【篤姫】第三十回

上様亡き後、私に何よりも大切なのは

 

生きていくための希望なのです。

 

新将軍として江戸城に入城した家茂は、

 

天璋院を母として大切にしてくれる。

 

天璋院を「母上」と呼び、

 

他に変わる者なき家族として、お慕いしお守りしたい

 

と、言ってくれた。

 

それを見守る幾島は、ホッとした様子ながらも

 

心中は複雑だった。

 

幾島は大奥を下がらせて頂きとうございます。

 

私はお役目を果たせなかった自分をどうしても許せないのです。

 

斉彬の命で動いていた小の島も、任を解かれた。

 

将軍家の人間として生きていく道を選んだ篤姫の元から、

 

薩摩の人々は、姿を消していく。

 

 

井伊直弼による、一橋一派に対する弾圧は、

 

ますます強くなっていった。

 

朝廷をそそのかした者を全て捕らえよ。

 

公家衆は震え上がるであろう。

 

薩摩の命で動いていた西郷と月照は逃げ場を失い

 

故郷の薩摩に助けを求めたが、

 

斉興が実権を握り始めた薩摩では、幕府の威光に

 

恐れを成し、2人を匿う事はできなかった。

 

匿うどころか、2人は薩摩の手によって捕らえられてしまう。

 

島に送られる舟の上で

 

西郷さん、手を出しなはれ。

 

と月照は自分の手を前に出した。

 

あんたさんから預かった私の命、

 

お返し致します。

 

今度は、私があんたに命を預ける番や。

 

あんたさんの手にかかるならば悔いはありません。

 

月照さまだけを行かせる事はしません。

 

2人は、入水した。

 

西郷が気付いた時、月照は息を引き取っていた。

 

1人生き残った西郷。

 

帯刀らに見守られながら、

 

西郷の慟哭は止む事がなかった。

 

      

 

奄美大島で死んだ事にされ、隠れて暮らす事になった西郷。

 

男として、武士として、それは本当に死んだも同然。

 

どんなに苦しく悔しい思いだろう。

 

斉彬のために命を賭けて働き、

 

正義だと信じて生きてきたのに、

 

ある日突然、情勢が変わり、謀反人として

 

追われる身になる。

 

これが負けると言う事なのか。。。

 

月照も、どんなに無念であったろうと思うと、

 

井伊のやり方を恨まずにはいられない。

 

薩摩も、どうも新しい殿様・忠教がヘタレで。。。

 

代わりに、帯刀が随分と頼もしく見えた。

 

そんな男達の無念を思うと、負けた幾島が

 

のうのうと大奥で暮らせない気持ちはよく分かる。

 

反対に、家茂に「母上」と呼ばれて涙する篤姫が

 

何だか1人ホームドラマモードで脳天気に見えてしまう。

 

大奥に入った時から世話をしてくれていた初瀬も

 

下がっていった。

 

篤姫の周りは、にわかに寂しくなっていく。

 

 

天璋院篤姫(上)新装版

 

天璋院篤姫(下)新装版

 

天璋院篤姫と大奥の女たちの謎

 

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コメント

  1. くう より:

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    >西郷だけが生き残ってしまったシーンでは、彼の無念さが伝わってきました。自分の信念が罰の対象となってしまうことは無念としか言い様がありません。

    後々の世の戦争でも、国を信じて戦ってきた人は戦犯と

    呼ばれるようになりました。

    負けた方には、悲劇が待っているものなんですね。

    西郷には奮起した姿を早く見せて貰いたいです。

  2. くう より:

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    >斉彬の死辺りから薩摩と江戸の両方を描く演出に

    >違和感がなくなってきました。

    政治の話が大きくなってきて、帯刀がヘタレじゃなくなって来たから?(^^)

