【カラマーゾフの兄弟】 第2話 感想

心の奥底にたまった殺意。
それは、いつしか膨張し、突然コントロールの利かない衝動になってあらわになる。

それそのものが意思を持ったように全てをのみ込んでいく。

そして、何もかも破壊してしまうまで暴走し続けるのだ。

 

カラマーゾフの兄弟 第2話

   ドラマ カラマーゾフの兄弟 感想
 

前回も書きましたが、原作は既読なのでなるべくネタバレのないレビューを心がけます。

 

今回は刑事から勲への尋問と勲の過去を中心にストーリーが進む。

勲は、自分と父親との確執について小説の形にしてしためていた。

「一度芽生えた殺意を消す方法などあるのだろうか。」
「芽生えてしまった殺意。それは、誤魔化そうとして逃げたり他の何かにすり替えようとしても
 心の奥底で膨張し、爆発するのを息を潜めて待っている。」

 

刑事は勲に対して、父親を憎んでいただろうと聞き、勲は、そんな無駄なエネルギーは
使わない、と答える。

 

正月休みが終わったのに、どうして東京に帰らずこちらに留まったんですか?

会社でトラブルがあったから力を貸してほしいと父に言われたからです。

ずいぶん親孝行な息子さんだ。

 

実際には、父・文蔵は勲に何の承諾も得ずに勝手に事務所に休みの連絡を入れていた。
強制的な休暇である。

お前に貸した借りもまだ返してもらってないしな。
なっ。弁護士先生よ。

父は、いつもこんな風に横暴だ。

女を作っては母を泣かせ、暴力を振るっては泣かせ…。
勲は幼いころからそんな父を見てきた。

兄の満は子どもの頃、いつかこの家から逃げ出させてやると約束してくれた。
しかし、中学を出てすぐに家を出た満はそのまま帰ってくることはなかった。

高校を出て、勲は東京の大学に入り、寮に住むために家を出た。

学費と生活費が掛かります。
アルバイトで賄ったとしても全額は難しい。
申し訳ないのですが、足りないお金を貸してください。

と、頭を下げる勲に、文蔵は、

お前に金貸して何かいいことがあんのか?

と乱暴に聞いてきた。

僕が弁護士になった暁にはお父さんのお力になれます。

勲はそう約束し、法科大学院卒業後5年間で借りた学費を返済するという金銭消費貸借契約書
を書いて父に渡した。

 

大学で勲は遠藤加奈子と知り合った。
美しくて賢い加奈子に勲は惹かれていった。

しかし、結果的には加奈子が選んだのは兄の満だった。
いい加減で定職に就かず、いつも女を変えてフラフラしている満。

 

勲は、弟の涼だけは気にかけていた。
兄と自分が家を出た事で、たった1人この家に取り残された涼。

この家は時間が止まってるみたいだ。
勲兄さんの時間は動きだしたみたいだね。
うらやましいな。

涼。お前も高校卒業したら東京に出てこいよ。

…いいよ。僕は。
東京は僕には遠いよ。

 

涼は、そんな控えめな弟だった。

毎日変な女を連れ込んで馬鹿騒ぎをしている父と、涼はどんな思いで暮らしているのだろう。

しかし、勲はそれでもこの家の呪縛から逃げ出したかったのだ。

 

自殺されたんですね。あなたのお母さんの詩織さん。
お父さんの女性関係を苦にしてだとか?

と、刑事は聞く。

それと父が殺されたことと関係があるんですか?

年齢を重ねられてもなお、黒澤文蔵さん…お父さんの女出入りは激しかったと聞いています。
お兄さんもその血を引いているようですが、そのことについてどう思っていましたか?

何も思っていませんよ。
関係ないでしょ。そんなことは。

 

勲は少し苛立った。

関係ないことはなかった。

兄は加奈子の心を奪っていったのだ。
そして、今はその加奈子に金を無心して生きている。

明らかに父親の血筋だ。

 

父が殺される前、今に下りていくと派手な女が父とはしゃいでいた。
女は吉岡久留美という名で、父は今ご執心らしい。

勲はひと目見て、その女が前日満と飲んでいた女だと気付いた。

 

昨日は兄さん、今日は親父、毎日忙しいな。

おかげさまで。

連日敵対する親子の一方と飲んでるなんて奇遇だな。

あら。あの2人敵対してるの?
女の趣味はそっくりなのにおかしいわね。

親子を両てんにかけてるつもりか?

