【 Nのために 】第3話 感想

火事の夜。
二人は何かを共有した。

再び互いを引き合わせずにはいられない、
ひそやかで強い何かを。

 

Nのために 第3話

     2014年TBS金曜ドラマ『Nのために』感想

 

2004年。都内のマンションの一室で殺人事件が起きた。

被害者は会社員の野口貴弘と、その妻・奈央子。
警察はその場に居合わせた西崎真人を容疑者として逮捕した。

事件の現場には犯人・西崎真人の他に杉下希美、成瀬慎司、安藤望の
三人が居合わせていた。

西崎真人は事件直後、弁護士にこう話している。

「すべてはNのために」

 

事件現場に居合わせた1人、安藤望が海外赴任から帰ってきた。

安藤は、自分にとっての「N」は杉下希美だったと言う。
愛していたのだと。

安藤は高野に問いかける。

あなた。
事件と何の関係があるんですか?
一体誰なんですか?

 

高野は思う。
自分は何者でもないと。
ただ真実を知りたいだけだった。

 

杉下希美の職場にも問い合わせた。
希美は最近になって突然退職したという。

上司もその理由を知らなかった。

 

「さざなみ」が焼け落ちて14年。
放火事件は未解決のまま。
時効まで1年を切っていた。

 

2000年。
「さざなみ」放火事件に巻き込まれた高野の妻、夏恵は声を出すことが
できなくなっていた。

医師は火災による熱傷は軽度だったと言う。

ショックからくる心因性のものと考えられます。

 

自分が駐在所に居なかったせいで、夏恵が火の中に飛び込んだのだ。
高野の贖罪の気持ちは大きい。

 

成瀬慎司は県で1人しか受からない奨学金の審査に合格した。

あの日から、希美とは口をきいていない。
席も離れてしまった。

クラスメイトの拍手を受けながら、成瀬は希美が背中を見せたままで
シャーペンを5回ノックするのを見た。

 

「バ カ や ろ う」?

「ひ きょ う も の」……。

一番島を出たかったのは希美のはずなのに…。
そう思うと成瀬の心は疼く。
奨学金審査の合格を素直に喜ぶことが出来なかった。

父は雇われの板前仕事が上手く行かず、勤め始めては辞めている。

なっちゃんに、すまんことした。

自分たち親子を助けるために火の中に飛び込んだ夏恵の事を父は高野に詫びた。

 

気にしたら困るよ。
夏恵は駐在の女房なら当たり前のことしたんやから。
犯人、必ず捕まえるけん。

 

笑顔でそう言う高野。

高野はまだ成瀬への疑いを捨てきれずにいる。

現場から見つかったオイルの空き缶。
毎夜自転車でフラフラしていたという成瀬。
あの時間に希美と一緒にいたという話も信じきれなかった。

 

高野さんも俺がやったって疑ってるん?

お前が何か大事なことを知っとって黙っとるんやないかと思っとる。
放火は重罪や。
犯人を取り逃がしたくないんよ。
ここで逃がしたら、またいつか同じことが起こる。

 

もう忘れたい!
父さんも俺も火事で全部なくしたけん。

…話してないことなんかないよ。

 

成瀬は怒った様子で迷惑そうにそう言った。

 

希美の母はようやく働きに出るほど前向きになった。
しかし、相変わらず希美が島を出ていくことを恐れている。

家へ帰ると、母は大学進学の資料を全て破っていた。

 

こんなの希美ちゃんに必要ないよね。
希美ちゃん、ママに内緒でこんなの集めんといて。
ねえ、どこにも行かんで。

 

部屋に閉じ込められて、希美は窓から脱出した。
奨学金は取れなかったが、大学進学はあきらめきれなかった。

部屋から持ち出したビーチサンダルを履いて「さざなみ」の跡地へ向かう。
今日は、父親がそこで取引相手と共に新しい店の地鎮祭を行っているのだ。

仕事中の父親に向かって、希美は大声で頼んだ。

 

お父さん。私やっぱり大学に行きたいんです!

