【天皇の料理番】第10話 感想

とにかくできるだけ知られないことが一太郎を守ることだろうって、お父さんは
考えてたの。

だけど一番は、陛下のお料理番だから特別だから偉いんだって思ってほしく
なかったんだって。

真心込めてやってるから偉いんだって、
そういう料理人が偉いんだって。

そう思ってほしかったんだって。

 

天皇の料理番 第10話

    

 

1915年(大正4年)の大正天皇御大典を終えて、自分を支えてくれた兄の死を受け止め、
俊子と再び一緒になって10年。

…も、経ったのである。

 

何故でございましょう?秋山厨司長。
本日のシチューをお上に残されたことが何故調理所を移築すべきだというお話に?

 

だって温かいまま出せないからおいしくないんです!
おいしいわけない冷めたシチューなんて。
シチューだけやないですよ。
あの長~い廊下運んでったら、何もかんも冷めてしまうわけですよ。
シチューもポトフも味噌汁も。
みんな十二分においしさを発揮できない状態に成り下がる。
それやったら召し上がる所の横に調理所移したほうがいい…。

 

篤やんの料理に対する思い入れと拘りも相変わらず。
宮前さんも厨房メンバーもみんなこの性格にはもう慣れた模様。
良い部下に恵まれた。

家庭の方も二男一女に恵まれ、幸せに暮らしている。

…が、どんな幸せ家族にもそれなりの悩みはある。
今回は長男・一太郎の話。

篤やんは一太郎に正確な職場について話をしていないらしい。

これは、天皇陛下に仕えているから言ってはいけないしきたりなのかと思って
いたけれども、別にそういう話では無いみたい。

一太郎の書きかけの作文に「父の職業は質屋」と書かれているのを発見して驚く篤蔵。

そろそろどこで働いているのかきちんと教えるべきだと俊子に言われて一太郎と
向かい合う篤蔵だが…

 

一太郎君。
君は料理人を恥ずかしい仕事だと思っているのかな?

別に。

じゃあ何でお父さんは「質屋」になっているのかな?
一太郎君、怒らないから言ってごらん。

料理人なんて…ろくでもない人間がなるもんだって友達のお兄ちゃんが言ってたから。

一太郎君はほれを信じているわけですか。

しょっちゅう酔っ払ってるし…。

食べ歩くんは仕事のうちなんです。

何週間も家空けることもあるよね?

あれは…店のお客さんというか…偉い人の行くとこにくっついて地方に行ったり…。

お店、ほっぽらかして?

 

一太郎!お前は飯食うな!
これはロクでもないお父さんが恥ずかしい仕事した金でまかなっとる飯や。
今日から一切、家の飯は食うな!

 

怒らないから、とか言っといて最終的には怒っちゃうし。
「ちゃんと話す」と言っていたのに宮内省で働いていることは話さないのね。

そして、子どもは苦手っぽい。
話し方はぎこちないし、ちゃんと接していない様子が見えた。
この時代だったら当然のことだ。
大黒柱は上から物を言い、あまり多くを語らず命令しかしない。
女子供に個人の意見などないのである。

篤やんもあまり似合わないなりに「威厳のある父」を一生懸命家庭の中で演じようと
しているのだろう。

子どものために「お友達パパ」を演じている平成のお父さん達も大変そうだが、
威張った態度がガラに合わないこの時代のお父さんも大変だったかもね。

 

しかし、さすが篤やんの子どもだけあって、一太郎もなかなか折れない子である。
「お前は食うな」と言われれば本当に食わない。

「料理人」自体が子どもにとっては恥ずかしい職業であり、その上、どこで働いて
いるのか知らされないとなったら、確かに子どもも変な親だと思うよね。

俊子が遠まわしにフォローしようとしても、複雑な反抗心は折れない。

篤やんは篤やんで一太郎が気になりつつも、お上に美味しい物を食べさせたいという
仕事上の悩みの方がもっと大きいのだった。

 

食欲が出ないのは美味しくないからだ、と篤やんは考える。
厨房から陛下がおられる食堂までが遠すぎて冷めてしまうからだ。
揚げたての天ぷらを外で食べれば、「これを御上にも召し上がっていただきたい」
と考える。

お上のご体調がよろしくないし。
珍しいもんお出しして元気出してもらえんかと思ってな。

目の前で揚げてお出しするために真夜中に七輪を探し回る。

親や妻や子どもを思うように陛下を愛している篤蔵なのだ。

大正は15年しかない。
篤やんが大正天皇御即位の礼のために宮内省大膳職司厨長に就いたのが
大正3年くらいのことだと思うから、あそこから10年経ったと考えたらあと2年くらい。
この時期はもう相当ご体調も悪かっただろうと考えられるので、食欲がないのは
そのせいだよね。

ちなみに、この大正天皇のご生母が柳原愛子であり『花子とアン』の白蓮の伯母様である。
(関係ないけどね…関係ないけどね…)

 

結局、お上に天ぷらを揚げて差し上げることはできなかったが、皇后陛下から
信頼を得る事が出来た篤やん。

けれども、皇室の信頼を得ても息子にそれは伝わらない。
何故なら言わないから。

ついには、

たかが料理人だろ!飯作ってるだけだろ!