いけない?
清純やモラルではおなかをいっぱいにできないもの。
欲しいものを手に入れるためだったら毒だって食らうわ。

ごきげんよう。勲坊ちゃま。

 

久留美は不敵に微笑んで帰って行った。

 

文蔵が勲に頼んだ仕事とは、取引会社を不当に陥れるものだった。

後味の悪い思いで、夜1人酒を飲んでいると、文蔵が声をかけてきた。

酔ってるのか?

僕だって飲みたいときはありますよ。
人を陥れるような仕事をした後には。

お父さん。平気なんですか?
そんな生き方をしていて。
あなたは人を愛したことがあるんですか!

お前ほどの男がそんな甘っちょろいこと聞いて俺を失望させるな。

文蔵は笑っていた。

勲は、泣いている母を思い出した。
怒りで父に突っかかっていく。

 

ずっと聞きたかった母さんが死んでからずっと。
一度でも 母さんを愛したことがあったんですか?

愛?
笑わせんな。
お前、弁護士になって柔になったんじゃねえのか?

父は鬼畜だった。
母の自殺を何とも思っていなかった。

あなたが殺したんだ。

勝手に死んだんだよ。まあ、よかったよ。
利用価値のない道具なんぞ俺には必要ないからな。

道具?
母さんが道具だったというのか。

そうだろ?役に立たないやつに無駄飯食わしてどうするんだよ。

あなたって人は…。

おやすみ。役に立つ弁護士さんよ。

 

文蔵は勲の頬を両手で挟んで憎々しげに笑い、二階へあがっていく。

勲は怒りでその場に座り込んだ。

 

そして、父は何者かに殺された……。

 

刑事は、勲が書いた小説を何故か持っていた。

読み上げられて少し狼狽する勲。

 

「一度生まれた殺意は成熟し、臭いを放ち、おびただしいほどの血が流されるまで
決して消えることはない」

これ、あなたが書いた小説ですよね。
ここに書いてありますよあなたの本心が。

こっ…これは…架空の物語です。

殺意のことをよくご存じだ。
そんなもの感じたこともないとおっしゃるわりには。

あなたは家を出て弁護士になったら父親から自由になれると信じていた。
だが 実際は違った。
父親の支配はどこまでもあなたをむしばみ、どうあがいても
逃れることはできなかったんだ。
彼が生きているかぎり。

だから殺したんだよ!
あんたがその手で父親を!

 

刑事役の滝藤賢一さんの嫌らしい尋問。

まぁ…とにかく役者さんたちが素晴らしい。

かと言ってセリフ中心の劇ではなく、映像としても魅せられる。

子供時代、学生時代、そして現在の父の生前という様々な時期を切り取った過去の映像。
そして、今現在、尋問されている映像。

全てが流れるように短い時間に描かれています。

だから、すごく時間が過ぎるのが早い。

重厚でクラッシックな映像に乗せる音楽がレッド・ツェッペリンだったり…。 
それがまた意外なくらいハマっている。

本当にワクワクします。

イッチーの抑えた演技、本当に良いですね。
こういう役柄は初挑戦なんじゃないかな。
熱い役が多いから。 

兄弟1人1人の過去を浚っていくらしい。次回は満のターンかな。

ここは重要だから…本当に楽しみ。

 

原作:「青空文庫」にもありますよん。もちろん無料→「青空文庫/カラマゾフの兄弟」

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 「家族会議がある」と呼び出され、久しぶりに黒澤邸に戻って来た次男・勲(市原隼人)
だったが、相変わらずの父・文蔵(吉田鋼太郎)の横暴ぶりに嫌気がさしていた。

