NHK朝ドラ【ちりとてちん】(2013年・再放送) 第102・103回 感想

草々(青木崇高)、四草(加藤虎ノ介)、草原(桂吉弥)ら兄弟子に落語の悩みを
相談した喜代美(貫地谷しほり)。
依然として解決策は見えないままだ。
たまたま母の仏壇に線香をあげにきていた小草若(茂山宗彦)にも相談してみるが、小草若に
いいアイデアが浮かぶわけでもない。
一方、小浜の草若(渡瀬恒彦)は息子の行く末を心配していた。
草若は小草若が「底抜けに〜」というネタを思いついた日の話を語りはじめる。(102話)

兄弟子全員に芸の悩みを相談した喜代美(貫地谷しほり)だが、結局解決しないままに一日が
終わろうとしていた。
ようやく小浜から帰ってきた草若(渡瀬恒彦)に、自分の悩みと兄弟子たちそれぞれのアドバイスを
話すが、草若は笑って聞くだけで、なんのヒントも与えようとしない。
そのころ小浜では、突然スペインから小梅(江波杏子)が帰ってきた。
喜ぶ家族のなかで、糸子(和久井映見)があるお願いをする。(103話)

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

連続テレビ小説「ちりとてちん」第102・103話「思えば遠くへすったもんだ」
     

      ちりとてちん感想

 

※「ちりとてちん」は、2007年10月期のNHK連続テレビ小説です。
当方は当時の放送をオンタイムで見ているので感想は恐らく回顧目線になりがちです。
ご了承のうえ、ご覧くださいませ。

※レビューでは先のネタバレは控えるよう努力します。
※レビューの更新はイレギュラーで…。書けたり書けなかったりしています。

※再放送時間は月~土・午前7時15分からNHKBSプレミアムにて。

 

マネージャーの車が後1時間ほどで来るから、と糸子さんに告げる草若師匠。

ほうですか。泊まってってもらえたらうちの人も喜ぶんですけどねえ。

まあ、それ今度…ゆっくりと。

どこからともなく聞こえてくるヒグラシの声。

静かにそれに耳を傾ける師匠。

夏の夕暮れが来たいう気がしますなあ。

 

徒然亭では、しつこく来る弟子入り志願の電話を断る喜代美。
「奥さま」と言われて、かなり気分は良さそうです。

そこへやって来た小草若にいさん。

久しぶりですね。どねしたんですか?

たまにはお母ちゃんに線香あげようかな思て。

ああ。

弟子入り志願者か?

はい。草々にいさんとこに。

そこへバタバタと仏壇屋の菊江さんが入ってきます。

やっぱり仁志や!
いや、何や今、店の前よう似た子が通ったなあ思て。
何やのこの子は!顔も出さんと素通りして。

やかましいねや!何でいちいちおばはんに顔見せなあかんねや。

何やの憎たらしい!

何やねん!?

仲いいね。
本物の親子か姉弟のようですわ。

たまには実家によって親に顔を見せろと説教する菊江さん。

喜代美は小草若にも例の相談を持ちかけます。
しかし、いじけたような態度でまったく返答にならない小草若にいさん。

 

そんなん俺に聞いてどうすんねん。

当たり前やろ。兄弟子なんやから。

まっ、そうかて若狭よりできるネタは少ないですけどねぇ。

どんな兄弟子やねん。

こんな兄弟子ですぅ~!南無チリン!

 

「寝床」へ行こうと言う喜代美に、どんな顔して行け言うねんと
またまたいじけた発言…。

確かに…最初の頃は小草若だけが景気良かったんですもんねぇ。

 

俺…落語家なんかになる意味あったんやろか?

妹弟子・若狭の相談よりも、自分の悩みの方が深そうな小草若なのでした。

 

おばちゃんにだけ教えたるわ。
俺な、終業式済んだら…お父ちゃんに弟子入りしよ思うねん。

小草若が菊江さんにそう言うたのは中学の時。

でも、お父ちゃん喜ぶかな。

そら~喜ぶわ!

しかし、嬉々として弟子入り志願したところ、草若師匠の反応は冷たいもんでした。

かまへんけど…。
けど、間の悪いやっちゃなあ。何で昨日言えへんねん。
そしたら、はじめと一緒にお祝いできたやろ。
二度手間やがな。

 

ショック受ける小草若。
この前日、青木一こと草々さんが弟子入りしていたんですよねぇ。

師匠には師匠の想いがありました。

糸子さんに語る草若師匠。

 

仁志が弟子になって「小草若」「師匠」と呼び合うようになって…。
息子やさかい、かわいい。
けど、他の弟子と同じように扱わなあかん。
何か妙に意識したら必要以上に厳しいしてしもて。

本当は、裏でガッツポーズしてはったんよねぇ…。

あいつにしたら、自分は出来が悪い。そやからこない叱られるんやと、そない思て
しもたんかも分かりません。

師匠がお稽古の時に言った「そんな調子やったらいつまでも寿限無しかでけへんで」
これが小草若の頭に張り付いてしまったのかも知れませんね。

 

おかみさんの初七日、師匠はなかなか姿を現しませんでした。

一門会の次はおかみさんの初七日すっぽかすんかい!