と言う一太郎に手を上げてしまう。

まぁ…この時代も何も、昭和団塊世代辺り以前の父親が思い通りにならない家族に
手を上げるなんてのはデフォである。ドラマはちゃんと時代を描いている。

…でも、それが篤やんだから、見ている方も思わず「子ども殴っちゃダメだよ~!」
叫びたくなるのは解らなくもない。

現に殴った後ブツブツ言いながらオタオタ出ていく様子が、殴り慣れても怒鳴り慣れてもいない
「やっちまった」感であふれているのだもの。
慣れない事はしないもんである。

 

雨降って地固まる…の「雨」になったのは関東大震災であった。

溢れかえる被災者を皇居は開門して受け入れることにした。
家族が心配でも、まずは目の前の人たちのために動く。

おそれ多くも陛下の台所だと名乗るなら、助けを求める人には手を差し伸べるべきでしょう!

これは「陛下はそうしなければならない」という意味で言ったのではなく、「陛下はきっとそうなさる」
という信頼の表れだと受け取っておく。

なんせ、今の皇室が門を開けるのとは全く違うのである。
この時代、ここは「現人神」の住むところなのだから。

明らかに家族を心配している篤やんに、

私がおりますんで、まずご確認に行かれてください。
私はじじいの一人暮らしですから、お早く!

…と言ってくれる宮前さん、カッコ良過ぎる…。

抜け出せずに炊き出しする篤やんの所に、一太郎がやってきて、家族と再会。

感動の再会と息子との和解にウルっとしつつも、後ろに並んでる人が待たされてるのが
気になって気になって……ぁ…そこはスルーするところ

俊子さんは避難所でお産婆さんをやっていたのだった。

 

何で言ってくれなかったの?お父さんの仕事。

 

もし、みんながお父さんの仕事知ってて友達のお父さんから御用達の札
もらってくれって頼まれたら一太郎、どうする?
うまく話がまとまればいいけど、なかなかそうもいかないやろうし。
そしたら一太郎と友達はとっても気まずくなるでしょ?

陛下のお名前でお金を稼ごうとする人もいるし。
とにかくできるだけ知られないことが一太郎を守ることだろうってお父さんは考えてたの。

だけど一番は陛下のお料理番だから、特別だから偉いんだって思ってほしくなかったんだって。
真心込めてやってるから偉いんだって。
そういう料理人が偉いんだって。
そう思ってほしかったんだって。

 

ああ…だからお梅さんが御用達札くれってしつこく言っているシーンが入ってたのか…
と、合点がいったのだった。

大人だったら何とか上手くかわせそうな事も、子ども同士だと困るしかない。
一太郎自身にそれを体験させて学ばせるという教育法もあると思うのだが、
この夫婦は避ける事で守ってきた、という事である。

篤やん的には、それだけじゃなくて身内のせいで皇室に御迷惑が掛かることも
考慮して…だと思うんだ。

篤やんは言葉も思考も不器用だし、この話にはだいぶ俊子さんの補填が
あると思われる。

でも、母親がそうやって父親の足らない部分を補って子どもに伝えてやるって
大切な事だよね。

母親は父親の愚痴を子どもにこぼし父親は母親の愚痴を子どもにこぼし、してたら、
子どもが親を尊敬して育つなんてことまずないだろう。

内助の功とはそういう事である。
「人のため」とはそういう事である。

…と、今回もセリフでくどくど説明するのではなく、きちんと映像で大切なことを
みんな教えてくれるドラマであった。

 

「僕のお父さんは料理人です。
僕は料理人というのは恥ずかしい仕事だと思ってました。
だけどお父さんの働く姿を見て間違っていたなと思いました。

お父さんが出した食事を食べている人達はとても嬉しそうでした。
お父さんには大事にしなきゃいけない人がたくさんいるんだと思いました。
大事な人を守ろうとするお父さんはかっこよかったです。