お父さんは大学を出た人間が嫌いなんですよね。
ええ大学出ても俺より年収低いやつはいっぱいおるって言いよりました。

 

ちょっと待て…!何言いよるんが、希美…。

 

取引先も、手伝いに来た島の人間もみんな注目している。
バツの悪そうな顔をして希美を止める父。

 

努力すれば大卒のやつらを見返せるって言いよりましたよね。
私もそう思います。
お父さんが連れてきたこの人は、中卒で仕事もできて凄いと思います。

指をさされた愛人の顔も強張る。

 

人間 学歴やないなって思います。
お父さんが私達家族を捨てて、この人と一緒になりたいっていうんも
当然やと思います。

やけど、私はやっぱり大学に行きたいんです!
狭い世界で生きてきたけん、外に出たいんです!
諦めんで上を見て高いところに行きたいんです!

大学に行くお金を貸してください!
働いて必ず返します。
お願いです。大学に行きたいんです。お願いします!

 

衆人の前で土下座する娘に、父は折れるしかなかった。

おい!みっともないマネやめろ!
出さんとは言ってない!
俺は…そんなことは言ってない!

大学に行きたいなら行けばいい。
お前の好きにせい!

 

勝った。
希美の顔に笑みが浮かぶ。
自分も曝されたが、父親が自分たちにしてきた仕打ちも曝された。
希美は晴れ晴れと笑った。

 

明けて翌年の春。

成瀬も希美も大学に合格した。

一足先に島を出ることになった成瀬は、希美の携帯に「会って話したい」
と連絡をした。

しかし、希美からの返信は無かった。

 

当日は、フェリー乗り場まで友達や知り合いが大勢見送りに来ていた。
希美の姿はない。

フェリーを見送って帰ろうとした高野の目に、「何か」を発見して
甲板の上を走り出す成瀬が映った。

成瀬の視線の先に希美がいた。

フェリーが滑る方向に向かって必死に自転車を漕ぐ。

やがて自転車を捨てて、希美は堤防を走っていた。

成瀬は希美の方向に走っていた。

引き寄せあうように近づく2人を高野はただ見ていた。

 

杉下~!杉下~…頑張れ~!

 

成瀬くん!
成瀬くん、頑張れ!頑張れ!

 

頑張れ!

 

海の上と島の上で、お互いの気持ちを確かめあうように叫ぶ2人。

 

高野は確信した。

火事の夜。
二人は何かを共有した。

再び互いを引き合わせずにはいられない、ひそやかで強い何かを。

 

2001年。
上京した希美は安いアパートに住んだ。

「野ばら荘」。

大家は人のいい老人だった。
風呂なしだが家賃は2万円。
大家の家の風呂を使ってもいいと言う。破格だった。

しかし、築60年の普請は当然ボロい。

台風の日、アパートは浸水して一階の希美の部屋の玄関は水浸しになった。
外へ出てみると隣の住人が水を掻き出している。

右往左往している2人に2階の住人が声をかけてきた。

希美と隣の住人は2階に避難した。

 

隣りの住人は西崎真人。
法学部の5年生…つまり留年中だ。
小説家を目指しているのだと言う。ちょっと理屈っぽい。

2階の住人は理工学部3年生の安藤望。
いい大学を出て良い所に就職して、タワーマンションに住むのが目標。

この日、3人は初めて言葉を交わし、このアパートで友情を育んでいった。

アパートは古く、地下鉄も通る予定があり、土地を売ってほしいという
話も出ているらしい。

しかし、大家の野原さんはここを離れたくない。

 

俺はこの「野ばら荘」を気に入ってる。
静かで 誰も俺の邪魔をしない。じいさんの一生も詰まってる。
守ってやりたい。

そこで君達に相談なんだが…。
じいさんが売りたくないと言うからには、力になりたいと思ってる。
協力してくれないか。

 

そう言い出したのは西崎だった。

今は不動産屋も下手に出てるが、地下鉄の話が本決まりになれば、
それなりに手を考えるだろう。
今のうちに俺達で野ばら荘を守る作戦を立てておきたい。

 

ええね。
西崎さんが作戦隊長で私と安藤は手下ってことでいい?