朝食後、東京に帰ろうとしていた勲だったが、勲の了解なしに、勤務先である弁護士事務所に
休暇を取る連絡をした、と文蔵から聞かされる。
これで心置きなく俺のために働けるだろうと、文蔵は勲に言い放つ。

文蔵は取引のある下請け会社、杉卓工務店とトラブルになっていて、勲の力を
借りようとしていた。
勲は弁護士を目指すために上京する前、学費と生活費を文蔵に借金しており、利子付きの
借用書も書いた上に、将来自分が弁護士になった際には文蔵の力になることも約束していた
ため、何も反論できないでいた。

勲は地元の海岸で、今は兄・満(斎藤工)の恋人である大学の同級生・遠藤加奈子(高梨臨)と
久しぶりに再会した。
勲は、加奈子と満の仲がうまくいってないのではと心配していたが、加奈子から満とはうまく
付き合っている、と聞かされ複雑な心境になった。

ある夜、勲が黒澤邸大広間に降りてくると、文蔵が女と酒を飲んでいた。
その女の顔を見た勲は驚愕する・・・。

(あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

よろしければ→【2013年1月期・冬クールドラマ何見ます?】ラインナップ一覧とキャスト表と展望

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【キャスト】

黒澤勲 … 市原隼人(イヴァン/ワーニャ)
黒澤満 … 斎藤工(ドミートリイ/ミーチャ)
黒澤涼 … 林遣都(アレクセイ/アリョーシャ)

遠藤加奈子 … 高梨臨
末松進 … 松下洸平
小栗晃一 … 渡辺憲吉

黒澤詩織 … 安藤サクラ
園田志朗 … 小野寺昭
吉岡久留美 … 芳賀優里亜
刑事 … 滝藤賢一

黒澤文蔵 … 吉田鋼太郎(フョードル)

【スタッフ】

演出 … :都築淳一、佐藤源太、村上正典
脚本 … 旺季志ずか

原作 … フョードル・ドストエフスキー

 

 

 

 
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カラマーゾフの兄弟第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話(最終回)


コメント

  1. カラマーゾフの兄弟〜人間の本質は悪なのか? 極限状態の役者さんの演技にも注目!

     録画していた2話までを見ました。
     人間の<負の部分>を徹底的に見つめた作品ですね。
     父・文蔵(吉田鋼太郎)は金の亡者。
     勲(市原隼人)が法学部への大学進学で、金を貸…

  2. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    >二回目も面白かったですね。市原さんカッコ良かったーーー!!サクラさん以外の女優がいまいちなのが、気になりますが…。娼婦役は小池栄子さんか米倉涼子さんが良かったんですが、予算が足りませんよね^_^;

    そうなんですよね^^;
    安藤サクラさん以外は売出し中って感じなんですよね…まぁ…主になるのは
    男優さん達の方だからいいのかなっ^^;
    いや、米倉さんとか出したら深夜帯じゃ無理でしょうねw
    たぶん予算は少ない枠だと思うわ~^^

    >鎌倉文学館が舞台に使われているのも粋ですよね。
    松下さんいつ台詞ふえるのかなー?

    松下さんは…今のところは隠しているのだと思います。うん。まだ。

    >今期のドラマはカラキョー筆頭にハズレが少ないですね。

    本当ですわ!毎日楽しいです^^

  3. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    こちらこそ、いつもコメントありがとうございます^^

    >ドラマいや~、今回も素晴らしかった また、原作とは違った魅力がありますね!市原さんや周りの役者さんが非常に雰囲気を出しており、ぐんぐん引き込まれて行きますね!

    原作は、かなり忘れている部分も多いのですが、このドラマを見ていると
    思い出してくるから不思議ですわ。
    ほんと、原作とは全く舞台も環境も違うのにね。
    スタッフ、上手いなぁと思います^^

    >来週の満篇も今から心待ちにしています!私自身は似たような立場にあったせいか、直情型の満に共感することが多いです。

    あそこまで人間として落ちていると、うーーんって感じですが、やりたい気持ちは
    解りますよね。
    彼も彼なりの葛藤がいっぱいあって…要するに育った環境がいけないんですものね^^;
    来週を心待ちにします。
    斉藤工さんの演技も楽しみ。