    >それにしても天璋院は徳川の人間になったというのに

    >薩摩の出であるというだけで疑いの眼差しを向けられるのですからね。

    >その心中はかなり複雑だったのでしょうね。

    幕末までずっと、篤姫は斉彬さんの予言通りに

    実家と幕府の間で苦しむんですものね。。。

    大奥に入った女も、みんなそれぞれに使命があって、

    楽ではなかったと言うことですね~。

    >父親が怖いというよりかは

    >自分が父親を貶めるような事はしたくない

    >父親の誇りを傷つけるような事はしたくない

    >なんとなくですけど、そんな気がしています。

    私もそう思いますわ。

    たぶん、忠教さんは、とても優しい人なのです。

    でも、ここぞと言う時は何とかして欲しかった(; ;)

  3. 琉河岬 より:

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    西郷だけが生き残ってしまったシーンでは、彼の無念さが伝わってきました。自分の信念が罰の対象となってしまうことは無念としか言い様がありません。

  4. くう より:

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    >本当次々と篤姫の周りから親しい人がいなくなってしまって・・・。

    >幾島の心情も手にとるように分かるだけにつらいですよね・・・。

    幾島には、篤姫のような希望は何もないんですもんね。

    今後も自分を責め続けていくのでしょう。

    篤姫の側に死ぬまでいる事を希望と思ってくれればいいのにね。

    >でも西郷さんたちの話、今回は薩摩組に軍配だったかもですね。

    薩摩組の話の方が、グッと来ちゃった。

    来週は、あっつー中心かなぁ。

  5. くう より:

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    >西郷にこんな事件があったなんて全然知らなかったので驚きました~。

    私も。。。

    ミチさんの所に行った後で、wikiに行きましたから。。。(-_-;)

    立派な史実でしたわ~。。。

    西郷、大変だったのね。。。

    >入水シーンがストップモーションになって、ちょっと笑っちゃった(汗)

    えっ(◎-◎)

    >忠教ったら本当にヘタレですよね。

    >先週はかなり勢いづいていたのに!(怒)

    やっぱ父には逆らえないんでしょうかね。。。

    ビシッと言ってやってほしいのにね(>_<)

  6. くう より:

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    >確かにぃ~~^^今回母上~~って呼ばれて

    >なんだかラブラブモードの天璋院ですが。。

    >さすがに幾島までいなくなるのはちと。。

    >来週。。また泣けそうですぅ~~(TT)

    幾島がいなくなるのは、何より寂しくて不安でしょうね。

    母のような人だったのに。。。

    でも、親じゃないからいなくなっちゃうとも言えるし。

    この先は滝山が一番側にいる人になるのかなぁ。

  7. ikasama4 より:

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    斉彬の死辺りから薩摩と江戸の両方を描く演出に

    違和感がなくなってきました。

    それにしても天璋院は徳川の人間になったというのに

    薩摩の出であるというだけで疑いの眼差しを向けられるのですからね。

    その心中はかなり複雑だったのでしょうね。

    >斉彬のために命を賭けて働き、

    >正義だと信じて生きてきたのに、

    >ある日突然、情勢が変わり、謀反人として

    >追われる身になる。

    結局、一番の力を持っている人の考え方で価値観が変わっていく

    という事なのでしょうね。

    ただ、今回の忠教の思いも分からなくないです。

    父親が元気な頃はたとえ父親の考えが間違っていると

    思っても、それに逆らう事は出来なかったですからね。

    父親が怖いというよりかは

    自分が父親を貶めるような事はしたくない

    父親の誇りを傷つけるような事はしたくない

    なんとなくですけど、そんな気がしています。

  8. なぎさ美緒 より:

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    寂しくなりますねぇ。

    本当次々と篤姫の周りから親しい人がいなくなってしまって・・・。

    幾島の心情も手にとるように分かるだけにつらいですよね・・・。

    でも西郷さんたちの話、今回は薩摩組に軍配だったかもですね。

  9. ミチ より:

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    西郷にこんな事件があったなんて全然知らなかったので驚きました~。

    入水シーンがストップモーションになって、ちょっと笑っちゃった(汗)

    忠教ったら本当にヘタレですよね。

    先週はかなり勢いづいていたのに!(怒)

  10. のの雪 より:

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    確かにぃ~~^^今回母上~~って呼ばれて

    なんだかラブラブモードの天璋院ですが。。

    さすがに幾島までいなくなるのはちと。。

    来週。。また泣けそうですぅ~~(TT)

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