だけど いつもはお母さんに世話ばかりかけているのでそういうところも日常的に
見せてくれればいいのにと思いました。
そうすればきっと僕みたいな間違いをする人もきっと なくなるからです。

料理人は恥ずかしい仕事ではなくなると思います。」

 

一太郎よ…まだ甘いな…
今日はこんなカッコいいことやったよ、と、日常的に報告したりしないのが
男なんだよ、武士なんだよ…ぃゃ、武士ではないけどな。

…ってことで…

俊子さんが病気かぁ…。

とりあえず…
ネタバレになるので史実のモデルの人の話は書かないでおく…。


1923(大正12)年、篤蔵(佐藤健)と俊子(黒木華)は、3人の子宝に恵まれていた。
篤蔵が「天皇の料理番」とは知らない8歳の長男・一太郎(藤本飛龍)は、家での父親の
姿を見て、料理人の仕事に偏見を抱いていた。
ある日、篤蔵は俊子から、一太郎が作文で父親の職業を質屋と書いていたと聞き、
ショックを受ける。
しかし、真実を伝えることもできず、親子はぎくしゃくする。
そんな中、東京が前代未聞の大地震に襲われ…。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

 

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よろしければ→【2015年7月期・夏クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

 


※キャスト

秋山 篤蔵 … 佐藤健

秋山(高浜) 俊子 … 黒木華

宇佐美 鎌市 … 小林薫

松井 新太郎 … 桐谷健太
山上 辰吉 … 柄本佑

秋山 周太郎 … 鈴木亮平
秋山 周蔵 … 杉本哲太
秋山 ふき … 美保純
秋山 蔵三郎 … 森岡龍
秋山 耕四郎 … 瀬戸利樹(子役期: 佐藤和太)
秋山 一太郎 … 藤本飛龍
秋山 初江 … 須田理央
高浜 金之介 … 日野陽仁
高浜 ハル江 … 大島さと子
高浜 光子 … 石橋杏奈
高浜 鈴子 … 田中芽衣
高浜 静子 … 山田紗椰

福羽 逸人 … 浅野和之
宮前 達之助 … 木場勝己
入沼 … 天野義之
黒川 … 林泰文
杉村参事官 … 大鷹明良
城田 … 森田哲矢
町山 … 東口宜隆

桐塚 尚吾 … 武田鉄矢
田辺 祐吉 … 伊藤英明

森田 梅 … 高岡早紀
森田 仙之介 … 佐藤蛾次郎
茅野 … 芦名星

お吉 … 麻生祐未
五百木 竹四郎 … 加藤雅也

奥村 … 坪倉由幸
佐々木 正志 … 西沢仁太
荒木 … 黒田大輔
関口 … 大西武志
杉山 … 渡邊衛
藤田 … 大熊ひろたか
鈴木 … 城戸裕次

大正皇后 … 和久井映見
皇后付き女官 … 伊藤かずえ

フランソワーズ … サフィラ・ヴァン・ドーン
オーギュスト・エスコフィエ … レベル・アントン
アルベール … ロイック・ガルニエ
ジャン・パトゥル … グレッグ・デール

粟野 慎一郎 … 郷ひろみ

※スタッフ

脚本 … 森下佳子
演出 … 平川雄一朗
プロデュース … 石丸彰彦
音楽 … 羽毛田丈史、やまだ豊

原作 … 杉森久英『天皇の料理番』
主題歌 … さだまさし「夢見る人」

公式サイト(終了) http://www.tbs.co.jp/

 

 

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【天皇の料理番】 第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話


コメント

  1. 巨炎 より:

    旧作は関東大震災で16話。でも、まだ宮中に上がっていない。

    原因はパリ留学及び前後のイベント。
    佐藤版は史実に併せ華族会館以外の場所でも働いて力を付けて留学し、
    本場のお墨付きを貰って実力&肩書は師匠超えとなって凱旋しましたが
    正章版はバンザイ軒⇒日雇い人足で、やっとこパリに行ったと思ったら
    俊子が心配で修行を中途で切り上げてしまった。
    お陰で宇佐美さんから宮中推薦ではなくヤクザキックを進呈される…。
    「このバカ野郎!俺が鍛え直してやる!!」
    財津一郎と堺正章のウェイト差を考えるとマジ蹴りは痛そう。

    昔、観た再放送を2クールと思っていましたが1クール半でした。
    お仕えするのは昭和天皇のみで「天皇の料理番」になって以降の尺は新作の方が長いくらい。
    作品カラーの違いも顕著になり、料理人として高見を目指す篤やんは周囲を省みなくなり
    子宝にも恵まれず旧友達との関係もギクシャクし始める。
    佐藤版の一太郎の名前は新太郎からもじったのかもしれません。
    旧作は新太郎が篤蔵のアンチテーゼ的立ち位置になってきました。