  4. タンバリン より:

    SECRET: 0
    PASS: 0ed1c3e26413383ecfd901bbe0a75262
    二回目も面白かったですね。市原さんカッコ良かったーーー!!サクラさん以外の女優がいまいちなのが、気になりますが…。娼婦役は小池栄子さんか米倉涼子さんが良かったんですが、予算が足りませんよね^_^;
    鎌倉文学館が舞台に使われているのも粋ですよね。
    松下さんいつ台詞ふえるのかなー?
    来週も楽しみです。
    今期のドラマはカラキョー筆頭にハズレが少ないですね。

  5. 櫻井8号 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    くうさん、早速の感想アップありがとうございます一週間がカラマーゾフと、くう様のコメントが楽しみで乗り切ってます!ドラマいや~、今回も素晴らしかった また、原作とは違った魅力がありますね!市原さんや周りの役者さんが非常に雰囲気を出しており、ぐんぐん引き込まれて行きますね!来週の満篇も今から心待ちにしています!私自身は似たような立場にあったせいか、直情型の満に共感することが多いです。

  6. カラマーゾフの兄弟 第2話

    2013.1.19 Sat On-Air 第2話「次男~侵された魂」  「家族会議がある」と呼び出され、久しぶりに黒澤邸に戻って来た次男・勲(市原隼人)だったが、相変わらずの父・文蔵(吉田鋼太郎

  7. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: d0970f9a670a457ba04fd47a84598fe5
    >今まで市原隼人のこと熱っくるしく思っていましたが(笑)この役はいいですね。
    新しい市原隼人発見って感じです。

    そーなんですよ…いや、イッチーが熱苦しく感じられるのは、そういう役を
    みんなが持ってくるからなんですよぉぉ。
    これを機会にお仕事の幅が広がりますように(-人-)

    >3兄弟といい父親役といい皆さん役者がそろってていいドラマになっていますね。

    登場人物は少ないのに、1人1人が濃いから充実感ありますよね。
    たぶん、舞台でやった方が良いようなこの作品を上手くドラマ映像にしていると思います^^

    >今シーズンのドラマははずれが少なく録画をしても観るのに間に合わなくてあっという間に1週間がたってしまいます。
    ドラマを見てHPに分かりやすいあらすじと感想を更新してくださるくうさん。
    尊敬してしまいます。
    夜行観覧車もよかったなぁ。

    ありがとうございます^^
    読んで下さる方あってこそです。
    今期は本当に充実してますよね。そしてバラエティに富んでいる。
    感想書いている物以外にも見ている物は多くて、本当に録画を見る時間がないです^^;
    映画のDVDも見たいのに~。

  8. kyom より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    今まで市原隼人のこと熱っくるしく思っていましたが(笑)この役はいいですね。
    新しい市原隼人発見って感じです。
    3兄弟といい父親役といい皆さん役者がそろってていいドラマになっていますね。
    私は原作は読んでいないのでこれからどうなるのか楽しみです。
    お母さんの自殺の理由とかもこれから明らかになっていくのでしょうか。
    今シーズンのドラマははずれが少なく録画をしても観るのに間に合わなくてあっという間に1週間がたってしまいます。
    ドラマを見てHPに分かりやすいあらすじと感想を更新してくださるくうさん。
    尊敬してしまいます。
    夜行観覧車もよかったなぁ。

  9. カラマーゾフの兄弟 #02

    『次男~侵された魂』

  10. カラマーゾフの兄弟 (第2話・1/19) 感想

    フジテレビ系ドラマ『カラマーゾフの兄弟』(公式)の第2話『』の感想。
    なお、原作である文豪フョードル・ドストエフスキーの長編小説はだいぶ前に既読。

    今週も面白かった…

  11. カラマーゾフの兄弟 第2話

    『勲 侵された魂
    『次男〜侵された魂

    内容
    事件前、父・文蔵(吉田鋼太郎)に家族会議だと呼び出された3兄弟。
    だが、文蔵は亡き兄弟の母・梓、詩織(安藤サクラ)をなじるなど、

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