ける楽しさが必要なんですよね。
    このドラマはホントに1人1人が生きてますわね。

    >すべてがつながった。
    おじいちゃんが光のむこうで手をひいてくれている、そんな回でした。

    繋げてくれたんですよね~^^
    人の縁の不思議さと有り難さを感じる素敵な回でした。

  2. くう より:

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    >そしてこの言葉を聞く草若さんの胸にもいろんな思いが去来してる。

    同じ子供の親だからこそですね。
    きっと小草若の事を考えていたと思います。

    >そしてなんとなく今回は「あまちゃん」を思わせるものがありました。

    過去の回収回でしたね。
    いい話でした~。

  3. たこ より:

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    今日のもよかったですねえ。
    ちりとてちんは一人ひとりのキャラクターがしっかりしていて、それぞれに物語があって(あの友春でさえ、友春なりの筋を通しにいく。見てるもんはぽか~んですが)、本当に素敵です。
    すべてがつながった。
    おじいちゃんが光のむこうで手をひいてくれている、そんな回でした。
    じわりと涙です。

  4. ゆう より:

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    >あの、自分の仕事をそばで見とったもんが跡を継ぎたい言うてくれた。
    >ただそれだけの事が、何でこない嬉しいんでしょうな。

    この言葉がしみますよねぇ。
    そしてこの言葉を聞く草若さんの胸にもいろんな思いが去来してる。
    そしてなんとなく今回は「あまちゃん」を思わせるものがありました。

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