【 Nのために 】第2話 感想

結婚した相手より後に死ぬ。
成瀬くんも私も…いつかは誰かと結婚するんかなあ。
大人になったらどうなっとるんやろ。
今より楽しいとええなぁ。

成瀬くんも私も。
幸せだったらええなあ。

 

Nのために 第2話

     2014年TBS金曜ドラマ『Nのために』感想

 

2004年。都内のマンションの一室で殺人事件が起きた。

被害者は会社員の野口貴弘と、その妻・奈央子。
警察はその場に居合わせた西崎真人を容疑者として逮捕した。

事件の現場には犯人・西崎真人の他に杉下希美、成瀬慎司、安藤望の
三人が居合わせていた。

西崎真人は事件直後、弁護士にこう話している。

「すべてはNのために」

 

弟が家を出た後も状況は変わらず。
希美は新聞配達のアルバイトをして大学入学のための費用を貯めている。

無利子の奨学金は世帯収入800万以上の家には下りない。
母が父と離婚しない限り、希美は奨学金も申し込めないのだ。

 

一方、成瀬の父の料亭はついに閉店する事になった。

食中毒出すとか店が火事になるとかすれば、父さんももっと早く
あきらめとったのかな。

高野はそんな風にぼやく成瀬を咎める。

父も一生懸命やってきた。それは解っている。
跡を継ぐつもりでいた成瀬は進路変更を余儀なくされる事になる。

今さら進学を考え始めた成瀬は本土へ大学進学の資料を取りに行くことになった。
希美も一緒についてきた。

フェリーに乗って、賑やかな街へ出て。
ちょっとしたデート。

浜から海を眺める。
水平線はやっぱり見えない。

 

大人になったらどうなっとるんやろ。
今より楽しいとええなぁ。

成瀬くんも私も。
幸せだったらええなあ。

 

ほんのささやかな夢だった。

 

それなのに、母は知らない内にカードで高額の買い物をしてしまう。
希美はカードを燃やした。

父に頭を下げてお金を出してもらおうとしても無駄だった。

父は大学など行かなくても図太く生きていけばいいと笑う。

大丈夫なの?お母さん。
島の人も噂してたよ。
青景山の一軒家で何や泣き声がするって。

しゃあしゃあと由妃に言われ、気が狂いそうになる。

全部あんたたちのせいやないか…。

 

貯めていたバイト代を下した。
必死で貯めたお金。残額は2万8900円。

希美は追い詰められていく。

たすけて…誰かたすけて……た・す・け・て

成瀬の後ろでシャーペンを4回ノックする。

4語。

さっきのなぁ…あれ、どういう意味?

…何でもない…。

 

成瀬には伝わらない。

 

奨学金の申請書を見つけた母は、

希美ちゃん…大学に行くの?
あんたまで出ていったら、ママ、どうすればいいの?
ママから離れんで。

と必死で止める。
絡みつく重り。

飛び出して行って、家に帰りたいと泣く母を抱きしめる。

もう、あそこには帰れないの!

 

あの家が無くなったら、お母さんは泣くのをやめて笑ってくれるんだろうか。

無くなれ、無くなれ…。

追い詰められた希美の目に入ったのは店頭に置かれたライターのオイル。

自転車のペダルを漕いで父とあの女が暮らす家に向かった。

真っ暗なトンネルを出た所で高野に止められた。
自転車のかごに入ったオイルに気づく高野。

 

夜。
父の家の外にオイルを撒いていると、誰かに腕を抑えられる。

成瀬だった。

ここを燃やしたって何にもならんやろ!

無くなればええんよ。
あの家が無くなればお母さんも私も楽になる。
この気持ち、成瀬くんに解る!?

 

解るよ…。
燃やしてしまえば誰にも取られんもんな。
大事な場所を自分だけのもんに出来るもんな。

 

希美を犯罪者にしたくないから自分がやる、とオイルを持って家に向かう
成瀬を、今度は希美が必死に止めた。

振り払われて地面に倒れる。

 

苦しいなら、助けるけん!
俺に何ができる?

 

なんもできない!

 

地面に伏せって泣く希美をただ見つめる事しか出来ない成瀬。

自分たちには何も出来ない。
金もなく力もない。

なのに守られる事もない。
ただの無力な子ども。

 

卒業したら、島を出よう。

 

成瀬は希美にそう言った。

  ※※※※※

 

ここまで来て、高野がやっと民生委員を連れてきた。遅いよ。

もっと早く、こうしてれば良かったな。

…じゃないよ…。・泣
本当に、どうしてもっと早くそうしてくれなかったんだ。

他人に関わらないのが島の掟、とか言ってる場合じゃないだろう…。
お巡りさんなんだから関わってよ

 

追い詰められた若者たちの鬱屈した心は伝染する。
希美を止めたのに、自分が自分の家に火を点けてしまう成瀬。

父は出かけているはずだった。

思い出と家の記憶を燃やして自分だけの物にする…。

それが成瀬と希美の暗号。

やっと、奨学金がおりる希望が出てきた希美は、あの高台の東屋で申請書を
確認している時に、町が燃えているのを見た。

 