  2. 「天皇の料理番」真っ直ぐな料理人10関東大震災で篤蔵は炊き出しを行いその姿をみた子供たちは篤蔵の背中を見て仕事の事を理解してくれた

    「天皇の料理番」第10話は厨司長として10年の月日が流れていた。息子に天皇の料理番である事を伏せていたが、当時の時代背景情どうしても子供に言えなかった。そんな不信感を …

  3. 昼寝の時間 より:

    天皇の料理番 第10話

    公式サイト(終了) 厨司長として大膳で働き始めて10年、篤蔵 (佐藤健) は 俊子 (黒

  4. 【天皇の料理番】第10話感想と視聴率好調♪

    「皇居編~関東大震災と家族の決意」 第10話の視聴率は、前回の16.7%より下が

  5. 天皇の料理番 (第10話・6/28) 感想

    TBS系『天皇の料理番』(公式)
    第10話『皇居編~関東大震災と家族の決意』の感想。
    なお、原作小説:杉森久英『天皇の料理番』は未読。過去のドラマ作品も未見。

    1923(大正12)年、篤蔵(佐藤健)と俊子(黒木華)は、3人の子宝に恵まれていた。篤蔵が「天皇の料理番」とは知らない8歳の長男・一太郎(藤本飛龍)は、家での父親の姿を見て、料理人の仕事に偏見を抱…

  6. 天皇の料理番 episode10

    「皇居編〜関東大震災と家族の決意」

    内容
    大正5年、篤蔵(佐藤健)は、故郷で家族の笑顔に囲まれていた。
    その中心には、篤蔵と俊子(黒木華)
    ふたたび、2人は家族となったのだった。

    そんななか、大膳では、ある事が問題になっていた。
    戻ってきた皿に。。。シチ…

  7. 天皇の料理番 第10話

    厨司長として大膳で働き始めて10年経った篤蔵(佐藤健)は、俊子(黒木華)と家庭を築いていて、子供は3人も恵まれていました。

    しかし、長男の一太郎(藤本飛龍)と篤蔵はあまり上手く行っていないような・・・

    この時代、料理人と言うのは、あまり良い職業とは思われていなかったようですね。

    学校の作文で、お父さんのことを書く宿題が出ていたようですが、一太郎は篤蔵の仕事を質屋だと書いてい…

  8. 天皇の料理番〜畏れ多くも陛下の台所だと名乗るなら、助けを求める人には手を差しのべるべきである!

     『JIN』を制作したこの番組のスタッフは、丘の上から街を見るシーンが好きだなぁ。
     今回もそれがあった。

     関東大震災。
     篤蔵(佐藤健)が九条公爵邸から出て来ると、街から幾筋もの黒煙があがっている。
     シーンが変わって、宮城から出て来ると、黒煙がさらに…

  9. 天皇の料理番 #10

    『皇居編~関東大震災と家族の決意』

  10. 天皇の料理番 第10話

    2015年6月28日 日曜よる9時 厨司長として大膳で働き始めて10年、篤蔵 (佐藤健) は 俊子 (黒木華) と共に家庭を築いていた。 そんな中、東京地方を大震災が襲う。 調理場にやってきた篤蔵は、天皇の料理番として、被災した人々のために何ができるかを模索する。 一方、…

  11. 天皇の料理番「皇居編~関東大震災と家族の決意」

    よかったですね、篤蔵 (佐藤健)。あれほど、家族を嘆かせ、将来の心配させたのに、今や、厨司長として大膳で働き始めて10年。大出世です。天国で、兄やん・周太郎(鈴木亮平)も喜んでくれてるでしょう紆余曲折あったけれど、誰より理解ある細君、俊子 (黒木華)の間に、子宝にも恵まれ、その意外な出世ぶりに家族にも喜ばれ… だけど、篤蔵の不器用さは、相変わらずで、その勤め先が悪用されたら、と案じるあまり子…

  12. トリ猫家族 より:

    「天皇の料理番」 第10話 皇居編〜関東大震災と家族の決意

     椀を受け取る手を握りながら篤蔵はつぶやいた。

    「俊子・・・ありがとうな・・・・」
    「ありがとうございます・・・」俊子

    生きていてくれてありがとう。
    子供達を守ってく …

  13. Happy☆Lucky より:

    天皇の料理番 第10話

    第10話

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