祭壇の前でイライラしながら待つ小草若。

やっと姿を見せた師匠に食って掛かろうと……

 

おい!何、考えてんねん!今日はおかみさんの初七…。

まで言って、その場にパッタリと倒れたのでした。

 

何や、どないしたんや。

足、しびれたんですか?

 

いや…あの……その…。
…底抜けにぃ…しびれましたがな!

それを聞いて弾けたように笑いだす師匠。

ハッハッハッハッ!
何や、それ。
それ…流行るで!

 

「底抜け」誕生秘話ですか?

大層やなあ。

いや、でもちょっと感動しました。

そやけど、お母ちゃんには一回も見てもらわれへんかったんや…。

師匠はすごいですね。
それが流行るて見抜きなったやなんて。

いや…「底抜け~!」は草々君やったら流行らへんかった思うなあ。
草若さんが気ぃつきはったんは、それが流行るという事やのうて、それが仁志に
ぴったりの芸風やという事やったんと違う?

それを黙って聞く小草若。

 

草若師匠は、本当は小草若が弟子入りした時、大喜びだったのです。

 

志保、志保、志保、志保。

師匠?

仁志が「落語家になる」言いよった。

え?

俺と同じ「落語家になる」言いよった!

や~師匠!よかった!よかったよかった。

父と同じ道を選んでくれた息子を抱き合って喜ぶ夫婦…。
お父ちゃんとお母ちゃんとして、こんなに嬉しかった事はないでしょう。

以降、小草若はきちんとけじめをつけて、父と母を「師匠」「女将さん」と
呼ぶことになります。

それでも、父も母もそれもまた喜びだったに違いない。

親孝行ですよ。充分に。

 

そろそろ帰る事になった師匠が縁側でうずくまるようにするのを支える糸子さん。

師匠さん!どねかしましたか!?

いや…。
ヒグラシの抜け殻が落ちてましたんや。

縁側の下を見ていたかのようにする師匠の歪んだ顔を不安そうに見る糸子さん。

 

ほうですか…。

セミの命は1週間や言いますなあ。

怖い怖い。
「カナカナカナ」やのうて「コワイコワイコワイ」て鳴いてんのかもしれまへんな。

 

「生きてるのが怖い」て。
「生きていたい」いう意味ですか?

はい。そうです。

 

若狭の事、ゆっくり話せませんでしたなあ。
あの子には、まだまだ教えてやりたい事がぎょうさんあります。

師匠はそう言い残して小浜を後にするのでした。

 

師匠が徒然亭に帰り着いた時、喜代美は茶の間でうたたねしておりました。

 

まだ起きてたのか?

はい。ちょっと質問があって。

 

落語会の『饅頭こわい』で、お客さんが引いて行く気がした…
と言う、今日一日兄弟子たちに質問しまくった問いの答えを師匠に求める喜代美。

 

いやいや…それ今日一日の出来事か?

はい。

ハハハハ!

大笑いする師匠にむくれる喜代美。

 

何がおかしいんですか!?

いやいや…忙しい一日やったんやな。

ほうなんです。

ほんまに落語が好きなんやな。

え?

ん?草々は何やて?

「男の文化に女が入ってくんねやからしゃあない」って。

ふ~ん。四草は?

「お前の落語が下手やからやろ」て言いながらお手本見せてくれました。

草原は?

「続けとったら分かる事もある」って。

小草若は?

「俺に聞いてどないすんねん」て。

 

フッ…みんな言いそうな事ばっかりやな。

 

喜代美の頭をポンポンっとする師匠。

 

よかったな。いろんな事教えてもろて。
お前さん、どんな事言う落語家になんのかいねえ。

 

翌朝、小浜では糸子さんが縁側の下を覗いております。

やっぱり、あらへん。

ヒグラシの抜け殻。

 

何でそんなもん探しとん?

いや…ほれ…順子ちゃんとこの双子ちゃんに見したったら喜ぶかな思てえ!

喜ばんやろ。泣くわ。

どねすんねん?正平。
お前がちゃんと働かんさけ、お母ちゃんおかしな事言うようになってしもて!