埠頭でボーっと佇む成瀬を見つけて、2人で夜空を赤く照らす火を見つめる。

不謹慎だけれども、美しいシーンだった。
泣けたよ…。

やっと繋いだ手。

家入さんの挿入歌と横山克さんの劇伴が切なすぎる。

 

さっきまで2人で一緒にいたんです。
私が呼んだんです。
山の上の東屋で、奨学金の申請書を渡しました。
締め切りが近かったからどうしても今日中に渡したくて。

 

成瀬のアリバイを作る希美。

そして、成瀬とは進学の相談をしていたくらいで格別親しくなかったと
証言した。

この時から、2人はもう近づけない存在になった。

「親しくない」関係を保たなければ全てが嘘になってしまうから。

 

海だけではなく、野山のロケーションも本当に美しい。
金色に光る草原の中で、希美は成瀬にお別れをする。

顔が見えるほど近くにいるのに直接は話さない。
携帯に向かって話す。

 

来たらいかん。
私、もう成瀬くんとは話さん。
警察に成瀬くんのこと色々聞かれたけん。

今まで、ありがとう。

 

何でそんなこと言うん。

 

今まで一緒に居てくれてありがとう。
いつも一緒に居てくれて、嬉しかった。

 

お互いのためにそうしなければならなかった。

 

悲しみと苦しみをこらえる窪田くんの表情に泣いた。
榮倉さんも。

すごいドラマだ…本当にそう思う。

『白夜行』では、罪を共有した2人は見知らぬ他人になる。

このドラマでは一緒にいたい気持ちをこらえて離れるのだった。

 

切ない…。

この子たちの罪は、全て親の罪なのにね。
親の義務を放棄する、あるいは親の権利を駆使する、悪鬼のような親の罪は
罰せられないのか。

 

ラストには2014年、殺人現場に居合わせた「N」安藤望が現れる。

高野に向かって、成瀬とは面識がないと言う安藤。

けれども、杉下希美の事は知っている。
…知っている以上に「愛している」。

 

あの火事に飛び込んで成瀬の父を救った高野の妻・夏恵は、一命は取り留めたが
声帯をやられてしまったらしい。

声が出ないから電話をノックして返事する。

希美と成瀬のサインと同じ。

この奥さんも…「N」なんだよね…。

 

ちなみに私の旧姓も「N」だ…要らない情報だ…。

 

初回だけではなく、2話まで見てここまで引き込まれるのは、ものすごく
当りだった気がする。

音楽と映像だけでも、すでに素晴らしい。
何より役者さんの演技に魅せられる。

これは、本物かも…。
こんなこと書くのは、まだ不安があるからかしら。

けれども本当に、夢中で見られるドラマ。

 


東京の大学に進学したい希美(榮倉奈々)は、バイトに励みながら、奨学金を
受けることが出来ないかと動き始めるが、母・早苗(山本未來)によって、貯めた
バイト代を失ってしまう。
精神的に追い詰められた希美は、父・晋(光石研)が愛人と暮らす家を燃やそうと
思い詰め・・・。
一方、成瀬(窪田正孝)は両親が経営する料亭・さざなみが閉店すると聞き、
進路変更を余儀なくされる。
そんな中、島を揺るがす大事件が起こり・・・。
事件の真相を探る高野(三浦友和)は、犯人・西崎(小出恵介)、そして関係者の
安藤(賀来賢人)を訪ね、希美と成瀬の居場所を探していた。
キーワードとなった言葉は「Nのために」Nとは一体何を意味するのか。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

よろしければ→【2014年10月期・秋クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

 

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※キャスト

杉下希美・・・榮倉奈々
成瀬慎司・・・窪田正孝
安藤望・・・賀来賢人
西崎真人・・・小出恵介

杉下晋・・・光石研
杉下早苗・・・山本未來
野口貴弘・・・徳井義実
野口奈央子・・・小西真奈美
高野茂・・・三浦友和
高野夏恵・・・原日出子
宮下由妃・・・柴本幸
成瀬周平・・・モロ師岡
成瀬瑞穂・・・美保純
杉下洋介・・・葉山奨之

※スタッフ

脚本 … 奥寺佐渡子
演出 … 塚原あゆ子
プロデューサー … 新井順子
音楽 … 横山克

原作 … 『Nのために』湊かなえ
主題歌 … 『Silly』家入レオ
  
公式サイト(終了) http://www.tbs.co.jp/

 【 Nのために 】第1話 第2話


コメント

  1. 昼寝の時間 より:

    Nのために #02

    公式サイト(終了) 2000年香川県青景島。東京の大学に進学しようと考える希美(榮倉奈々

  2. Flour of Life より:

    「Nのために」第2話。

    「Nのために」第2話を見ました。今週も地元がばんばん映ってました。

  3. やみー より:

    SECRET: 0
    PASS: 154d6f00a51054fa181a46414343d6bd
    よいですよね〜。

    私、原作既読組ですが、実は原作よりよい(笑)と思っています。原作を活かしながら、原作では書かれなかった(でも自然な)ディテールが書き込まれる、という意味では、「白夜行」にも通じる部分があると思います。結論がわかっていても楽しめます。

    榮倉奈々ちゃん、朝ドラの時は「うーん」と思っていたけど、いろいろな役を経験して、演じられる女優さんになったなあと。あと、何より、やっぱり窪田くぅ〜〜〜ん♪です。一シーンでも多く、出てきてほしいわあ…(は〜と)。

    続き、楽しみです。

  4. Nのために 第2話

    第2話「放火事件の謎…許されない罪の共有」2014年10月24日 2000年香川県青景島。東京の大学に進学しようと考える希美(榮倉奈々)は、新聞配達のバイトに励みながら、奨学金制度を受けることが出来ないかと動き始める。一方、成瀬(窪田正孝)は両親が経営する料亭・さざ…

  5. ドラマ「Nのために」第2話あらすじ感想「放…

    罪の共有----------!!どんどん視聴者側も追い詰められていく感じの息苦しいドラマ。でも、続きが気になって仕方ないのも確か。希美や成瀬の気持ちに共感しやすいっていうのもあるん…

  6. トリ猫家族 より:

    「Nのために」 第2話 放火事件の謎・・・許されない罪の共有

     それぞれが自分の大切なNのために動いた。
    苦しみから始まった希美と慎司の絆・・・
    でも、それは二人をこの世界の留めておける唯一のものだったのかもしれない。
    HPはこち …

  7. きこり より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    2回目も引き込まれたよ。二人だけの絆が痛いほど伝わって来て。ラスト近くの電話で話しながらの別れは本当に美しくて切なかった。でも、まだ安心しちゃいけないと心の声がする( ゞ( ̄∇ ̄;)オイオイ)
    ホントに役者さんたちの演技がいいよね。
    余計なものが一切ない。コレは榮倉さんにとっても記念碑的な作品になると思われ・・・
    すごく楽しみなドラマになったよ。

  8. 「Nのために」第2話★シャーペンを4回ノック

    「Nのために」第2話

    今回もヨカッタ。面白かった。

    参考書とかを買いにフェリーで島外に出る成瀬(窪田正孝)と希美(榮倉奈々)。
    本屋を出て、うどん屋デート。

    成瀬は希美を意識してるけど、希美はどうなんやろうか?

    奥手の成瀬を応援したくなる。

    その後、港で腰掛けて話をする爽やかな二人。
    「大人になったらどうなっとるんやろ? 今より楽しいとええな。 成瀬君も私も…

  9. Happy☆Lucky より:

    Nのために 第1話 第2話

     第1話 第2話

    JUGEMテーマ:エンターテイメント

  10. Nのために (第2話・10/24) 感想

    TBS系『Nのために』(公式)
    第2話『放火事件の謎…許されない罪の共有』の感想。
    なお、原作:湊かなえ『Nのために』は未読。

    2000年、瀬戸内海・青景島。東京の大学を目指す希美(榮倉奈々)は、新聞配達のアルバイトを続けていた。一方、成瀬(窪田正孝)は父・周平(モロ師岡)から代々続いた料亭を売りに出すと聞いて、進路変更を余儀なくされる。そんな中、希美の母・早苗(山本未…

  11. Nのために 第2話

    「放火事件の謎…許されない罪の共有」

    内容
    西崎真人(小出恵介)に接触した高野(三浦友和)
    事件の詳細について尋ねるのだが、西崎は答えない。
    ほじくり返しても、何の得もないと。

    2000年。青景島。卒業を控えた成瀬(窪田正孝)は、
    父・周平(モロ師岡)母…

  12. Nのために #02

    『放火事件の謎…許されない罪の共有』

  13. NelsonTouchBlog より:

    今日は会社休みます。二話&Nのために二話感想

    ■今日は会社休みます。二話
    題名だけだと恋愛ドラマだととても思えないが、ガチでド恋愛ものだった。一話は、なんなんだこの主人公!?という感じがしないでもなかったが、二話は心の揺れとか微妙な女心がうまく表現されていたような気がして面白かった。
    少女漫画では人気タイトルのドラマ化なんですね。昔はなんだかんだで花より男子とか花ざかりとかは読んでたけど、最近は少女漫画も読まなくなったな。まあでも、…

  14. クリスマス殺人事件か・・・ジングルベルを聞きながらまた誰かが(小西真奈美)

    中国では独裁者によって「法治国家」が叫ばれているという。 しかし、自分で自分の首をしめるのは難しいことなのである。 独裁政権が人民に自由を与えることなど未来永劫できない相談なのだ。 一般的に司法と行政が分離するのがいかに困難なことか・・・。 サービスしていいことと悪いことの区別がいかに難しいことか。

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