日曜劇場【 おやじの背中 】第10話(最終回) 『北別府さん、どうぞ』 感想 三谷幸喜×小林隆×小日向文世 の回

いいんです。
遠い将来、あいつが本当のことを知るのは俺は構わない。
でも今は、今だけは、尊敬できる父親でいたいんです!

理不尽なことは分かってます、
言っちゃえば全部俺のわがままですよ。分かってますよ。
でもね。
俺が生きている間だけでも、カッコいい親父でいさせてくださいよ。
先生。

 

おやじの背中 第10話(最終回) 『北別府さん、どうぞ』

    おやじの背中10

 

タイトル…いつもならば、「脚本家×おやじ×子ども」で作るんだけど…。
今回は違うの。だって、やっぱりこれは、小林さんと小日向さんの掛け合いの妙でしょ。

 

大好きな三谷幸喜作品である。

本当は市村正親さんがキャスティングされていたのを闘病のために小林隆さんに
代ったのだとか…。

でも、それで良かった。
『新選組!』の源さんですもの。
そして、三谷組の小日向さん。
絡みはないけれども、お二人とも『組!』に出ている。

三谷さんの作風は、思い切り笑わせてホロっとさせて、幸せな気分で終る…これ。

一番好きなのは『THE 有頂天ホテル』かなぁ…。

ドラマでは『新選組!』は、もちろん、『王様のレストラン』
あまり話題に上らないけれども『総理と呼ばないで』も大好き。

ほとんどがフジテレビの脚本で、TBSのドラマは何と初なのだとか…。
はぁ…そうか、そうなのか。

うん。
演出的には、ちょっと三谷喜劇の作風と違うな、という気はした。

それでもドタバタと駄目な男の情けなさと可笑しさと、じんわり来る切なさはある。

 

「北別府さん、どうぞ」

ドラマの序盤とラストのこのセリフ。
タイトルにもなっているこのセリフがオチなんだよね。

ラストのこれが、

あ~息子…。そうなったのか…という切なさと温かさをくれた。
(そして息子がまさかの小栗旬 )

 

お得意のワンシチュエーションの舞台は病院。
患者が医者へ…という「なりすまし」ネタは『王様のレストラン』でも『THE 有頂天ホテル』でも
楽しませてもらった。

まぁ…カンファレンスに入り込んだり、カルテ見ちゃったりはダメだろ…と思うけれども。

 

そんなに悪いことじゃないと思っていいですよね?

治療している以上、改善していないということは悪いことです。
前立腺がんというのは非常に進行の遅いがんです。
しかし、バカにしてはいけません。
北別府さんの場合は、まわりの組織にがんが広がり始めている局所
進行がんです。

嫌な言葉ですね。

しばらくは今までどおりで行きませんか?
内分泌治療。いわゆるホルモン治療。
これと放射線治療を並行して続けていきながら様子を見ましょう。

手術はしないんですか?

確かにこの病気の場合、開腹手術をして前立腺を取り除いたり
腹腔鏡手術といっておなかに小さな穴を5ヵ所ほど開け…
…様子を見ましょう。

まあ、しかし、それはもう少し早い段階の話です。

様子ばっかり見ていて手遅れっていうことにはなりませんか?

先生、教えてもらえませんか。
俺って助かるんですか?

 

……

あっ!そこはスパッと言ってほしかったな……。

断言はできません。

ヤバイ?

今言えるのは、北別府さんは比較的早い段階だったので、まだ十分
間に合うということです。

 

冒頭のこのやり取りから、もう可笑しかった。 
可笑しいって内容じゃないんだけどね。

役者さんの演技の妙だよ。本当に。
クソ真面目な顔した小日向さんと、情けない顔した小林さんがやっているから
面白いのであって。

内容は、本当に、うんうんうんうん…と頷きながら聞いていた。
ウチも身内がこんな状態になったので…
医者のこの「様子を見ましょう」が患者にとってどれだけ不安か~~。

 

売れない役者が息子に見栄張るために医者になりすまして病院を案内して
回る…という、それだけの話なんだけどね。

 

お父さんみたいになりたい。
お父さんと同じ仕事をする。

 

そう言った息子が、ラストにちゃんと役者になっているという事は…。

「いつか」真実をちゃんと知ったという事で。

 