は?何で僕のせいになるん!?

言い争う父子の声など聞こえない糸子さん。
今は、そこにヒグラシの抜け殻があると言っていた人の事が、ただ気になるのでした。

 

ただいま~!

そこに、なんと、小梅おばあちゃんがスペインから帰国!!

なんや…すごいハイカラなお洋服を着こなしていらっしゃる…。

 

…正平?

そうやで。

小次郎や思いますがな。あ~びっくりした!

ハイカラな小梅さんのさらに上行く正平の小次郎化。 

 

言うてもらえたら空港まで迎えに行きましたのに。

びっくりさしたろ思いましてな!

そらびっくりするわ!もう!

年取るとなあ、思い立ったらすぐ行動せんと。
いつぷっつり人生が終わるや分からんのやさけ。

 

それを黙って聞いていた糸子さんが、急に口を開きます。

お母さん。

ん?

帰ってきた早々申し訳ないんですけどぉ……。

 

そして、糸子さんが何をしたかというと、その足で徒然亭へ。アクティブです。

驚いたのは喜代美。

 

何なん?急に…。

あんたの様子見に来たんやな。

ほやで何で急に!

おばあちゃんが帰ってきてえ。

えっ!おばあちゃんって、スペインから?

おばあちゃんに家のこと頼んできた。

 

当然…糸子さんが来たのは喜代美のためじゃないわけですが。
ここではまだ娘にも何も言わんのです。

だって、きっと知られたくないんですよね、師匠は。

 

お母ちゃん。
私も師匠みたいになれるんやろか?

何やの?急に。

『饅頭こわい』の経緯を糸子さんにも話す喜代美。

 

お母ちゃんに任しとき!

そして、糸子さんに任せた結果……。

 

お稽古、見て頂いてよろしいですか?

と、稽古場に入ってきた若狭を見て目を丸くする師匠…。

 

手ぬぐい被ってぇ眉太うしてぇ…ヒゲつけて……。

『饅頭こわい』女性版劇の中の宝塚みたいな人になって男みたいな声で噺し始める若狭…。

あっけにとられて声も出せずに見る師匠。

 

「そやさかい言うてるがな。1番好きなもんは…3番が…」
「誰が3番聞いてんねん。はっきり言え!一番好きなもん」
「それやったら……女子…」……

お母ちゃ~ん!

 

ずかずか入ってきた糸子さんに二度目のビックリな師匠。

奥さん、いつ来はったん?

さっきです。

それで、これ?

 

すいません師匠!変なもの見せてしもうて…。

いやいや…そら、それなりにおもろかったけど。

あ~もう…ほんまにお母ちゃんに相談したんがそもそもの間違いなんです。

 

半泣きになりながら、こうなった経緯を話しはじめる喜代美ですが…。

 

「男によって受け継がれてきたもんを女がやんのは無理があんのかな?」
「よっしゃ、お母ちゃんに任しとき」
「えっ?もう、ちょっと…お母ちゃん何するん?」
「ええから顔上げ」
「もうやめて!」
「動きなんな!」
「何しとん?」
「眉毛描いとんや」
「眉毛!?」
「男になったらええ」
「は?」
「赤い口紅塗って男言葉しゃべるから不自然なんやな。ほしたらあんたが男になったらええ」
「ほんなむちゃくちゃな!」

 

ちゃんと糸子さん役と喜代美役で上と下に分けて噺しとるがな。 

 

…そんな事があってこんな事なってしもたんです!

 

面白そうにそれを聞く師匠。

 

若狭。
お前、いっぺん創作落語せい。

えっ!「創作落語」?

うん。…って何ですのん?

語り継がれた古典やのうて、新たに噺をこしらえるんですわ。

自分で?

それが、もしかして古典になるかもしれん。

 

うん…。
今現代ここにある「古典」も、作られた当時は「現代」だったわけで。
つまりは今作った話も未来では「古典」になるかも知れないわけで。

珍しい女性の噺家。
男たちが作ってきた古典が合わないならば、ここから女たちに出来る
新たな芸を作ればいい。
その創始者になれと…。

ま、当然、喜代美は戸惑うわけですが。

 

いや~!すごいやないの喜代美。
やんなれやんなれ、その「豊作落語」いうのん!

「豊作」やないわ「創作」!
何や「豊作落語」て。
落語がざくざく採れるん?

母子で漫才師もイケるわ。 

笑いながら2人を見ている師匠。

 

もう!笑い事やないんです!

いやいや…。
けど、普通に落語やったかて受けへんねやろ?
答えが出たやないかい。な?よかったよかった!