 

何で俺が頭数に?
何で西崎さんは「さん」付けで俺は呼び捨て?

 

作戦名は?

野ばら荘の「N」。
略して 「N作戦」といこう。

 

 ※※※※※

 

成瀬と希美の別れのシーンに泣いた…。

挿入歌と窪田くんの演技とロケーションにやられてしまう。毎回。

 

2人はそれぞれ旅立った。
成瀬は父の背中を寂しく見ながら。
希美は母を切り捨てて。

苦くて辛い背景と、甘くて寂しい内面が混在する青景島のシーン。
これが東京に来てからも引きずり続けるんだろうな…成瀬と希美の中で。

故郷には嫌な思い出しかない。
けれどもお互いを結びつけたのはこの闇の中で生まれたひと筋の
光の為せる業だった。

優しい思い出が泥沼の中にあるという背景が切ない。

 

さて……。
「N」とは…「野ばら荘」のことだったの??

全ては「野ばら荘のために」…なんだろうか。

 

3人を結びつけた野原のおじいさんのために。
家を売らせない計画が、その買い手である野口貴弘との出会いに繋がり、
妻の奈央子への西崎の恋愛感情も絡んで事件に発展…するの

しかし、まだ第3話だ。
そう単純な話では済まない気がする。

第一…
この繋がりだと成瀬の入る所がない。

成瀬はどう関わって来るのか。
なぜ2004年の殺害現場にいるのか。

放火のアリバイを作ってくれた希美への恩返しで、あんな事になったのだと
したら、それは凄く切ないし…嫌だなぁ。・泣

 

高野はすでに「野ばら荘」に辿り着いている。
3人がここで知り合った友人だった事も知っている。

高野は一体何を知りたいのか。

たぶん…夏恵さんが何を見て声が出なくなるほどのショックを受けたのか、
それが知りたいのか…と、想像した。

高野は高野の「N」。NATSUEのために…。

成瀬はNOZOMIのために。
安藤もNOZOMIのために?
西崎はNAOKOのために?

では、希美は何なのだろう。
成瀬のためであってほしいけれども。

そうじゃなければ成瀬が報われない。

…まだ、何も解ってないけれども、そう思った。

 


料亭放火事件以降、希美(榮倉奈々)と成瀬(窪田正孝)に疑いの目を向ける、
高野(三浦友和)。
そんな高野の目を気にして、希美は成瀬を突き放すようになる。
奨学金を成瀬に譲ったものの、進学をあきらめられない希美は、父親(光石研)に
直談判することに。
また母親(山本未來)も希美を部屋に閉じ込め、進学を阻止しようとする。
そして春、東京への大学の進学を決めた希美には、Nたちとの運命の出会いが
待っていた。

2014年、東京で希美と成瀬の行方を探す高野は、野バラ荘を訪れていた。
一方、希美は会社を辞め、10年ぶりに帰国した安藤(賀来賢人)と再会する。
また、成瀬にも、西崎(小出恵介)から接触があり・・・。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

よろしければ→【2014年10月期・秋クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

 

PVアクセスランキング にほんブログ村  にほんブログ村 テレビブログへ
にほんブログ村


   

 


※キャスト

杉下希美・・・榮倉奈々
成瀬慎司・・・窪田正孝
安藤望・・・賀来賢人
西崎真人・・・小出恵介

野口貴弘・・・徳井義実
野口奈央子・・・小西真奈美

杉下晋・・・光石研
杉下早苗・・・山本未來
宮下由妃・・・柴本幸
成瀬周平・・・モロ師岡
成瀬瑞穂・・・美保純
杉下洋介・・・葉山奨之
桐野繭子・・・伊藤裕子
池園和幸・・・山中崇