カルテに書かれた「予後1年」を「余命1年」と見間違えていた北別府さん。 
小難しい顔した先生が芝居に乗ってくれるいい人でよかったよね。 

 

「おやじの背中」というにはどうかとも思ったけれども…。
三谷ドラマとしてはちょっとインパクトに欠ける気もしたけれども…。

1本の見切りドラマとして、充分に楽しんだ。

 

   ※※※

 

さて。
1クール楽しませてもらった役者と脚本家の競演。

個人的には、最終回は5話の『ドブコ』7話の『よろしくな。息子』辺りが
良かったかもな、と思っている。

このシリーズ、また見たいなという余韻はその辺が相応しいかも。

 

個人的に好きだったのは、

1位 第5話『ドブコ』
2位 第9話『父さん、母になる!?』
3位 第2話『ウエディング・マッチ』
4位 第1話『圭さんと瞳子さん』
5位 第10話『北別府さん、どうぞ』

 

こんな感じかなぁ…。
この辺、たぶん個人個人の感性や見る年齢や自分の育った環境で違うんでしょうね。

こういう企画は面白いので、ぜひまたやっていただきたいです。

けれども

「おふくろの背中」

とか、おふくろ関係は絶対ーーーに、見たくない……。

ドラマによく出てくる聖母みたいに理想化されたおふくろも、子どもにトラウマ
与えちゃうような恐いおふくろも、もう見たくないんだ。ほんと。 

 

さて…来期はクドカンドラマだっ!!

よろしければ→【2014年10月期・秋クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

 


売れない役者の男(小林隆)は主治医(小日向文世)に自身の病状が良くない
事を告げられる。
その日の治療を終えた男は病院の廊下で偶然、息子(須田琉雅)を見つけると、
見栄を張って自分の仕事は医者だとウソをついてしまう。
息子から尊敬のまなざしを受けた男は調子に乗り、医者になりすまして息子と
病院内を歩き回る。
医者やナース(酒井若菜・木南晴夏)も巻き込んで大騒動となるが、そこに元妻
(吉田羊)が現れて・・・。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

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※キャスト

北別府 … 小林隆
古郡 … 小日向文世
寅雄 … 須田琉雅
元妻 … 吉田羊

看護師・野々宮 … 酒井若菜
看護師・ … 木南晴夏
東京衣装・上田 … 秋元才加
吉野先生 … 瀬戸カトリーヌ
妊婦 … 堀内敬子
氏家恵
伊藤修子
坂田聡
黒田大輔
望月章男
前野朋哉
原慎一
森岡龍
野中隆光
八嶋智人

寅雄 … 小栗旬

※スタッフ

脚本 … 三谷幸喜
演出 … 土井裕泰
プロデューサー … 八木康夫
  
公式サイト(終了) http://www.tbs.co.jp/

 

 

 

 【 おやじの背中 】第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 
第7話 第8話 第9話 第10話(最終回)


コメント

  1. 脚本家で魅せる連ドラ

    ドラマ「おやじの背中」を見ました。

    TBSにて 日曜9時にやってました

    全10話、1話完結のオムニバス形式
    毎回 キャストも違ければ、ストーリーも違くて

    おやじが主演、親子モノという共通テーマがあるだけ
    そして 肝は脚本家で 作家性を打ち出したことか

    岡田惠和、…

  2. 昼寝の時間 より:

    おやじの背中(メモ感想) 第十話「北別府さん、どうぞ」

    公式サイト(終了) 脚本:三谷幸喜/演出:土井裕泰/プロデューサー:八木康夫出演:小林隆

  3. おやじの背中 最終話:北別府さん、どうぞ/三谷幸喜

    小栗旬くんが成長した息子っ!ド━゚(∀)゚━ン
    公式にも名前が出て無かったし、シークレットというか、サプライズゲスト扱い
    だったんですかね〜

    で、今回のお話だけど・・・やっぱ当初の予定通り市村正親さんで
    見たかったかなぁと・・・
    急遽、代役として抜擢された小林さん…

  4. より:

    SECRET: 0
    PASS: 1f32aa4c9a1d2ea010adcf2348166a04
    悪性腫瘍の患者で「予後1年」と書けば、一般的に生命予後1年を意味するので、「余命1年」と同じ意味になります。

  5. おやじの背中最終話(9.14)