 

私は師匠の落語を受け継いで伝えていきたいんです。
創作落語やったらそれができません。

 

稽古場から出ようとしていた師匠が、この時、真顔で喜代美を見つめるのです。

 

若狭。

はい。

お前は創作落語をせえ。
ええな。

 

師匠の後ろ姿を見送って、喜代美は不満そう。

何やろ?
いつもはあんな押しつけるような言い方せんのに…。

 

そして、糸子さんは師匠の部屋を訪ねるのでした。

そのために来たんやもんね…。

 

師匠。
ほんまの事、教えて下さい。

怖いんですか?

え?

生きるのが…怖いんですか?

 

「コワイコワイコワイ」と鳴くヒグラシ。

 

「生きてるのが怖い」て。
「生きていたい」いう意味ですか?

と訊く糸子さんに「そうです」と答えた師匠。

師匠は、生きていたいんですよね…。

 

人間って、自分の死が近付いたらどんな事を考えるんだろう。
と、時々思います。

自分ももっと若い頃は、別に今日死んでもいいような気がしていました。
それは今日死ぬ可能性が少なかったからだと今では思います。

両親はどちらも健在ですが段々年を取り、昨年は伯父を亡くしました。

「死」が身近に感じられるようになると、やはり怖くなる。

誰もがいずれ、「生きていたい」と泣く日が来るのかも知れません。

 

みんなの「父」である師匠の愛情が溢れた思い出話で綴られた一週間でした。

 

来週もまた、お付き合いください。

 

※告知~~!!
4月からこの「ちりとてちん」のBS再放送枠で「カーネーション」の再放送が
底抜けに~決定いたしました~~~!!

 

よろしければ→【2014年1月期・冬クールドラマ】ラインナップ一覧とキャスト表

 

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※キャスト

和田喜代美→青木喜代美/徒然亭若狭 … 貫地谷しほり(少女時代:桑島真里乃)

徒然亭草若(三代目) … 渡瀬恒彦
徒然亭草々 … 青木崇高(少年時代:森田直幸)
徒然亭草原 … 桂吉弥
徒然亭小草若 … 茂山宗彦(少年時代:榎田貴斗・森川翔太)
徒然亭四草 … 加藤虎ノ介
木曽山勇助/徒然亭小草々 … 辻本祐樹
吉田志保 … 藤吉久美子

和田糸子 … 和久井映見
和田正典 … 松重豊
和田小梅 … 江波杏子
和田小次郎 … 京本政樹
和田正平 … 橋本淳(少年時代:星野亜門)

和田正太郎 … 米倉斉加年

和田清海 … 佐藤めぐみ(少女時代:佐藤初)
和田友春 … 友井雄亮(少年時代:小阪風真)
和田秀臣 … 川平慈英
和田静 … 生稲晃子
野口順子 … 宮嶋麻衣(少女時代:伊藤千由李)
野口幸助 … 久ヶ沢徹
野口松江 … 松永玲子
野口春平 … 斉藤勇人/新岡澪
野口順平 … 斉藤隼人/新岡塁

熊五郎 … 木村祐一
咲 … 田実陽子
磯七 … 松尾貴史
菊江 … キムラ緑子
徳さん … 鍋島浩
お花 … 新海なつ
緒方奈津子 … 原沙知絵
原田緑 … 押元奈緒子

鞍馬太郎 … 竜雷太
万葉亭柳眉 … 桂よね吉
土佐屋尊建 … 波岡一喜
万葉亭柳宝 … 林家染丸
土佐屋尊徳 … 芝本正
柳宝の弟子 … 林家染左、林家染吉
烏山 … チョップリン西野
原田颯太 … 中村大輝(少年時代:河合紫雲)

音大の教授 … キダ・タロー
あわれの田中 … 徳井優
横山たかし・ひろし … 本人
五木ひろし … 本人
ニュースキャスター … 浅越ゴエ

竹谷修 … 渡辺正行
堀田由美子 … 和田はるか
高島恵 … 中井飛香
北川沙織 … 村上佳子

 

語り – 上沼恵美子

 

※スタッフ

脚本 … 藤本有紀
演出 … 伊勢田雅也、勝田夏子、井上剛、菓子浩、三鬼一希、吉田努、櫻井壮一
制作統括 … 遠藤理史
音楽 … 佐橋俊彦

テーマ曲・ピアノ演奏 … 松下奈緒

 

 

 【ちりとてちん】第1週~第3週、
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61 62 63 64 65 66
67 68 69 70 71 72
73 74 75 76 77
78・79
80・81・82 83・84・85
86 87 88 89 90・91
92・93 94・95・96 97
98・99 100・101 102・103


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