高野茂・・・三浦友和
高野夏恵・・・原日出子

野原兼文・・・織本順吉

※スタッフ

脚本 … 奥寺佐渡子
演出 … 塚原あゆ子
プロデューサー … 新井順子
音楽 … 横山克

原作 … 『Nのために』湊かなえ
主題歌 … 『Silly』家入レオ
  
公式サイト(終了) http://www.tbs.co.jp/

 【 Nのために 】第1話 第2話 第3話


コメント

  1. 昼寝の時間 より:

    Nのために #03

    公式サイト(終了) 2000年香川県青景島。成瀬(窪田正孝)は優遇された奨学金制度に受か

  2. がんばれ・・・N(窪田正孝)がんばれ・・・N(榮倉奈々)

    学校というのは面白いところである。 小学校や中学校では地域社会・・・たとえば、町とか村とかの延長線上の幼馴染が顔を揃える。 もちろん、例外はある。 いきなり・・・付属校に入る人も多い御時勢だ。 とにかく・・・高校になると都道府県単位で見知らぬ顔に出会うことになる。 しかも・・・受験システムによって・

  3. トリ猫家族 より:

    「Nのために」 第3話 反撃開始!舞台は東京へ!運命の出会い

    『西崎真人は「これは終わった事件だ」と言った。
    事件から10年。まだ何も終わってはいない』高野
    4人のNと亡くなった野口夫婦だけしか知らない真実。
    4人の中でもまだ終って …

  4. きこり より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    今回もおもしろかったよーーー
    父親に土下座して大学にいくお金のことを頼む場面の榮倉さんにはぞくっとしたよ。すごくいい表情だった。
    そして島を出ていく慎司と見送る希美の場面には泣けた・・・(TmT)ウゥゥ・・・
    ホント、何もなければこれは二人にとって最高の思い出なのに。でも闇の中にあるからこそ余計この場面が光輝いているのかもしれないね。でも無邪気に思いだすことのできない二人を思うと切ないよ。
    何か慎司が逃げ回っているふうなのが気になるわ~
    殺人犯として捕まった西崎の方が堂々としている。
    毎回ちらっと見える殺人現場が意味深だよね~

  5. Nのために #03

    『反撃開始 舞台は東京へ!運命の出会い』

  6. 「Nのために」第3話★『N作戦』といこう

    「Nのために」第3話

    成瀬(窪田正孝)が県で一人しか受からない奨学金に合格。

    希美(榮倉奈々)がシャーペンを5回ノック。

    成瀬は<バ・カ・や・ろ・う? ひ・きょ・う・も・の?>と想像。

    あれは<オ・メ・デ・ト・ウ>じゃないかと小生は思うんですけど、どうなんでしょうねぇ。
    −◆−
    希美が帰宅すると、池園が来ていました。

    早苗「ねえ希美ちゃんママ働きに出てもええ…

  7. Nのために (第3話・10/31) 感想

    TBS系『Nのために』(公式)
    第3話『反撃開始舞台は東京へ!運命の出会い』の感想。
    なお、原作:湊かなえ『Nのために』は未読。

    「野口夫妻殺害事件」の真相を追う高野(三浦友和)は、希美(榮倉奈々)が勤務先を最近、理由も言わずに辞めたと知る。そして、成瀬(窪田正孝)の実家の放火事件は、時効まで1年を切っていた。さかのぼること14年前、高野は放火事件直後の成瀬と希美の様子…

  8. Nのために 第3話

    「反撃開始舞台は東京へ!運命の出会い」

    内容
    2014年。
    あの事件の日、現場にいた安藤望(賀来賢人)から話を聞く高野(三浦友和)
    当時、希美(榮倉奈々)にプロポーズしようとしていたと証言する。
    “あの場所にいた全員に、大切なNがいた”と語る。
    だが西崎(小…

  9. ドラマ「Nのために」第3話あらすじ感想「反…

    「あの時、あの場所にいた全員に、大切なNがいました----------」ようやくお話が動いてきました。ついに島を出る事になった希美と成瀬。その詳細と、西崎と安藤との出会い。少しずつ…

タイトルとURLをコピーしました