    余命いくばくもない、売れない俳優北別府@小林隆が
    息子のために医者のフリをしたことで病院内に騒動を起こす話
    三谷幸喜脚本
    騒動が楽しむべきシーンなのでしょうが、
    僕には面白いとは感じられませんでした。
    『古畑任三郎』や『振り返れば奴がいる』『王様のレストラン』あたりは
    好きだったのですが、最近の三谷作品はどうも苦手です
    ここが笑うべきシーンですよと用意されたのであろうシーンが面白いと感じられ…

  6. NelsonTouchBlog より:

    同窓生最終回&おやじの背中最終回感想

    ■同窓生最終回
    なかなか見れなくて遅くなってしまった~(汗)
    ついに井浦新と稲森いずみがいっしょに暮らす日がやってきた。井浦は一足先にアメリカに行き新居を探しに。3人の子供達もいるのだからと大きな家探してくるからね!と意気揚々。帰ってきたら、稲森も子供達全員、いなくなっちゃってるお(驚愕)
    私だけ幸せになれない・・という置き手紙だけ残されていたが。え~!!そんなのあり。帰ってきたらいな…

  7. 通りすがり より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ドラマの感想を見て回ってて立ち寄りました。
    一つだけ、「予後1年」、勘違いかと。

  8. 親父の背中 「北別府さん、どうぞ」〜実に鮮やか! ひさしぶりの三谷幸喜マジック!

     ひとつついたウソがどんどん拡大していって収拾がつかなくなる。
     いかにも三谷幸喜作品ですね。

     このウソにどう決着をつけるんだろうと思っていましたが、ラストの展開も実に鮮やか。

     本人は意識していなかったのでしょうが、結果として、北別府(小林隆)は、…

  9. 【おやじの背中】最終回(第10話)感想と総評&視聴率

    【最終話(第10話)の視聴率は9/16(火)追加予定】 「北別府さん、どうぞ」(

  10. おやじの背中 第10話(最終話)

    第十話 北別府さん、どうぞ 2014年9月14日(日)よる9時30分放送 役者を仕事にしている 北別府 (小林隆) はがん治療のため、とある大学病院で治療を受けていた。しかし、病状は改善せず、主治医 (小日向文世) は今まで通りの治療を行いながら様子を見ようと告げる。ただ…

  11. おやじの背中 最終回

    俳優の北別府(小林隆)は、大学病院でがんの治療を受けていました。

    しかし、病状は改善せず、主治医・古郡(小日向文世)は今まで通りの治療で様子を見ることを告げます。

    妻(吉田羊)とは別れ、8歳の息子・寅雄(須田琉雅)と暮らす北別府にとって、病死はあってはならないことでした。

    治療が終わり、どっと疲れた北別府がロビーの椅子に腰かけていると、看護師(酒井若菜・木南晴夏)たちが朗読…

  12. おやじの背中 #10 最終回

    『北別府さん、どうぞ』

  13. おやじの背中 第十話(最終回)

    『北別府さん、どうぞ』

    内容
    主治医の古郡(小日向文世)から、ガンの状態に“あまり変化がない”と
    様子を見ながら今まで通りの治療で。。。と言われる北別府芳雄(小林隆)
    その後、いつものように技師(八嶋智人)により放射線治療。
    帰ろうとしていたところ、ナース…

  14. おやじの背中 (第10話 最終回・9/14) 感想

    TBSテレビ系『おやじの背中』(公式)
    第10話/最終回『北別府さん、どうぞ』(脚本:三谷幸喜氏/ 演出:土井裕泰氏)の感想。

    売れない役者の北別府(小林隆)は前立腺がんの治療中。8歳の息子・寅雄(須田琉雅)と2人暮らしをする北別府は、病気に負けるわけにはいかないが、病状は芳しくない。ある日、病院でドラマのロケ隊と遭遇し、衣装の白衣を落としたスタッフを追い掛けた北別府は、…

  15. おやじの背中 最終回「北別府さん、どうぞ」

    最終回、当初の予定では、市村正親だったそうですが、諸事情で、このようになった模様。

    ラスト、ということで、デザート感覚だったかな?

    いかにも、三谷幸喜らしい、シチュエーション・コメディでした。

    「おやじの背中」というのは、ラストのみ「をを~~っ!」で、あくまで、売れない役者志望のパパ、息子の前で見栄をはったがゆえの、北別府 (小林隆)の病院でのドタバタ、だったかな?

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